映画『永遠に僕のもの』公式サイトとYouTubeを参照ください。
『永遠に僕のもの』(115分/アルゼンチン・スペイン/2018)
原題『El Angel』
製作:ペドロ・アルモドバル他
監督:ルイス・オルテガ
主演:ロレンソ・フェロ
映画『永遠に僕のもの』のオススメ度は?
星3つ半です。
美少年好きな人は必見です。
垂涎間違いなし!
物語は嘘、強盗、殺人をテーマしてます。
同性愛についてのメッセージもあります。
構図、画角、美術もこだわりがあります。
恋人と観に行ってください。
映画『永遠に僕のもの』の作品概要
1971年、アルゼンチンで起きた凶悪事件をモチーフに描かれています。犯人はとても若く、しかも美少年であったため大ニュースになりました。その美しさから想像もできないほどの残虐性がさらに神秘性を高め女性ファンも出たそうです。本作はペドロ・アルモドバルが製作し、主演に新鋭ロレンソ・フェロを迎えて作られました。すでにアルゼンチンでは大ヒットしています。本作のテーマにはLGBTQへの理解も込められています。
LGBTQにテーマをおいた映画
映画『永遠に僕のもの』のあらすじ・ネタバレ
金髪にパーマをかけた美少年カルリート(ロレンソ・フェロ)はまるでお茶を飲むが如く、人の家に入りモノを盗む。盗んだモノは人にあげる。あまり興味はない。学校でカルリートは同じ匂いを放つ青年ラモン(チノ・ダリン)に近ずく。喧嘩をふっかけて仲良くなる。ラモンの父親も交えて彼らは泥棒家業へと邁進していく。盗みに芸術性を求めるカルリート、映画スターを夢見るラモンの二人の行き着く先は、、、、。
映画『永遠に僕のもの』の感想・評価・内容・結末
ロレンソ・フェロの美しさに見惚れてしまった
映画を観ていて物語に付いていけないことってありませんか?
難解なストーリーなため付いていけない、日常の悩みを持ち込んでしまって付いていけない、作品が期待を裏切っていため付いていけない、登場人物の整理に追われて付いていかない、等々。
でも本作で私が付いていけなくなった理由は見とれてしまったからです。主演のカルリート(ロレンソ・フェロ)がとにかく美しいのです。本当に心底美少年なのです。
胸がキュンキュンとしてしまいました。だからスクリーンに見とれてしまったのです。美少年こそ大スクリーンで観るべきであると改めて映画に感謝しました。
美少年好きにはたまらない映画
だから肝心のストーリーに付いていくのが難しかったのです。もちろん途中から何とかストーリーは追いつきましたが、油断するとこの美少年にキュンキュン、そしてドキドキし通してで大変でした。
しかもこの美しさが持つ危うさが終盤まで続きますから、ハラハラ感も出てくます。「ああ、この美しい少年が死んじゃうのか、、、」などと予感させられ、もう泣きそうになってしまいました。
さらに、もう一人。超カッコいい少年が出てきます。ラモン役のチノ・ダリン。こちらは少年が青年になった感じでとてもセクシーなのです。
ですから本映画はこのダブルスタンダードで攻められて、私のような美少年好きにとってはもうたまらなかったのです。
あまりに美しさに感覚が麻痺しそうになった
映画の中では2人は犯罪者を演じています。とても許されるような犯罪ではありません。
主に窃盗ですが、人を殺す場面もたくさん出てきます。でもそういった凶悪犯罪に対して非難の気持ちが起こりませんでした。
殺し方も何だか美しいのです。子どもっぽいし、手馴れていないところに恐ろしさを感じないからかもしれません。普通に観れてしまう自分にちょっとハッしてしまいました。
応援してしまそうな自分もいました。いけません、どんな美少年でも犯罪は犯罪です。ですからそれだけわたしはロレンソ・フェロに魅了されてしまった結果です。
犯罪者への差別と偏見に対してメッセージもある
それでこの映画は実話を元に作られています。約50年前に起きた凶悪事件です。美しき殺人者です。サイコパスですね。
しかも犯人は同性愛者であったそうです。当時の学者のインタビューが挿入されています。
チェーザレ・ロンブローゾの理論を元にしたインタビューでとても偏見に満ちた内容でした。「犯罪は遺伝する」「同性愛者が犯罪を犯す確率がある」などと酷いレッテルを貼り付けています。
