映画『空母いぶき』のあらすじ・ネタバレ・解説・感想・評価から作品情報・概要・キャスト・予告編動画も紹介し、物語のラストまで簡単に解説しています。
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映画『空母いぶき』(134分/日本/2019)
映画『空母いぶき』の作品情報
【原題】
空母いぶき
【製作年】
2019年
【製作国】
日本
【上映時間】
134分
【日本公開】
2019年
【原作】
かわぐちかいじ
【監督】
若松節朗
【脚本】
伊藤和典 長谷川康夫
【キャスト】
西島秀俊
佐々木蔵之介 本田翼 小倉久寛 高嶋政宏 玉木宏 戸次重幸
市原隼人 堂珍嘉邦 片桐仁 和田正人 石田法嗣
他
【HPサイト】
映画『空母いぶき』公式サイト
【予告映像】
映画『空母いぶき』トレーラー
映画『空母いぶき』の作品概要
日本がもし他国によって軍事攻撃されたどうするか?をテーマにした作品。原作者のかわぐちかいじさんの意図が全く反映されていない。
映画『空母いぶき』のあらすじとネタバレ
南西諸島を航行中の空母いぶきが東亜連邦という新興国に攻撃された。憲法遵守の元、攻撃する。
映画『空母いぶき』の感想・内容
クランクインしてから脚本が手直しされたのだろうか
俳優にとって出演する映画を選ぶと言うことはとても重要だ。
まず良い作品になる、ならないかは設計図である脚本の良し悪しで決まると言って良い。その設計図をちゃんと読むことができるのが良い俳優の証と言える。
だから伸びない俳優は脚本を読めない俳優とレッテル貼られ、声もかからないと言う悪循環に陥る。
西島さんは優秀な俳優だ。
勝手な予想だが、初期の脚本を読んで出演をオッケーしたが、それからすったもんだの繰り返しで、改定された脚本になったのではないか。
西島さんもどうしようなかったと思いたい。
同調圧力に屈したのか、権力に忖度したのか、、、
この映画は正直言ってクソみたい脚本だ。
何も描かれていない。まず政府の忖度し過ぎている映画だ。
政府のご機嫌を損ねないように必死に作った、と言う印象しか受けない。おそらくであるが、今夏、衆参同時選挙が行われる可能性が高い。
もし与党が圧勝すれば一気に改憲へと進むだろう。
政府としては長年の夢であった日本独自の憲法を持つことになる。
であるから本作に於いて自衛隊は絶対に先制攻撃をしない、専守防衛に徹する。
そして攻撃された際の事実を重ねて“戦闘”を行うことに徹している。ちなみ戦闘と戦争は違うそうだ。前者は自衛隊が戦うモノで、後者は国家が戦うことを意味するそうだ。人を殺すことには同じだが、、、。
もし先制攻撃、あるいは既成事実が曖昧のまま攻撃した際は憲法違反になると言う束縛された世論に裁かれる憂いもあるからだ。
はっきり言ってしまえば誰も責任を取りたくないからだ。
真の映画人は忖度しない
この無責任の空気感がこの映画には漂っているから駄作になってしまったのだ。
プロデューサーを始め、出資者たち製作者サイドの姿勢と思考が忖度という無責任なチャネルを作ってしまった。
無論、犠牲者は俳優である。主演の西島さんはとても良い俳優だ。
何と言っても彼はテレビではなく映画でずっと活躍してきた。映画を愛しているからこそ私は応援しているのだ。
でもだ、本作は俳優たちとは違う次元の人たちの知性も教養の皆無どころか、この映画がどっち転ぼうと構わない、転んだ方で利用するだけという貧困なる精神が駄作になった所以と言えるのだ。
例えば『バイス』を観て欲しい。一切の忖度がない。とても勇気あるアメリカの映画人たちの素晴らしい作品だ。
映画『空母いぶき』の結末・評価
表現の自由が失われてしまう危惧感
はっきり言ってしまえば、本作で伝えるメッセージは「改憲に賛成」もしくは「改憲に反対」だけで良いのだ。
宣言すれば良いのだ。
映画という芸術はそういう役目を持っているのだ。こういう時代は曖昧にしてはいけないのだ。
もし後者を宣言したなら、今後の映画製作に暗雲がかかると心配するなら映画をやらなければ良い。今年観た『この道』を見習って欲しい。完全なる反戦映画だ。『ソラーキンの見た桜』も反戦映画だ。だからこそ本作は追従して欲しかった。
だからこそ、表現の自由が遵守されている国であることを今一度、確認しておきたい。
隙間だらけになった脚本を埋めるための配役なのではないか
さて、一応映画についての感想を書いておく。
まず不要というか違和感を覚えたのはコンビニ店長、中井貴一を取り巻く人たちの関係性である。全くストーリーに関係ない。
一瞬、自衛隊員の家族、もしくは恋人なのかと勝手に想像したが何も繋がりがない。であるから削除で良い(中井貴一が出演している理由はおそらく今夏公開される『記憶にございません!』への忖度だろう)
もう一つ、記者二人が空母に乗船しているが、彼らの役割が希薄すぎる。
どう見てもジャーナリストではない。
真のジャーナリストであるなら監禁状態を力づくで抜け出し艦内をカメラを振り回し取材するべきである。
艦長と激しく争うくらいの演出があれば良かったがまるでない。何もせず監禁状態でいる腰抜けジャーナリストなど見たくない。
こんな良いなりの牧羊みたいに口をポカーンと開けているだけの記者は不要である。であるからこちらも削除。
結果的に隙間だらけの脚本ってことを露呈している。
そしてもう一つとても大切なことがある。
製作者たちは原作者のかわぐちかいじさんへの尊敬の念を持っているのだろうか。
原作とは似てもいつかない作品になってしまった。
それが最大の侮辱だ。制作費は回収できるだろう、でも映画に対して不信感を抱いた人は帰ってこない。失ったものは大きいことを認識しなければいけない。
映画『空母いぶき』まとめ 一言で言うと!
