映画『ゴッドファーザー』ネタバレ・あらすじ・結末・感想。コッポラvsブランドvsパチーノが描く「家族愛」世界最高映画。支配の先に光は見えず。
映画『ゴッドファーザー』のあらすじ・ネタバレ・解説・感想・評価から作品概要・キャスト、予告編動画も紹介し、物語のラストまで簡単に解説しています。
映画『ゴッドファーザー』IMDbサイトにて作品情報・キャスト情報をご確認ください。
YouTubeで予告映像もご覧ください。
『ゴッドファーザー』
(175分/G/アメリカ/1972)
原題『The Godfather』
【監督】
フランシス・フォード・コッポラ
【脚本】
フランシス・フォード・コッポラ マリオ・プーゾ
【製作】
アルバート・S・ラディ
【出演】
マーロン・ブランド
アル・パチーノ
ジェームズ・カーン
ロバート・デュバル
ダイアン・キートン
【HPサイト】
映画『ゴッドファーザー』IMDbサイト
【予告映像】
映画『ゴッドファーザー』トレーラー
映画『ゴッドファーザー』NHK BSプレミアム放送 4月29日(水)午後1時00分〜3時58分
4月29日(水)午後1時00分〜3時58分
「あなたの最も好きな映画は何ですか?」という質問をすると「ゴッドファーザーです」と答える人はとても多いです。
特に年配の方たちです。『ゴッドファーザー』が」単なるマフィアの抗争映画ではありません。
人間として「どう生きるか」「人生とは何か」「家族とは何か」を考えさせてくれます。
4月29日(水)午後1時00分〜3時58分よりNHK BSプレミアム放送されます。
是非とも観てください。
映画『ゴッドファーザー』のオススメ度は?
星5つです
文句なしの映画です
みんなが楽しめます
脚本・演出・撮影・編集が良い
特にニノ・ロータ音楽が最高です
俳優の演技も素晴らしい
人生について
生きるとは何か
映画『ゴッドファーザー』の作品情報・概要
ゴッドファーザー』原題『The Godfather』1972年に公開されたアメリカ映画。フランシス・フォード・コッポラ監督作品。マーロン・ブランド主演。マリオ・プーゾの小説『ゴッドファーザー』を映画化。公開されるや否や大ヒット。当時の興行記録を塗り替える。第45回アカデミー賞でアカデミー賞で「作品賞・主演男優賞・脚色賞」を受賞した。1990年にはアメリカ国立フィルム登録簿に永久保存登録された。当時としてはタブーであったマフィアネタを映画として真正面から扱った画期的な作品。マーロン・ブランドは落ち目であったが本作出演で絶対的な地位を確立した。
映画『ゴッドファーザー』シリーズ最高傑作です。
映画『ゴッドファーザー』のあらすじ・ネタバレ
幼少の頃、イタリア・シシリーを追放されニューヨークへたどり着いたドン・ビトー・コルレオーネ(マーロン・ブランド) は裸一貫で裏社会でのし上がってきた。マフィアのボスとして君臨している。娘の結婚式には多くのお客をもてなすのが風習であり、「断ることができない」子どもは短気な長男のソニー、気弱なフレドはドンの手伝いをしている。しかし三男マイケルは軍隊に行っており、まともな暮らしを切望していた。そしてマイケルは妹コニーの結婚式に恋人ケイを伴って帰ってきた。一見、優雅で幸せそうな雰囲気だ。それからコルレオーネファミリーは麻薬ビジネスの誘いを他のファミリーから打診される、しかしドンはキッパリと断る。それから他のファミリーとの諍いが始まっていく。
映画『ゴッドファーザー』の意味は?
