映画『水を抱く女』のあらすじ・ネタバレ・解説・感想・評価から作品情報・概要・キャスト・予告編動画も紹介し、物語のラストまで簡単に解説しています。
映画『水を抱く女』公式サイトにて作品情報・キャスト・上映館・お時間もご確認ください。
YouTubeで予告映像もご覧ください。
『水を抱く女』
(2020年製作/90分/G/ドイツ・フランス合作)
原題『Undine』
【監督】
クリスティアン・ペッツォルト
【製作】フロリアン・コールナー・フォン・グストルフ ミヒャエル・ベバー【脚本】クリスティアン・ペッツォルト【撮影】ハンス・フロム【衣装】カタリーナ・オスト【編集】ベッティナ・ベーラー
【出演】
パウラ・ベーア
フランツ・ロゴフスキ マリアム・ザリー ヤコブ・マッチェンツ アネ・ラテ=ポレ
【HPサイト】
映画『水を抱く女』公式サイト
【予告映像】
映画『水を抱く女』トレーラー
映画『水を抱く女』のオススメ度は?
星3つです
精霊の物語です
パウラ・ベーア「ベルリン国際映画祭で女優賞を受賞」
映画『水を抱く女』の作品情報・概要
『水を抱く女』原題『Undine』ドイツ・フランス合作による2020年製作映画。寓話をモチーフに製作。lクリスティアン・ペッツォルト監督作品。パウラ・ベーア主演(2020年・第70回ベルリン国際映画祭で女優賞を受賞)、フランツ・ロゴフスキ、マリアム・ザリー、ヤコブ・マッチェンツ、アネ・ラテ=ポレらが出演。水の精霊ウンディーネを現代ベルリンに降臨させて紡いだラブストーリー。
映画『水を抱く女』のあらすじ・ネタバレ
現代ドイツ・ベルリンが舞台。歴史家のウンディーネ(パウラ・ベーア)は、ベルリンの中心部・アレクサンダー広場に隣接した小さなアパートに住んでいる。仕事は都市開発の研究者で、博物館で観光客にベルリンの町についての解説・プレゼンテーションも行なっています。彼女に恋人がいますが、まさかの別れ話を切り出されて困惑しています。そして失恋。自暴自棄になりそうなところ、潜水作業員のクリストフ(フランツ・ロゴフスキ)と出会います。二人は瞬時に恋に落ち、激しく愛し合います。うまくいくかに見えた二人ですが、クリストフはウンディーネに違和感を持ち始めます。きっかけは二人が町を歩いている時にすれ違ったカップルの男へ視線を向けたウンディーネの様子から。
映画『水を抱く女』の感想・内容
「日本人には難しい映画」と言えます。
世界各地には多くの神話や寓話があります。幼い頃から親しんだ物語であるのなら、すっと心に入ってきます。
しかし他国の昔の物語になると勉強しないとなかなか受け入れることが難しいです。
本映画『水を抱く女』を鑑賞するのでしたら、事前に勉強しておくことをおすすめします。
トトロは間違いなく日本を代表する「精霊」です
まず映画『水を抱く女』の主人公であるウンディーネ について明記します。
「水を司る精霊」となります。四大精霊のひとつとのことです。
四大精霊とは、地・水・風・火の四大元素の中に住まう目に見えない自然の生き物のことを指します。
あるいは四大元素のそれぞれを司る四種の霊でとのこと。四大の精霊とも言います。
エーテルのみで構成された身体を有する擬人的な自然霊であること。霊でも人間でもなく、そのどちらにも似た生きた存在であるとされてます。
「精霊」たちがここぞとばかりに登場します
何だかわかったようなわからないような印象を受けますが、つまりは「つかみどころがない存在」とか「幻想的な雰囲気」を持っている感じで良いのではないでしょうか。
またそれは実在していない想像上の産物であると言って良いでしょう。
こういった神話、寓話、さらにファンタジー物語は世界中、どこへ行っても文章化されています。
人間とはやはり、神秘的なことへの鐘形が強いこと、そして、高度な文明になればなるほど、現実からかけ離れた事象へ思考を向けるものだと痛感させられます。
わたし的に分析すると寓話などが作り上げられるのは「平和的」時代であることが多いように感じられます。
つまり“暇”だから空想できるのでしょう。もし、紛争や戦争中であったのなら「空想することさえままならない」でしょう。
「精霊」と「幽霊」の違いってなんだろう?
