映画『ダーティハリー5』のあらすじ・ネタバレ・解説・感想・評価から作品概要・キャスト、予告編動画も紹介し、物語のラストまで簡単に解説しています。
映画『ダーティハリー5』IMDbサイトにて作品情報・キャスト情報をご確認ください。
YouTubeで予告映像もご覧ください。
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『ダーティハリー5』(90分/アメリカ/1988)
原題『The Dead Pool』
【監督】
バディ・バン・ホーン
【脚色】
スティーブ・シャロン【製作】デビッド・バルデス【出演】
クリント・イーストウッド
パトリシア・クラークソン
リーアム・ニーソン
エバン・C・キム
映画『ダーティハリー5』NHK BSプレミアム放送 3月25日(木)午後1時00分〜2時32分
3月25日(木)午後1時00分〜2時32分
クリント・イーストウッド主演作品『ダーティハリー』シリーズが遂に終焉です。第一作が始まったのが1971年。あれから実に17年です。
クリント・イーストウッド、しっかりと年齢を重ねてきました。額も広くなってきました。顔のシワに男の歴史を感じます。
ネクタイに背広姿がとても似合っています。一応、本作でも走ります。
お約束通り女性と一夜を共にします。
映画『ダーティハリー5』のオススメ度は?
星3つです
クリント・イーストウッド、歳をとりました
ネクタイと背広が似合う年齢になりました
走ってますが「大丈夫?」と声をかけたくなります
また美女と一夜を過ごします
シリーズ最終章です
映画『ダーティハリー5』の作品情報・概要
『ダーティハリー5』原題『The Dead Pool』1988年に公開されたアメリカ映画。監督はバディ・ヴァン・ホーン。彼はクリント・イーストウッドのスタンド・ダブルとして有名。『ダーティハリー』シリーズがスタートして17年。本作が最終作品。
映画『ダーティハリー5』のあらすじ・ネタバレ
サンフランシスコ市警のハリー・キャラハンは、違法賭博の元締めであるジェネロを逮捕・有罪に追い込み、市民から喝采を浴びる。ハリーに恨みを持つ者は多く、ギャングたちは暗殺を目論むがことごとく失敗する。ハリーが愛用の44マグナム・S&W M29で返り討ちにする。ギャングたちとは別にサンフランシスコでは奇妙な殺人事件が起きる。「死亡予想」と称した紙に標的となる人物があり、次々と殺されていく。そしてハリーの名前も記載される。視聴率欲しさに近寄ってきた女性リポーターの命を助け一夜を共にする。そして連続殺人犯を追い詰めていく。
映画『ダーティハリー5』の感想・内容
『ダーティハリー』シリーズ遂に完結
『ダーティハリー』シリーズ最終作品です。1971年に第一作がスタートして実に17年余り。ようやく完結です。
と言っても前作『ダーティハリー4』で実質終わっていても良いはずなのですが、何らかの理由で作られたと思います。
この映画『ダーティハリー5』のクリント・イーストウッドを見ると「年取ったなあ」という印象を強く受けます。
かなり髪の毛も後退しています。それと顔もしわくちゃです。
この時のクリント・イーストウッドは58歳です。姿勢は相変わらず良いですね。
ネクタイ姿も似合っています。ひょっとして現場から離れて“背広組か”と思わせる風貌になっています。
でも、でもです。本作では走る姿もちゃんとあります。やはり刑事物は走らないとダメです。
クリント・イーストウッドのダメっぷり刑事を見よ!
監督のバディ・バン・ホーンはクリント・イーストウッドの「スタンド・ダブル」
さて、この映画『ダーティハリー5』の監督はバディ・バン・ホーンです。
この名前を聞いてピンと来る人はかなりのクリント・イーストウッドフリークです。
バディ・バン・ホーンはクリント・イーストウッドの「スタンド・ダブル」です。
スタンド・ダブルとは主役の影武者のことで、危険なアクションとか、死体とか、女優の場合はラブシーンでのトップレスの場面などで代わりに出演します。
記憶に新しいのはタランティーノ監督の映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』のブラッド・ピットです。
レオナルド・ディカプリオのスタンド・ダブルを演じていました。
バディ・バン・ホーンは映画『荒野のストレンジャー』のダンカン保安官役がとても有名です。
(『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』ではナタリーポートマンのスタンドダブル的な役柄のイメージがある、キーラ・ナイトレイはちゃんとした影武者役です)
バディ・バン・ホーンが演じるダンカン保安官
バディ・バン・ホーンがシリーズ完結を監督する理由は、、、
そのバディ・バン・ホーンは実は単なるスタンド・ダブルではなく多くの映画も監督しています。
主にクリント・イーストウッド主演映画です。『ピンク・キャデラック』『ダーティファイター 燃えよ鉄拳』など。
本映画『ダーティハリー5』の最後をバディ・バン・ホーンが監督するのはクリント・イーストウッドが彼に送る感謝の印かもしれません。
(いや、ハリウッドはそんなお情け的なことはしないので、クリント・イーストウッドを演出できる人はバディ・バン・ホーンしかいなかったのでしょう)
バディ・バン・ホーン監督作品
映画『ダーティハリー5』の考察・評価
クリント・イーストウッド映画は「空撮で始まり空撮で終わる」
さて映画『ダーティハリー5』のトップカットは夜のサンフランシスコから始まります。空撮です。
クリント・イーストウッドの映画は「空撮に始まり空撮に終わる」というくらい、空から街を俯瞰します。
