映画『M 村西とおる狂熱の日々 完全版』のあらすじ・ネタバレ・解説・感想・評価から作品概要・キャスト、予告編動画も紹介し、物語のラストまで簡単に解説しています。
映画『M 村西とおる狂熱の日々 完全版』公式サイトにて作品情報・キャスト・上映館・お時間もご確認ください。
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『M 村西とおる狂熱の日々 完全版』(109分/R15+/日本/2019)
【監督】
片嶋一貴
【製作】
丸山小月
【出演】
村西とおる
本橋信宏
玉袋筋太郎
西原理恵子
高須克弥
松原隆一郎
宮台真司
片岡鶴太郎
映画『M 村西とおる狂熱の日々 完全版』のオススメ度は?
星3つ半
日本のアダルトビデオを世界に輸出
ソフト産業を牽引した人です
思想・哲学があります
強い人間です
これからが楽しみな人です
映画『M 村西とおる狂熱の日々 完全版』の作品概要
日本のアダルトビデオに革命を起こした村西とおる監督を追いかけたドキュメンタリー映画。前科7犯に、借金50億円を抱えるという破天荒な男・村西とおる日本の「AV界の帝王」である。1996年夏、50億円の負債を追った村西とおるは再起を図るため、北海道で世界初となる4時間超のDVD用Vシネマと35本のヘアヌードビデオの撮影を同時にスタートさせた。その際に密着した映像記録を再編集して作り上げたのが本作。
映画『M 村西とおる狂熱の日々 完全版』のあらすじ・ネタバレ
日本のアダルトビデオ界に燦然と輝く村西とおる監督。数々の名作をヒットさせてきた。しかし衛生放送へと活路をきったところで50億円の負債を背負うことに。先見の明があったのは事実。追い込まれて村西監督は再起を図るべく、前代未聞の撮影を計画する。世界初の4時間超えのDVD用のVシネマと35本のヘアヌードビデオ。意を決して北海度入りがしたが、撮影は混迷を深める。反乱を起こす女優やセルフが覚えられない主役、さらに事故など問題が山積みされていく。その中でも村西はVシネマ完成へと全力を尽くす。果たして、、、。
映画『M 村西とおる狂熱の日々 完全版』の感想・評価・内容・結末
この映画『M 村西とおる狂熱の日々 完全版』は単なるアダルトビデオの制作現場をドキュメントした作品ではありません。村西とおるという日本が世界に誇るべき人物への愛を込めた物語です。キャッチコピーは「前科7犯、借金50億、「全裸監督」のモデルとなった伝説の男のドキュメンタリー」となっています。そして「人生、死んでしまいたいときには、下を見ろ、俺がいる」です。この言葉の意味を理解すると本当に人生が輝く気持ちになります。観終わってから勇気が出てきました。
村西とおる監督の名前を聞いてニヤリとする人、あるいは怪訝な顔をする人に分かれるかもしれません。かつてアダルトビデオの帝王として日本のソフト産業を牽引した人です。一般家庭にビデオデッキがこれほど普及する要因はやはりソフトの充実にあったのです。単なる映画だけではビデオデッキは普及しません。人間の性への関心は飽くなきものです。日本も世界も同じです。後に普及するDVDもネットも性的な描写の写真や動画コンテンツがあったからこそ、発展し今日のビジネスに繋がっているのです。
人は下ネタやアダルトビデオについて語ると眉を潜めがちです。おそらく「わたしはそんな下品な人間ではない」と良い人ぶることで共感を得ようとするのですが、現実としては誰もが性的な行為を行なっています。それをあからさまに公言することでイメージダウンに繋がるから中々口にしません。でも村西監督にとってエロスを口にすることは誇りであるのです。映画の中で語っています。「みんなが毛嫌いするようなエロスの世界ですが、みんなが生まれてきた場所は同じです。その場所を汚くはありません。美しい場所です」と。すごく説得力があります。
普段は清楚でセレブな貴婦人のような女性でもやっぱり性行為には興味があるのでしょう。人間とはそういうものです。村西監督がヘアヌード出版で逮捕されたときに尋問した警察官が雑誌を見ながらしみじみと「お前は良い仕事をしている。お前はすごい」と言ったそうですが本音だと思います。日本では誰も出来なかったこと、そしてエロスへの憧れを仕事にした男に対しての最大の賛辞だったと思います。この言葉が村西監督をアダルトビデオ業界への進出のきっかけになります。
さて、映画『M 村西とおる狂熱の日々 完全版』は村西監督の生き様を如実に写し取っています。これほどの借金がありながらも落胆せず、とにかく前へ前へと進む強い男がいます。普通であったら立ち上がることができないくらいの挫折ではないでしょうか。でも村西監督はその件について一切の愚痴を言いません。それどころかDVD完成を目指して懸命に戦っています。「負けるものか、負けるものか、今に見ていろ!」という魂の声が聞こえてきます。
しかし撮影は混迷を極めます。北海道入りしてもまだ脚本ができていません。おまけにスケジュールの段取りもめちゃくちゃです。スケジュールが組めないと予算に影響を与えます。しかも出演モデルたちがクソばかりです。セリフも覚えられない、演技もできないど素人ばかり。しかも容姿的に美しくない子ばかりです。モデルの一人が反乱を企てたりします。そして主演の女優が無断で乗馬したことで、村西監督が激怒します。乗馬が原因で内股にアザができてしまい、撮影できません。さらに主演女優が転んで足を捻挫します。もう山ありどころではありません。しかも撮影中に車が女優にぶつかります。
