映画『ベルファスト』のあらすじ・ネタバレ・解説・感想・評価から作品情報・概要・キャスト・予告編動画も紹介し、物語のラストまで簡単に解説しています。
映画『ベルファスト』公式サイト・IMDbサイト・ Rotten Tomatoesサイトにて作品情報・キャスト情報ならびにレビューをご確認ください。
YouTubeで予告映像もご覧ください。
『ベルファスト』
(2021年製作/98分/G/イギリス)
原題:Belfast
配給:パルコ
【監督】
ケネス・ブラナー
【製作】ローラ・バーウィック ケネス・ブラナー ベッカ・コバチック テイマー・トーマス【脚本】ケネス・ブラナー【撮影】ハリス・ザンバーラウコス【美術】ジム・クレイ【衣装】シャーロット・ウォルター【編集】ウナ・ニ・ドンガイル【音楽】バン・モリソン
【出演】
カトリーナ・バルフ ジュディ・デンチ ジェイミー・ドーナン キアラン・ハインズ コリン・モーガン ジュード・ヒル
(C)2021 Focus Features, LLC.
映画『ベルファスト』外部リンク
【HPサイト】
映画『ベルファスト』公式サイト
【予告映像】
映画『ベルファスト』トレーラー
【公式Twitter】
映画『ベルファスト』
【IMDbサイト】
【 Rotten Tomatoesサイト】
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映画『ベルファスト』のオススメ度は?
星4つ半です
「芸術的」です
「宗教」と「平和」について考えてしまう
白黒映像が「伝えること」
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映画『ベルファスト』の作品情報・概要
『ベルファスト』原題『Belfast』2021年製作のアイルランド・イギリス合作のドラマ映画。ケネス・ブラナー監督作品(映画『ナイル殺人事件』)。主演はジュード・ヒル。カトリーナ・バルフ(映画『フォードvsフェラーリ』)、ジュディ・デンチ(映画『キャッツ』や『J・エドガー』や『ヴィクトリア女王 最期の秘密』)、ジェイミー・ドーナン(映画『プライベート・ウォー』)、キアラン・ハインズ (映画『アナと雪の女王』や映画『ファースト・マン』)、コリン・モーガンらが出演。俳優・監督・舞台演出家として世界的に活躍するケネス・ブラナーが、自身の幼少期の体験を投影して描いた自伝的作品。出身地である北アイルランドのベルファストが舞台。激動の時代に翻弄されるベルファストの様子や、困難の中で大人になっていく少年の成長などを、力強いモノクロの映像で描いている。アカデミー賞の前哨戦として名高い第46回トロント国際映画祭で最高賞の観客賞を受賞。第94回アカデミー賞でも作品賞、監督賞ほか計7部門にノミネートされている。
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映画『ベルファスト』の受賞歴
トロント国際映画祭
受賞:観客賞
ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞
受賞:助演男優賞 キアラン・ハインズ
ゴールデングローブ賞
受賞:脚本賞 ケネス・ブラナー
第94回アカデミー賞7部門ノミネート
作品賞
監督賞 ケネス・ブラナー
助演男優賞 キアラン・ハインズ
助演女優賞 ジュディ・デンチ
脚本賞 ケネス・ブラナー
音響賞
主題歌賞
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映画『ベルファスト』のあらすじ・ネタバレ
1969年、北アイルランドのベルファスト。この町で生まれ育った9歳の少年バディ(ジュード・ヒル)は、決して豊かではないが、優しい家族と友達に囲まれ、伸び伸びと暮らしていた。バディは音楽と映画を愛する少年であった。彼にとっては完璧な世界だった。しかし、1969年8月15日、プロテスタントの武装集団がカトリック住民への攻撃を始めてから一転する。穏やかだったバディの世界は突如として悪夢へと変容する。今まで宗教が違えど、ベルファストの住民たちは仲良く暮らしていたのに反目しあうようになる。そして人々は分断され、暴力が暴力を繰り返すようになる。そして父(ジェイミー・ドーナン) は家族を連れて故郷を離れる決意をする。
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映画『ベルファスト』の感想・内容
「いま観るべき映画」となります。人間というのは永遠に争いを繰り返す生き物だと思わざる得ない出来事が起きています。
ロシアとウクライナの戦争です。人が人を「支配したい」感情って、動物の本能だからと諦めそうになってしまいます。
本映画『ベルファスト』がこの2022年のタイミングで世界に公開されることは大歓迎です。本映画『ベルファスト』を観て、平和の大切さを噛み締めたいと思いました。
さて、本映画『ベルファスト』はケネス・ブラナー監督の自伝的映画です。
彼が幼少の頃過ごした北アイルランドのベルファストは寄せるノスタルジーと「平和とは何か」の双方をうまく融合させています。
さらにケネス・ブラナーが育った環境には音楽と映画愛が溢れており、のちの巨匠を生んだ土台になったのがこのベルファストという町であったわかります。
9歳のバディ(ジュード・ヒル)は貧しいけれど、暖かい家族と友人に囲まれ伸び伸びと暮らしていました。
音楽と映画が大好きで、学校の成績も上位です。しかしある日、事件が起きます。暴徒化したプロテスタントがカトリック教徒を襲ったのです。
するとそれまで仲良くしていた住民たちが憎しみ合うのです。近所も学校でも。まだ宗教の相違についての見識がなかったバディは戸惑うのです。
そして彼はこの事件をきっかけに大きく人生のベクトルが変わっていくのです。
わたしたち日本人は他の国や民族と違って、「宗教観が薄い」と言われています。
ですからプロテスタントとカトリックの争いと聞いてもピンときません。
キリスト教とイスラム教の争いであるのなら、互いに異教徒同士なのでイメージできます。
