映画『父親たちの星条旗』のあらすじ・ネタバレ・解説・感想・評価から作品概要・キャスト、予告編動画も紹介し、物語のラストまで簡単に解説しています。
映画『父親たちの星条旗』IMDbサイトにて作品情報・キャスト情報をご確認ください。
YouTubeで予告映像もご覧ください。
『父親たちの星条旗』(132分/アメリカ/2006)
原題『Flags of Our Fathers』
【監督】
クリント・イーストウッド
【製作】
スティーブン・スピルバーグ ロバート・ロレンツ クリント・イーストウッド
【出演】
ライアン・フィリップ
ジェシー・ブラッドフォード
アダム・ビーチ
トム・マッカーシー
- 映画『父親たちの星条旗』NHK BSプレミアム放送 3月26日(木)午後1時00分~3時13分
- 映画『父親たちの星条旗』のオススメ度は?
- 映画『父親たちの星条旗』の作品情報・概要
- 映画『父親たちの星条旗』のあらすじ・ネタバレ
- 映画『父親たちの星条旗』の感想・内容
- 映画『父親たちの星条旗』の結末・評価
- クリント・イーストウッドについて思うこと
- 映画『父親たちの星条旗』のキャストについて
- まとめ 映画『父親たちの星条旗』一言で言うと!
- 『運だぜ!アート』本日の総合アクセスランキング
- 合わせて観たい映画【クリント・イーストウッド名作映画】
- 映画『父親たちの星条旗』の作品情報
映画『父親たちの星条旗』NHK BSプレミアム放送 3月26日(木)午後1時00分~3時13分
世界の映画監督クリント・イーストウッド作品です。
太平洋戦争において最も激戦であった「硫黄島」を舞台に二本の「硫黄島プロジェクト」が発足しました。本映画『父親たちの星条旗』と『硫黄島からの手紙』です。
本作はアメリカ側からの視点で描いています。戦闘場面はそれほど多くはありません。というより戦争後の人間がどのような運命を歩んだかを描いた名作です。
「硫黄島プロジェクト」第二弾です。日本側からの視点です。必見!!
映画『父親たちの星条旗』のオススメ度は?
星4つです
戦争反対映画ではありますが
戦争に翻弄された人たちの物語です
三者三様の人生が語られます
人生という羅針盤をどう生きるかについて
映画『父親たちの星条旗』の作品情報・概要
『父親たちの星条旗』原題『Flags of Our Fathers』2006年公開のアメリカ映画。クリント・イーストウッドが監督作品。ジェームズ・ブラッドリーが父ジョン・“ドク”・ブラッドリーの半生を彼の知り合いたちを取材し、ロン・パワーズとまとめたノンフィクション本『硫黄島の星条旗』(原題: Flags of Our Fathers)を元にしている。脚本は『ミリオンダラー・ベイビー』のポール・ハギスを迎えている。スティーヴン・スピルバーグが率いるドリームワークスらが製作。太平洋戦争の最大の激戦と言われている硫黄島の戦いを本作と『硫黄島からの手紙』の「硫黄島プロジェクト」を立ち上げ、本作はアメリカ側からの視点で描いた名作である。
映画『父親たちの星条旗』のあらすじ・ネタバレ
ジョン・“ドク”・ブラッドリー(ライアン・フィリップ) は葬儀屋を営む経営者。家族と地元貢献のために尽力してきました。ある日、階段で倒れてしまいます。そして「あいつはどこだ?」とうわ言のように繰り返します。息子のジェームズ・ブラッドリー(トム・マッカーシー)は父が硫黄島で戦ったことをほとんど知りません。いや、父親に聞いてはいけないと教えれてきたからです。ジェームスは父親の古い友人たちを訪ねて「硫黄島の星条旗」について取材行います。取材を通して父親とジョン・“ドク”・ブラッドリー(ライアン・フィリップ) 、アイラ・ヘイズ(アダム・ビーチ) は国威発揚のために戦争資金を集めるために利用されたことを知ります。物語はジェームスの視線を通して太平洋戦争とその後の3人の人生を交差させながら展開していきます。
映画『父親たちの星条旗』の感想・内容
単なる戦争映画ではない!戦争後の映画です
太平洋戦争(第二次世界大戦)末期の日本対アメリカの戦争を描いた作品です。本映画『父親たちの星条旗』はアメリカ側からの視点で描かれています。
そしてもう一本『硫黄島からの手紙』は日本側から視点で描かれており、ふたつの作品を通して硫黄島が両国の戦況に与えた大きさを物語っています。
クリント・イーストウッドのバランス感覚が素晴らしいと思わせた企画です。
クリント・イーストウッドが描くイラク戦争
アメリカにおける“硫黄島”の意味は?