この映画のプロデューサーはスペイン映画界に巨匠ペドロ・アルモドバルです。彼は自身がゲイであることをカミングアウトしています。
ですからこういった偏見に対して「間違いだ」というメッセージを入れていることがわかりました。
泥棒に芸術性を求めたのは彼の気をひくため
さて、この美しい少年は強盗するにしても芸術性を求めていました。ギリギリのスリルとサスペンスを楽しみ、究極の泥棒とは芸術なのだと嘯いています。
彼はそういった理想のもとに実行していたようです。美しいものを盗み出す、盗んでモノにはあまり興味がなく、人にあげる、お金が目当てでもないのだ。
究極の自己満足である。つまりサイコパスの性質を持っていたのだと思います。ただ彼の場合のサイコパスは劇場型を楽しむのではなく、ラモンという相棒の気持ちを引くために行っていたと思われます。
そこが一般的なサイコパスとは少し違います。
永遠の愛とは死んでも一緒にいることなのか
ラモンはカルリートスの気持ちを知っているのに答えてくれません。彼の気をひきたいのです。
そして彼は究極の選択をします。彼の心を盗む事でした。永遠にです。それは心中することでした。
一緒に死ねば永遠に一緒に居られると考えてのでしょう。しかしカルリートスだけが生き残りました。その時の彼の表情は失意に満ちていました。
愛するものを殺してしまった後悔もあったのでしょう。でもこれでラモンは永遠に彼のモノとなりました。何とも恐ろしい愛なのか。
まるで阿部定事件ではないですか。エンディングでカルリートスが家の中で優雅にタバコを吸う場面で終わります。
周囲を何十人も警察が拳銃を構えています。この場面は『俺たちに明日はない』の最後の蜂の巣シーンを想像して泣きそうになってしまいましたが、そうならずに良かったです。やはりあの美しい顔に銃弾は似合いません。
ペドロ・アルモドバルの究極の芸術作品とも言える
この映画はペドロ・アルモドバルらしさが全編にわたって発揮されています。構図も画角も、インテリアも衣装なども美しいのです。
『バット・エデュケーション』を思い出しました。キャメラの動きも安定しています。スクリーンの中にちりばめられた配色が本当に素敵です。
かつて小津安二郎が初めてのカラー作品に挑戦した『浮雲』の紅の主張のカットを彷彿させます。音楽がまた素晴らしい。
スペイン語で展開されるロック、サンバからクラシカルまでが全てが心地よい映画です。美しい少年たちの映画は全てが芸術に彩られた115分でした。
映画『永遠に僕のもの』まとめ 一言で言うと!
美しさ&危うさは悲劇が似合う
美しい映画スターで短命だったのはジェームズ・ディーンとリバー・フェニックス。この二人がスクリーンで放った光は強烈だった。そして彼らは美しさと危うさを常に持っていたと言える。今、彼らの映画を観てもあの瞳から早逝しそうな雰囲気が読みとれる。本作のロレンソ・フェロは確かに美しいが彼らほどの危うさはないから早逝はしないだろう。しかし本当に美少年だと思う。『君の名前で僕を呼ぶ』『ビューティフル・ボーイ』のティモシー・シャラメも美しいがロレンソはそれ以上な気がする。
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長年FBIを務めたエドガーの半生
映画『永遠に僕のもの』の作品情報
映画.comより一部引用
監督
ルイス・オルテガ
製作
ウーゴ・シグマン セバスティアン・オルテガ アグスティン・アルモドバル ペドロ・アルモドバル マティアス・モステイリン エステル・ガルシア レティシア・クリスティ パブロ・クレル アクセル・クシェバツキー
製作総指揮
ハビエル・ブリア
脚本
ルイス・オルテガ ルドルフォ・パラシオス セルヒオ・オルギン
撮影
フリアン・アペステギア
美術
ジュリア・フリード
衣装
ジュリオ・スアレス
編集
ギレルモ・ガッティ
カルリートス(ロレンソ・フェロ)
ラモン(チノ・ダリン)
アナマリア(メルセデス・モラーン)
ホセ(ダニエル・ファネゴ)
エクトル(ルイス・ニェッコ)
ミゲル(ピーター・ランサーニ)
オーロラ(セシリア・ロス)