ゴッドファーザーとはマフィアのトップであるボスをイメージさせます。しかし実際はキリスト教の洗礼式の立ち会い・契約の証人となる男性のことを指しています。日本式でいうと「名づけ親」あるいは「代父(だいふ)」のことです。女性の場合はゴッドマザー、「代母(だいぼ)」となります。
映画『ゴッドファーザー』の感想・内容
『ゴッドファーザー』こそ世界最高映画であることは間違いなし
この映画『ゴッドファーザー』についての感想は非常に難しいのです。
その理由はあまりにも偉大な作品であり、絶賛するしか無いからです。絶賛すればするほど安価なイメージを与えかねないからです。
でも、でもです。この映画『ゴッドファーザー』は映画史上最高の作品であり、今後何百年にも渡って語り続けれる映画であることは間違いありません。
上映時間が3時間近くありますが、まったく飽きることがありません。最初から最後まで釘付け状態で観てしまう吸引力のある映画です。
マーティン・スコセッシの描くマフィアの世界も圧巻
『ゴッドファーザー』を「マイ・ベスト・ムービー」とあがる人が多い
有名人の多くの「マイ・ベスト・ムービー」と聞かれるとこの『ゴッドファーザー』をあげる人が多いです。
そして経済・財界関係者から政界の人たちもこの『ゴッドファーザー』を愛している人が多いです。
この映画『ゴッドファーザー』は製作されたのは1972年です。今から約50年前にも関わらず多くの人の心を魅了する理由はなんでしょうか。
それはおそらく人間が生きていく過程で起きる諸問題をすべて内包しているからでしょう。
出生から死亡まで起きるあらゆることをです。
このボクサーもマフィアに翻弄されました
人生という舞台で起きる人間関係について描いている
人間は親の愛を受けながら成長していきます。友だちを作り、学校へ行き、勉強し、スポーツし、恋人を作ります。
仕事をして結婚して自身も子どもを育てます。その過程の中で多くの人間関係に悩み苦しみます。
映画『ゴッドファーザー』は人生を送る過程の中で起こる出来事に関わってくる人間関係に複雑さや煩わしさをどのように乗り越えていくかを教授してくれます。
わたしたちは日々“人間関係のストレス”の中で暮らしています。人生の悩みの90パーセントはこれに当たります。
映画『ゴッドファーザー』は人生という舞台で起きる人間関係はみな同じであると訴求していることが共感を得ていると思います。
映画『ゴッドファーザー』の考察・評価
『ゴッドファーザー』同じくみんなが人生という舞台では悩みを抱えている
『ゴッドファーザー』を観ていると、登場するキャラクターのそれぞれに自分を置き換えて考えてみると、事の大きさは違えど「結局みんな同じように悩んでいるのだ」と痛感させられるのです。
ドン・ビトー・コルレオーネ(マーロン・ブランド) は寝ても覚めてもファミリーのことが心配です。
マイケル・コルレオーネ(アル・パチーノ) は愛するケイが自分を嫌いにならないかばかり考えています。
ケイ・アダムス(ダイアン・キートン) はマフィアのボスに嫁いだ自分を責めています。
トム・ヘイゲン(ロバート・デュバル) はイタリア系でないことに引け目もありますが、恩義のために懸命に生きる姿があります。
さて本映画『ゴッドファーザー』の素晴らしさを冷静に分析してみました。どこが他の作品を圧倒しているかを列挙してみました。
- 脚本が良いから飽きない
- 演出が良いから入り込める
- 撮影が良いから気持ちいい
- 編集が良いから集中できる
- 音楽が良いから恍惚感を味わえる
- キャスティング(俳優)が良いから安心感がある
- 演技が良いから憧れる
- 美術が良いからイタリアへ行きたくなる
- 家族愛があるから共感できる
- 友情物語があるから電話したくなる
- 人間の成長物語があるから将来を楽観できる
- 笑いとユーモアも若干あるから救われる
- 恐怖と安堵のバランスが良いからメリハリがある
- アクションもあるから緊張感を覚える
- 泣けるからストレス発散になる
- 楽しめるから幸せな気持ちになる
- 共感できるから一人じゃないと感じる
- 人間とは何かについて考えさせられる
- 人生とは何かについて学べる
- 本当に愛の存在を探したくなる
今、頭に浮かんだことをザッと並べてみました。
もうすべてにおいて100点満点だと言えるのです。
ただ子どもにはまだ理解ができないかもしれません。ある程度、成長したら子どもと一緒に観ても楽しめる映画であることは間違いありません。
