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『トールキン 旅のはじまり』(111分/アメリカ/2019)
原題『Tolkien』
監督:ドメ・カルコスキ
出演:ニコラス・ホルト
リリー・コリンズ
コルム・ミーニー
映画『トールキン 旅のはじまり』のオススメ度は?
星3つです。
あの名作を生み出したトールキンの人生があります。
友情の大切さについて再認識させられます。
友だち、恋人と観に行ってください。
映画『トールキン 旅のはじまり』の作品概要
『ホビットの冒険』『指輪物語』といった冒険小説の礎を築いたトールキンの生い立ちから学校時代、そして戦争、恋愛を背景に文豪トールキンの誕生までを描いています。友情の大切さを描いています。
映画『トールキン 旅のはじまり』のあらすじ・ネタバレ
第一次世界大戦で指揮をとるトールキン。位は大尉。戦況は厳しく共に学び舎を過ごした友人のことが心配でなりません。物語はトールキンが戦火の中、過去への思いを馳せながら展開していきます。幼少の母との思い出、寄宿学校、恋愛など。またイギリスの階級社会における悔しさも交えて物語は進んでいきます。
映画『トールキン 旅のはじまり』の感想・評価・内容・結末
幼児体験が与える影響は大きい
『ホビットの冒険』『指輪物語』という永遠の名作であり、ファンタジー冒険小説の基礎を作ったトールキン。彼がなぜ、どのような経験の元、これらの名作を作り出したのかが、何となくわかりました。
まず生い立ちです。アフリカで暮らしイギリスへ戻ります。でも父とは死別します。両地に共通するのは自然豊かな場所であったこと。
動物も植物もそして美しい景色に囲まれていたことも後の作品制作に多大な影響を与えたことでしょう。トールキンは友だちと野山を駆け巡り何不自由なく暮らします。
そして母親がとても教育熱心であったことが大きいです。トールキンと弟が幼い頃から本の読み聞かせを行い、教養を高めることに努力していました。トールキンは言語に強い興味を持ちます。
永遠に心分かち合う親友が三人できたのが一番大きい
しかし母親とバーミンガムへ引っ越しますが、母が急死し大きな悲しみに包まれます。この悲しみを小さい頃に経験することも影響を与えたと思います。父と母の死は心に大きな穴を作ったことでしょう。
神父さんとの出会いも大きかったです。そしてキング・エドワード校でロブ・キルター・ギルソン、ジェフリー・バッチ・スミス、クリストファ・ワイズマンの三人と出会います。
「芸術で世界を変えるんだ」と四人で誓いました。この出会いが一番大きな影響を与えたと映画では描いています。
彼らは上流階級の子息で、知識教養も高く、皆が芸術を愛していました。音楽、文学に造詣が深くトールキンも刺激を受けて学校に通います。
ここでの友情が『指輪物語』に垣間見ることができます。友情の大切さを切々と痛感させる手法は彼の最大のテクニックです。
第一次世界大戦での親友の死が与えた影響
さて、物語は第一次世界大戦へ四人を放り込みます。オックスフォード、ケンブリッジの名門大学に進学した彼らは高いくらいで入隊します。
そして戦場で指揮する立場です。でも戦火は酷くなるばかりで、ロブとジェフリーを失います。共に青春を過ごした親友の死がさらにトールキンに戦争への憎悪を駆り立てます。
トールキンは生涯、戦争の恐ろしさを訴えていたそうです(しかし、第二次世界大戦が起こります。映画では描かれていません、それが不思議です)
四人の子どもに「パパは物語を書く」と誓う
またトールキンが愛した女性エディスの存在も彼の創作活動に必要な人でした。二人とも燃えるような恋をしました。一途の恋愛でした。
エディスは良き妻良き母としてトールキンを支えたそうです。一時、トールキンが戦争へ行き離れ離れになりますが、二人の恋の炎は消えません。
帰還後、結婚し四人の子どもを作ります。トールキンは大学教授になります。そして次々を名作を書き上げます。
とても共感したのは四人の子どもを集めて「これからパパは物語を書く」と告げるところです。かつて母親がそうしたようにトールキンは子どもが読んで面白い作品を書くと決めたのでしょう。
そして名作は世界的な大ベストセラーになります。トールキンは子ども向きに書いたのですが、皮肉にも子どもから青年、そして大人にまで読まれる結果となります。
物語をかきながらのカットバックの手法でも良かったのではないか
この映画はトールキンがいかにしてあの名作を書くきっかけ、あるいはどんな体験を得て辿り着いたかを知る基礎となる作品だと言えます。
ただ実際に書き上げていく場面はありません。そこが惜しい、と感じました。出来るのであれば、トールキンが『ホビットの冒険』や『指輪物語』を書きながら、過去のことを思い出すような演出でも良かったのではないかと思いました。
ホビットとガンダルフが話す場面からカットバックで、父とアフリカで過ごしたあの場面とか、、、。ホビットが仲間と話す場面を書く際には四人で過ごした学校の場面とか、、、。
冒険物語の走りはやっぱりイギリスの作家が多いです。それはかつて世界の7つの海を制覇していた植民地時代という歴史を持っているからでしょう。
映画『トールキン 旅のはじまり』まとめ 一言で言うと!
友情とは最高の情熱であり、捨てるにしても最後に捨てるべき情熱である。
確かボナールの言葉だったと思います。とても美しい言葉です。この映画ではトールキンたち四人の友情について強く描かれています。それは『ホビットの冒険』『指輪物語』の執筆にも十二分に活かされています。イギリスの騎士道精神の賜物だと思います。ちなみに日本の武士道も同じように友情を大事にする精神があります。
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映画『トールキン 旅のはじまり』
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映画『トールキン 旅のはじまり』の作品情報
映画.comより一部引用
スタッフ・キャスト
監督
ドメ・カルコスキ
製作
ピーター・チャーニン ジェンノ・トッピング デビッド・レディ クリス・サイキエル
脚本
デビッド・グリーソン スティーブン・ベレスフォード
撮影
ラッセ・フランク
美術
グラント・モンゴメリー
衣装
コリーン・ケルサル
編集
ハリー・ユレネン
音楽
トーマス・ニューマン
音楽監修
サラ・ブリッジ
キャスト
J・R・R・トールキン(ニコラス・ホルト)
エディス・ブラット(リリー・コリンズ)
フランシス神父(コルム・ミーニー)
ジェフリー・スミス(アンソニー・ボイル)
ロバート・ギルソン(パトリック・ギブソン)
クリストファー・ワイズマン(トム・グリン=カーニー)
ライト教授(デレク・ジャコビ)
J・R・R・トールキン(少年時代)ハリー・ギルビー
ジェフリー・スミス(少年時代)アダム・ブレグマン
ロバート・ギルソン(少年時代)アルビー・マーバー
クリストファー・ワイズマン(少年時代)タイ・テナント
2019年製作/111分/PG12/アメリカ
原題:Tolkien
配給:20世紀フォックス映画