スパイク・リー監督『ブラック・クランズマン』は人種差別問題をコメディータッチで描くことで痛烈なメッセージ送った。ネタバレ、あらすじ、感想。

2019年製作
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ブラック・クランズマン : 作品情報 - 映画.com
ブラック・クランズマンの作品情報。上映スケジュール、映画レビュー、予告動画。黒人刑事が白人至上主義団体「KKK(クー・クラックス・クラン)」潜入捜査した実話をつづったノンフィクション小説を、...

『ブラック・クランズマン』(135分/米/2018)

原題 『BlacKkKlansman』

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平和、安全、自由な日本に住んでいたらわからない人種差別とは。重いテーマでもスパイク・リーにかかると笑ってしまう。

近年、人種差別をテーマにした映画が多い理由

日本に住んでいると人種差別に遭うことなどほとんどないだろう。海外へ行って初めて差別を感じた経験を持つ人も多い。日本は平和、安全、差別なし、自由がある程度尊重された素晴らしい国であると実感できる。これほど良い国はないと思う。この映画は人種差別について描かれている。テーマとしてはとても重いがスパイク・リー監督に手に掛かるとコメディー作品になってしまう。最近、人種差別を描く映画が多い。『ビール・ストリートの恋人たち』『グリーンブック

KKKとか白人至上主義者とか、一体何なだろうか。

人権派は眉を潜めるかもしれないが、こういうコメディータッチの方が説教くさくないので、多くの人々に伝わると思う。さすがスパイク・リーだ。“KKK”を知っているだろうか?白人至上主義団体だ。思想的には黒人、黄色人種、ユダヤ人や非キリスト教徒は人間として劣等であり、人権を認めないという狂信的な人たちの集まりだ。アメリカに住む白人たちの本音にはこういった優生学が今でもあると思う。

差別されて初めて自分が日本人であるとわかる

私が若い頃アメリカを放浪していた時、白人青年と出会いしばらく一緒にヒッチハイクを繰り返した。南部の街の小さなハンバーガーショップへ入った時のことだ。店員は私を見るなり「ジャップ、出て行け」と言い放った。私は何のことかわからなかった。周りを見ると客は全て白人で、有色人種は私だけであった。皆は私を侮蔑するような目で見ていた。結局私はハンバーガーすら注文が出来ず店を出た。その時、私が最もショックを受けたのは一緒にいた白人青年が私の元からそっと離れたことだ。多分彼の防衛本能が働いたのは言うまでもないが、根本的な差別的な思想が垣間見えたのだ。そんな経験がある人もいるのではないか。

黒人がKKKへの潜入捜査するというありえない設定が効いてくる。

さて、物語は黒人の新米刑事がKKKへコンタクトをとり潜入捜査を試みる話だ。でも潜入は電話だけで、実際はKKKに入り込むことは不可能だ。代わりに白人刑事を送り込む。ただその狙いはなんなのかはっきりしない。組織の壊滅を目指しているのか、犯罪抑止力のためなのかわからない。でもそんなことはどうでもよくなってくる。その時は既にスパイク・リーの術中にはまっているからだ。

優性と言われている白人が劣性と言われてる有色人種に徹底的にバカにされるのが最高

この映画の見所はこの黒人刑事が徹底的に白人バカにしている点に尽きる。KKKは先にも述べたように有色人種を白人より劣る生き物と決めつけている。でもスパイク・リーはそれを逆手にとって白人のバカな連中の集まりと黒人に騙され、いとも簡単に操られる様を見事に描いてどちらが本当のバカなのかを軽快に表している。とても素晴らしい演出だ。本当にここに登場している白人はおバカさんなのだ。

ドキュメンタリー調、MTV調、サスペンス調、アート調と多彩な画面構成で飽きさせない。

映画の構成も面白い。白黒映像を用いてのドキュメンタリーの雰囲気を出したり、70年代のリズムアンドブルースに乗せての展開から、カメラを水平ではなく斜めに構えて不安な気持ちにさせたりと、飽きることがない。しかも全体的な作りはシリアスではなく思いっきりコメディーなのだ。そして最後に痛烈な映像を差し込んできている。今現在、アメリカで起きている白人至上主義者たちのヘイトスピーチの映像だ。これにはハッとさせられる。本当に上手くまとめている。そしてスパイク・リーのメッセージをしっかりと胸に焼き付けられるのだ。お見事だ。

*本作は第71回カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞。第91回アカデミー賞では作品、監督など6部門にノミネートされ、脚色賞を受賞した。

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映画のことなら映画.comより引用

スタッフ
監督スパイク・リー
製作ジョーダン・ピール
脚本チャーリー・ワクテル 
デビッド・ラビノウィッツ ケビン・ウィルモット スパイク・リー
撮影チェイス・アービン
美術カート・ビーチ
編集バリー・アレクサンダー・ブラウン
音楽テレンス・ブランチャード

キャスト
ジョン・デビッド・ワシントンロン・ストールワース
アダム・ドライバーフリップ・ジマーマン
ローラ・ハリアーパトリス・デュマス
トファー・グレイスデビッド・デューク
ヤスペル・ペーコネンフェリックス
コーリー・ホーキンズクワメ・トゥーレ
ライアン・エッゴールドウォルター・ブリーチウェイ
マイケル・ジョセフ・ブシェーミ
ポール・ウォルター・ハウザーアイヴァンホー
アシュリー・アトキンソンコニー
作品データ
原題 BlacKkKlansman
製作年 2018年
製作国 アメリカ
配給 パルコ
上映時間 135分
映倫区分 G

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