さて、映画『父親たちの星条旗』は確かに戦争映画ではありますが、それほどの多くの戦闘シーンは出てきました。
戦争そのものを描くのでは戦争後の兵士たちの人生を描いてます。
主に3人の兵士が登場します。衛生兵のジョン・“ドク”・ブラッドリー(ライアン・フィリップ)、伝令兵のレイニー・ギャグノン(ジェシー・ブラッドフォード) 、そして二等兵のアイラ・ヘイズ(アダム・ビーチ) です。
彼らは意図せず英雄と祭り上げられます。喜んで演じる者、我慢して演じる者、そして本意ではない者です。
硫黄島の星条旗はとても有名です。撮影はジョー・ローゼンタール。本写真でピューリッツァー賞(ピューリッツァー賞 写真部門)を獲得しています。
そしてこの写真をモチーフにアーリントン国立墓地に石碑が建てられています。アメリカ人にとっては勝利の象徴であると言われています。
アメリカ国民にとって、硫黄島での勝利はその後も重要な意味を持つことになります。
国もマスメディアも弱い者いじめが大好きなのか?
アメリカ政府のプロパガンダに利用された
しかしこの星条旗ですが、実際は最初の掲揚ではなかったのです。
硫黄島での戦況は日本もアメリカも拮抗しており、辛うじて有利に立ったアメリカが掲揚しました。しかしながら最初の旗は小さすぎたので、大きな旗に変更された時に撮影されてのです。
これがとても素晴らしい写真だったのでAP通信を通してアメリカ中の新聞に掲載されたのです。
あまりも反響が大きかったので、当時のアメリカ政府はプロパガンダに利用したのです。
国威発揚のために英雄にされた人たち
国威発揚です。
当時の大統領フランクリン・ルーズベルトは厳しい戦況で資金が底をつき国家が破綻する危機を迎えていました。
ルーズベルトはすぐさま彼らを呼び戻し“戦争資金”を集めるためのキャンペーンを行います。国債を発行するのです。その戦略は見事に成功して233億の資金を集めます。
全米を行脚する3人の心模様がうまく描写されています。戦争にはこういった名も無い英雄がよく利用されます。
それは世界どこでも同じだと感じました。
アメリカが作り上げた英雄で記憶に新しいのがイラク戦争のジェシカ・ドーン・リンチさんです。「戦場のヒロイン」と喧伝されてメディアの注目を浴びて、国威発揚に利用されました。
実際は報道と違って暴行を受けていなかったとのこと。
突撃して死ぬのはいつも若者です
映画『父親たちの星条旗』の結末・評価
クリント・イーストウッドの狙いは3人の人生
さて、この映画の中でクリント・イーストウッドは3人の心の葛藤を非常にうまく表しています。
まずレイニー・ギャグノンは英雄になることに積極的です。実際、硫黄島で旗を立てています。
そして帰国後は英雄であることをうまく利用しようと考えています。国からの命令には従います。
でもその後の人生はそれほど華やかなものにはなりませんでした。次にジョン・“ドク”・ブラッドリーです。彼は旗を立てていません。
でもレイニーと共に国中を行脚して国債を売るために協力します。迷いはあったと思います。
ドグはその後、葬儀屋を経営しますが、“星条旗”については一切語りませんでした。
フィンランドとソビエトの地獄の戦い
アイラ・ヘイズの苦悩こそがアメリカの苦悩
でもクリント・イーストウッドはこの映画の中で、死に際のドグの苦悩を描くことで「生涯にわたっての苦しんだ」演出を施しています。
3人目のアイラ・ヘイズ(アダム・ビーチ)ですが、もう悲惨でした。アイラこそが本当に心を持った人間なのかと思えてきますが、彼は精神的に弱かったと思います。
まず酒です。アルコール依存症に陥ります。
「英雄なんかになりたくない」が信条でしたが、一度英雄になってしまうともう後には引けなかったのす。
インディアン、つまりネイティブアメリカンです。差別・偏見と戦ってきました。そして同じインディアンの人たちならわかってもらえると心を寄せますが誰も支持性てくれませんでした。
苛立ち、失意、後悔、孤独、絶望の果てに行き倒れで死に絶えます。
アイラ・ヘイズの苦悩を観ていると、それはすなわちその後のアメリカの苦悩に見えてきます。
その後に訪れるベトナム戦争などです。
戦争帰還兵のその後の人生に焦点を当ててます
戦争によって人生の羅針盤が狂ってしまった市井の人たち
