映画『ナイトメア・アリー』のあらすじ・ネタバレ・解説・感想・評価から作品情報・概要・キャスト・予告編動画も紹介し、物語のラストまで簡単に解説しています。
映画『ナイトメア・アリー』公式サイト・IMDbサイト・ Rotten Tomatoesサイトにて作品情報・キャスト情報ならびにレビューをご確認ください。
YouTubeで予告映像もご覧ください。
『ナイトメア・アリー』
(2021年製作/150分/G/アメリカ)
原題:Nightmare Alley
配給:ディズニー
【監督】
ギレルモ・デル・トロ
【製作】ギレルモ・デル・トロ J・マイルズ・デイル ブラッドリー・クーパー【原作】ウィリアム・リンゼイ・グレシャム【脚本】ギレルモ・デル・トロ キム・モーガン【撮影】ダン・ローストセン【美術】タマラ・デベレル【衣装】ルイス・セケイラ【編集】キャメロン・マクラクリン【音楽】ネイサン・ジョンソン
【出演】
ブラッドリー・クーパー ケイト・ブランシェット トニ・コレット ウィレム・デフォー リチャード・ジェンキンス ルーニー・マーラ ロン・パールマン メアリー・スティーンバージェン デビッド・ストラザーン
(C)2021 20th Century Studios. All rights reserved.
映画『ナイトメア・アリー』外部リンク
【HPサイト】
映画『ナイトメア・アリー』公式サイト
【予告映像】
映画『ナイトメア・アリー』トレーラー
【公式Twitter】
映画『ナイトメア・アリー』
【IMDbサイト】
【 Rotten Tomatoesサイト】
映画『ナイトメア・アリー』のオススメ度は?
星4つ半です
文句なしで「面白い」です
フィルムノワールの雰囲気満載
「背徳感」に包まれます
【重たい雰囲気映画】『THE BATMAN ザ・バットマン』ネタバレ・あらすじ「ロバート・パティンソンの成長を観たい」感想「ヴィランは“ゾディアック”」結末「ゴッサム・シティの雨は重い」
映画『ナイトメア・アリー』の作品情報・概要
『ナイトメア・アリー』原題『Nightmare Alley』2021年のアメリカ合衆国のネオ・ノワールサイコスリラー映画。ギレルモ・デル・トロ脚本・監督作品。キム・モーガン脚本執筆。ウィリアム・リンゼイ・グレシャムの小説『ナイトメア・アリー 悪夢小路』が原作。主演はブラッドリー・クーパー(『アメリカン・スナイパー』や映画『運び屋』や映画『アリー/スター誕生』)。他にケイト・ブランシェット(映画『ドント・ルック・アップ』や映画『ソング・トゥ・ソング』)、トニ・コレット、ウィレム・デフォー(映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』や映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』や映画『ポップスター』)、リチャード・ジェンキンス、ルーニー・マーラ(映画『ドント・ウォーリー』)、ロン・パールマン(映画『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』や映画『塔の上のラプンツェル』)、メアリー・スティーンバージェン(映画『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3』)、デヴィッド・ストラザーンが出演している。
【重たい雰囲気映画】『ギャング・オブ・アメリカ』ネタバレ・あらすじ「なぜマフィア映画に惹かれるのか」感想「83歳ハーベイ・カイテル奮闘!」結末「落ち目作家の一発逆転なるか!」
映画『ナイトメア・アリー』の受賞歴
第94回アカデミー賞
作品賞・撮影賞・美術賞・衣装デザイン賞ノミネート
【重たい雰囲気映画】『さがす』ネタバレ・あらすじ「驚愕!片山慎三監督」感想「佐藤二朗が好きになる」結末「ずっと胸を“突き刺してくる”映画」
映画『ナイトメア・アリー』のあらすじ・ネタバレ(簡易版)
ショービジネスでの成功を夢見る野心溢れる青年スタンがたどり着いたのは、人間か獣か正体不明な生き物を出し物にする怪しげなカーニバルの一座。そこで読唇術の技を身につけたスタンは、人を惹きつける才能と天性のカリスマ性を武器にトップの興行師(ショーマン)となるが、その先には想像もつかない闇が待ち受けていた。
