映画『空白』のあらすじ・ネタバレ・解説・感想・評価から作品情報・概要・キャスト・予告編動画も紹介し、物語のラストまで簡単に解説しています。
映画『空白』IMDbサイト・ Rotten Tomatoesサイトにて作品情報・キャスト情報ならびにレビューをご確認ください。
YouTubeで予告映像もご覧ください。
『空白』
(2021年製作/107分/PG12/日本)
配給:スターサンズ、KADOKAWA
【監督】
吉田恵輔
【脚本】吉田恵輔【企画】河村光庸【製作】河村光庸【エグゼクティブプロデューサー】河村光庸【プロデューサー】佐藤順子【アソシエイトプロデューサー】山本礼二【ラインプロデューサー】道上巧矢【撮影】志田貴之【照明】疋田淳【録音】田中博信
【装飾】吉村昌悟【衣装】篠塚奈美【ヘアメイク】有路涼子【編集】下田悠【音楽】世武裕子【助監督】松倉大夏【キャスティング】田端利江【制作担当】保中良介【題字】赤松陽構造
【出演】
古田新太 松坂桃李 田畑智子 藤原季節 趣里 伊東蒼 片岡礼子 寺島しのぶ
【毒親映画】『MOTHER マザー』ネタバレ・あらすじ・感想・結末。長澤まさみ「新境地の“毒親”」に拍手喝采。阿部サダヲの“クソ”っぷりに激怒。
- 【家族がテーマの映画】
- 映画『朝が来る』
- 映画『罪の声』
- 映画『めぐり逢えたら』
- 映画『空に住む』
- 映画『ミッドナイトスワン』
- 映画『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』
- 映画『オン・ザ・ロック』
- 映画『浅田家!』
- 映画『望み』
- 映画『となりのトトロ』
- 映画『WAVES ウェイブス』
- 映画『ゴッドファーザーPARTIII』
- 映画『リメンバー・ミー』
- 映画『家族にサルーテ!イスキア島は大騒動』
- 映画『ポルトガル、夏の終わり』
- 映画『フェアウェル』
- 映画『宇宙でいちばんあかるい屋根』
- 映画『借りぐらしのアリエッティ』
- 映画『この世界の片隅に』
- 映画『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語』
- 映画『ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮らしのつくり方』
- 映画『黒い司法 0%からの奇跡』
- 映画『ファイティング・ファミリー』
- 映画『人生の特等席』
映画『空白』外部リンク
【HPサイト】
映画『空白』公式サイト
【予告映像】
映画『空白』トレーラー
映画『空白』IMDbサイト
映画『空白』 Rotten Tomatoesサイト
映画『空白』のオススメ度は?
星4つです
古田新太さんの演技「必見」です
寺島しのぶさんの「怪女」
松坂桃李くんはやっぱり「ハンサム」
【毒親映画】『うみべの女の子』ネタバレ・あらすじ「石川瑠華さんを観る映画」感想「セックスしてもしても何かが足りない気がするのはなぜ」」結末「中二病ってある」
映画『空白』の作品情報・概要
『空白』2021年9月23日公開の日本映画。吉田恵輔監督作品。主演は古田新太(映画『一度死んでみた』や映画『DESTINY 鎌倉ものがたり』)。松坂桃李(映画『孤狼の血 LEVEL2』や映画『いのちの停車場』や映画『蜜蜂と遠雷』)、田畑智子、藤原季節、趣里(『生きてるだけで、愛。』)、伊東蒼、片岡礼子(映画『楽園』や映画『閉鎖病棟 それぞれの朝』)、寺島しのぶ(映画『劇場版 アーヤと魔女』や映画『さくら』)らが共演。万引き未遂事件を起こして逃走した女子中学生の交通事故死をきっかけに、彼女の身の潔白を証明しようと、スーパーマーケットの店長をはじめとした関係者を相手取った父親の暴走を描く。またテレビ、新聞などのマスコミの過激な報道姿勢についても言及している。
【毒親映画】『羊たちの沈黙』ネタバレ・あらすじ「ジョディ・フォスターを応援したくなる」感想「声が出ない恐怖」結末「サイコパスの心理はサイコパスに聞け!」
映画『空白』のあらすじ・ネタバレ