人間の喜怒哀楽のすべてを網羅した映画です。もちろんそれプラス、第六感的な感性を揺さぶる雰囲気を醸し出しています。
その感性とは観終わってから、何か心に“ズッシリ”と残るものです。それは人によって異なります。
つまりその時その時にわたしたちが抱える諸問題に呼応していると思うのです。
人間関係の煩わしに悩まされている時に観るのと、開放的な気持ちで観るのではまったく異なるズッシリ感があります。
ただ絶望的な気持ちにはさせない映画だと思います。
なぜなら、この映画『ゴッドファーザー』は恐ろしいくらいに絶望的だからです。
自分がいかなる辛い状況下でもさすがにこのコルレオーネファミリーに加わる恐ろしさと比べたら救われます。
本場イタリアのマフィアは恐ろしすぎる
支配の先に見える光はどんな物なのか、、、
映画『ゴッドファーザー』はイタリア系のコルレオーネファミリーの強い「家族愛」を守り抜くことが主軸です。
しかし守ろうとすればするほどタガが緩むものです。それは支配することとなんら変わりません。人を支配することほど“苦痛”はないのではないでしょうか。
ドン・ビトー・コルレオーネは「断れない提案」を出して人々を支配してきました。
ソニー・コルレオーネ(ジェームズ・カーン) は暴力で支配していく人間です。
マイケル・コルレオーネ(アル・パチーノ) は優しさで人を支配していく人間から知力で支配していく人間へと変貌して行きます。
そしてケイ・アダムス(ダイアン・キートン) を支配するのに手を焼きます。
そして映画の最後はコルレオーネファミリーは他のマフィアから支配されそうになって逆支配に打って出たのです。
これが必ず報いを受ける日が来るのは如実にわかります。(わたしたちも日常生活で誰かを支配しているかもしれません。子どもに対してです)
映画『ゴッドファーザー』の結末
『ゴッドファーザー』でゾクッときた場面
「トップカットの葬儀屋の語りエンドカットのケイの顔」
この二つは韻を踏む形で用いられていると思います。
葬儀屋のボナセーラは娘が乱暴され、暴行した相手を殺して欲しいと依頼するのですが、顔にはドン・ビトー・コルレオーネに対する恐れが隠しきれません。でも娘を暴行した相手が許せません。
この場面はキリスト教の「告解」と「懺悔」の意もあると思います。
本来なら神に対してのみ行うのですが、マフィアのドンであるコルレオーネにお願いするのはもはや神は何もしてくれない、頼れるのはドンだけ、つまりドンが神である、という印象をトップカットで明言させています。
最初は恐ろしさいっぱいのボナセーラはドンと抱擁して安心した顔になります。その顔は教会を出てきた後の顔のようです。
ちなみに娘の結婚式にそんな殺しの依頼をしてくるのは失礼かと思われますが「シチリア人は娘の結婚式に頼まれたお願いは断れない」そうです。
そしてエンドカットのケイですが、これはボナセーラと違ってマイケルに対しての疑心の顔に満たされています。
まるで恐ろしい存在を認識した顔です。キリスト教で恐ろしいのは「悪魔」です。
ケイは先ほど「殺していない」という言葉に安堵しマイケルと抱擁したばかりです。
でも、でもです。扉の向こうのマイケルはもはやかつて自分が知っている優しいマイケルではありません。
恐ろしいマフィアのドンです。
この先、訪れる災いが予感できます。
ケイの顔には不安と恐怖の未来が読み取れます。そして扉はケイとマイケルの幸せを遮断するかのように締められます。なんとも恐ろしいエンドカットでしょうか。
ドン・ビトー・コルレオーネを神の存在と例えたトップカットとマイケル・コルレオーネを悪魔と例えたエンドカット。この二つは背筋を凍らせるほどの演出だったと言えます。
「結婚式と葬儀の合間に繰り広げられる画策」
トップカットの緊迫感はドンの娘コニーのめでたい結婚式の様子をカットバックさせることでより一層、恐怖感が煽られました。
そしてこの結婚式の最中にも多くの人間模様を見ることができます。
他のファミリーたちの会合や、部下たちの動き。マイケルだけがまともな仕事をしている様子などもです。
そしてドンの葬式の時も同様に血なまぐさい連中が集まっています。
めでたい結婚式と悲しい葬式の舞台の中を用いての人間関係を浮きぼりにさせるやり方は黒澤明御用達の演出でした。
それをコッポラは最高に形に昇華させています。そしてコニーの子どもの洗礼式の最中にマフィアのボスを暗殺するカットバックも秀逸でした。
