映画『野性の呼び声』のあらすじ・ネタバレ・解説・感想・評価から作品情報・概要・キャスト、予告編動画も紹介し、物語のラストまで簡単に解説しています。
映画『野性の呼び声』公式サイトにて作品情報・キャスト・上映館・お時間もご確認ください。
YouTubeで予告映像もご覧ください。
『野性の呼び声』
(99分/G/アメリカ/2020)
原題『The Call of the Wild』
【監督】
クリス・サンダース
【製作】
アーウィン・ストフ
【出演】
ハリソン・フォード
ダン・スティーブンス
オマール・シー
カレン・ギラン
映画『野性の呼び声』のオススメ度は?
星3つ半です
犬好きな人は是非とも
ハリソン・フォードは渋すぎる
人間の愚かさもわかる
野生を守らなければ
動物愛護にも目覚めます
映画『野性の呼び声』の作品情報・概要
『野性の呼び声』原題『The Call of the Wild』2020年に公開されたアメリカ合衆国の冒険映画。ジャック・ロンドン原作の「野性の呼び声」の通算6度目の映画化。製作会社は20世紀スタジオと3 Arts Entertainment。配給は20世紀スタジオとウォルト・ディズニー・ジャパン。主演ハリソン・フォード。ダン・スティーブンス、オマール・シー、カレン・ギランらが共演。
映画『野性の呼び声』のあらすじ・ネタバレ
裕福な家で飼われていたバックはある日、誘拐され売られてしまう。棍棒で傷めつけれれたことがトラウマとなる。さらに犬ぞりで郵便配達で生業と立てる夫婦に売られる。幸い優しい人たちで安心して仕事に従事したが、電報時代の到来で失業。次の飼い主は最悪な人間。知性教養もなく動物虐待を行う。しかしソーントンという老人にバックは助けてもらう。二人はアラスカの奥地へ進み、一緒に暮らすことに。ある日、バックの気配を探る狼がやってくる。バックの中で何かが目覚め始める。
映画『野性の呼び声』の感想・評価・内容・結末
作家ジャック・ロンドン著作の『The Call of the Wild』を映画化
アメリカで伝説的な作家ジャック・ロンドン著作の『The Call of the Wild』を映画化した作品です。
本著は通算6度目の映画化であるからアメリカ人にとって特別な物語であることがわかります。
人気の理由はやはりフロンティアスピリッツを持つアメリカ人の琴線をくすぐるところにあります。
西海岸で金は飽きられ、北のアラスカへと歩を進める正に開拓精神が評価されているのでしょう。
アグレッシブな精神のアメリカ人にとってはとても大切な小説なのでしょう。
そして本作のテーマは「野生に戻る」ところがまさに現代の風潮にマッチしていると思います。
犬は元々、狼でした。しかし人に手なづけられて野生を失ってしまい人間と暮らすようになりました。でもこの映画は再び犬が野生に戻っていくのです。
この着想を100年前にしたジャック・ロンドンの先見性に驚きを感じます。
こちらも犬との交流を描いた映画です。
今こそ動植物の命のことを知性的に考える時代ではないか
いまわたしたちは世界規模で地球の環境問題について考え始めています。
温暖化、ゴミ問題、生物多様性と、とても深刻な状況であると認識しています。空気も水も森もとても大切ですが、やはり動植物の必要性を今一度、見直す動きがあります。
酸素を作り出す植物もそうですが、メタンガスを排出する家畜たちのことも考えるようになっています。
ロンドンが本著を発表した時、意地悪な批評家は「動物が考えを持つものか」と皮肉ったそうです。でも100年経った現代人は当時と比べて思慮深くなっています。
動物を虐待する人は「ろくでなし」です。
人間は知性教養を持っていますから、人間以外の命のことを考える必要があると思います。
人間の愚かさを描いた映画です
ディズニーの目指す先が見たい
この映画『野性の呼び声』はディズニー配給です。「やっぱり!」と感じました。
ディズニーは絶えず世界の人々からどのように共感を得るかを知っています。
『アナと雪の女王2』では自立した強い女性像を構築し、『スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け』では人間も動物も同じように喜び合うという世界観を出しています。
また両作品に通じているのは“LGBTQ”への理解の促進も明確に打ち出していました。
ですから本映画『野性の呼び声』でも人間と犬の友情物語の中で、人間が行ってきた開拓・開発という名の地球破壊と“躾(しつけ)”と言いつつ動物を虐待する愚かしさも訴求していると思います。
ディズニーが今後何を目指しているのかみたいです。
ディズニーの企業理念がわかる映画です
ディズニーに追随するフィルムメーカーは皆無なのでは
実際この映画に登場する犬の「バック」はCGです。本物?と見入ってしまうほどの技術の高さに驚かされます。
もうディズニーのCG技術に追いつけるフィルムメーカーはいないでしょう。
昨年発表された『ライオン・キング』でも到達したかと思いましたが、本映画はさらに高い表現も加わっていますから、日本のフィルムメーカーたちは落ち込んでしまうのではないでしょうか。
本当に命を吹き込んだ映画製作です。
ディズニーは本作のように実写映画とCGの融合を完全に成し得ながら、さらにアニメーションでも3DCG映画『2分の1の魔法』も近日発表します。もう太刀打ちできません。
犬にとっての本当の相棒とは
さて、映画の内容ですがとてもわかりやすいです。先に述べたように人間に飼われていた犬が大自然に戻って本来の野生に目覚める物語です。でもそれだけではドラマになりません。