世界は「ああ、非情」とつぶやきたくなります。この時の村西監督は孤独感いっぱいだったのではないでしょうか。接しているスタッフもどことなく距離感を保っています。そんな状況の中でも村西監督は世界初のDVDとヘアヌード撮影へと邁進していくのです。本当に強い人間です。
この映画を観ていて頭に浮かんだのはフランソワ・ロラン・トリュフォーの『アメリカの夜』とテリー・ギリアムの『ロスト・イン・ラマンチャ』です。これは映画製作の苦悩を描いています。そしてさらにとポール・トーマス・アンダーソンの『ブギーナイツ』が思い出されました。ブギーナイツはアメリカのポルノ産業を描いた映画です。これらが渾然一体となったすごい映画です。中々、女性だけでは行けないと躊躇している人もいるかと思いますが、そんなことはありません。この映画から「この世に生まれたからには生き抜いて“魅せる”」という人間・村西とおるのエネルギーを間違いなく貰えます。必見です。
映画『M 村西とおる狂熱の日々 完全版』のキャストについて
村西とおる
日本を代表するエロゴト師で実業家。誰に何を言われようと前へ前へと進む姿に感動を覚えます。ネガティブな気持ちになっても明日を常に見続ける強い男です。ネットフリックスが惚れ込んだ理由がわかります。
まとめ 映画『M 村西とおる狂熱の日々 完全版』一言で言うと!
「ナイスです」
強い生き様を持った人間は魅力があります。村西とおる監督は女性にモテる理由がわかります。喋りも上手いです。でも言葉に嘘はありません。女性たちは村西監督に言葉の魔術にかかってうっとりしてしまうのです。「ナイスです」
【フランス映画オススメ】
映画『レ・ミゼラブル』
パリで生きるのはそんなに甘くない
映画『12か月の未来図』
フランス版「金八先生」も涙の授業を行います
映画『9人の翻訳家 囚われたベストセラー』
めちゃくちゃ頭を使う映画です
映画『私の知らないわたしの素顔』
ジュリエット・ビノシュに恋すると大変な目に遭う
映画『男と女 人生最良の日々』
初恋の人に再会って結構「恐ろしい」かも
映画『シュヴァルの理想宮 ある郵便配達員の夢』
たった一人で夢の宮殿を作り上げました
映画『サムライ』
若き日のアラン・ドロンに気絶しそうです
映画『パリに見出されたピアニスト』
「ピアノが弾きたい」でもお金がない
映画『シンク・オア・スイム イチかバチか俺たちの夢』
笑いあり涙ありの傑作映画!
映画『田園の守り人たち』
男は戦争にとられた「農地は女が守る」
映画『北の果ての小さな村で』
とってもほっこりする映画です
映画『アマンダと僕』
泣かないと決めていても「泣いちゃいます」
合わせて観たい映画
【人生について考えさせられる映画】
映画『ペイン・アンド・グローリー』
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映画『マディソン郡の橋』
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映画『男と女 人生最良の日々』
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映画『道』
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映画『サウナのあるところ』
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映画『シンク・オア・スイム イチかバチか俺たちの夢』
まだまだ人生は終わっちゃいないよ!
映画『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』
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映画『七人の侍』
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映画『ミリオンダラー・ベイビー』
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映画『シュヴァルの理想宮 ある郵便配達員の夢』
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映画『明日に向かって撃て!』
やりたいことやり抜いて死んでやるぜ!
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人生に終焉にむ訪れた悲劇をどう受け止める?
映画『さらば愛しきアウトロー』
いつまでも現役で「カッコよく」死にたい
映画『家族にサルーテ!イスキア島は大騒動』
イタリア人「人生楽しんでます」
映画『ある船頭の話』
オダギリジョー監督の人生観がわかる名作
映画『フリーソロ』
いつも死と背中合わせの人生に「存在理由」がある
映画『M 村西とおる狂熱の日々 完全版』の作品情報
映画.comより一部引用
スタッフ・キャスト
監督
片嶋一貴
プロデューサー
丸山小月
村西とおる
本橋信宏
玉袋筋太郎
西原理恵子
高須克弥
松原隆一郎
宮台真司
片岡鶴太郎
卑弥呼
桜樹ルイ
乃木真梨子
野坂なつみ
沙羅樹
松坂季実子
黒木香
2019年製作/109分/R15+/日本
配給:東映ビデオ