【重たい雰囲気映画】『スティルウォーター』ネタバレ・あらすじ「マルセイユが舞台」感想「マット・デイモンの後ろ姿が良い」結末「ブルーカラーが頑張る映画!」
映画『ナイトメア・アリー』のあらすじ・ネタバレ(詳細版)
映画『ナイトメア・アリー』のあらすじ・ネタバレ:起
1939年、スタントン・カーライルは新たな旅立ちのためバスに乗って、終点でカーニバルがやっていたので見に行きます。
怪しげなギーク(獣人)のショーでは何が見れるのか…。ニワトリが投げられると獣人が現れました。
ショーが終わり、スタントンはお金を払わずにショーを出ると、出演者であるブルーノに見つかって「立ち入り禁止だ」と注意されます。
お金のことは気付いていない様子でしたが、今度はカーニバルを率いていたクレムから声を掛けられました。
嵐が近付いているためテントを閉じる作業をしないかと言われ、スタントンは手伝います。
お金がもらえると思っていたスタントンですが、クレムはショーの代金分を差し引いていたのです。
そこで、クレムはスタントンのラジオを買い取ると言い、隣り町での寝床も用意すると交渉。
スタントンは了承して隣町に行くと、獣人が脱走したと聞いて捜索を手伝います。
映画『ナイトメア・アリー』のあらすじ・ネタバレ:承
獣人に襲われたスタントンは返り討ちにしつつ捕えたことでクレムに気に入られました。
スタントンはカーニバルの仕事を手伝う内に、読心術師のジーナとパートナーのピートと関わるようになって読心術を学びます。
さらに若い女性のモリーに好意を抱くようになり、一緒に街でショーをしようと提案。
そんなある日、獣人の男のケガが治らなかったため、スタントンはクレムに連れられて男を教会に置き去りにします。
そこでクレムから獣人の正体は普通の人間だったと聞かされ、他にも獣人を作り出しているとのこと…。
そこへ警官の立入検査がありましたが、スタントンは読心術を使って警察を丸め込み、カーニバルは難を逃れます。
映画『ナイトメア・アリー』のあらすじ・ネタバレ:転
スタントンはピートを毒殺して彼のノートを手に入れ、読心術の全てを会得しました。
一方で、カーニバルを救った功績が認められてスタントンはモリーと街へ。
それから2年が経過し、メンタリスト・ショーで人気を博したスタントンはモリーとひと財産築きます。
ある日、ショーに来ていた精神科医を名乗るリリスがインチキだと指摘。
スタントンはそれを丸め込んでショーを終え、判事から家族のことで相談を受けました。
リリスから「スタントンは本物の霊能力者である」と保障されたことで仕事を得られたのです。
スタントンはリリスに霊能力は無いと明かしつつ、彼女に協力を求めました。
判事からの仕事を得られるようにしてくれれば報酬の半分を払うと言いますが、リリスはスタントンにカウンセリングをさせてくれと提案。
スタントンは了承し、判事の仕事を終えて別の仕事も引き受けるようになるのです。
映画『ナイトメア・アリー』のあらすじ・ネタバレ:結
街の有力者は死んだ最愛の人に会いたいと望み、スタントンはモリーに協力を求めました。
彼女に死んだ人間を演じるよう言いますが、その目論見は失敗してスタントンは有力者を殴り殺してしまいます。
スタントンはモリーと共に逃げようとしますが、彼女は愛想をつかして去りました。
リリスに預けていたお金をもらいに行ったスタントンですが、彼女に騙されていたと知ります。
殺意を覚えつつも警察に追われたスタントンは貨物列車に乗って街を出て、カーニバルを発見。
弱っていたスタントンはマネージャーと話すと、獣人になるよう言われて引き受けると言い物語は幕を閉じます。
【重たい雰囲気映画】『189』ネタバレ・あらすじ「DV・虐待は絶対ダメ!」感想「吉沢悠さんの勇気に拍手!」結末「嫌なことをさせない」
映画『ナイトメア・アリー』の感想・内容
ギレルモ・デル・トロ監督によるサスペンス映画は、演出がステキだったのが印象的です。
衣服やカーニバルの様子といった美術面や、ノワール調の雰囲気、そして壮大な音楽にこだわりを感じさせました。
ストーリーは、スタントンが一躍スターから獣人への道を歩むことになると言う転落人生を描いており。
悪事を働いた人間とは言え、結末に対して考えさせられます。
スタントンが登場する冒頭の謎に包まれたシーンは、年老いた父の毛布を剥いで窓を開けたことで時間をかけて凍死させ、家に火を放った…。
