『ガラスの城の約束』(127分/米/2017)
原題 『The Glass Castle』
映画『ガラスの城の約束』のオススメ度は?
星1つ半です。
毒親、ネグレクトと割り切ってみれば良いと思います。
捉え方の問題ですが、祝福できませんでした。
親が子どもをいつまでも支配することはあまり歓迎できません。
以下、作品情報とか感想とか書いてあります。チャラーと読んでください。
映画『ガラスの城の約束』の作品概要
社会から逸脱した生活を目指す夫婦と子どもたち。父親はまともに働かず酒ばかり飲んで暴言を繰り返す。母親もアーティスト気取りで絵ばかり描いて、家事も子育てもしない。しかも子どもを支配し自由も与えない。そんな家庭って日本にも多くあるかもしれない。過保護、過度の干渉、交友関係の遮断、そういう状況におかれたら即脱出しよう、そしてその人を助けたいと思わせてくれた作品。
映画『ガラスの城の約束』のあらすじ・ネタバレ
世捨て人のように全米を放浪しながら暮らしている一家。社会とも隔絶し仕事もせず、酒を飲み暴言を吐く父親。子どもたちは外の世界を知らないのでそれが普通と思わざるを得ない。そして父親を尊敬している。将来、父親が自分たちのために“ガラスの家”を立ててくれると信じている。しかし、成長するにつれて違和感を覚える子どもたち。命がけで家を飛び出しニューヨークで自立して生きていくが、、、。そこにクソ両親が現れる。
映画『ガラスの城の約束』の感想・評価・内容・結末
“毒親”には付ける薬はないのは万国共通だ
本作においては意見が様々と分かれる。
①こんなクソ親を美化する映画は最低だ
②クソ親だけど、やっぱり子どもを愛していたから感動した等。わたしは前者を支持する。
はっきっり言って子どもは時間を長くいる人物に多大な影響を受けるものだ。それが親だったら尚更である。“毒親”という言葉ある。簡単にいうと子どもの良し悪しに関わらず影響を持とうとする親。
過保護もそうだし、過干渉もそう、何かの相談事にも自分の意見を押し付けて我が子を思いのまま操作、いや支配しようとする。こういう親って多い。幼稚園、小学生だったらまだ良いが、中学以上になるともう自我がしっかりしているから本人の希望を尊重すべきだ。
嘘、偽りさえも何も知らない子どもは洗脳されてしまう
とにかくこの映画を観ていてずっと違和感に包まれていた。冒頭からそうだ。まずクソ親父とクソ母は反社会的で、町の人や社会、ましては子どものための学校教育を否定している。
自分の価値観のみで生きて、子どもに強要している。もはや洗脳しているのだ。子どもにとっては両親がすべての時がある。まして外の世界を知らなければ、一見、なんでも知っている両親のことを尊敬せざる得まい。
子どもの気を引くために自分の知識をひけらかし自慢する。子どもにとって親が全てだから信用してしまう。崇拝に近い。そんな人間は最低だと思う。
しかも子どもに「将来、ガラスの家に住もう」とロマンティックな話を信じ込ませて夢を抱かせる。嘘で固めた家族だ。
母親もひどい。画家と言って朝から晩まで絵を描いている。子どもの面倒もみない。食事も作らない。それで絵が売れていたのならまだ許されるが、一向に売れる気配がない。「お金なんていらない」というような事を平気で言う。
クソ親からの脱出場面はヒヤヒヤしたが、応援した
子どもは大きくなるとやっぱり疑問を抱くものだ。一人また一人と家を抜け出していく。その瞬間が一番感動した場面だ。こんな親から一刻も早く逃げるべきだ。
そしてまだ若いのだから頑張ればいくらでも人生を作っていくことができるからだ。本当に良かったと感じた。しかし、今度はこのクソ親父とクソ母が子どもを追いかけてニューヨークまでやってくる。もう地獄だ。
会いたくないが、会わざる得ない事情を作られて会うことになる。そして結局は毒親に振り回される。
無職、アル中、暴言、暴力、嘘つき、こんな父親いらないよ
わたしはこの映画に出てくるクソ親父が本当に嫌いだ。ウソ、ハッタリ、怠け者、そしてアル中ときた。そして暴言と暴力によって妻も子どもを支配している。本当にクソ野郎だ。何も良いことがない。
だからこの映画からは何も感じなかった。エンディングは「こんなクソ親だけど私たちの事を心から愛してくれた」という都合の良いハッピーエンドに流れ込むが、わたしとしては「こんな親と縁切れ!」なのだ。
だから冒頭の後者の意見には全く理解できないのだ。映画だから良いっていう話ではないのだ。幼児虐待、ネグレクト、ハラスメントを受けたすえで今があるというような考えが間違っているのだ。
運よく成功したから書いた本がベストセラー
後に著名なジャーナリストになった著者が両親に感謝しているとか、あの経験があったらから今のわたしがある等と嘯いているが、まるで理解できない。
この映画に関する多くのレビューを読んでみた。不支持しない人の意見は自身も毒親に悩まされた、あるいは未だに事あるごとに干渉されて悩んでいる人たちの意見が見受けられた。親と暮らしたのはたったの18年くらい。