映画『水を抱く女』の考察・評価
さて、本映画『水を抱く女』のウンディーネ(パウラ・ベーア) は精霊です。現代のドイツ・ベルリンを舞台に描かれています。
「どうやって寓話化するのだろう?」と思いましたが、クリスティアン・ペッツォルト監督はわかりやすく設定してくれました。さすが巨匠です。
まずベルリンという町はスラブ語では「沼」を意味します。つまり大昔は水の精霊ウンディーネの源に通じます。
そしてウンディーネをベルリンの都市開発を研究する歴史家にしています。町は生き物です。でも、町が作られる以前は自然でした。
沼です。
ウンディーネという精霊は自然・沼に通じる存在です。ですから彼女を都市開発の研究者にするのは、実は比喩的なメッセージが内包されていることがわかります。
本来ならば自然の形を保持したいのですが、人間の進化、進歩、発展という欲望には抗えません。
地球温暖化を防ごうと思っても、車に乗る必要性があります。特にガソリン車は二酸化炭素を排出します。
であるなら、電気自動車を利用すれば良いと考えがちですが、そのための充電が必要になります。
電気は水力・火力、あるいは原子力が作り出しています。太陽光発電では追いつかないのが現状です。「こっちをとれば、あっちが必要」のいたちごっこです。
クリント・イーストウッド監督作品は謎解き満載「亡霊」「精霊」「幻覚」
ウンディーネという精霊を現代の地球環境を嘆く存在として設定したところが秀逸だと感じました。
実際、彼女のプレゼンテーションは過去への懐古に溢れているような話ぶりでした。ウンディーネは冒頭で失恋します。
愛してきた男(ヤコブ・マッチェンツ)に別の女が出来たからです。でもウンディーネは認めません。
男に「殺す」と脅しをかけます。ここも注目です。 精霊の禁忌があります。
1.ウンディーネは水のそばで夫に罵倒されると、水に帰ってしまう。
2.夫が不倫した場合、ウンディーネは夫を殺さねばならない。
3.水に帰ったウンディーネは魂を失う。
です。
彼女の頭の中にいるのは「A」であり「精霊」ではありません
とても激しい性格を表しています。実際、ウンディーネ演じるパウラ・ベーアの鬼気迫る姿に圧倒されます。
でもですね、失恋したショックで落ち込むかと思えば、すぐさまウンディーネの前に新しい男が現れるのです。
ここが日本人のわたしとしては今ひとつの印象を持ってしまうのです。
失恋して数日であれば理解できますが、失恋して30分後くらいで新しい出会いがあり、その後、激しく愛し合う関係へと発展します。
まあ、確かに恋愛に速度は関係ありませんから、納得するしかありません。女性というのは過去の恋愛に引きずられない生き物です。
中盤にかつての男がよりを戻そうとアプローチをかけます。男の女々しさを表すと同時に、ウンディーネの揺れる心中もうまく描写していました。
冒頭の気性の激しさと相まって、この場面の表情は精霊というより、とても「人間的」なイメージを抱きました。
本映画『水を抱く女』を観ていると、やはりところどころに“水”による仕掛けが用意されていることに驚かされます。
水槽の水、湖の水、そして涙です。水とはとても心地よい存在ですし、生き物が生きていくには必要なものです。
でも、水は貯めることはできても「掴むことはできない」のです。
ここにも比喩的な表現が込められていると思うのです。
水の精霊のウンディーネは恋人に寄り添って、束縛されることを願っていますが、本人の希望通りにはならないのです。
結局はどの男も「掴む」ことが出来ないのです。そしてウンディーネは消えます。
おもちゃもある意味「精霊」が宿っているのでは!
映画『水を抱く女』の結末
わたしなりの見解になりますが、ウンディーネが消える理由は水を誰かに独占させては、良いことが起きないからでしょう。
本映画『水を抱く女』を観ながら、想起したのはディズニー映画『アナと雪の女王2』です。ダムを倒壊させて、水を解放しました。
こちらも実は四大精霊にインスパイアーされて製作しているとのことなので納得しました。
本映画『水を抱く女』は少々難解な映画ですが、繰り返し観ることで、深く心に沁み込んでくる物語だと感じました。
そうです、正に水のように沁み込んできます。
スターウォーズのキャラクターも「精霊」をイメージさせます
映画『水を抱く女』のキャストについて
ウンディーネ(パウラ・ベーア)
クリストフ(フランツ・ロゴフスキ)
マリアム・ザリー
ヤコブ・マッチェンツ
アネ・ラテ=ポレ
まとめ 映画『水を抱く女』一言で言うと!
「世界の寓話・神話を集めたい」
わたしは世界中にある神話・寓話・伝説の物語を全部読んでから死にたいと思っています。映画も良いですが、やはり本を読んでいる時って、本当に「自分だけの世界」に没頭できるからです。映画は不特定多数の人を楽しむ芸術ですが、本はひとりで読む「芸術」です。地球上にあるあらゆる物語を享受したいです。
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映画『水を抱く女』の作品情報
映画.comより一部引用
スタッフ・キャスト
監督
クリスティアン・ペッツォルト
製作
フロリアン・コールナー・フォン・グストルフ ミヒャエル・ベバー
脚本
クリスティアン・ペッツォルト
撮影
ハンス・フロム
衣装
カタリーナ・オスト
編集
ベッティナ・ベーラー
ウンディーネ(パウラ・ベーア)
クリストフ(フランツ・ロゴフスキ)
マリアム・ザリー
ヤコブ・マッチェンツ
アネ・ラテ=ポレ
2020年製作/90分/G/ドイツ・フランス合作
原題:Undine
配給:彩プロ