映画『さがす』のあらすじ・ネタバレ・解説・感想・評価から作品情報・概要・キャスト・予告編動画も紹介し、物語のラストまで簡単に解説しています。
映画『さがす』公式サイト・IMDbサイト・ Rotten Tomatoesサイトにて作品情報・キャスト情報ならびにレビューをご確認ください。
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『さがす』
(2022年製作/123分/PG12/日本)
配給:アスミック・エース
【監督】
片山慎三
【脚本】片山慎三 小寺和久 高田亮【エグゼクティブプロデューサー】豊島雅郎 仲田桂祐 土川勉【プロデューサー】井手陽子 山野晃 原田耕治【ラインプロデューサー】和田大輔【撮影】池田直矢【録音】秋元大輔【装飾】松塚隆史【衣装】百井豊【ヘアメイク】宮本奈々【カラリスト】大西悠斗【音響効果】井上奈津子【編集】片岡葉寿紀【音楽】高位妃楊子【音楽プロデューサー】安井輝【助監督】相良健一【キャスティング】田坂公章【スケジュール】山田卓司【制作担当】姫田伸也
【出演】
佐藤二朗
伊東蒼 清水尋也
森田望智
石井正太朗
松岡依都美
成嶋瞳子 品川徹
映画『さがす』外部リンク
【HPサイト】
映画『さがす』公式サイト
【予告映像】
映画『さがす』トレーラー
【公式Twitter】
映画『さがす』
【IMDbサイト】
映画『さがす』
【 Rotten Tomatoesサイト】
映画『さがす』
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映画『さがす』のオススメ度は?
星4つです
すごい映画です
作家性が高いです
ヨーロッパではヒットするでしょう
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映画『さがす』の作品情報・概要
『さがす』2022年1月21日公開の日本映画。『岬の兄妹』で衝撃を与えた片山慎三監督作品(商業映画監督デビュー)主演は佐藤二朗(映画『今日から俺は!!劇場版』や映画『かぐや様は告らせたい 天才たちの恋愛頭脳戦 ファイナル』)。伊東蒼(映画『空白』)、清水尋也(映画『青くて痛くて脆い』や『パラレルワールド・ラブストーリー』)、森田望智(映画『Bittersand』)、石井正太朗、松岡依都美(映画『万引き家族』や映画『三度目の殺人』)、成嶋瞳子、品川徹(映画『Diner ダイナー』)らが出演。指名手配中の連続殺人犯を捕まえうと懸賞金300万円がもらえると聞いた父が行方不明となる。不安と孤独を押し殺しながら父親を探す娘の姿を描く。アスミック・エースとDOKUSO映画館による次世代クリエイター映画開発プロジェクト「CINEMUNI(シネムニ)」第1弾作品。第26回釜山国際映画祭 ニューカレンツ(コンペティション)部門正式出品。“人間とは”“死とは”を強烈に衝撃的に、かつ残酷なまでに訴求してくる名作。
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映画『さがす』の受賞歴
無し(2022年1月現在)
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映画『さがす』のあらすじ・ネタバレ
原田智(佐藤二朗) と原田楓(伊東蒼)は大阪の下町で平穏に暮らしていた。智は大阪人気質で冗談ばかりいう人物。中学生の楓はしっかり者。ある日、智が「お父ちゃんな、指名手配中の連続殺人犯見たんや。捕まえたら300万もらえるで」と言った。最初こそ冗談だと思ったが、翌日、父は消えてしまった。呆然とする楓。そして孤独と不安が押し寄せくる。警察に相談しても「大人の失踪は結末が決まっている」と相手にもされない。楓はひとりで父親を「さがす」ことを決心する。そして大阪にある日雇い労働の現場で父の名前を目にする。さらにそこで出会った青年の顔が指名手配犯の顔と瓜二つであることに衝撃を覚える。
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映画『さがす』の感想・内容
「とても衝撃的な映画」となります。恐ろしい映画とも言えます。ハッピーエンドかバッドエンドという稚拙な作品ではありません。
「考えさせる映画」「人間とは何か」について、心に突き刺す映画だと思います。邦画でこのような深い物語を紡ぐことができる監督はあまりいません。
片山慎三監督は本映画『さがす』が商業長編デビュー作ですが、もっと早くから活躍していてもおかしくない逸材です。
「深い」です。「重い」です。そして心を「突き刺して」きます。つまり「痛い」のです。
