映画『さんかく窓の外側は夜』のあらすじ・ネタバレ・解説・感想・評価から作品情報・概要・キャスト・予告編動画も紹介し、物語のラストまで簡単に解説しています。
映画『さんかく窓の外側は夜』公式サイトにて作品情報・キャスト・上映館・お時間もご確認ください。
YouTubeで予告映像もご覧ください。
『さんかく窓の外側は夜』
(2021年製作/102分/PG12/日本)
【監督】
森ガキ侑大
【原作】
ヤマシタトモコ
【脚本】
相沢友子
【製作】渡辺ミキ 大角正【エグゼクティブプロデューサー】大和田宇一 吉田繁暁【プロデューサー】藤田大輔 福島大輔 田渕みのり【撮影】近藤哲也【照明】溝口知【録音】
猪股正幸【美術】松永桂子【装飾】石上淳一【スタイリスト】Babymix【ヘアメイク】澤田梨沙【VFX】城戸久倫【編集】キルゾ伊東【音楽プロデューサー】戸波和義【主題歌】ずっと真夜中でいいのに。【記録】押田智子【助監督】根木裕介【ラインプロデューサー】大熊敏之【プロダクションマネージャー】小松次郎【製作担当】前場恭平
【出演】
岡田将生
志尊淳
平手友梨奈
滝藤賢一 筒井道隆 マキタスポーツ 新納慎也 桜井ユキ 和久井映見 北川景子
【HPサイト】
映画『さんかく窓の外側は夜』公式サイト
【予告映像】
映画『さんかく窓の外側は夜』トレーラー
映画『さんかく窓の外側は夜』のオススメ度は?
星3つ半です
「BLホラー映画」を開拓
「幽霊より、人間の方が怖い」
映画『さんかく窓の外側は夜』の作品情報・概要
『さんかく窓の外側は夜』ヤマシタトモコによる日本の漫画作品である。実写の映画化に関してはワタナベエンターテインメントと松竹による共同製作プロジェクトの第1弾作品として製作。「BLホラー」を開拓した画期的な映画。監督はCMディレクターとして評価の高い森ガキ侑大。主演は岡田将生と『一度死んでみた』の志尊淳。平手友梨奈、『パラレルワールド・ラブストーリー』の筒井道隆、映画『さよなら くちびる』のマキタスポーツ、映画『マチネの終わりに』や映画『コンフィデンスマンJP』の桜井ユキ、映画『君の膵臓をたべたい(2017)』の北川景子らが共演。
LGBTQにテーマをおいた映画
映画『さんかく窓の外側は夜』のあらすじ・ネタバレ
「霊が視える男」三角康介(志尊淳) は書店て働いていた。彼は霊が見えてしまうことに恐怖し、内向的な性格である。ある日、書店に訪れた「霊を祓える男」冷川理人(岡田将生)にその能力を高く評価されて、彼が経営する物件鑑定・特殊清掃会社「COOLEAN」の仕事を手伝うことになる。冷川の能力を利用して殺人事件を解決しようとする刑事・半澤日路輝(滝藤賢一) 「全く信じない男」の依頼に協力することになった三角は殺人事件の現場へ向かう、、、。現場には「ヒウラエリカ」という名前が発せられていました。そして高校生・非浦英莉可(平手友梨奈) 「呪い屋」と遭遇する。互いに反目しながらも3人は各々の特殊能力に共感しながら、、、。そこには怪しい宗教団体の存在があった、、、。
映画『さんかく窓の外側は夜』の感想・内容
「BLホラーを開拓した映画」です。とても面白かったです。102分間、全く飽きずに観ることができました。敢えてジャンルはホラーにしましたが、人間の成長物語も描かれています。特に「もしかしてBL行くか?」と期待させながらの展開は生唾ものです。近年の邦画は海外から遅れること数年してようやくLGBTQをテーマにした作品が増えてきましたので、ここでホラーを絡めたBLが表現されていたら「よし、来たあ!」と思いました。しかしそういった描写はありませんでした。“濃密なBLホラー”であったなら世界に先駆け的な映画のなったのに少し残念です。