添田充(古田新太)は漁師として、生業を得ている。中学生の愛娘・添田花音(伊東蒼) とふたり暮らしだ。添田の性格は粗暴で乱暴者、すぐに人を怒鳴りつける。弟子の野木龍馬(藤原季節) は不平不満を言いながらも添田に付いていく。娘・花音はとてもおとなしい。学校でもまったく目立たない。担任教師・今井若菜(趣里)は花音に苛立ちを感じている。花音は父親に隠れて、母親 ・松本翔子(田畑智子) と会っている。携帯電話ももらった。家に帰れば、機嫌の悪い父親に怒鳴れれてばかりで、逃げ場がない。ある日、スーパー青柳へ行き、マニキュアを手に取った。その瞬間、店長の青柳直人(松坂桃李) に捕まる。そして店から逃亡、猛ダッシュを試みるも青柳の手が背中に伸びた瞬間、体を道路へ反転させる。そして、車に激突。さらに反対車線を走ってきたダンプカーに巻き込まれて圧死してしまう。添田は無残な死を遂げた花音の潔白を信じて、青柳、学校、マスコミと対峙していく、、、。
【毒親映画】『孤狼の血 LEVEL2』ネタバレ・あらすじ「サイコパスヤクザ鈴木亮平が談合刑事松坂桃李と愛を交わす」感想「国家権力の闇を暴く」結末「続編決定!」
映画『空白』の感想・内容
「とんでもない大傑作映画」と言えます。まずは主演の古田新太さんの演技が「素晴らしかった」ことをお伝えします。オープニングから結末まで一貫しています。「野獣、猛獣、怪獣」のような演技を魅せてくれます。被害者とされる父親であるなら、同情するのが常ですが、古田さんを観ていると「胸糞悪い」さらに「憎しみ」さえ覚える大迫力の演技でした。しかし最後の最後に人間らしい一面を見せてくれるのです。このエンディングを観て、フェリーニの『道』を思い出しました。粗野で乱暴者で、下品で、無教養な男・ザンパノです。彼は最後の最後、海に向かって「ジェルソミーナ」と叫んで嗚咽する場面に通じます。ザンパノはあの時、あの瞬間に野獣から人間の心へ転換したのです。
本映画『空白』の添田充(古田新太) も同様に最後の最後で人間らしさを見せてくれました。これがなければ本映画『空白』は絶望的な作品になったと思うのです。添田が流した涙の美しさが忘れられません。古田新太さんは本当に良い役者さんです。元々、演劇をやっていただけあって、所作の基礎がしっかりと出来ているのでしょう。自分の一挙手一投足、あるいは視線とさらにセリフまでもが、どちらへ向かうのかという「役においての導線」を知り尽くしているように感じられました。舞台を多く経験されてきた役者さんならではだと思います。
近年はテレビなどの脇役に準じていますが、ところがどっこい主役を貼っても全然オーケーなんです。これほどまでに観客をスクリーンに引っ込む演技を行うのであれば、主役1本で勝負してほしいです。くだらないテレビドラマの脇役などを受けないでほしいと思いました。
本映画『空白』は加害者、被害者の双方で揺れ動く“意識”と照らし合わせてみることをおすすめします。まず万引きをしたとされる中学生は、本当に犯行を行ったのかどうかが不明のまま進行します。これは大きな伏線となって明らかにされます。わたしたちはあの素朴で純粋は少女・添田花音(伊東蒼) をかばいたくなるのです。「こんな女の子が万引きするはずない」と。そして万引きを見つけたスーパーの店長・青柳直人(松坂桃李) に対して憎しみを抱いてしまうのも事実です。
でも青柳店長の謙虚な態度に同情してしまう心情も働きます。実際、添田花音が万引きしたかどうかと言う明確な証拠は示し出されません。しかしながら、その証拠を知ってしまったのは、「花音はそんな子ではない」と言い張っていた父親の添田充(古田新太)なのです。その時のショックは大きかったと思います。今さら認めたくないでしょう。なぜなら、自身の正義を押し付け、暴走を繰り返して青柳のスーパーを閉店に追い込み、さらには自殺者を生み出してしまったからです。添田は謝罪しません。自分が悪かったとわかっても「謝罪できない社会」の存在があるからです。本映画『空白』は「生きにくい現代社会」をうまく描いています。
【毒親映画】『劇場版 アーヤと魔女』ネタバレ・あらすじ「したたかな少女アーヤに好感」感想「声優は平澤宏々路」結末。
映画『空白』の考察・評価
本映画『空白』はテレビ、新聞のマスコミメディアに対する批判も込めて作られていると思われます。先に公開された『由宇子の天秤』同様、テレビと言うメディアがどれだけ「情報を操作しているか」ということも如実に表しています。彼らメディアにとって事件・事故とは単なる“エサ”なのです。映像や活字を通してエサを視聴者や読者の前に並べることで、彼らがヨダレを垂らすことを知っています。どうやって満足させるのかは簡単なのです。次々と噓の情報をでっち上げて、大きな“エサ”に変えていくだけです。メディアには正義と言うものはありません。