まずはお金持ちの家で何不自由なく暮らしています。お金に目が眩んだ人がバックを盗み出し売り飛ばします。そして犬ぞりとなります。
ここで犬ぞりのリーダーであるスピッツという犬と戦いリーダーになります。郵便を運ぶ仕事です。大活躍です。
しかし“電報”時代の到来でバックたちは失業し売り払われます。今度の飼い主は犬を虐待することに疑問を持たない人間です。
おまけに雪山の知識もないため無謀な冒険を押しつけます。ここでかつて偶然、街であったジョン・ソーントンに助けられます。そしてソーントンと一緒にアラスカの奥地で暮らしていくのです。
バックにとって本当の相棒に出会った瞬間こそ、野生への呼び水となりました。
人間のダメさ加減を優しく見守るのが犬です
バックはソーントンに忠実です。しかも息子を亡くして落ち込み、酒浸りのソーントンから酒を取り上げてもう一度、立ち直らせようとします。
そして時々姿を見せる狼たちと触れ合うようになります。狼たちがバックの野生を呼び覚ますのです。この展開が実に自然な形で表現されていて、飽きることがありませんでした。
まずアラスカの大自然が素晴らしいです。冬の雪景色も良いのですが、春の芽吹き、夏の花々が流れるように映し出され心が和みました。ドローンでアラスカの大自然をこれでもか!と映し出しています。
人間にとって本当に大切なものは何か
映画の中にはハル(ダン・スティーブンス) の人間の欲望と邪悪な心を持った人間が登場しますが、大自然と対比させると「なんと小さな存在か」と笑えてきます。
またソーントン自身もアラスカで金を採掘して嬉々していましたが、バックが野生に戻っていく姿を見ることで「本当に大切なことは何か」を悟っていく様に胸が熱くなりました。
「こんなもの要らない」と言ってせっかく集めた金塊を川に捨てる場面が印象に残りますが、わたし的にはバックと二人で夜空に輝く無数の星を見ている場面が一番好きです。
「人間なんてちっぽけだ」とつぶやいてしまいました。
自然の偉大さを認識できる映画です
続きは原作を読んで楽しもう
結果的にソーントンは息子の死の痛みから立ち上がります。そしてアラスカの地で死に絶えます。
バックはソーントンの死を見届けた後、狼の群れに加わりボスとなります。
映画はここで終わります。実際、ジャック・ロンドンが書いた小説はちょっと異なります。
バックは人間に恐れられる存在として君臨します。
本作では描かれていませんが、十分だと思います。
この映画では犬は人間にとって大切な友人であること、開発という名の環境破壊への賛否、野生動物にとって野生であることが本命であることが深く理解できました。
そしてもう一つ、ディズニーの戦略は末恐ろしいです。
『アラジン』は非白人の俳優を多数出演しています
映画『野性の呼び声』のキャストについて
ジョン・ソーントン(ハリソン・フォード)
息子が死んでしまったショックから立ち直れない男です。妻とも別れて酒浸りであちこち放浪しています。落ちぶれた風貌ですが、やはりハリソン・フォードはカッコいいのです。喋り方はもう老人です。でも動きはまだまだ若いと感じました。犬との友情を通して立ち直る男と自然の偉大さを伝える役です。見事でした。
やっぱりスター・ウォーズシリーズが一番でしょう
ハル(ダン・スティーブンス)
悪役です。一攫千金を狙う凶暴な男です。ダン・スティーブンスは顔がハンサムなのがもっ勿体ないです。荒くれ男を演じているつもりですが、いまひとつ迫力が伝わりませんでした。動物好きなのではないでしょうか。
ペロー(オマール・シー)
犬ぞりで生業と立てています。前半を引っ張ります。犬に愛情を注いでいます。でも時代の流れで手紙から電報へと移り変わるとバックたちを売っていまいます。演技的ないいと思います。『最強のふたり』のイメージが強いです。知的な雰囲気も醸し出していました。
マーセデス(カレン・ギラン)
ペローの妻役です。犬ぞりで生業を立ています。強い女性です。本作ではネイティブアメリカンかアジア系なイメージを出していたのでしょうか。黒髪が印象的でした。カレン・ギランと言えば『ジュマンジ/ネクスト・レベル』のイメージがありましたが、まったく異なる演技で驚きました。
雰囲気が全く異なる女優さんです
まとめ 映画『野性の呼び声』一言で言うと!
「虎の子は山へ放せ」
虎は本来、山にいるべき動物である。物事は人為を加えず、本来あるべき場所にもどしてやるのが良いということ。本作は犬をテーマに野生の素晴しさを伝えていますが、人間も同じで「本当に自分が輝ける場所にいるべき」というニュアンスになると思います。嫌なことは嫌なのだから我慢せずやらなくても良いという解釈にもつながると思います。
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映画『野性の呼び声』の作品情報
映画.comより一部引用
スタッフ・キャスト
監督
クリス・サンダース
製作
アーウィン・ストフ
製作総指揮
ライアン・スタフォード マイケル・グリーン ダイアナ・ポコーニイ
原作
ジャック・ロンドン
脚本
マイケル・グリーン
撮影
ヤヌス・カミンスキー
美術
ステファン・デシャント
衣装
ケイト・ホーリー
編集
デビッド・ハインツ ウィリアム・ホイ
音楽
ジョン・パウエル
ジョン・ソーントン(ハリソン・フォード)
ハル(ダン・スティーブンス)
ペロー(オマール・シー)
マーセデス(カレン・ギラン)
ミラー判事ブラッドリー・ウィットフォード
コリン・ウッデル
2020年製作/99分/G/アメリカ
原題:The Call of the Wild
配給:ディズニー