さてさて、本映画『さんかく窓の外側は夜』は漫画家・ヤマシタトモコの同名コミックが原作となっています。ヤマシタさんは「BL界の巨匠」です。ボーイズ・ラブを描いた作品に胸をキリキリと締め付けられた女性たちはたくさんいることでしょう。絵のタッチが良いと思います。特にキャラクターの目線の向け方が素晴らしいと感じております。そして本映画『さんかく窓の外側は夜』は原作漫画とはかなり違う形になっています。一番、大きく異なるのは冷川理人(岡田将生) の髪の毛の色です。原作では金髪ですが、映画では黒髮となっています。全身を黒というミステリアスな雰囲気でまとめれています。そして三角康介(志尊淳)の雰囲気は映画の方はかなりの“びびり人間”のようになっています。でもこれはオッケーでしょう。映画というのは原作プラス、オリジナル脚本を加味して作られます。“動く映像”で物語を語る映画にはキャラが立ち上がることが重要ですから、監督の森ガキ侑大さんのキャラクター設定は正解だったと思います。
本映画『さんかく窓の外側は夜』の物語は一見、とても複雑に思われます。宗教団体も二つ登場しますから、さらにわかりにくい感じになっています。わたしも映画を観ながら「えっと、一体何を言いたいのか?」と戸惑いましたが、答えちゃんと劇中で明かしてくれてます。「幽霊より、人間の方が怖いってことですよ」になります。確かにその通りです。わたしもわかっているのに、人に対して悪態をついてしまって、恨みを買ってしまったことってあります。そして仕返しされて苦境に落ちたこともあります。よく「人を呪わば穴二つ」って言いますが、若い時はそんなの迷信だと笑っていましたが今では「本当にある」と実感せざる得ません。本当に人間に「怨念」とか「憎悪」って怖いですよ。
本映画『さんかく窓の外側は夜』では幽霊の存在を強く出しています。「霊が視える男」三角康介(志尊淳) と「霊を祓える男」冷川理人(岡田将生) 、そして「呪い屋」非浦英莉可(平手友梨奈) の3人の三角形で心霊現象のエンターテイメントを作り上げています。そしてもう一人「全く信じない男」として半澤日路輝(滝藤賢一)がいます。わたし的に一番近いのは半澤です。「この世に幽霊など存在しない」「心霊現象なんて非科学的だ」とわたしも考えているからです。でも、でもですよ、世の中では言葉で説明できない不思議なことがあるというのは認めています。幽霊という実体はありませんが、“因果応報”的なことってあるのです。本映画『さんかく窓の外側は夜』のメッセージはまさにそこにあると思います。「人が嫌がることを行なったら、必ず自分に跳ね返って来る」のです。森ガキ侑大監督も言っています。「社会問題になっているSNSでの言葉の暴力性について警告」も込めているそうです。
映画『さんかく窓の外側は夜』の結末・評価
さて上記しました人間成長物語としても上手く描かれています。「霊が視える男」三角康介(志尊淳)は自分の特異体質に深く悩んでいました。そこへ「霊を祓える男」冷川理人(岡田将生) が現れるのですが、冷川の言動と行動を垣間見て「人間らしく」生きる大切さに気が付きます。そして終盤にはあれだけ自分の得意体質に悩んでいたことを受け入れます。最後に母親の三角則子(和久井映見) が「人より視力が良いってこどじゃん」で一気に楽になります。これは良かったですね。
冷川理人においては幼少の頃から掌光会という宗教団体で神の子として崇められて、世間とは隔絶された生活を送っていました。そのため「人の痛みや苦しみを知らない」冷血な人物として描かれています。しかし「霊が視える男」三角康介によって、自身の失われた過去の記憶を思い出して、少しずつ人間の優しさに気がついていきます。そして「呪い屋」非浦英莉可(平手友梨奈) は自身が信仰する宗教団体に利用されていることに不信を抱きながらも、人を呪い殺しています。彼女の心に大きく影響を与えたのは三角康介(志尊淳)と言えます。英莉可は人を寄せ付けない生き方をしていましたが、実際は「誰か助けてほしい」というメッセージを発信していました。それが“ヒウラエリカ”です。それをいち早く察知したのは三角康介であり、英莉可を救済します。英莉可も心を入れ替えて生きていく様子が伺えます。でも、でもですね、エンディングがバッドなんですよ。英莉可の腕がパックリ割れて血が飛び出すんですよ。ここが森ガキ侑大監督の狙いであり、メッセージなんです。何故ならば三角康介と冷川理人は無闇に人を殺していないんですよ。ですから“因果応報”はないと思うのです。でも英莉可は劇中だけで3人を殺しています。「人を殺したんだから、ただじゃ済まされないよ」です。次回作があるのなら、英莉可の苦痛と恐怖を思いっきり描いて欲しいと思います。