映画は忖度しない崇高な芸術である!
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合わせて観たい映画
【軍隊に関する映画】
映画『愛と青春の旅だち』
リチャード・ギアとデブラ・ウィンガーが愛を育む
映画『ハートブレイク・リッジ 勝利の戦場』
クリント・イーストウッドが「ポンコツ」を育ててグレナダへ
映画『ゴッドファーザー』
アル・パチーノ演じるマイケルは軍隊帰りの好青年だった
映画『硫黄島からの手紙』
二宮くんは故郷に残した妻子に生還を誓う
『アメリカン・スナイパー』
イラク戦争で「スナイパー」として活躍したが、、、
【戦争に関する映画】
映画『この世界の片隅に』
戦争映画の認識を変えた名作
映画『硫黄島からの手紙』
二宮和也の名演が素晴らしい
映画『父親たちの星条旗』
アメリカ側から見た硫黄島
映画『名もなき生涯』
何も利益もない「神の教えに忠実」でいたいだけ
映画『1917 命をかけた伝令』
第一次世界大戦の塹壕戦での伝令は少年が担った
映画『彼らは生きていた』
ピーター・ジャクソンの作家性に驚愕
映画『ジョジョ・ラビット』
母のプライドは死んでも消えない
映画『プライベート・ウォー』
隻眼の女性ジャーナリスト「シリアで死す」
映画『アルキメデスの大戦』
戦争阻止のための計算式ってあるのか?
映画『芳華-Youth-』
戦争の一番の犠牲者は子どもと女性
映画『記者たち 衝撃と畏怖の真実』
記者の精神は真実を伝えるためにある
映画『愛と死の記録』
戦争が終わっても戦いが終わらない人もいる
映画『あゝひめゆりの塔』
沖縄での戦闘で罪のない女性が亡くなった
映画『父と暮せば』
原爆で死んだ父が亡霊となって娘に会いにきた
映画『絶唱(1975)』
若き二人の恋愛を邪魔したのは戦争です
『アメリカン・スナイパー』
狙撃兵って「ヒーロー」なのだろうか?
映画『空母いぶき』の作品情報
映画.comより一部引用
スタッフ・キャスト
監督
若松節朗
原作
かわぐちかいじ
脚本
伊藤和典 長谷川康夫
企画
福井晴敏
監修
かわぐちかいじ
撮影監督
柴主高秀
照明
長田達也
録音
尾崎聡
美術
原田満生 江口亮太
音楽
岩代太郎秋津竜太(西島秀俊)
新波歳也(佐々木蔵之介)
本多裕子(本田翼)
田中俊一(小倉久寛)
滝隆信(高嶋政宏)
瀬戸斉明(玉木宏)
淵上晋(戸次重幸)
迫水洋平(市原隼人)
有澤満彦(堂珍嘉邦)
藤堂一馬(片桐仁)
岡部隼也(和田正人)
葛城政直(石田法嗣)
柿沼正人(平埜生成)
吉岡真奈(土村芳)
森山しおり(深川麻衣)
浮船武彦(山内圭哉)
山本修造(千葉哲也)
井上明信(金井勇太)
加藤虎ノ介
赤司徹(三浦誠己)
浦田鉄人(工藤俊作)
清家博史(横田栄司)
岸博之
備前島健(渡辺邦斗)
遠藤雄弥
橋本一郎
後藤光利
山田幸伸
綱島郷太郎
大村正則(袴田吉彦)
井上肇
藤田宗久
中野啓一(中井貴一)
中根和久(村上淳)
沢崎勇作(吉田栄作)
沖忠順(佐々木勝彦)
城山宗介(中村育二)
石渡俊通(益岡徹)
晒谷桂子(斉藤由貴)
湧井継治(藤竜也)
垂水慶一郎(佐藤浩市)
和田正幸(伊達円祐)
一ノ瀬隆(岩谷健司)
飯野智司(今井隆利)
横山由依
2019年製作/134分/G/日本
配給:キノフィルムズ