心を突き刺してきたのは一体なんでしょうか?それは本映画『さがす』を鑑賞した人たち各々異なりますが、「突き刺したモノ」を自身で消化、あるいは何かに昇華させる必要があると思います。
それが片山慎三監督からのメッセージだと思うのです。
わたしなりに考えています。「命とは」「生きるとは」「死とは」等々。まだまだ心に突き刺さったままです。「さがし」続けよと思います。
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映画『さがす』の考察・評価
本映画『さがす』の主演の佐藤二朗はとても良いです。わたしは個人的にあまり好きではなかったのです。
それは時折見せるコミカルな演技が苦手だからです。でも、本映画『さがす』を観ると、「これはひとつの“芸”だなあ」と納得したのです。
渥美清の寅さんも然り。近年では天海祐希さんも他の追随を許さない「マンネリ演技」はもはや“芸”なのです。
ですから本映画『さがす』のように重たい物語の中で展開される佐藤二朗のコミカルなギャグは一瞬の安らぎを覚えることができました。
娘・原田楓を演じた伊東蒼さんは連続して“ダメ父”に翻弄されることになりました。
映画『空白』ではあっという間に轢き殺されてしまいましたが、内気で素直で、真面目な中学生役を見事に演じていました。
さて、本映画『さがす』の舞台は大阪です。大阪には日本一の日雇い人夫たちが暮らす街があります。
数年前に殺人を犯して潜伏していたあの事件とオーバーラップしてきます。忘れてはいけない事件でした。
片山監督が本映画『さがす』の発案の元になったのは自身の父親が「今日、指名手配犯を見たぞ」に行くつくと語っています。
それを土台に日本で起きた猟奇的な殺人事件を脚本に積み重ねて出来上がったと思われます。緻密で、深く、芸術性の高い脚本だと言えます。
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映画『さがす』の結末
さて、本映画『さがす』を遠慮なく評論させていただきます。「完璧な映画」です。脚本も演出も撮影も美術も、そして演技において全てが満点です。メッセージ性も高いのです。
まず、主要登場人物である原田智(佐藤二朗) 、原田楓(伊東蒼) 、山内照巳(清水尋也)を三部に分けて、しかも時間軸の交差点をうまく描いたというところが絶妙でした。
鑑賞した人は気が付いたと思いますが、この3人が一同に会した場面はありません。まず映画の冒頭で、 原田楓が夜の大阪の街頭を走る場面でドキドキしました。
彼女の前作映画『空白』です。スーパーで万引きの疑いをかけられて、表へ飛び出し、最後は轢き殺されます。最後と言っても、映画が始まって数分で死にます。
「え、また?」と思った人も多いとはずです。さらにスーパーの警備室へ行くと、父親・原田智(佐藤二朗)が万引きしたことがわかる場面は逆説的にシンクロします。
こちらの店長は穏便に収めてくれます。でも映画『空白』の松坂桃李くんはとても厳しかったです。
楓演じる伊東蒼さんのキャラもわかりやすいです。父子家庭なので、しっかり者で、気が強いという性格をうまく表しています。
父親がくちゃくちゃと音を出して食べる姿に嫌悪感を剥き出します。同級生の花山豊(石井正太朗)に対しても強気です。
さらに唖然とさせたのは教師の蔵島みどり(松岡依都美)宅の夕食場面です。みどりの子どもが「イチゴ味」のゼリーを食べたいというが、決して渡しません。
そして外に出て、ゴミを放置します。言い方によっては「育ちが悪い」と映ります。こんな気が強い中学生ですが、最後はきっちりと涙を流します。
前半の悪態が倍になって活きてくるのです。
“名無し”演じる山内照巳(清水尋也)の演技には背中にカミソリを当てられる感覚が続きました。「ゾッと」するのです。
彼のイメージは外国人女性を殺害して、西成で日雇い労働をやっていた殺人犯と、自殺志願者をツイッターで探し出し、殺しクーラーボックスに保管していた殺人犯の二人を合わせた人物として描いています。
日本を震撼とさせた実際に事件ですから、なおさら恐怖心が募りました。
「爪を噛むクセ」というのが不気味さを増します。清水くんの「目つきがヤバイ」と感じました。
伊東蒼さんも同様に「清水尋也の目に圧倒された」と言っています。ただ最終的に山内には天罰が降るという展開には納得しています。
そして原田智演じる佐藤二朗は「絶品」でした。いつものようなコミカルな演技はほぼ封印しています。
でも、我慢しているのか「あれあれ」と思わせる場面があり、そこで笑ってしまいました。
片山慎三監督から「一切の抑揚を無くす演技」が求められていたそうです。最後に「泣く」んですよ。これがよかったです。
