映画『ファヒム パリが見た奇跡』のあらすじ・ネタバレ・解説・感想・評価から作品情報・概要・キャスト、予告編動画も紹介し、物語のラストまで簡単に解説しています。
映画『ファヒム パリが見た奇跡』公式サイトにて作品情報・キャスト・上映館・お時間もご確認ください。
YouTubeで予告映像もご覧ください。
『ファヒム パリが見た奇跡』
(107分/G/フランス/2019)
原題『Fahim』
【監督】
ピエール=フランソワ・マンタン=ラバル
【脚本】
ピエール=フランソワ・マンタン=ラバル チボー・バンユール フィリップ・エルノ
【製作】
デボラ・ベナッター パトリック・ゴドー
【出演】
アサド・アーメッド
ジェラール・ドパルデュー
ミザヌル・ラハマン
イザベル・ナンティ
【HPサイト】
映画『ファヒム パリが見た奇跡』公式サイト
【予告映像】
映画『ファヒム パリが見た奇跡』トレーラー
映画『ファヒム パリが見た奇跡』のオススメ度は?
星3つです
予定調和です
背景描写が弱い
移民問題にもっと焦点を!
フランス人て「そんなに優しい?」
映画『ファヒム パリが見た奇跡』の作品情報・概要
『ファヒム パリが見た奇跡』原題『Fahim』2019年制作のフランスのドラマ映画。バングラデシュでチェスで有名になったため妬み・僻みやあ嫌がらせを受けた息子を守るためフランス・パリへ逃れる。パリでチェスの頭角を表す。不法移民として国外退去にされそうになるが、ジュニアのフランスチャンピオンになることで父子ともに滞在許可を得る。原作はファヒム・モハンマドの書籍、“Un roi clandestine”(ファヒムの書籍/「もぐりの王様」監督はピエール=フランソワ・マンタン=ラバル。アサド・アーメッド主演。ジェラール・ドパルデュー、ミザヌル・ラハマン、イザベル・ナンティ共演。
映画『ファヒム パリが見た奇跡』のあらすじ・ネタバレ
世界的も最貧国バングラディシュで暮らすファヒム・モハンマド(アサド・アーメッド) はチェスの名人として国内では有名になっていた。しかし心無い人たちからの誹謗中傷、さらには命を狙われる危機に、、、。父親はファヒムを連れて国外へ逃れることを決意。インドへ経てフランス・パリにたどり着く。お金も仕事もない父親。ファヒムはチェス教室へ通い師となるシルヴァン・シャルパンティエ(ジェラール・ドパルデュー) と出会う。そしてフランス最大のチェスの大会へ出場する。しかし父親が不法滞在で逮捕。自身も国外退去の可能性がある中、順調に勝ち上がっていく、、、。
映画『ファヒム パリが見た奇跡』の感想・内容
予定調和の映画ですがもっと「移民問題」を掘り下げて欲しかった
実話をベースにいた映画です。正直な感想は「いまひとつ」です。
映画ですから予定調和で展開するのはオッケーなのですが、もっと人間を掘り下げて欲しかったのです。
ファヒム親子はバングラデシュからの移民です。バングラデシュでチェスが活躍したことで、迫害を受けます。
そして迫害から逃れるためにフランス・パリへ逃げますが、果たしてこんなに簡単にフランスは入国させてくれるのが疑問です。
もちろんバングラディッシュから陸路でインドへ行き、そこから空路でフランス入りします。トントン拍子です。
移民問題を掘り下げるべきと感じています。
移民問題をテーマにしている映画です
「亡命したい」理由をもっと詳細に描くべき
こんなことを書くと偏見かもしれませんが、バングラデシュは世界最貧国のひとつで、平均月収も2、3万円程度です。
主演のファヒム・モハンマド(アサド・アーメッド) の父親の仕事は消防士でしたが、果たして亡命にかかる多大な費用をどうやって捻出したのかが気になるのです。
そこは違法なことで稼いでいても絶対に描くべきでした。
ひねくれた感想ではありません。違法なことをしてまでも「他国に亡命したい」という気持ちを描くことでこの映画の原作者であるファヒム・モハンマドの「移民に目を向けて欲しい」という目的が達成されるからです。
公式サイトのインタビューではっきりと言っています。ですから「亡命したい」理由をもっと詳細に描くべきだったと思います。
バングラディシュの置かれている現状も知りたい
本映画『ファヒム パリが見た奇跡』はチェスで有名になって、フランス国籍を取得するまでの戦いのような雰囲気で進みますが、真相はもっと根深いところにあるのです。
それはバングラディシュの政治から社会情勢、差別、貧困問題などが絡み合っっているのです。
映画で使われたバングラディシュ映像はおそらく資料映像かと思いますが、今でもバングラディシュは民主国家とは言えない圧政であることは明確です。
面積は日本の4割程度なのに人口が1億7000万人もいます。イスラム教徒が多いです。日本の企業もその労働力を頼りに多く進出しています。アパレル関係が多いです。
わたしとしてはバングラディシュの置かれている現状も知りたいのです。
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フランス人は「そんなに優しくない」という現実も描いて欲しい
さて、そんなバングラディシュ出身の親子を描いた映画ですが、主人公ファヒム・モハンマド(アサド・アーメッド) と父親がパリに来てからも順風満帆に見えてしまうのです。
私的な見解ですが、フランス人は「そんなに優しくない」と思うのです。正直、移民に対してもっと厳しい目線を向けていると思います。
先の映画『レ・ミゼラブル』はそれを見事に描いています。
世界を席巻している新保守主義にも見られるように、やはり白人というのは他の人種を下に見る人が多いと思うのです。
実際、フランスを旅行した人もフランス人からバカにされたような態度をとられた経験がある人も多いと思います。
映画『ファヒム パリが見た奇跡』の結末・評価
良い物語にするには“悪”の存在を描かないと際立たない
でも本映画『ファヒム パリが見た奇跡』ではファヒムのチェスの師匠であるシルヴァン・シャルパンティエ(ジェラール・ドパルデュー) も学校の事務員であるマチルド(イザベル・ナンティ)も、チェス教室の友だちもみんな好意的なのです。
ここが問題であり、勿体ないのです。美しいものを描くときは汚いものと比較する必要があります。
映画とて同じです。良い物語にするには“悪”の存在を描かないと際立たないのです。
その存在がバングラディシュの政治であるのか、それともパリの住民であるのかを見極めるのが監督の力量なのです。
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ファヒム親子の本当に敵とは?