でも私たちがテレビや新聞、そして雑誌を見たり読んだりするのは、「人の不幸は蜜の味」がするからです。自分に不幸が襲いかかるのは好みません。でも人の不幸を見聞きすることで「わたしでなくて良かった」と安堵する本当の自分がいます。言うなればわたしたちもメディアと同じく、「心は麻痺」してしまっているのです。どこに真実があるのか、どこに偽りがあるのかは、極論として当事者でしかわからないことです。つまりわたしたちは当事者たちをエサ、つまり酒の肴にして、被害者と加害者を面白がって対岸の火事のごとく見ているのです。彼らから見れば耐え難い屈辱と映るのです。
本映画『空白』には、クセのある登場人物が何人か出ています。その筆頭は草加部麻子(寺島しのぶ)と言えます。「正義マン」です。ボランティアに情熱を燃やし、正義の押し付けを行う人です。“偽善者”です。お節介にも度が過ぎます。我々の住んでいる町にも、少なからずあのような人はいます。朝のゴミ出しの時にやたらとゴミの点検をする人、子どもの通学路に立って張り切っている人、さらには政治や宗教か何かのビラを一生懸命配っている人です。
彼らにとってはそれは正義かもしれませんが、あまりにも押し付けが強すぎると、迷惑きわまりないのです。このキャラを寺島さんは見事に演じていました。しかも「バッチリ」決まっていました。
そして添田の弟子である野木龍馬(藤原季節) も、良い味を出していました。徒弟制度が厳しい漁師の世界ではパワハラが当たり前かもしれませんが、師匠に付いていきます。これは吉田監督があえてアンチテーゼとして用意したキャラクターなのではないでしょうか。今では絶対NGの労働環境です。しかしながら日本においては徒弟制度を大事にする、いわゆる親分子分の関係が今でも美徳とされていますから、あえて逆説的に描いているのでしょう。ただ野木の言った言葉で「俺だって、あんたが親だったらキツイよ」はとても印象的でした。
そして添田の元妻の松本翔子(田畑智子) が演じる母親は、本映画『空白』の中ではとても常識的な女性として描かれています。添田にどれだけ怒鳴られようが、なじられようが、馬鹿にされようが、「真っ正面から言葉をぶつけて」行くのです。負けていません。普通だったら、これほどの猛獣的な男には誰もが口を閉ざしたり、相手にしなかったり、逃げたりするのです。わたしも嫌です。全員が添田を避けるようであったら彼の人生は終わりです。ここに元妻の翔子の役割があったと思います。優しいのです。見捨てないのです。救いの手を差し出すのです。翔子の眼差しがとても美しかったです。天使のようでした。
松坂桃李くんはやはりこういった役柄が似合っていると思いました。先の映画『孤狼の血 LEVEL2』は無理感が否めません。松坂くんは上品すぎるからです。育ちもいいのでしょう。『新聞記者』や『あの頃。』ようなキャラクターが合ってるように思います。
【毒親映画】『クルエラ』ネタバレ・あらすじ「ヴィランという人生もオッケー!」感想「困難を乗り越えて生きる女性」結末「エマ・ストーンの目は“大きすぎる”」
映画『空白』の結末
さて、本映画『空白』をまとめますと、「毒親の根絶を!」になります。一見、「何言っているの?」と思われる方もいますが、父親・添田充(古田新太) は間違いなく“毒親”なのです。娘・添田花音(伊東蒼)の話を聞きません。自分が法律のごとく、いばり散らしています。これでは子どもは萎縮してしまいます。完全に支配されているのです。「毒親が怖いから相談できなかった」です。もし、気心しれた親なら、進路の相談もできていました。そして、「マニキュアを買いたい」旨を伝えていたのです。結論的に「毒親が招いた悲劇映画」となります。
【毒親映画】『レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで』ネタバレ・あらすじ「映画史に残る夫婦喧嘩」感想「『タイタニック』後の二人」結末「ディカプリオとウィンスレットは名優になった」
映画『空白』のキャストについて
添田充(古田新太)
青柳直人(松坂桃李)
松本翔子(田畑智子)
野木龍馬(藤原季節)
今井若菜(趣里)
添田花音(伊東蒼)
中山緑(片岡礼子)
草加部麻子(寺島しのぶ)
【毒親映画】『ミッドナイトスワン』ネタバレ・あらすじ「草なぎくんこそ“母親”だ」感想「LGBTQ」の知識が深まる「未来に伝えたい」映画!結末「アカデミー賞2冠達成!」
まとめ 映画『空白』一言で言うと!