でもプロテスタントともカトリックも同じキリスト教なのです。
簡単に説明するとカトリック教の古い価値観から脱却したのがプロテスタントです(詳細は省きます)
この宗教争いがいまでも北アイルランドで起きています。北アイルランドは古くからカトリック教徒が多い土地でした。
しかしプロテスタント率いるイギリスによって、支配されてしまいます。これが北アイルランド紛争を招いているのです。
元々、両者は民族的には同じか近いところにあります。
しかし、宗教の違いによってもう数百年も血みどろの争いと続けているのですから、恐ろしささえ感じます。
世界中に布教しているほとんどの宗教は「平和」を掲げています。
でも、世界中で起きている紛争や戦争の多くは「宗教争い」が元になっていますから、摩訶不思議です。
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映画『ベルファスト』の考察・評価
さて、本映画『ベルファスト』に話を戻します。これは決して「キリスト教賛歌」の映画ではありません。
ケネス・ブラナーの自伝的物語です。彼が如何に家族と音楽、映画などの芸術を愛しているかを訴求してきます。
映像表現を白黒で表していますが、映画を観る場面はカラーになっています。この切り替えが絶妙だと思います。
当時の悲惨な出来事の雰囲気を出すために白黒映像にしたとブラナーは語っています。
しかしながら、争いと関係ない音楽や映画の場面はカラーにしています。つまり芸術は明るく平和的だということです。
ただ、白黒映像ってものすごく“強い”と感じさせます。わたしたちの脳みそにこびり付いて離れません。
本映画『ベルファスト』を観て、アルフォンソ・キュアロン監督の『ROMA/ローマ』を想起した人も多いと思います。
こちらも1970年代のメキシコで起きた争いをテーマしています。偶然ではありますが、残酷かつ悲劇的な物語を白黒で捉えるとより一層、心の琴線を刺激する効果があるようです。
適切な表現かわかりませんが、ホラー映画などの恐ろしい映像に軽やかなクラシック音楽が付けれると恐怖感が増すのと同じ効果があるのかもしれません。
あるいはわたしたち日本人は毎年、終戦記念日が近づくと第二次大戦の白黒映像を見て、「暗い気持ち」と「懺悔感」に襲われるのも同様の効果なのかもしれません。
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映画『ベルファスト』の結末
ということは本映画『ベルファスト』をカトリック、プロテスタントの人たちが観ると、より一層、心にズシリと響くことがわかってきます。
わたしたち日本人以上に重たくのしかかってくるのではないでしょうか。ケネス・ブラナーの自伝的映画を通して、自らの出自と過去への郷愁と反省。
そして、「争いは無益なこと」「共に平和を築こう」と思わたことが世界中でヒットしているのだと思います。
さて、本映画『ベルファスト』の撮影技術はとても素晴らしいと思います。
本来ならフィルムで撮りたかったとのことですが、ブラナーの自伝的映画ということで、予算が集まらなかったそうです。
ですから、デジタルで白黒で撮影しています。撮影に於いては、ほとんど自然光を用いているのではないでしょうか。
バディ(ジュード・ヒル)とじいちゃん(キアラン・ハインズ)が病院内で会話する場面でわかります。
二人の顔を交互に捉えるのですが、じいちゃんの背景の光が不安定なのです。おそらく外光、つまり太陽に雲などがかぶったりして、明暗が出ているのだと思います。
もしスタジオ撮影でしたら、光は一定に保たれますから、このような現象起きません。それはそれで良いと思います。
それと美しいボケ感も特徴的です。人物の背景はとても気持ちよくボケています。被写界深度も浅いです。
開放値まではいっていないところがミソです。レンズも極端なワイドレンズを使っていないと思います。
左右の歪みがまったくありません。移動ショットはクレーンと手持ちを駆使しているのが、印象的でした。
美術品、調度品も当時のものをうまく配置していたと思います。わたしは衣装に目がいきました。
母さん(カトリーナ・バルフ)のミニスカートです。女性のミニスカートは社会進出の象徴と言われています。1960年代はイギリスも北アイルランドでも、女性が「声をあげる」時代だったと言われています。
そのアイコンがツイッギーのミニスカートです。彼女に影響された女性たちは「前で出ても良いのだ」と一斉に自己主張のためにミニスカートを履いたと思います。
これは素晴らしいですね。
それとバディの短パン姿に「貧しさ」が出ていました。個人的な経験ですが、わたしの幼少時代、貧乏な家の子どもは年中短パンでした。
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映画『ベルファスト』のキャストについて
母さん(カトリーナ・バルフ)
ばあちゃん(ジュディ・デンチ)
父さん(ジェイミー・ドーナン)
じいちゃん(キアラン・ハインズ)
コリン・モーガン
バディ(ジュード・ヒル)
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まとめ 映画『ベルファスト』一言で言うと!
「映画って芸術です」
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映画『ベルファスト』の作品情報
映画.comより一部引用
スタッフ・キャスト
監督
ケネス・ブラナー
製作
ローラ・バーウィック ケネス・ブラナー ベッカ・コバチック テイマー・トーマス
脚本
ケネス・ブラナー
撮影
ハリス・ザンバーラウコス
美術
ジム・クレイ
衣装
シャーロット・ウォルター
編集
ウナ・ニ・ドンガイル
音楽
バン・モリソン
母さん(カトリーナ・バルフ)
ばあちゃん(ジュディ・デンチ)
父さん(ジェイミー・ドーナン)
じいちゃん(キアラン・ハインズ)
コリン・モーガン
バディジュード・ヒル
2021年製作/98分/G/イギリス
原題:Belfast
配給:パルコ