映画『イン・ザ・ハイツ』のあらすじ・ネタバレ・解説・感想・評価から作品情報・概要・キャスト・予告編動画も紹介し、物語のラストまで簡単に解説しています。
映画『イン・ザ・ハイツ』公式サイトにて作品情報・キャスト・上映館・お時間もご確認ください。
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『イン・ザ・ハイツ』
(2021年製作/143分/G/アメリカ)
原題『In the Heights』
【監督】
ジョン・M・チュウ
【製作】
リン=マニュエル・ミランダ キアラ・アレグリア・ヒューディーズ スコット・サンダース アンソニー・ブレグマン マーラ・ジェイコブス【製作総指揮】デビッド・ニックセイ ケビン・マコーミック【原作】リン=マニュエル・ミランダ【脚本】キアラ・アレグリア・ヒューディーズ【撮影】アリス・ブルックス【美術】ネルソン・コーツ【衣装】ミッチェル・トラバーズ【編集】マイロン・カースタイン【作詞】リン=マニュエル・ミランダ【作曲】リン=マニュエル・ミランダ【振付】クリストファー・スコット【音楽監修】スティーブン・ギジッキ
【出演】
アンソニー・ラモス コーリー・ホーキンズ レスリー・グレイス メリッサ・バレラ オルガ・メレディス ダフネ・ルービン=ベガ グレゴリー・ディアス4世 ステファニー・ベアトリス ジミー・スミッツ
【HPサイト】
映画『イン・ザ・ハイツ』公式サイト
【予告映像】
映画『イン・ザ・ハイツ』トレーラー
映画『イン・ザ・ハイツ』のオススメ度は?
星4つ半です
「楽しめます」
アメリカの「人種問題」について
アメリカはやっぱり「白人社会」なのか
若者が「夢を描く」社会は美しいが、、、
映画『イン・ザ・ハイツ』の作品情報・概要
『イン・ザ・ハイツ』原題『In the Heights』2021年に公開されたアメリカ合衆国のミュージカル映画。原作はリン=マニュエル・ミランダ。ジョン・M・チュウ監督作品。主演はアンソニー・ラモス。他にコーリー・ホーキンズ、レスリー・グレイス、メリッサ・バレラ、オルガ・メレディス、ダフネ・ルービン=ベガ、グレゴリー・ディアス4世、ステファニー・ベアトリス、ジミー・スミッツら。リン=マニュエル・ミランダが2005年に初演されたミュージカル『イン・ザ・ハイツ』を映画化した作品である。
映画『イン・ザ・ハイツ』のあらすじ・ネタバレ
アメリカ・ニューヨークの北東にあるワシントン地区。この街はドミニカ、プエルトルコ、キューバなどのラテン系の人たちが多く暮らす地区だ。雑貨店(コンビニ)を営むウスナビ(アンソニー・ラモス) は祖国ドミニカで店を持つことを夢見ている。ウスナビが想いを寄せるバネッサ(メリッサ・バレラ) はダウンタウンでアパートを借りて、デザイナーを夢見ている。黒人であるベニー(コーリー・ホーキンズ) は堅実な出世を。ベニーの元恋人ニーナ(レスリー・グレイス) はこの街が生んだ才女で、スタンフォード大学に進学している。
映画『イン・ザ・ハイツ』の感想・内容
「いま観ると気分が明るくなる映画」となります。本映画『イン・ザ・ハイツ』はアメリカ社会で暮らすスペイン語系の移民たちの現状を見事に表しています。ただわたしたち日本人は彼らの置かれている立場を理解するのは難しいです。実際は本映画『イン・ザ・ハイツ』は「絶望的な映画」となるのです。しかしながら、そんなことは遠い日本に暮らしているわたしたちには関係ありません。ですから「思いっきり楽しんで観ること」をオススメします。
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さて、本映画『イン・ザ・ハイツ』はオープニングからカッコ良いです。“音”から始まります。ニューヨークの北東のラテン系の人たちが住むワシントン地区が舞台です。軽快なヒップホップが流れ、スペイン語の詩でメッセージを伝えてきます。スペイン語にラップはとても合うことに改めて驚きました。しかしながら、歌詞の内容はどちらかというと辛辣であったり、不平不満を言ったり、アメリカという国に嘆きを含むものが多いのも見逃せません。ただ、わたしたち日本人にとって、ラテン系に人たちの生活などわかりようがないので、軽快な音楽に心が踊って、「楽しい気持ち」にさせてくれるのです。映画の構成としては間違いなく、観客を引き込む手法ですから成功したと言えます。劇中、かなりシリアスは差別・偏見問題を訴求しているのですが、そこでも軽快なラップ音楽を繰り返すことで乗り越えたような気持ちにさせてくれます。
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映像が綺麗です。実際の物語は完全なる「ハッピーエンド」ではなく、停滞というか「現状維持のままアメリカを生きていくしかない」で終わっています。ですから、映像のトーンを下げると「絶望感」に溢れた映画になってしまいますから、本映画『イン・ザ・ハイツ』の撮影監督のアリス・ブルックスの素晴らしい技によって、楽しめたと言っても良いでしょう。色彩的には映画『ビール・ストリートの恋人たち』に似ていると感じました。こちらも重たい黒人への差別問題を扱っています。全体的な雰囲気をダークにすると希望感が失われるほどの内容でした。
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さて、本映画『イン・ザ・ハイツ』を観賞して、真っ先に映画『ウエスト・サイド物語』を思い出した人は多いと思います。こちらもニューヨークを舞台にしたラテン系とポーランド移民の対決を描いたミュージカル映画です。端的に比べると、60年経ちますが、ラテン系移民の生活は「なにも変わっていない」ことがわかります。つまり相変わらずアメリカは差別・偏見が根強いと言ってしまえるのです。ただ本映画『イン・ザ・ハイツ』の主演俳優たちは全員がドミニカ、プエルトルコ系のラテン系で占められていることを念頭に入れておきましょう。『ウエスト・サイド物語』に出演した俳優たちのほとんどは白人で、顔にブラウン系のメイクを施していました。いまや映画界は多様性を重んじていますから、本映画『イン・ザ・ハイツ』で非白人系の役者で終始展開されるのはとても進歩的だったと思います。