最後になりましが、『ゴッドファーザー』シリーズの最高傑作は『ゴッドファーザー PART II』と言われています。わたしもそう思います。とても楽しみです。
ウイル・スミス主演のギャングは新世代です
映画『ゴッドファーザー』のキャストについて
ドン・ビトー・コルレオーネ(マーロン・ブランド)
コルレオーネファミリーの絶対的なボス。“ドン”です。幼少の頃、村を追われてアメリカ大陸に一人でやってきました。裸一貫でファミリーを築き上げました。麻薬ビジネスには一切手を出しません。周りから「古い」と揶揄され暗殺未遂に遭います。もやはマーロン・ブランドしかこの役はできないでしょう。圧巻です。体型も声も動作も雰囲気も他の俳優を支配しています。
マイケル・コルレオーネ(アル・パチーノ)
ドン・ビトー・コルレオーネの三男。父のビジネスを嫌い軍隊に入っています。恋人のケイとの将来を考えています。当初は大人しい好青年でした。しかし次第に本当の姿が現れます。冷酷な顔です。アル・パチーノの演技の素晴らしかったです。やはりドンが撃たれてからの人格が変化していく様が怖いです。初めての殺人の際に拳銃を捨て去る時の動作が印象的です。手で「お前たちわかっているよね」と脅しています。
ソニー・コルレオーネ(ジェームズ・カーン)
ドン・ビトー・コルレオーネの長男。とても短気で一度火がついたら抑えられない性格。特に妹のコニーを可愛がっており、夫のカルロを痛めつけようと出かけた際に銃撃されます。わたし的にはこのソニーのような人間は好きです。裏表がありません。ジェームズ・カーンの暴れっぷりはすごかったです。
トム・ヘイゲン(ロバート・デュバル)
ドン・ビトー・コルレオーネの養子。身寄りがなかったため引き取られる。頭脳明晰で弁護士。ドンの相談役。人の才能を見抜く能力に長けている。マイケルがゴッドファーザーになることを予見していた。ロバート・デュバルは落ち着いた演技は激しい展開の中ではとても良いエッセンスになっています。
ケイ・アダムス(ダイアン・キートン)
マイケルの恋人で後に妻となります。当初はマフィアのことに無知でした。マイケルをこよなく愛していましたが、マイケルの消息不明となったことでファミリーから遠ざかります。しかし再び現れたマイケルと結婚し子どもを産みます。ダイアン・キートンは唯一、アメリカ系の女性のイメージをスクリーンに残します。ファミリーに受け入れられるか心配でしたが、結婚して良かったです。ダイアンの一番の演技はやっぱり最後の場面でしょう。マイケルと抱擁して安心した顔の後にもう一度、マイケルの部屋を見る場面です。映画はこのカットで終わります。その時のダイアンの顔がとても良かった。
まとめ 映画『ゴッドファーザー』一言で言うと!
「支配欲を無くせば世界は平和になる」
これは難しいでしょう。人間も動植物も本能に刷り込まれています。無理です。森の中の植物を見てもわかります。タネが芽吹いたら「我先に」と太陽の光を目指します。近くに大きな気があれば、それに絡みついて上へ上へと目指して行きます。他の者を利用し、支配して自分がテッペンに立ちたいのです。
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映画『マリッジ・ストーリー』
男女の距離感がとても芸術的です
映画『ゴッドファーザー』
陰影が恐ろしさを助長します
映画『レイジング・ブル』
スクリーンに引き込まれるほど美しくて怖い
映画『ミリオンダラー・ベイビー』
死の瞬間はこれほど美しいのだろうか
https://undazeart.com/million-dollar-baby/
映画『ゴッドファーザー』の作品情報
映画.comより一部引用
スタッフ・キャスト
監督
フランシス・フォード・コッポラ
製作
アルバート・S・ラディ
原作
マリオ・プーゾ
脚本
フランシス・フォード・コッポラ マリオ・プーゾ
撮影
ゴードン・ウィリス
音楽
ニーノ・ロータ
ドン・ビトー・コルレオーネ(マーロン・ブランド)
マイケル・コルレオーネ(アル・パチーノ)
ソニー・コルレオーネ(ジェームズ・カーン)
トム・ヘイゲン(ロバート・デュバル)
ケイ・アダムス(ダイアン・キートン)
クレメンザ(リチャード・カステラーノ)
ジャック・ウォルツ(ジョン・マーレイ)
ジョニー・フォンテーン(アルベルト・デ・マルチーノ)1972年製作/175分/G/アメリカ
原題:The Godfather