映画『ベン・イズ・バック』(103分/米/2018)
原題 『Ben Is Back』
映画『ベン・イズ・バック』の作品情報
【原題】
『Ben Is Back』
【製作年】
2018年
【製作国】
アメリカ合衆国
【上映時間】
103分
【日本公開】
2019年
【世界公開】
2018年
【監督】
ピーター・ヘッジズ
【脚本】
ピーター・ヘッジズ
【キャスト】
ジュリア・ロバーツ
『プリティ・ウーマン』『ノッティングヒルの恋人』『ペリカン文書』『エリン・ブロコビッチ』『デュプリシティ スパイは、スパイに嘘をつく』
ルーカス・ヘッジズ
『ムーンライズ・キングダム』『ゼロの未来』『グランド・ブダペスト・ホテル』『Three Billboards Outside Ebbing, Missouri』
キャスリン・ニュートン
『バッド・ティーチャー』『パラノーマル・アクティビティ4』『スリー・ビルボード』
コートニー・B・バンス
『ターミネーター:新起動 ジェニシス』『犬ヶ島』
映画『ベン・イズ・バック』の作品概要
『プリティ・ウーマン』や『ノッティングヒルの恋人』のジュリア・ロバーツが母親役を熱演。コカイン、麻薬等の薬物はどれほど恐ろしいかを訴える物語である。家族の中から薬物依存者が出たらそれは地獄の始まりの日々を意味する。一度、薬物に陥ったら並大抵の努力では抜け出せない。本人も家族も友人も失くし、破滅へと向かう。絶対に薬物に手を出してはいけないことを伝えてる映画だ。
映画『ベン・イズ・バック』のあらすじとネタバレ
寒いクリスマスイブの日、薬物施設から息子が突然帰ってきた。
家族にとっては歓迎できない帰省だ。ジュリア演じるホリーには子供が4人いる。全夫の息子であるベン(本作の主人公)、娘アイヴィーと現夫との間に男女。
ベンは薬物依存どころか売人もやっていた。それだけで家族にとっては大きな負い目であり恐怖だろう。
ベンはクリスマスを家族と過ごしたかったというが、皆が反対する中、母親だけは気持ちを同じにしてくれた。
しかし、故郷にはかつての薬物仲間や売人がたくさんいる。それが一番の誘惑であり依存なのだ。
果たしてベンと家族は薬物を断ち切ることができるだろうか、、、、。
映画『ベン・イズ・バック』の感想と評価
自身の子供た薬物依存になっていく様を辛いだろう 見ていられない
本年になってアメリカ映画の薬物をテーマにした作品は2本目になる。
『ビューティフル・ボーイ』こちらは父親が息子の薬物依存を救おうと必死になる物語だ。
本作『ベン・イズ・バック』は母親が息子を助ける物語だ。
両作品とも親の苦闘、苦悩を軸に展開している。やはり自身の子供が薬物に溺れて堕落していく姿は辛いものだ。
いくら自制を促しても薬物は悪魔のように囁いて近ずいてくる。逃れよう逃れようと格闘しても追いかけてくる。
一度、薬物の快楽を知ってしまうと脳みそが条件反射のごとく思い出すのだ。ある薬物患者の言葉を思い出した「脳みそからよだれが出るほど気持ち良い」と。
その快感はよくわからないが、抜け出せないアリ地獄に陥った最後なのだろう。
アメリカ合衆国の暗部 薬物は撲滅できないのか
本作『ベン・イズ・バック』も『ビューティフル・ボーイ』もアメリカ社会の負の部分に着目した作品である。
アメリカ社会は自由だ。
自由の国と謳っているから薬物が自由とは限らない。
でもずっと昔から薬物がはびこり、人々を苦しめてきたのに未だに撲滅されていないのは何か理由があるのだ。
それは薬物で成り立っているビジネスモデルの存在だ。
“やる人、売り人、治す人”のピラミッドがある。
その人たちそれぞれで何らかのメリットがあるのだろう。一番悪いとされているのは無論売る人だ。
あれだけの大国だから、政府が一丸となって薬物販売の元締めを一斉に検挙することもできるはずだが、やらないのはなぜだろう。
薬物依存の息子の帰省で壊れていく家族
さて、映画は正直言って救いようのない話だ。薬物依存施設に送られていた息子が帰郷することで静かだった暮らしに不協和音が鳴り響く。
彼の帰郷によって全てが狂い出すのだ。息子はクリスマスだから帰ってきたが、薬物への欲求を捨てきれていない。
