映画『卒業(1967)』のあらすじ・ネタバレ・解説・感想・評価から作品概要・キャスト・予告編動画も紹介し、物語のラストまで簡単に解説しています。
映画『卒業(1967)』IMDbサイトにて作品情報・キャスト情報をご確認ください。
YouTubeで予告映像もご覧ください。
『卒業(1967)』
(1967年製作/107分/G/アメリカ)
原題『The Graduate』
【監督】
マイク・ニコルズ
【製作】
ローレンス・ターマン
【原作】チャールズ・ウェッブ【脚本】カルダー・ウィリンガム バック・ヘンリー【撮影】ロバート・サーティース【音楽】ポール・サイモン デイブ・グルーシン
【出演】
アン・バンクロフト
ダスティン・ホフマン
キャサリン・ロス マーレイ・ハミルトン ウィリアム・ダニエルズ エリザベス・ウィルソン ブライアン・エイヴリー バック・ヘンリー リチャード・ドレイファス
【HPサイト】
映画『卒業(1967)』IMDbサイト
【予告映像】
映画『卒業(1967)』トレーラー
映画『卒業(1967)』NHK BSプレミアム放送 2021年2月22日(月)午後1時00分~2時47分
2月22日(月)午後1時00分~2時47分
アメリカ映画史においてとても重要な映画です
アメリカン・ニューシネマの先駆け的作品です
後世のアメリカ史に多大な影響
若者にも多大な影響を与えた名作です
映画『卒業(1967)』のオススメ度は?
星4つです
ここからアメリカ映画史が変わりました
革命的な映画です
ラストのダスティン・ホフマンの顔が全てです
何から「卒業」したのでしょうか
アメリカから卒業したのでしょうか?
映画『卒業(1967)』の作品情報・概要
『卒業』原題『The Graduate』1967年のアメリカ合衆国の青春恋愛映画。マイク・ニコルズ監督作品。ダスティン・ホフマン主演。アン・バンクロフト、映画『明日に向かって撃て!』のキャサリン・ロス共演。小説家・チャールズ・ウェッブの同名小説を映画化。アメリカン・ニューシネマの先駆け的映画。後に『俺たちに明日はない』『イージーライダー』が続く。劇中の楽曲はサイモン&ガーファンクルの「サウンド・オブ・サイレンス」
映画『卒業(1967)』のあらすじ・ネタバレ
東部の大学で学業もスポーツも優秀な成績で卒業したベンジャミン・ブラドック(ダスティン・ホフマン) は故郷のロサンゼルスへ空路で帰路に着いた。しかしその顔は虚だ。まるで覇気がない。今後にお進路決まっていない。両親は会社を経営しておりお金を持っている。ベンジャミン祝福を祝うパーティーで、幼少の頃から知っているエレーンの母親・ミセス・ロビンソン(アン・バンクロフト)に誘惑される。一度は断るが、欲望を捨てきれず電話して会うことに。そして一線を超えてしまう。それからはなし崩しにように毎夜、情事に身を焦がす。そんな時、エレーンが東部のバークレー大学から帰って来た。ミセス・ロビンソンから「エレーンとは付き合わないで」と忠告されるが、次第にエレーンの素朴さに惹かれていく。ミセス・ロビンソンはエレーンに全てばらすと脅す。思い余ったベンジャミンはエレーンに、正直に話す。
映画『卒業(1967)』の感想・内容
「こんな希望のないアメリカに誰がしたんだ!」という若者叫びが聞こえる
「やっちまった感が押し寄せる映画」です。
これはベンジャミン・ブラドック(ダスティン・ホフマン) がエレーン(キャサリン・ロス)を教会からさらって、バスに乗った後の顔に注目してください。
二人で最後尾の席で、追いかけてくる連中に「あばよ」的な顔で意気揚々としています。
そして、前方へ振り返り座った後、ベンジャミンの笑みが消えていきます。
「しまった、やっちまった」感が満載なのです。
同時にエレーンの顔にも不安気な表情になって終わるのです。
実は映画『卒業(1967)』のすべてのメッセージがここの込められていると思われます。言うなれば「こんな希望のないアメリカに誰がしたんだ!」という若者叫びです。
アメリカ人が最も愛する映画です!
