映画『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』のあらすじ・ネタバレ・解説・感想・評価から作品情報・概要・キャスト、予告編動画も紹介し、物語のラストまで簡単に解説しています。
映画『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』公式サイトにて作品情報・キャスト・上映館・お時間もご確認ください。
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『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』
(110分/R15+/ドイツ・フランス合作/2019)
原題『Der Goldene Handschuh』
【監督】
ファティ・アキン
【製作】
ヌアハン・シェケルチ=ポルスト ファティ・アキン ヘルマン・バイゲル
【出演】
ヨナス・ダスラー
マルガレーテ・ティーゼル
カーチャ・シュトゥット
マルク・ホーゼマン
映画『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』のオススメ度は?
星3つ半です
エグいです
グロいです
ゲスいです
ショッキングな映像があります
酒は悪害です
映画『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』の作品情報・概要
ドイツのハンブルグで実際に起きた事件をモチーフにしています。ドイツを代表するシリアルキラーです。「なぜ彼が殺人者になったのか」などは描かれていません。淡々と殺人を繰り返す中にこそ真実がある映画です。監督は世界三大映画祭すべて主要な賞を獲得したファティ・アキンです。主演はヨナス・ダスラー。
映画『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』のあらすじ・ネタバレ
フリッツ・ホンカは外見的に醜い。鼻は曲がり、目の斜視のためバカにされている。仕事は夜警。一日中酒ばかり飲んでいる。近所のバー、ゴールデングローブへ行き大酒を飲み女を誘う。でも大抵の女はフリッツの容姿を見て嫌悪するかバカにする。フリッツは女たちへの憎悪を深めていく。そして年老いたアル中の娼婦ばかりを狙うことにする。「酒をご馳走する」と言って誘い出しアパートへ連れ込みレイプして殺す。そして解体。解体した遺体は押し入れに隠す。しかし異臭が漂い始める、、、。
映画『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』の感想・評価・内容・結末
ドイツ史上最悪のシリアルキラー、フリッツ・ホンカ
とても衝撃的な映像が連続する映画です。トップカットから始まります。遺体の解体です。
映画だとわかっていても「ゾッ」とさせます。スクリーンに遺体が横たわっています。でも顔だけは見切れています。
ここに映像表現のうまさを感じます。見えないところで行われている解体作業を観ているわたしたちは勝手に“想像”してしまうのです。
もちろん遺体の解体などやったことがないのに想像させてしまうという演出が素晴らしいと思いました。
監督はファティ・アキンです。トルコ系のドイツ人です。若くして世界三大映画祭の主要部門で賞を獲得しています。鬼才です。
知性教養なしブ男だから殺人に走ったのか、、、
この映画『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』を観て思い出すのは映画『テッド・バンディ』です。
バンディはアメリカを代表するシリアルキラーです。一方、フリッツはドイツを代表しています。
両者はともに殺人を犯すことに罪の意識などないでしょう。そして死体を解体することを喜びにしている性癖は共通しています。
けれども両者は徹底的に違います。バンディは頭脳明晰でハンサム、人当たりも柔らかく女性からモテます。
でもフリッツは知性教養に乏しいブ男、人に対して優しさのかけらもありません。まったく異なる背景は彼らの生い立ちも影響しているからでしょうが、殺人を犯すという悪行についての言い訳にはまったくなりません。
頭良い人が殺人をしてもオッケーとはならないでしょう。また生い立ちが悲惨だったから殺人者になったから許してあげようにも繋がらないです。
アメリカ史上最悪のシリアルキラー
得てしてフリッツのようなシリアルキラーには目的というものがありません。目的とは長期的こを指します。将来の自分のことです。
フリッツの場合は「セックスしたい」が先にあります。馴染みのバー、ゴールデングローブへ行き女に声をかけるのです。
でも大抵はフリッツのブサイクな顔を見て断ります。鼻が奇妙にひん曲がり、目のも斜視でした。
それでフリッツは酒が欲しい年老いた女性ばかりをターゲットにして犯行を繰り返します。
ここでハタと気がついたのですが、登場する人物たちがほとんどが「アル中」なのです。全員が酒ばかり飲んでいます。
ファティ・アキン監督はイスラム教徒だと思われます。イスラムでは酒はご法度です。
こちらは毒親が逃げて夢を叶える女性の物語です
「毒親」と愛情皆無の幼少期
酒は全世界に流通している嗜好品ですが、酒は覚せい剤やコカインなどのドラッグよりも依存性が高いと言われています。
近年、「毒親」をテーマにした映画多数製作されていますが、登場する親たちが酒を飲みまくる描写が多いです。
この映画ではフリッツの生い立ちは鮮明に描かれていなかったの調べてみました。9人兄弟の3番目で、父親は大酒呑みで暴力的。
愛情のない家庭に育ち、しかも養護施設に送られます。体がひ弱で斜視であったことからイジメにあいます。
施設を出た後は父親の暴力から逃れるために一緒に酒を飲み始めたとのこと。キッツイですね。こんな幼少期を過ごしたら、誰もが正常な人格が形成されないのではないでしょうか。
これも毒親。息子の面前で他の男と、、、
でも映画の中でフリッツは一旦、断酒をするのです。