そして本映画『さんかく窓の外側は夜』の画期的な挑戦は「宗教団体が二つ登場」するところもです。わたしたち日本人はかつて日本中を恐怖のどん底に陥れたオウム真理教事件の記憶があり、宗教については多くを語らず。あるいはタブーとして扱っているのも事実です。でも欧米の人たちは宗教においてはオープンで語り合います。逆に宗教感を避けて生きている日本人を不思議に思っています。わたしも宗教においては苦手意識というか拒否感が強いのですが、本映画『さんかく窓の外側は夜』では果敢に扱っているところが素晴らしいと思います。「霊を祓える男」冷川理人(岡田将生)の掌光会、「呪い屋」非浦英莉可(平手友梨奈)の神話の光などの団体をイメージさせる新興宗教はあると思います。宗教に対して、嫌悪感も拒否感もあるわたしですが、宗教とは何かをちゃんと勉強すれば怖くなくなるような気がします。
本映画『さんかく窓の外側は夜』と通して感じたのは「見えないものは怖い」です。幽霊も呪いも人間の目には見えません。得体の知れないものが怖いのです。でも宗教団体においては「目に見える」のです。ですから特に恐怖を感じる必要がないとわからせてくれました。その点はありがたかったです。次回は非浦英莉可(平手友梨奈)の成長 を主軸に冷川理人(岡田将生) と三角康介(志尊淳) のBLを全開させて欲しいと願わずには要られません。
映画『さんかく窓の外側は夜』のキャストについて
冷川理人(岡田将生)
「霊を祓える男」で除霊師。幼少の頃、神の子と崇められて育ちました。人の病気や怪我を治す能力がありました。力が強すぎたようです。人の気持ちがわからない。ハンサムな岡田将生さんのクールな雰囲気は素晴らしかったです。佇まいもいいです。特に三角康介を後ろから抱き寄せる場面は必見ですね。物件鑑定・特殊清掃会社「COOLEAN」経営。
三角康介(志尊淳)
「霊が視える男」霊が見えてしまう得意体質に悩んでいる。本屋でアルバイト。冷川理人に誘われて助手になる。優しい性格。志尊淳さんの“びびり感”あるいは“オドオド感”が最高でした。でも最後のしっかりと自分と向き合うところは決まってました。
非浦英莉可(平手友梨奈)
「呪い屋」高校生。人を呪って殺す能力を持っています。神話の光という宗教団体に属している。平手友梨奈さんの演技は本当に素晴らしかったです。やっぱり「まっすぐな目が良い」と感じました。じっと凝視するというか、その一途な目線(思いつめたような)に恐怖も不安も感じますし、「助けてあげたい」気持ちも出てきます。平手友梨奈さんは半端なアイドルグループを脱退して良かったです。女優として応援したいです。
半澤日路輝(滝藤賢一)
刑事。「全く信じない男」幼少の冷川理人を救出しました。冷川の能力を高く評価して利用しています。滝藤賢一さんはいまノリに乗っている俳優さんだと思います。ただ以前と比べて「安心感が出すぎ」な感じがします。もっとハングリーな気持ちをスクリーンに見せて欲しいと思います。
石黒哲哉(筒井道隆)
掌光会の信者。筒井道隆さんは少ししか出ていないのに何故か強い存在感を残していました。この怪しげなキャラクターは筒井道隆さんしかできないと感じました。
非浦松男(マキタスポーツ)
逆木一臣(新納慎也)
半澤冴子(桜井ユキ)
三角則子(和久井映見)
慶子(北川景子)
通りすがりの女性。非浦英莉可の呪いで轢き殺されます。北川景子さん、尺でいうと30秒くらいの出演でしたが、すごいインパクトでした。先の映画『ドクター・デスの遺産 BLACK FILE』よりも良かったです。
まとめ 映画『さんかく窓の外側は夜』一言で言うと!