アメリカンニューシネマの先駆け的作品
では、本映画『卒業(1967)』を考察してみましょう。製作は1967年です。アメリカンニューシネマの先駆け的作品です。
忌まわしきヘイズコードをぶっ壊すきっかけになった映画です。
映画『卒業(1967)』からアメリカ映画史も若者文化も大きく変わった画期的・革命的な映画と言えます。
当時のアメリカ社会って、ボロボロだったのです。
何がそうさせたかは無論、ベトナム戦争です。そして人種差別問題等。
若者たちはアメリカの正義を疑っていなかったのがもろくも崩れ去ります。
テレビの普及によって、ベトナム戦争の映像が毎日のように見ることが可能になりました。そこで行われていた惨状はあまりにも惨たらしいものばかりでした。
自国の兵士たちの残虐な行為が放映され多くのアメリカ国民はショックを覚えたのです。
ジョン・ウェインは「強気アメリカ」の象徴でした
映画『卒業(1967)』の考察・評価
「アメリカこそ正義、偉大な国だ」と連呼していたことが虚実を分かった
若者の憤りは半端ないものでした。それまで「アメリカこそ正義、偉大な国だ」と連呼していたことが虚実を分かったのです。
本映画『卒業(1967)』のオープニングのベンジャミンの表情を見てください。まずは機中のアップから始まります。虚な表情です。
次に空港の場面です。こちらもまったく覇気がありません。自宅へ帰ってから、父を母と話す際も、心ここに在らずという表情です。
さらに水槽やプールの場面も注目です。水です。
この水は子宮にいる時を表していると思われます。
何もやる事なくダラダラと過ごしています。水中(羊水)に沈んでいるのは外部からの逃避であり、「こんなところに居たくない」という焦燥感ならびに死生観に直結しています。
スティーブ・マックイーンも「アメリカを代表」する大スターです
「信じて来たアメリカは何だったのか」と「苦痛、悲劇、恐怖」からの忘却
映画『卒業(1967)』のベンジャミンには正義がありません。この人物設定もアメリカそのものを表しています。
ベトナム戦争には正義がなかったように。
ベンジャミンは幼馴染のエレーン(キャサリン・ロス) の母・ミセス・ロビンソン(アン・バンクロフト)の誘惑に負けて不倫します。
恋愛は自由ですから、良いとか悪いとかの賛否はあります。
でも、まさかの娘に手を出すことはやっぱり賛成できません。
当時の奔放なアメリカ人から見ても「あり得ない」と思ったはずです。でも恋は盲目と言いますから、好きになったら一直線です。
ここでベンジャミンの思考ならびに行動について考えてみますと、彼は性のはけ口としてミセス・ロビンソンを利用していただけで、愛はありませんでした。
もちろん、ミセス・ロビンソンも夫・ミスター・ロビンソン(マーレイ・ハミルトン) との性生活がなかったことから若いベンジャミンを利用していたので五分五分と言えます。
二人が貪るようにセックスに明け暮れたのは快感によって、「苦痛、悲劇、恐怖」を忘れ去りたかったからでしょう。
つまり「信じて来たアメリカは何だったのか」「頭が狂ってしまいそうだ」「もう貪り合うしかない」となるのです。すごく退廃的な感情なのです。
「アメリカのハンサム」と言ったらこの二人です
映画『卒業(1967)』の結末
「激動の60年代が終わる。70年代はどうやって生きて行けば良いのだ?」
それでベンジャミンの次の標的はエレーンに向かうわけですが、今度ばかりは性のはけ口としては見ていないところが唯一の救いです。
キスは交わしましたが、それ以上の発展はしていません。ここはちょっと慎重になっているベンジャミンの姿が見えるのです。
ベトナム戦争でめちゃくちゃになったアメリカは今後、どういう方向に進むのも慎重になって欲しい意味もあると思うのです。
そして、エンディングのバス内の二人の不安気なショットに繋げると「激動の60年代が終わる。70年代はどうやって生きて行けば良いのだ?」を突きつけていると思うのです。
「アメリカ映画」と言ったらクリント・イーストウッドは外せませn
*映画『卒業(1967)』の演出で、ここは上手いと思った箇所をあげます。ベンジャミンがエレーンに、不倫をしている相手がミセス・ロビンソンだと告げる場面です。名前は言っていません。その後ろに母親がおり、エレーンが気がつく場面です。これは良いですね。もうひとつはホテルのフロントとのやりとりです。おどおどしたベンジャミンは衝立越しに喋ります。それも隙間を通して。この衝立の意味は「何かやましいこと」「これを超えると戻れないぞ」という意味を表していると思います。これは上手いですね。
*音楽のサイモン&ガーファンクルの歌声は切ないです。しかし翻訳された歌詞は結構辛辣なんです。
ヘイズ・コードについては以下を参照にしてください。
ヘイズ・コード ウィキペディア(Wikipedia)より引用
『スター・ウォーズ』は「アメリカの誇り」です
映画『卒業(1967)』のキャストについて
ミセス・ロビンソン(アン・バンクロフト)
ベンジャミン・ブラドック(ダスティン・ホフマン)
エレーン(キャサリン・ロス)
ミスター・ロビンソン(マーレイ・ハミルトン)
ミスター・ブラドック(ウィリアム・ダニエルズ)
ミセス・ブラドック(エリザベス・ウィルソン)
カール(ブライアン・エイヴリー)
フロント係(バック・ヘンリー)
下宿屋の住人(リチャード・ドレイファス)
まとめ 映画『卒業(1967)』一言で言うと!
「既成概念をぶっ潰せ!」
今まで信じて来たものが虚実と知った時のショックって大きいと思います。虚無感が包まれて、生きがいを無くすと思うのです。アメリカが世界最高だと思っていたのが、もろくも崩れ去っていく、、、。そしてアメリカンニューシネマの誕生へと繋がるのですが、これは世界に大きな影響を与えたという意味では良かったと思います。
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映画『家族にサルーテ!イスキア島は大騒動』
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映画『ある船頭の話』
オダギリジョー監督の人生観がわかる名作

映画『フリーソロ』
いつも死と背中合わせの人生に「存在理由」がある

映画『卒業(1967)』の作品情報
映画.comより一部引用
スタッフ・キャスト
監督
マイク・ニコルズ
製作
ローレンス・ターマン
原作
チャールズ・ウェッブ
脚本
カルダー・ウィリンガム バック・ヘンリー
撮影
ロバート・サーティース
音楽
ポール・サイモン デイブ・グルーシン
ミセス・ロビンソン(アン・バンクロフト)
ベンジャミン・ブラドック(ダスティン・ホフマン)
エレーン(キャサリン・ロス)
ミスター・ロビンソン(マーレイ・ハミルトン)
ミスター・ブラドック(ウィリアム・ダニエルズ)
ミセス・ブラドック(エリザベス・ウィルソン)
カール(ブライアン・エイヴリー)
フロント係(バック・ヘンリー)
下宿屋の住人(リチャード・ドレイファス)
1967年製作/107分/G/アメリカ
原題:The Graduate
配給:KADOKAWA
日本初公開:1968年6月8日