そして真面目に働くのですが、たった一滴アルコールを舐めただけで元のアル中に逆戻りです。そして更なる殺人を繰り返していくのです。
酒ほど恐ろしい飲み物はありません。“悪魔の水”ではないでしょうか。
ファティ・アキン監督はシリアルキラーの恐ろしさを描くと同時に、酒という危険な飲み物が人格を破壊し、その結果人に危害を加えるツールのひとつであるというメッセージも込めて作ったのではないでしょうか。
そう考えるとこの映画『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』はエグい、グロい、ゲスいの三拍子だけの映画ではないことがわかります。
子どもが毒親を裁判にかけます
子どもにはできる限りの愛を注ぎたい
子どもには愛を持って接したいです。暴力はもってのほかです。
しつけと言って子どもに手を上げる人はいますが、子どもの心に永遠に残ります。
将来、その傷が現れて鬱を発症する起因になります。鬱に嵌ったら抜け出すのはとても容易なことではありません。
子どもには「怒らない、怒鳴らない、甘やかす」を実践するのが有効です。
日本映画に登場する毒親はまだまだ、、、
映画『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』のキャストについて
フリッツ・ホンカ(ヨナス・ダスラー)
ドイツのハンブルグの実在したシリアルキラーです。もう人間として終わっています。人に対する愛情とかまったくありません。殺すことに意味もなければ快感すらないでしょう。ヨナス・ダスラーは体当たりで演じています。特殊メイクをしています。実際はとてもハンサムです。なんとも言えない不気味は雰囲気満載でした。
ゲルダ・フォス(マルガレーテ・ティーゼル)
酒浸りの娼婦です。フリッツにナンパされて居候することになります。でも最後はやっぱり殺されます。マルガレーテ・ティーゼルさんはオーストリアではかなり有名な女優です。良い味を出していたと思います。役柄は娼婦でアル中で不細工という散々なものですが、絶望感たっぷりの女を見事に演じていたと思います。
ヘルガ・デニングセン(カーチャ・シュトゥット)
とても美しい学生です。フリッツが恋しています。危うく犠牲者になりそうでした。カーチャ・シュトゥットは本作ではあまり出番はありませんでしたが、登場するだけでホッとさせられました。映画が残虐で汚物まみれなのでこういう美しい人が登場するだけで心が救われました。
ジギー・ホンカ(マルク・ホーゼマン)
フリッツの弟です。同じく知性がありません。兄弟揃って馬鹿話をして盛り上がっています。酒ばかり飲んでいます。マルク・ホーゼマンもあまり出番はありませんでしたが、それなりの演技でした。
まとめ 映画『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』一言で言うと!
「虎も我が子を食わぬ」
どう猛な虎でさえ、自分の子は食わない。自分の子どもは可愛いという意味です。日本でも幼児虐待が近年騒がれていますが、海外の方はもっと深刻なのではないでしょうか。アメリカなんてとにかく“毒親”が多いことで知られています。殴る、蹴る、無視するなんて当たり前。さらに子どもにアルコールやドラッグを教えて一緒にやるという信じられないこともあるそうです。ホイットニー・ヒューストンの映画で語られてました。そんな環境で育った子どもの心は健全にならないでしょう。
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合わせて観たい映画
【毒親が登場する映画】
映画『存在のない子供たち』
これがレバノンの現状なのだろうか。出生証明書もない子供たち
映画『ガラスの城の約束』
両親揃って社会から逸脱していて働きません。父親はアル中でDV野郎です。
映画『荒野にて』
父親は働いていますが、子どもの教育に無関心です。
『ホイットニー ~オールウエイズ・ラブ・ユー〜』
娘が薬物に溺れているのを救えませんでした。
映画『赤い雪 Red Snow』
我が子を押入れに押し込めて男との情事を楽しみます。
映画『J・エドガー』
息子が可愛くて仕方ありません。徹底的な教育を施します。
映画『ある少年の告白』
宗教的な観念で息子の自由を束縛します。
映画『タロウのバカ』
現代ニッポンにバカと叫ぶ!
【子ども可愛がり映画】
映画『リアム16歳、はじめての学校』
気持ち悪いくらいに息子に干渉します。息子と恋人気分です。
『母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。』
こちらは母親依存です。
映画『パパは奮闘中』
蒸発した妻の代わりに子育てします。
【ある意味、毒親である気がする映画】
映画『ビューティフル・ボーイ』
薬物依存になった息子を助けるために奮闘しますが、それが重荷になります。
映画『ベン・イズ・バック』
薬物施設を無断で出てきた息子を可愛がります。
映画『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』の作品情報
映画.comより一部引用
スタッフ・キャスト
監督
ファティ・アキン
製作
ヌアハン・シェケルチ=ポルスト ファティ・アキン ヘルマン・バイゲル
原作
ヘインズ・ストランク
脚本
ファティ・アキン
撮影
ライナー・クラウスマン
美術
タモ・クンツ
衣装
カトリーン・アッシェンドルフ
編集
アンドリュー・バード フランツィスカ・シュミット=ケルナー
音楽
F・M・アインハイト
音楽監修
ピア・ホフマン
フリッツ・ホンカ(ヨナス・ダスラー)
ゲルダ・フォス(マルガレーテ・ティーゼル)
ヘルガ・デニングセン(カーチャ・シュトゥット)
ジギー・ホンカ(マルク・ホーゼマン)
ジン・マックス(ハーク・ボーム)
ヴィリー(トリスタン・ゲーベル)
ペトラ(グレタ・ゾフィー・シュミット)
2019年製作/110分/R15+/ドイツ・フランス合作
原題:Der Goldene Handschuh
配給:ビターズ・エンド