「祝・BLホラー誕生!」
これからのホラー映画の楽しみが増えました。まさしくBL、そしてLGBTQを全面に押し出したホラー作品が出てくるでしょう!めっちゃ期待しています。
『運だぜ!アート』本日の総合アクセスランキング
合わせて観たい映画
【LGBTに関連した映画】
映画『ロニートとエスティ 彼女たちの選択』
宗教よりやっぱり「あなたが大事」なんです
映画『ボーダー 二つの世界』
新しい「性」の世界を描いています
映画『グッバイ、リチャード!』
初めて男性と愛し合うジョニー・デップ
映画『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』
卒業前夜に「彼女に愛を告げた」でも振られた
映画『ペイン・アンド・グローリー』
ずっと昔愛した人と再会して「再び生きる」気持ちになれた
映画『スケアクロウ』
純愛なる男同士の愛の物語
映画『永遠に僕のもの』
彼の心が欲しい美しすぎる犯罪者の恋物語
映画『ロケットマン』
性について悩むエルトン・ジョンの魂の叫びが聞こえます。
映画『ゴッズ・オウン・カントリー』
本当に美しい若い二人の恋物語です
映画『さよなら くちびる』
主人公のハルは自身の性に悩みながら音楽活動をしている、彼女が思いを寄せる女性はすでに、、、、。
映画『コレット』
フランスの女流作家の波乱万丈の人生を描いている。半世紀前に勇気を出して同性愛を告白した女性。
映画『ある少年の告白』
同性愛を矯正する学校に入れらた少年たち。しかし本当の性を見つけて生きていく決意をする。
映画『グリーンブック』
有名な黒人ピアニストが人種差別を戦う過程で自身のセクシャリティーを告白している。
映画『女王陛下のお気に入り』
イギリス王室の物語。アン王女と侍女の関係を描いている。
映画『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』
アメリカ女子テニスのスーパースターが性差別撤廃に向けて戦う。自身も同性愛者とカミングアウトする。
映画『J・エドガー』
長年FBIを務めたエドガーの半生
【ホラー&サスペンス映画オススメ】
映画『事故物件 恐い間取り』
中田監督新作は事故物件芸人ホラー
映画『ラ・ヨローナ 彷徨う女』
グアテマラという国の怨念物語
映画『ミッドサマー』
新しいジャンル“フェスティバル・スリラー”誕生です
映画『透明人間』
姿も形も見えない恐ろしさってどんな感じだろうか?
映画『ルース・エドガー』
なんとも言えない「あと味」が残る映画です
映画『サイコ (1960年の映画)』
サスペンスの神様と言ったらヒッチコックです
映画『ナイチンゲール』
人種・女性差別を楽しむゲスな人間がいました
映画『ダーティーハリー』
「サイコパスって?」を世界に広めた映画
映画『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』
レイプと殺人を楽しむクソ野郎です
映画『テッド・バンディ』
テッド・バンディ無くしてサイコパスは語れません
映画『私の知らないわたしの素顔』
ビノシュの妖艶さが恐ろしさを増長させます
映画『さんかく窓の外側は夜』の作品情報
映画.comより一部引用
スタッフ・キャスト
監督
森ガキ侑大
原作
ヤマシタトモコ
脚本
相沢友子
製作
渡辺ミキ 大角正
エグゼクティブプロデューサー
大和田宇一 吉田繁暁
プロデューサー
藤田大輔 福島大輔 田渕みのり
撮影
近藤哲也
照明
溝口知
録音
猪股正幸
美術
松永桂子
装飾
石上淳一
スタイリスト
Babymix
ヘアメイク
澤田梨沙
VFX
城戸久倫
編集
キルゾ伊東
音楽プロデューサー
戸波和義
主題歌
ずっと真夜中でいいのに。
記録
押田智子
助監督
根木裕介
ラインプロデューサー
大熊敏之
プロダクションマネージャー
小松次郎
製作担当
前場恭平冷川理人(岡田将生)
三角康介(志尊淳)
非浦英莉可(平手友梨奈)
半澤日路輝(滝藤賢一)
石黒哲哉(筒井道隆)
非浦松男(マキタスポーツ)
逆木一臣(新納慎也)
半澤冴子(桜井ユキ)
三角則子(和久井映見)
慶子(北川景子)2021年製作/102分/PG12/日本
配給:松竹