彼は自分が犯した罪の深さを知っているのです。だから泣いたと思うのです。
人間って「悪いことをした時」とか「取り返しのつかない悔恨」に包まれると涙が出てくるのです。
そして涙は「赦し」を請う手段であって、同情されることを期待しているのです。
でもこの場面の楓は同情しているけれど、「お父ちゃん、人殺したらあかんやん」と言っているのです。ですから、二人は余計に泣いてしまうのです。
この泣く場面は映画史に残る名場面になるのではないでしょうか。
“名無し”が死んで、事件は一件落着なんです。智と楓の二人は卓球をやります。
長いショットです。この数分のショットって、本当に意味があるのです。
観ているわたしたちは「さがす」のです。いや「さがす時間」なのです。
わたしたちは本映画『さがす』を冒頭から一気に振り返ります。一体、どこに「正義あるのか」「人間とは何か」「人を殺してもいいのか」などなど。二人がラリーを行うさなかに考えてしまうのです。
原田智(佐藤二朗) は結果的に二人殺したことになります。
体の不自由になった妻・原田公子(成嶋瞳子)とサイコパス・山内照巳(清水尋也) です。
前者は森鴎外の『高瀬舟』とクリント・イーストウッドの『ミリオンダラー・ベイビー』に通じます。
後者は正義感もはらんでいます。
この二つの殺人で共通しているのは「愛する娘のため」です。
妻が生きていると楓の将来に暗雲が立ち込めます。
山内が生きていると自身も共犯になり、楓に辛い思いをさせます。
この二つの殺人を犯した智の人生は辛いです。
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映画『さがす』のキャストについて
原田智(佐藤二朗)
大阪の下町で日雇い労働者として生計を立てている。妻は難病で死んでしまった。娘の将来が心配である。お金がないから。妻の介護の件で山内照巳(清水尋也) と出会い、妻殺しを依頼する。さらに自殺希望者とツイッターで探し出して、、、。
原田楓(伊東蒼)
中学生。気が強い。父親想い。元気で明るく積極的。将来的な夢は不明。とりあえず高校へは進学したいと思っている。貧乏であることも知っているが悲観していない。
山内照巳(清水尋也)
関東方面から関西へ逃れてきている。自殺希望者を募って殺害を繰り返しているサイコパス。生きている人間には興味がなく、死んでいる人間に性的興奮を覚える。原田智の弱みに付け込んで、「役に立つ殺人」もあると誘い込んで行く。
ムクドリ(森田望智)
自殺希望者。ビルの屋上から飛び降りたが失敗。口が悪い。生きていることに疲れているわけではなく、死に対する憧れが強い。山内照巳にとっては意外な人物であった。「本当に死にたい奴」だった。
花山豊(石井正太朗)
原田楓のことが好きな少年。楓のためならなんでも協力するという純朴な少年。
蔵島みどり(松岡依都美)
原田公子(成嶋瞳子)
馬渕(品川徹)
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まとめ 映画『さがす』一言で言うと!
「片山慎三監督作品をもっと観たい!」
本映画『さがす』は一般的には「受けがよくない」映画になるかもしれません。エンタメ系の映画ファンは理解できないと思います。どちらかと言うと、「コアな映画ファン」向けでしょう。デビューは遅いですが、熟している映画監督です。できるだけたくさんの映画を世に送ってほしいです。
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映画『ジョーカー』
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映画『さがす』の作品情報
映画.comより一部引用
スタッフ・キャスト
監督
片山慎三
脚本
片山慎三 小寺和久 高田亮
エグゼクティブプロデューサー
豊島雅郎 仲田桂祐 土川勉
プロデューサー
井手陽子 山野晃 原田耕治
ラインプロデューサー
和田大輔
撮影
池田直矢
録音
秋元大輔
装飾
松塚隆史
衣装
百井豊
ヘアメイク
宮本奈々
カラリスト
大西悠斗
音響効果
井上奈津子
編集
片岡葉寿紀
音楽
高位妃楊子
音楽プロデューサー
安井輝
助監督
相良健一
キャスティング
田坂公章
スケジュール
山田卓司
制作担当
姫田伸也
原田智(佐藤二朗)
原田楓(伊東蒼)
山内照巳(清水尋也)
ムクドリ(森田望智)
花山豊(石井正太朗)
蔵島みどり(松岡依都美)
原田公子(成嶋瞳子)
馬渕(品川徹)
2022年製作/123分/PG12/日本
配給:アスミック・エース