映画『ルース・エドガー』のあらすじ・ネタバレ・解説・感想・評価から作品情報・概要・キャスト、予告編動画も紹介し、物語のラストまで簡単に解説しています。
映画『ルース・エドガー』公式サイトにて作品情報・キャスト・上映館・お時間もご確認ください。
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『ルース・エドガー』
(110分/PG12/アメリカ/2019)
原題『Luce』
【監督】
ジュリアス・オナー
【脚本】
J・C・リー ジュリアス・オナー
【製作】
ジョン・ベイカー ジュリアス・オナー アンドリュー・ヤン
【出演】
ナオミ・ワッツ
オクタビア・スペンサー
ケルビン・ハリソン・Jr.
ティム・ロス
【HPサイト】
映画『ルース・エドガー』公式サイト
【予告映像】
映画『ルース・エドガー』トレーラー
映画『ルース・エドガー』のオススメ度は?
星4つです
人間の本質などわからない
「良い子」を演じるのは疲れる
自由に生きたい時ってある
善人でも悪人でもどっちでも良いじゃないか
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映画『ルース・エドガー』の作品情報・概要
ルース・エドガー』原題『Luce』2019年にアメリカ合衆国で公開されたドラマ映画。ジュリアス・オナー監督作品。主演はケルヴィン・ハリソン・Jr。ナオミ・ワッツ、 オクタビア・スペンサー、ティム・ロスが脇を固める。人間が持つ二面性、あるいは単なる思い込みで生まれた疑念から人間関係が崩壊する様を描いている。J・C・リーの戯曲『Luce』を原作ととしている。
映画『ルース・エドガー』のあらすじ・ネタバレ
アフリカの小国エリトリアの内戦下で生まれた少年はゲリラによって殺人マシーンとして育てられていた。アメリカの白人夫妻のエイミー・エドガー(ナオミ・ワッツ) とピーター・エドガー(ティム・ロス)には子どもがなく、養子として少年を迎え入れた。名前は光を意味する“ルース”に。高校生に成長したルースは幼少の頃のトラウマを払拭しており、文武両道の期待の星。オバマ2世と言われている。しかしある日、学校に歴史教師ハリエット・ウィルソン(オクタビア・スペンサー) がルースの書いたレポートに過激思想があると両親に報告する。それから、、、。
映画『ルース・エドガー』の感想・内容
本映画『ルース・エドガー』を観た人の多くは何だかわからない“モヤモヤ”感に包まれることでしょう。作品のイメージとして黒人差別に対するメッセージ、あるいはサスペンス映画を思うかべて観に行った人も多いでしょう。もちろんそれらの要素はあります。しかしそれだけではない何か得体の知れない存在に心が振り回されます。映画のトップカットは高校のロッカールームが映し出されます。照明が抑えられています。「これから恐ろしいことが始まるのだ」と予感させます。
差別は絶対に許さない!
でも映画の色調はどんどんアメリカンなモノへと変わっていきます。もちろんハリウッドの西海岸的なカラフルなものではありませんが、ごくありきたりのアメリカの家や道や人々の顔も明るいです。主人公のルース・エドガー(ケルビン・ハリソン・Jr.) の笑顔が本当に綺麗なのです。笑った顔は太陽のように輝いています。人当たりも良いです。文武両道で、学校の期待の星です。彼はオバマ二世と言われています。
なぜ黒人というだけで逮捕されるのだ!
ルースの生まれはアフリカのエリトリア。彼は幼い頃から戦士として戦っていました。両親はいません。ゲリラ組織に洗脳され殺人マシーンへの道を真っしぐらでした。そんな状況下、エイミー・エドガー(ナオミ・ワッツ) とピーター・エドガー(ティム・ロス)がルースを養子として迎えてアメリカへ連れて育てます。白人の両親の元、黒人であるルースは何不自由なく成長していきます。両親にとっては自慢の息子です。
職業差別と女性差別が厳しかった時代がありました
しかし高校の歴史の先生であるハリエット・ウィルソン(オクタビア・スペンサー) がルースの提出したレポートに疑問を抱きます。物語はここから進展していきます。ルースの書いたレポートは、アルジェリア独立運動の革命家フランツ・ファノンの過激な思想を評価する内容だったからです。しかもルースの使っているロッカーから危険な花火が見つかりました。ハリエットは真っ先にエイミーに連絡します。
混乱したエイミーはピーターにも相談します。そして自身の息子が“恐ろしい怪物”なのではないかと苦悩するようになるのです。エイミー夫妻は子宝に恵まれなかったので、戦争孤児のルースを養子として迎え育ててきました。でもひょっとして彼は「過激思想」の持ち主であるのか、そしていつか「犯罪」を犯す存在になるのだろうかという疑念が払拭できません。この葛藤に悩むエイミー表情が秀逸なのです。我が子と思って育てたが「やはり洗脳は取り払えない」のか等を表す仕草が素晴らしいのです。
憧れのフランスのパリは差別社会かもしれない
映画『ルース・エドガー』の結末・評価
物語は終始、さざ波で揺れる船のように進んでいきます。ゆっくりとです。この映画『ルース・エドガー』の狙いはそこにあったと思います。観ているわたしたちは人を見た目や経歴で判断しがちです。一瞬で内面までは見抜くことは難しいです。映画の中のルースはまさに「完璧な人間」なのか、それとも「悪人なのでは」という考えにずっと揺れ続けるのです。最後まで揺れ続けます。映画を観終わってからも揺れ続けています。
ユダヤ人はなぜずっと差別されているのか?