そのことが後々、判明しましたが彼が既に一般的な感性から逸脱した人物だったとわかります。
そんなスタントンが徐々に罪を積み重ねていって蝕まれていくようでしたが…ピートを殺したシーンを思い返すと、やはり異常な面もあったのかなと思いました。
登場人物も色々と考えさせられました。獣人は普通の人間であり、酒などに依存しているのを利用しているという真実には驚きましたね。
まずは軽く酒を渡すだけにし、徐々に自ら獣人を演じるようにさせていく…クレムの考えは、この時代にはメジャーだったのかもしれません。
相手の感情を引き出すタイプのスタントンに対し、リリスは相手を操るために言葉をかけます。
リリスはスタントンが変わっていくのを楽しみ、真実を彼に伝えた際にも「殺したければ殺しなさい」と余裕な表情を浮かべるのです。
スタントンは彼女の首を絞めますが、警備員が来たことで逃げることに…最後まで彼女の手の上で踊らされていたのだと感じました。
モリーはスタントンを信じて共に道を歩む良い女性でしたね。
しかし、スタントンが詐欺を働くのに対し、自身の父親が詐欺師だったことを重ねて彼の行為に反対。
それでもスタントンを手伝ったことで、死人が出てしまったのを目の当たりにし、彼の元を去りました。
そもそも、スタントンが心霊に関する依頼を受けるようになり、判事の仕事を上手くこなせたように見えましたが実際は恐ろしい行動に対する背中の後押しとなっていたとわかりましたね。
判事は息子を戦争に行かせたいと思っていましたが、妻は反対…そうして息子は帰らぬ人となり、スタントンは妻を元気づけるところまでが仕事でした。
しかし、「息子さんとまた会える」という一言がキッカケで妻は判事を殺して自害したのです。
妻は殺すことで死んだ息子に会えると思ってことに及んだのですが、スタントンはこの事実を知ることはありませんでした。
そうした映画の作り方の巧妙さも流石だなと思います。
【重たい雰囲気映画】『アンテベラム』ネタバレ・あらすじ「アメリカ社会の闇」感想「終わらない人種s差別」結末「胸が締め付けれる物語」
映画『ナイトメア・アリー』の考察・評価
「人間の業を描き出す映画」と言えます。今ではもう現存しない“見世物小屋”を舞台にしています。
ヒュー・ジャックマン主演で大ヒットした『グレイテスト・ショーマン』を彷彿とさせます。
しかし、本映画『ナイトメア・アリー』のテイストはとても暗い雰囲気に包まれています。
いわゆる50年代のフィルムノワール色をまとっているからです。主演を演じるブラッドリー・クーパーがとても良いです。
一見、調子の良い軽薄男に見えます。でも、物語が展開していくに連れて、彼は何かに追われているような背徳感に包まれていくのです。
クーパーはこの心の描写を見事に表現していました。
本映画『ナイトメア・アリー』は身体障害者や生まれながらに奇形を持った人、つまり弱者を利用して自らのし上っていくというマイナスの立志伝中物語です。
コンプライアンス第一の現代では考えれません。わたしの記憶を遡ってみると、サーカスやプロレスなどで目にしたことを思い出しました。
小人の人がピエロを演じていたり、プロレスのリングで大男に打ちのめされたりしていました。
また見世物小屋という商売は世界各地にあったと文献に残っています。
適切な表現かわかりませんが、「身体障害者が金銭を得る為の仕事であり生活手段の一つでもあった」という記述もあります。
【重たい雰囲気映画】『望み』ネタバレ・あらすじ・感想・結末「息子は加害者か被害者か」崩壊する家族「世間体」も気になる映画。
映画『ナイトメア・アリー』の結末
さて、本映画『ナイトメア・アリー』はショービジネスで富を成功をつかむのですが、地獄へ突き落とされます。
どこで、スタンが道を踏み間違えたのかを考えてみると自身の人生にも活かされるのではないでしょうか。
これは『グレイテスト・ショーマン』のP・T・バーナム – ヒュー・ジャックマンが弱者の気持ちに割と寄り添ったのに対して、本映画『ナイトメア・アリー』のスタン(ブラッドリー・クーパー) と対比できるのではないでしょうか。
本映画『ナイトメア・アリー』で注目して欲しいのは3人の女性の存在です。
モリー(ルーニー・マーラ)、ジーナ(トニ・コレット) 、そして リリス・リッター博士(ケイト・ブランシェット) です。モリーは黒髪ですが、ジーナとリリスは金髪がフィルムノワール映画の雰囲気を俄然と盛り上げます。