悪の存在的な役として師匠のシルヴァン・シャルパンティエが若い時からの宿敵が登場します。彼もまた弟子をフランスチャンピオンにしようと目論んでいます。
とても嫌味な人間です。その弟子の少年も嫌なやつでファヒムをからかいます。でもこの二人を悪にするのは安易だと思うのです。「とってつけた感」があります。
本当のファヒム親子の敵とは違うです。ここです。ここなんです。
映画には多少の脚色はあっても良い
やはり映画ですから多少の脚色はあっても良いと思うのです。チェスの試合に勝つのですが、バングラディシュを離れていても、迫害があるとか、、。
例えばパリに逃れてきた同じバングラディシュ人たちからの嫉妬とか、あるいは故郷に残してきた母と妹、弟の身に危険が迫っているとか、、、。
「負ければ助けてやる」などのプロットが欲しかったです。
もちろん、実話をベースにしていますから、非常識な表現はダメです。でも原作者のファヒム・モハンマドの目的を享受するのであれば多少の創作は必要であったと思います。
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映画には「人間成長」が観られるかどうかが鍵になる
映画を観るときに期待するのは「人間成長」が観られるかどうかに重きを置いています。
主人公ファヒムは大きな成長を遂げているのは事実です。
その成長過程に絶対的に必要な苦悩、葛藤、失敗、挫折、復活、挑戦、獲得、達成といった要素が乏しかったのです。
そこが残念な映画と言わざる原因です。
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映画『ファヒム パリが見た奇跡』のキャストについて
ファヒム・モハンマド(アサド・アーメッド)
主人公のファヒムはチェスの才能があり、妬みからバングラディシュから逃れます。アサド・アーメッドも実際にバングラディシュから逃れてきた移民とのこと。本映画の撮影3ヶ月前に。フランス語を覚えて挑んでいます。演技的には「まあまあ」ではないでしょうか。
シルヴァン・シャルパンティエ(ジェラール・ドパルデュー)
チェスの先生。過去に若干トラウマあり。若き日に試合で臆病風に吹かれてしまった。熱血漢です。ジェラール・ドパルデューのどっしりとした体がいい味を出していました。
ヌラ(ミザヌル・ラハマン)
ファヒムの父親。パリへ逃れます。お金も仕事もありません。ミザヌル・ラハマンももうひとつでした。
マチルド(イザベル・ナンティ)
チェス教室の事務員。とても温かくファヒム親子をも守ります。イザベル・ナンティはいい演技だったと思います。
まとめ 映画『ファヒム パリが見た奇跡』一言で言うと!
「パリで生きるのは厳しいでしょ!」
フランスは世界で初めて人権宣言をした国です。博愛主義の国です。でもフランス人はちょっと意地悪な人が多いです。実際はもっと嫌な出来事にあっていると思います。もう少し移民側に寄り添って製作して欲しかったです。
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映画『ファヒム パリが見た奇跡』の作品情報
映画.comより一部引用
スタッフ・キャスト
監督
ピエール=フランソワ・マンタン=ラバル
製作
デボラ・ベナッター パトリック・ゴドー
脚本
ピエール=フランソワ・マンタン=ラバル チボー・バンユール フィリップ・エルノ
撮影
レジス・ブロンド
美術
フランク・シュワルツ
編集
レナルド・ベルトラン
音楽
パルカル・ランガニュ
ファヒム・モハンマド(アサド・アーメッド)
シルヴァン・シャルパンティエ(ジェラール・ドパルデュー)
ヌラ(ミザヌル・ラハマン)
マチルド(イザベル・ナンティ)
2019年製作/107分/G/フランス
原題:Fahim
配給:東京テアトル、STAR CHANNEL MOVIES