とても難しい映画だと思います。しかも黒人差別に関するメッセージを全面に出していません。それが良かったと思います。この映画を観て何となく現代社会の生き辛さを垣間見た気がします。特に子どもたち。小さな頃からずっと「良い子」と言われて育てられてきています。良い子であることはとても辛いことではないでしょうか。良い子を演じることはイバラに座っているようなものです。同様にわたしたちの社会も一度のミスが許されないほど緊張感に包まれた日々を過ごしています。一度の失敗で会社をクビになるなんてことはザラです。昔はもっと寛容なる社会があったと思います。
ルースはまさに「良い子」でいるのに疲れ果てているのではないでしょうか。両親から、学校からの期待に押しつぶされそうになっており、たまには羽目を外したいのです。ガールフレンドの一人や二人いても良いのです。レポートで過激な内容を書いても良いのです。アメリカは自由の国なのではないのか、思想も自由に持って良いのではないか、人間には二面性があっても良いのではないか、そんな心の叫びが聞こえてきた映画でした。
黒人差別を笑いに変えてやれ!
映画『ルース・エドガー』のキャストについて
エイミー・エドガー(ナオミ・ワッツ)
心優しい母親です。養子であるルースを我が子のように育て、愛を注いでいます。若干、過干渉気味です。 ナオミ・ワッツもいい母親を演じる年齢になったと思います。まず目線が良いと思います。言葉に出さなくても彼女の目を見れば起きていることがわかります。
ハリエット・ウィルソン(オクタビア・スペンサー)
歴史教師です。正義感が強い。でも思い込みが激しい一面もあります。教員として間違いや不正に対して目を瞑っていられないタイプ。影の主役はオクタビア・スペンサーだと思います。大きな体なので豪快な演技かと思われますが、実に繊細な振る舞いでした。素晴らしいです。目線はもちろん、セリフの回し方、仕草まで無駄が全くありません。最後の涙する場面が良かったです。
ルース・エドガー(ケルビン・ハリソン・Jr.)
主人公。アフリカの小国エリトリア生まれ。殺人マシーンとして育てられていた時にエドガー夫妻の養子になる。文武両道の優等生。期待の星。ケルビン・ハリソン・Jr.の演技は素晴らしかった。最後まで「良い人」なのか「怪物」なのかわからないまま終わりました。今後、もっとも期待できる俳優でしょう。
ピーター・エドガー(ティム・ロス)
エイミーの夫でルースの父。ルースに対して少し距離感を持っていました。でも終盤、ルースを必死で守ります。そこには父親の愛情があったからでしょう。ティム・ロス、渋いですね。背中で演技ができる俳優さんになっています。『パルプフィクション』の鮮烈さが忘れられません。
まとめ 映画『ルース・エドガー』一言で言うと!
「わたしのプライバシーなど君には関係ない」
人間というのは他人のプライバシーにとても興味を持つ生き物です。特に恋人や配偶者に対して。なんとかして秘密を探ってやろうと躍起になりすぎるあまり、犯罪につながることもあります。多くは「嫉妬」から来る犯行です。親しい人に執拗な行いをすると必ずしっぺ返しがあります。もう元には戻れません。
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インドのカースト制度は終わらない
映画『ジョジョ・ラビット』
ユダヤ人差別が凄まじい
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映画『存在のない子供たち』
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映画『37セカンズ』
これは必見です!佳山明さんの演技がすごい!
映画『ルース・エドガー』の作品情報
映画.comより一部引用
スタッフ・キャスト
監督
ジュリアス・オナー
製作
ジョン・ベイカー ジュリアス・オナー アンドリュー・ヤン
製作総指揮
ロブ・フェン アンバー・ウォン J・C・リー
原作
J・C・リー
脚本
J・C・リー ジュリアス・オナー
撮影
ラーキン・サイプル
美術
リサ・マイヤーズ
衣装
ケリ・ランガーマン
編集
マドレーヌ・ギャビン
音楽
ベン・サリスベリー ジェフ・バロウ
エイミー・エドガー(ナオミ・ワッツ)
ハリエット・ウィルソン(オクタビア・スペンサー)
ルース・エドガー(ケルビン・ハリソン・Jr.)
ピーター・エドガー(ティム・ロス)
2019年製作/110分/PG12/アメリカ 原題:Luce 配給:キノフィルムズ、東京テアトル