サスペンス映画の神様ヒッチコックを思い出させます。ヒッチコック作品の女性たちはほとんど金髪です。
ただ、本映画『ナイトメア・アリー』の金髪女性はヒッチコック映画の女性たちのような犠牲者にはなっていません。
本映画『ナイトメア・アリー』を観ていると“因果応報”ってあるような気がします。
または人生って「プラスマイナスゼロ」なのだとも感じてしまいます。スタンの人生は大マイナスで終わります。
死んでからマイナスになるのでしたら、別に構わないのです。でも生きている間にマイナスに陥ったら地獄です。
本映画『ナイトメア・アリー』の訴求点はまさにここにあると思うのです。アメリカ人の友人に聞きましたら「Humble(謙虚)であることが大事」と言ったことに驚きました。
自己顕示力世界のアメリカに於いて、いまはなるべく謙虚で生きることが得策だと言っていました。
ですから、SNSでの発信も「共感を得る」ように気をつけているとのことです。
いまは評価経済社会と言われている時代です。しかしスタンの時代も同じように評価があったことがわかります。
スタンは評価を下げてしまったので、地獄に落ちたのでしょう。
本映画『ナイトメア・アリー』人間の業がもたらした悲劇であり、必然を描いた名作だと思いました。
【重たい雰囲気映画】『愛と死の記録』ネタバレ・あらすじ・感想・結末。渡哲也&吉永小百合「悲恋を通して核兵器反対」を描く名作。広島と長崎を忘れてはいけない。
映画『ナイトメア・アリー』のキャストについて
スタン(ブラッドリー・クーパー)
リリス・リッター博士(ケイト・ブランシェット)
ジーナ(トニ・コレット)
コートリー(ウィレム・デフォー)
グリンドル(リチャード・ジェンキンス)
モリー(ルーニー・マーラ)
ブルーノ(ロン・パールマン)
フェリシア(メアリー・スティーンバージェン)
ピート(デビッド・ストラザーン)
【重たい雰囲気映画】『絶唱(1975)』ネタバレ・あらすじ・感想・結末。山口百恵と三浦友和が“駆け落ち”して描く「反戦映画」の代表作。
まとめ 映画『ナイトメア・アリー』一言で言うと!
「人生の光と陰」
【重たい雰囲気映画】『MOTHER マザー』ネタバレ・あらすじ・感想・結末。長澤まさみ「新境地の“毒親”」に拍手喝采。阿部サダヲの“クソ”っぷりに激怒。
『運だぜ!アート』本日の総合アクセスランキング
合わせて観たい映画
【ホラー&サスペンス映画オススメ】
映画『事故物件 恐い間取り』
中田監督新作は事故物件芸人ホラー
映画『ラ・ヨローナ 彷徨う女』
グアテマラという国の怨念物語
映画『ミッドサマー』
新しいジャンル“フェスティバル・スリラー”誕生です
映画『透明人間』
姿も形も見えない恐ろしさってどんな感じだろうか?
映画『ルース・エドガー』
なんとも言えない「あと味」が残る映画です
映画『サイコ (1960年の映画)』
サスペンスの神様と言ったらヒッチコックです
映画『ナイチンゲール』
人種・女性差別を楽しむゲスな人間がいました
映画『ダーティーハリー』
「サイコパスって?」を世界に広めた映画
映画『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』
レイプと殺人を楽しむクソ野郎です
映画『テッド・バンディ』
テッド・バンディ無くしてサイコパスは語れません
映画『私の知らないわたしの素顔』
ビノシュの妖艶さが恐ろしさを増長させます
映画『ナイトメア・アリー』の作品情報
映画.comより一部引用
スタッフ・キャスト
監督
ギレルモ・デル・トロ
製作
ギレルモ・デル・トロ J・マイルズ・デイル ブラッドリー・クーパー
原作
ウィリアム・リンゼイ・グレシャム
脚本
ギレルモ・デル・トロ キム・モーガン
撮影
ダン・ローストセン
美術
タマラ・デベレル
衣装
ルイス・セケイラ
編集
キャメロン・マクラクリン
音楽
ネイサン・ジョンソン
スタン(ブラッドリー・クーパー)
リリス・リッター博士(ケイト・ブランシェット)
ジーナ(トニ・コレット)
コートリー(ウィレム・デフォー)
グリンドル(リチャード・ジェンキンス)
モリー(ルーニー・マーラ)
ブルーノ(ロン・パールマン)
フェリシア(メアリー・スティーンバージェン)
ピート(デビッド・ストラザーン)
2021年製作/150分/G/アメリカ
原題:Nightmare Alley
配給:ディズニー