もちろん戦争は絶対悪であるとメッセージはありますが、クリント・イーストウッドはあえてそちらに主軸持っていかないところに作家性の高さを感じずには要られません。
戦争が終わって生き残ってもその後の人生は続きます。市井の人にとってはとても大事なことです。
クリント・イーストウッドは名も無い一介の人物がある時、英雄視されたことで人生という羅針盤が大きく振れてしまった3人の物語を悲哀を持って紡いだ名作だと思います。
*音楽もクリント・イーストウッドが担当しています。ギターの旋律は相変わらず“か細い”ですが、タイミングよく流れるので心にしんみりと入ってきます。
*戦闘場面はどことなく『プライベート・ライアン』を彷彿させるのは製作にスピルバーグがいるからでしょう。
*ネイティブアメリカンのアイラがアルコール中毒においても、クリント・イーストウッドの問題的を感じます。いまだにアメリカ全土にはインディアンの居留地が多くあります。彼らの多くはアルコール依存症になっており、社会問題です。そのことをうま訴求しています。しかしながらアイラの没落ぶりには心が痛みました。
*ジョン・“ドク”・ブラッドリーは実際は星条旗を立てていないことが2006年に発表されています。
ベトナム戦争後の疲弊したアメリカ社会を描いた名作
クリント・イーストウッドについて思うこと
クリント・イーストウッドの近作は“実話”映画がほとんどです。この映画『父親たちの星条旗』もほとんどが実話に近く、若干、脚色しているそうです。
クリント・イーストウッドの初めての実話映画は『バード』(1988年)です。ジャズサックス奏者チャーリー・パーカーの短い生涯を描いています。
それからしばらくは西部劇、宇宙、恋愛、ボクシング映画などを一通り撮って現在の完全実話映画へと以降しました。思うにこの『父親たちの星条旗』を撮り終えてから完全にシフトしたと言えるのです。
嘘か本当か知りませんが、「なぜ実話映画になったのか?」の問いに「世界中の本を読み漁ったが面白い物語がなかった」と言ったとか言わなかったとか、、、。
つまりは「事実は小説より奇なり」に通じたのです。
そもそも物語には以下の6つのパターンしかないそうです。
1、貧民から富豪型:不運から幸運へと上昇する、立身出世
2、富豪から貧民型:幸運から不運へと下降する、悲劇
3、イカロス型:一度は上昇するものの、その後に下降する
4、オイディプス型:下降した後に上昇し、また下降する
5、シンデレラ型:上昇した後に下降し、最後は上昇する
6、穴の中の男型:一度は下降するものの、苦境を脱して上昇する
クリント・イーストウッドはそれをもうやり尽くしているのではないでしょうか。
だから敢えて実話映画に活路を求めているのだと思います。
映画『父親たちの星条旗』のキャストについて
ジョン・“ドク”・ブラッドリー(ライアン・フィリップ)
衛生兵として硫黄島の戦いに従軍。星条旗を立てた者とされ英雄に祭り上げられる。実際は上げていない。余生は葬儀屋を立ち上げ地元に貢献する。アイラと違って気持ちを切り替えることができたことが良かったのでは。写真については一切語らなかった。ライアン・フィリップの含みのある演技が最後まで引っ張ってくれました。本当は英雄ではない、でも英雄を演じなければこの国は、、、。という使命感が伝わってきました。
レイニー・ギャグノン(ジェシー・ブラッドフォード)
伝令兵として従軍。硫黄島で星条旗をあげる時に偶然いた。帰国後は英雄に祭り上げられたことにまったく意義を唱えず、国家発揚に協力します。ジェシー・ブラッドフォードはハンサム顔で、しかも物腰が柔らかそうに見えるので「この人は誠実だろう」という印象を与えてくれます。嘘を貫くことに疑問を持たないギャクノン役にはぴったりでした。
アイラ・ヘイズ(アダム・ビーチ)
兵士として従軍。星条旗を立てました。ネイティブアメリカンとして差別されています。嘘をついたことに悩みます。心を壊します。酒に溺れます。精神的に弱い人物として描かれています。アダム・ビーチのダメっぷりの演技は絶賛です。ここまで正直にならなくても、、、、と思いますがやはりこういう人物がいることで人を信じることの大切さを学びました。
まとめ 映画『父親たちの星条旗』一言で言うと!