母親は息子を信じるが、結局は裏切られる。はっきり言って息子はクズだ。こんなクズにしたのも薬物のせいだろう。
本当に恐ろしい。薬物と縁を切るなら薬物のない国へ行くしかないだろう。
アメリカでは不可能だ。故郷にはかつて売人もいるし、誘惑も多い。どこへ逃げてもそっと忍び寄ってくる。
薬物依存の戦いは薬物との戦いというより“売人との戦い”なのだ。
この母と息子は互いに依存し合っている 甘やかせ過ぎではないか
映画を観ていて感じたのはジュリア・ロバーツ演じるホリーの強い母性愛だ。
同時に息子は孤独なゆえにマザコンにならざるを得ない。両者共に依存しているのだ。
そりゃ、確かに血を分けた我が子が可愛いかもしれないが、私から見たら甘やかしすぎなのではと言いたくなるのだ。
アメリカ社会では一度、薬物にハマったら並大抵の努力では抜け出せないことはわかっているはずだ。
息子は施設から許可が出たと言って帰省するが、それが嘘とわかった時点で送り返さなきゃいけないだろう。
結局、両者はそれぞれの首を絞めてしまって更なる深みに陥ってしまったのだ。
君子危うきに近寄らずと認識していても薬物がやってくる社会
このベンが薬物に陥るきっかけは怪我をして鎮痛剤と言われるオピノイドを処方されてからとあった。ケシの実から作られる立派な麻薬だ。
これによってアメリカは多くの死者を出しているようだ。
実際のアメリカ社会に住んでいないし、薬物中毒者にも会ったことがないので何ともコメントできないが、“君子危うきに近寄らず”が大事なのではないだろうか。
もちろん親も子供が薬物に行かないようにちゃんとしたコミュニケーションをとることが重要だと改めて感じた映画だった。
*それにしてもジュリア・ロバーツの顔のパーツは大きくて力強いと感じた。目鼻も眉毛も耳も全てが女優を主張している。
『プリティー・ウーマン』の時も可愛らしかったが、年輪が加わって更に魅力的になったように感じる。
映画『ベン・イズ・バック』まとめ 一言で言うと!
“君子危うきに近寄らず”絶対に薬物禁止!
もう、これしか言えません。いくら薬物が蔓延しているアメリカ社会と言えど全員が全員、薬物と関わるはずがないと信じたい。ちゃんとして人間関係を築いている場所には薬物はないでしょう。
*タイトルの『Ben Is Back』だが、ベンは帰ってきたのか?この映画の意味合いはベンが薬物を断ち元に戻ったことを指している。しかし、ベンは薬物状態に戻ってしまった。違う方向に“帰ってしまった”のだ。
一体、どこに帰ってきたのだろうか。
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以下、薬物依存との戦いを描いた『ビューティフル・ボーイ』
以下、薬物依存、アルコール依存についての描写がある映画
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『ビューティフル・ボーイ』
『ホイットニー ~オールウエイズ・ラブ・ユー〜』
『暁に祈れ』
『アリー/ スター誕生』
『エリック・クラプトン~12小節の人生~』
『ボヘミアン・ラプソディ』
アルコール依存症
『ドント・ウォーリー』
『魂のゆくえ』
『アメリカン・スナイパー』
こちらはギャンブル依存
『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』
監督
ピーター・ヘッジズ
製作
ニーナ・ジェイコブソン ブラッド・シンプソン テディ・シュワルツマン ピーター・ヘッジズ
製作総指揮ダニエル・ステインマン マイカ・グリーン ダン・フリードキン ベン・スティルマン マイケル・ハイムラー ジェーン・エバンス ミッキー・リデル ピート・シレイモン脚本
ピーター・ヘッジズ
撮影スチュアート・ドライバーグ
美術フォード・ホイーラー
衣装メリッサ・トス
編集イアン・ブルーム
音楽ディコン・ハインクリフェ
音楽監修スーザン・ジェイコブスキャスト
ジュリア・ロバーツホリー
ルーカス・ヘッジズベン
キャスリン・ニュートンアイヴィー
コートニー・B・バンスニール作品データ
原題 Ben Is Back
製作年 2018年
製作国 アメリカ
配給 東和ピクチャーズ
上映時間 103分
映倫区分 G