「毒親は百害あって一利なし!」
日本も海外も大きな社会問題として“毒親”をもっと取り上げて欲しいです。本当に子どもの精神を破壊していきます。毒親に育てられた過去って、成長した未来でも、大きなデメリットになります。トラウマとして出現するのです。それはうつ病を引き起こす可能性が高いと言われています。根絶を!
『運だぜ!アート』本日の総合アクセスランキング
合わせて観たい映画
【家族がテーマの映画】
映画『朝が来る』
河瀬直美は徹底的に「家族」のあり方にこだわっています
映画『罪の声』
あの声を録音した母には恨みはない
映画『めぐり逢えたら』
パパに「新しい奥さんを!」と願う息子が健気です
映画『空に住む』
ネコだけが家族?
映画『ミッドナイトスワン』
「わたしがあなたの母親になってみせる」
映画『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』
「生まれ育った家を取り戻したい」だけ、、、
映画『オン・ザ・ロック』
「娘が離婚の危機だって?」張り切る父親をビル・マーレイが好演
映画『浅田家!』
写真を通して「家族愛」を深める映画
映画『望み』
少年犯罪に巻き込まれた息子の安否を巡って、、、
映画『となりのトトロ』
やっぱり家族みんなで暮らしたい
映画『WAVES ウェイブス』
高校生の息子が殺人犯になってしまった、、、
映画『ゴッドファーザーPARTIII』
イタリア人の家族愛は深すぎる
映画『リメンバー・ミー』
死んでしまった父を呼び戻すのだ!
映画『家族にサルーテ!イスキア島は大騒動』
てんやわんやの家族物語
映画『ポルトガル、夏の終わり』
終活のためにみんなを集めたが、、、
映画『フェアウェル』
生まれは中国で育ちはアメリカ「わたしはわたし」
映画『宇宙でいちばんあかるい屋根』
ほんわか家族に癒される映画です
映画『借りぐらしのアリエッティ』
小人家族の小さな幸せ物語
映画『この世界の片隅に』
優しい家族と乗り越える
映画『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語』
アメリカ人好きな家族映画の決定版
映画『ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮らしのつくり方』
家族で農場経営って本当に理想的です
映画『黒い司法 0%からの奇跡』
絶対に「無実」だと信じる強い家族
映画『ファイティング・ファミリー』
家族の夢を実現するために「わたしは戦う!」
映画『人生の特等席』
頑固オヤジが愛娘と仲直り、、、
映画『空白』の作品情報
映画.comより一部引用
スタッフ・キャスト
監督
吉田恵輔
脚本
吉田恵輔
企画
河村光庸
製作
河村光庸
エグゼクティブプロデューサー
河村光庸
プロデューサー
佐藤順子
アソシエイトプロデューサー
山本礼二
ラインプロデューサー
道上巧矢
撮影
志田貴之
照明
疋田淳
録音
田中博信
装飾
吉村昌悟
衣装
篠塚奈美
ヘアメイク
有路涼子
編集
下田悠
音楽
世武裕子
助監督
松倉大夏
キャスティング
田端利江
制作担当
保中良介
題字
赤松陽構造
添田充(古田新太)
青柳直人(松坂桃李)
松本翔子(田畑智子)
野木龍馬(藤原季節)
今井若菜(趣里)
添田花音(伊東蒼)
中山緑(片岡礼子)
草加部麻子(寺島しのぶ)
2021年製作/107分/PG12/日本
配給:スターサンズ、KADOKAWA