「国家の戦争は終わっても個人の戦争は続く」
わたしは戦争を知らない世代です。ですから戦争がどれほど悲惨で残酷なものかは映画や書物でしか知りません。それで十分です。「こんな酷いことは二度とあってはいけない」と思います。本映画『父親たちの星条旗』は戦争の悲惨さも描いていますが、それ以上にその後に続く人生について深く考えさせられます。戦争に従軍した人は一生涯にわたって“心の戦い”があるということです。
『運だぜ!アート』本日の総合アクセスランキング
合わせて観たい映画【クリント・イーストウッド名作映画】
【クリント・イーストウッド名作映画】
映画『ミリオンダラー・ベイビー』
こんな酷い話はないほど涙が出てしまう
映画『グラン・トリノ』
頑固な帰還兵が心を開いていく
映画『ガントレット』
ソンドラ・ロックと最高にラブラブだった映画
映画『運び屋』
クリント・イーストウッド88歳で主演
映画『パーフェクト ワールド』
この男は少年にとって悪魔なのか、、、
映画『荒野のストレンジャー』
クリント・イーストウッド監督の初西部劇は謎解き満載
映画『アウトロー(1976)』
クリント・イーストウッドとソンドラ・ロックが出会った映画
映画『ダーティハリー4』
シリーズ最高傑作の理由はソンドラ・ロックの名演にあり!
映画『ザ・シークレット・サービス』
60歳を超えても走り続けるクリント・イーストウッドに感服
【オススメ反戦映画】
映画『絶唱(1975)』
山口百恵と三浦友和が描く「反戦映画の傑作!」
映画『ホタル』
高倉健さん自身が「反戦」の代表的な俳優
映画『父と暮せば』
宮沢りえさんと原田芳雄さん親子が描く被爆都市・広島
映画『アメリカン・スナイパー』
クリント・イーストウッドはまっすぐ「戦争反対!」と言及!
映画『スパイの妻 劇場版』
黒沢清監督の恐ろしさを改めて知る、、、
映画『炎の舞』
戦争が二人を切り裂いたことは間違いなし!
映画『オフィシャル・シークレット』
一人の女性の勇気が戦争を阻止する!
映画『愛と死の記録』
原子爆弾は本当に恐ろしいものです
映画『あゝひめゆりの塔』
彼女たちには大きな夢と希望があっただろうに、、、
映画『この世界の片隅に』
反戦映画の最高傑作です
映画『硫黄島からの手紙』
二宮くん「演技うますぎ」です
映画『名もなき生涯』
「絶対に戦争へは行かない!」強い人間の物語
映画『この道』
北原白秋は偉大だったことがわかる映画
映画『1917 命をかけた伝令』
映画『彼らは生きていた』
第一次世界大戦の少年たちは悲惨すぎる、、、
映画『ハートブレイク・リッジ 勝利の戦場』
鬼軍曹・クリント・イーストウッド参上
映画『父親たちの星条旗』
この戦争での勝者は誰なのだ!
映画『アンノウン・ソルジャー 英雄なき戦場』
フィンランドとソ連の戦争は泥沼だった
映画『家へ帰ろう』
戦争によって引き裂かれた人たちの再会物語
映画『プライベート・ウォー』
たとえ片目を失っても「わたしは戦地へ行く」女性ジャーナリスト
映画『田園の守り人たち』
愛する男たちは戦争にとられてしまった
映画『父親たちの星条旗』の作品情報
映画.comより一部引用
タッフ・キャスト
監督
クリント・イーストウッド
製作
スティーブン・スピルバーグ ロバート・ロレンツ クリント・イーストウッド
原作
ジェームズ・ブラッドリー ロン・パワーズ
脚本
ウィリアム・ブロイルズ・Jr. ポール・ハギス
撮影
トム・スターン
美術
ヘンリー・バムステッド
衣装
デボラ・ホッパー
編集
ジョエル・コックス
音楽
クリント・イーストウッド
ジョン・“ドク”・ブラッドリー(ライアン・フィリップ)
レイニー・ギャグノン(ジェシー・ブラッドフォード)
アイラ・ヘイズ(アダム・ビーチ)
マイク・ストランク(バリー・ペッパー)
キース・ビーチ(ジョン・ベンジャミン・ヒッキー)
バド・ガーバー(ジョン・スラッテリー)
ハンク・ハンセン(ポール・ウォーカー)
ラルフ・“イギー”・イグナトウスキー(ジェイミー・ベル)
ジェームズ・ブラッドリー(トム・マッカーシー)
ニール・マクドノー
メラニー・リンスキー
トム・マッカーシー
2006年製作/132分/アメリカ
原題:Flags of Our Fathers
配給:ワーナー・ブラザース映画