それから独り立ちして20年以上も経つし、人生を80年と計算しても親との日々は4分の1しかない。それをずっと付きまとわれてはたまったもんじゃない、という意見もある。
結局、このクソ親はお金を無心する
本当にそうだ。どっかの国は子どもをたくさん作る理由に労働力を上げる。大人になって家を出ても仕送りをさせる。
多ければ多いほど楽に暮らせるからだ。もはや奴隷だ。この映画の毒親も同じだ。何故ならばお金なんていらないと言っておきながら、ニューヨーク押しかけた目的は、娘に大金を無心するためだ。これには映画といえ怒れてきた。
毒親を切り捨ててこそ、本当に映画になったのに
さて、でもこれは映画だ。もし、この映画を最後まで毒親として扱って毒親を切り捨てる生き方をした子どもたちを描いていたらどうなっただろうか。わたしはそちらの方がいい作品になったと思う。
もちろん、物語の構成にもよるがこの映画に登場する人たちは過去に生きている。過去の思い出に生きている。わたしは過去に生きる人間に興味はない。
いつまでも過去の栄光とか郷愁に浸っていては何も挑戦できないからだ。だからもし本作を違ったものにするのであれば未来に向かって生きる子どもたちを描いた方が人の心に感動を与えた作品になったと思う。
*出演している役者たちはすごい面々です。
映画『ガラスの城の約束』まとめ 一言で言うと!
サラバ、毒親!いつまであると思うな、子どもの愛情
子どもの頃の時間はとてつもなく長く感じる。それは感じ方が繊細だっただけで時の流れは同じだ。でもその感じ方の中で親と過ごす時間が長ければ長いほど、経験したことが脳にインプットされてしまうのだ。親しか知らない時間に受けた影響は計り知れない。“刷り込み”です。未だに親からの干渉に胸を痛める友人がいる。女性です。一刻も早く救ってあげたいけれど、今度は年老いた姿をみて「親がかわいそう」と一番厄介な同情が邪魔をしている。わたしは兄が助けてくれたので恵まれているかもしれない。
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映画『荒野にて』
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映画『赤い雪 Red Snow』
我が子を押入れに押し込めて男との情事を楽しみます。
映画『J・エドガー』
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映画『ある少年の告白』
宗教的な観念で息子の自由を束縛します。
【子ども可愛がり映画】
映画『リアム16歳、はじめての学校』
気持ち悪いくらいに息子に干渉します。息子と恋人気分です。
『母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。』
こちらは母親依存です。
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映画『チワワちゃん』
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映画『芳華-Youth-』
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映画『ガラスの城の約束』の作品情報
スタッフ
【監督】
デスティン・ダニエル・クレットン
『ショート・ターム』(14)『ヒップスター』(16)『アメイジング・ジャーニー 神の小屋より』(17)製作
ギル・ネッター
ケン・カオ
製作総指揮
マイク・ドレイク
原作
ジャネット・ウォールズ
脚本
デスティン・ダニエル・クレットン
アンドリュー・ランハム
撮影
ブレット・ポウラク
美術
シャロン・シーモア
衣装
ミレン・ゴードン=クロージャー
ジョイ・ハナエ・ラニ・クレットン
編集
ナット・サンダース
音楽
ジョエル・P・ウェスト
キャスト
ブリー・ラーソン(ジャネット・ウォールズ)
『アベンジャーズ エンドゲーム』(19)『キャプテン・マーベル』(19)『タナー・ホール 胸騒ぎの誘惑』(18)ウッディ・ハレルソン(レックス・ウォールズ)
『記者たち 衝撃と畏怖の真実』(19)『ヴェノム』(18)『LBJ ケネディの意志を継いだ男』(18)『ハン・ソロ スター・ウォーズ・ストーリー』(18)ナオミ・ワッツ(ローズマリー・ウォールズ)
『バイス』(19)『アバウト・レイ 16歳の決断』(18)『ダイバージェントFINAL』(17)『雨の日は会えない、晴れた日は君を想う』(17)『21グラム』(04)『マルホランド・ドライブ』(02)マックス・グリーンフィールド(デヴィッド)
サラ・スヌークローリ
ジョシュ・カラスブライアン
ブリジット・ランディ=ペイン
作品データ
原題 The Glass Castle
製作年 2017年
製作国 アメリカ
配給 ファントム・フィルム
上映時間 127分
映倫区分 G