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映画『イン・ザ・ハイツ』の考察・評価
登場人物は男性はウスナビ(アンソニー・ラモス) 、ベニー(コーリー・ホーキンズ)女性はニーナ(レスリー・グレイス) とバネッサ(メリッサ・バレラ) の四人で展開されていきます。ベニーは黒人系です。ウスナビという名前はUSNAVIをスペイン語読みして名付けらています。アメリカへ移民としてやってきた父親がアメリカ海軍にちなんで名付けたそうです。ウスナビはワシントン地区で小さな雑貨店を営んでいます。コンビニです。夢は祖国ドミニカへ帰って、店を開くことです。彼を手伝うのは従兄弟のソニー(グレゴリー・ディアス4世)です。彼の父が不法入国しているので、ソニーには出征証明書がありません。
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ウスナビが密かに思いを寄せるバネッサ(メリッサ・バレラ)はデザイナーを夢見ています。ワシントン地区から抜け出して、ダウンタウンに住んで、デザイナーとして大成したいと思っています。黒人のベニー(コーリー・ホーキンズ)はこの街で着実にキャリアアップを目指しています。恋人だったバネッサ(メリッサ・バレラ)への思いはありますが、頭脳明晰のバネッサの未来を案じて身を引きました。そしてバネッサは傷ついて帰ってきたのです。理由は差別されたことに通じます。
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本映画『イン・ザ・ハイツ』はこの若い四人の青春という大風呂敷なる舞台上で、ヒップホップ、ダンス、美しい映像美を持って諸問題の解決を目指す展開となっています。けれども、根本的な問題である「差別・偏見」に対して、戦って、解決したのかと問われると「No!」というしかありません。ここには「諦め」も含まれているような気がするのです。「いくら俺たちが声高に差別について訴えてもなにも変わらない」そして「だったら現状のまま生きた方が良い」となってしまうのです。ウスナビはあれだけ祖国ドミニカで店を開くと豪語していましたが、結局はワシントン地区に残ります。バネッサはダウンタウン行きを止めて、ワシントン地区で店を開きます。そしてふたりはめでたく結婚して娘を授かっています。「うーん」って感じなんですよ。「小さくまとまったなあ」と思うわざるを得ないのです。
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映画『イン・ザ・ハイツ』の結末
さて、本映画『イン・ザ・ハイツ』ですが、上気した通り、本当はとてもシリアスな物語です。でも、わたしたちにはほとんど理解不能というか、無関心な内容とも映ります。本映画『イン・ザ・ハイツ』を観て、「人種差別反対」と声を上げて運動を展開する人ならいざ知らず、「リラックスして」楽しんで観ることをオススメします。1度目はそれで良いと思いますが、2度目、3度目の鑑賞の際はアメリカ社会について勉強してからをオススメします。
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映画『イン・ザ・ハイツ』のキャストについて
ウスナビ(アンソニー・ラモス)
ベニー(コーリー・ホーキンズ)
ニーナ(レスリー・グレイス)
バネッサ(メリッサ・バレラ)
アブエラ(オルガ・メレディス)
ダフネ・ルービン=ベガ
ソニー(グレゴリー・ディアス4世)
ステファニー・ベアトリス
ジミー・スミッツ
まとめ 映画『イン・ザ・ハイツ』一言で言うと!
「60年前となにも変わってないよ」
本映画『イン・ザ・ハイツ』はエンタメ映画をしては最高だと思います。それゆえに見落としてしまう現実があります。結局、アメリカ社会で生きるラテーノたちは立場は何も変わっていないということです。
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映画『ほしのこえ』
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映画『リヴァプール、最後の恋』
映画『イン・ザ・ハイツ』の作品情報
映画.comより一部引用
スタッフ・キャスト
監督
ジョン・M・チュウ
製作
リン=マニュエル・ミランダ キアラ・アレグリア・ヒューディーズ スコット・サンダース アンソニー・ブレグマン マーラ・ジェイコブス
製作総指揮
デビッド・ニックセイ ケビン・マコーミック
原作
リン=マニュエル・ミランダ
脚本
キアラ・アレグリア・ヒューディーズ
撮影
アリス・ブルックス
美術
ネルソン・コーツ
衣装
ミッチェル・トラバーズ
編集
マイロン・カースタイン
作詞
リン=マニュエル・ミランダ
作曲
リン=マニュエル・ミランダ
振付
クリストファー・スコット
音楽監修
スティーブン・ギジッキ
ウスナビ(アンソニー・ラモス)
ベニー(コーリー・ホーキンズ)
ニーナ(レスリー・グレイス)
バネッサ(メリッサ・バレラ)
アブエラ(オルガ・メレディス)
ダフネ・ルービン=ベガ
ソニー(グレゴリー・ディアス4世)
ステファニー・ベアトリス
ジミー・スミッツ
2021年製作/143分/G/アメリカ
原題:In the Heights
配給:ワーナー・ブラザース映画