まるで地上にうごめく人間どもを嘲笑うようなイメージがあります。最も西部劇作品では空撮はありません。
逆にロングショットが多いです。
本シリーズ『ダーティハリー』で空撮から始まるのは『ダーティハリー4』と本作の『ダーティハリー5』です。おそらくバディ・バン・ホーンはクリント・イーストウッドの趣向を重んじたと思います。
ギャングたちが必ず襲ってくる意味は、、
さて映画『ダーティハリー5』は相変わらずハリーは強引な捜査を貫いています。
今回もサイコパスな凶悪犯罪が起きます。「死亡予想」というゲームを楽しむ異常者を追いかけます。
ここでこの『ダーティハリー』シリーズの特徴をもう一度確認してみます。
各シリーズには主要な“凶悪犯”がいます。しかし凶悪犯を追いかけるハリーとハリーに恨みを持つギャングたちの襲撃も忘れてはいけません。
本筋とは違うギャングが登場するのです。不意打ちのように襲って来るのが特徴です。
本来ならこのギャングたちとの抗争だけで一本の映画が作れるのでは、と思ってしまうのですが、このシリーズはそれをしません。ここに大きな特徴があるのです。
時代は変われどクリント・イーストウッドはずっと戦ってます
ギャングより恐ろしい犯罪者がいる
ギャングたちの犯罪よりもっと陰湿でおぞましい思考を持った人間に焦点を当てているのです。
これはアメリカも日本も同じだと思いますが、文明が発展・発達するとどうしても社会に埋もれてしまう者が出てきます。
はみ出し者といってしまえばそれまでですが、そういう人物の多くは異常な“性癖”を持っている傾向があるようです。
彼らを見つけるのは難儀です。
ギャングについては乱暴な言い方をすれば“必要悪”と言ってしまうことも可能です。ギャングたちも何らかの役に立っている可能性があります。
何らかの抑止力にもなっていると言って良いでしょう。
この映画は気持ち悪かった
「ギャングなどもう怖くない。怖いのはサイコパスだ」
しかし『ダーティハリー』に登場する凶悪犯罪者は“必要悪”とは言い切れません。何ら人や社会や国に寄与することがないのです。
単なる愉快犯であり、自己満足な人間なのです。最近では自己愛性パーソナリティー障害という言い方があります。
自己中心的で大騒ぎして劇場型に展開することで己の快楽に酔いしれるのです。
『ダーティハリー』シリーズのい本道はこういう異常者であり、ハリーを襲撃するギャングたちを単なるお飾りにしているところがとても重要なのです。
これは以後の映画製作に大きな影響を与えたと言って良いでしょう。
一言でいってしまえば「ギャングなどもう怖くない。怖いのはサイコパスだ」となるでしょう。
現代日本にも通じています。ギャングの犯罪より一般人が犯す凶悪犯罪の多いこと多いこと、、、。
若きジム・キャリーとリーアム・ニーソンが出演している
さて、この映画で注目して欲しいのは後のコメディー映画の大スターになるジム・キャリーが出演しているところです。
でも笑えません。麻薬中毒者のロッカー役です。
もう冒頭の数分で殺されます。演技的にはコメディーはしませんが、彼にもこんなちょい役があったかと思うと笑ってしまいます。
それとリーアム・ニーソンにも注目です。スティーヴン・スピルバーグ監督映画『シンドラーのリスト』でアカデミー主演男優賞にノミネートされ、その後は『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』では主役のクワイ=ガン・ジンを演じています。
当時のリーアム・ニーソンはまだまだ役者として青臭いです。でもこの『ダーティハリー5』に出演したことで大きく未来は開けたのではないでしょうか。
役は映画監督をやっています。なかなかの演技だと思います。二人ともクリント・イーストウッドにチャンスをもらったと言えるでしょう。
リーアム・ニーソンのクワイ=ガン・ジンは必見
お約束の一夜の恋もあります
クリント・イーストウッドは本映画『ダーティハリー5』でもちゃっかりと女性と夜を過ごしています。
ちょっとわかりにくいです。相手はテレビレポーターのサマンサ(パトリシア・クラークソン) です。
ベットシーンでの表現ではなく一瞬、夜の空撮のシーンになり朝を迎えます。ハリーの新しい相棒アル・クワン(エヴァン・C・キム)が車でハリーを迎えに行きます。
ハリーはサマンサのアパートから出てきます。クワンは「有名税かな」って呟きます。
ちなみにクリント・イーストウッドは『ダーティハリー2』では日系の女優のアデル・ヨシオカと関係を持ちます。
『ダーティハリー4』ではご存知ソンドラ・ロックと関係を持ちます。そして本映画本映画『ダーティハリー5』ではパトリシア・クラークソンです。さすがですね。
何歳になってもクリント・イーストウッドは女性が好き
歳をとったハリーに感情移入が難しくなってきた
さて、肝心の映画の感想ですがもうマンネリっぽくなっています。勧善懲悪は良いのですが、何か物足りません。
それはたぶん、クリント・イーストウッドが歳をとったからでしょう。渋みはありますが、やはりこういう刑事アクション系は若い俳優に限ります。
クリント・イーストウッドが走ると「大丈夫か?」って声をかけたくなります。
ちなみに本映画『ダーティハリー5』から5年後『ザ・シークレット・サービス』ではめっちゃ走ってます。63歳です。
映画『ダーティハリー5』の結末
ラジコンカーがサンフランシスコを走る場面は面白い
もうひとつ。クリント・イーストウッドは新しい物や技術が好きです。
本映画『ダーティハリー5』ではラジコンカーが登場します。これは面白かったです。
ラジコンカーに爆弾を設置してサンフランシスコを走り回ります。実に痛快でした。
今もう一度、『ダーティハリー』シリーズを撮るなら、クリント・イーストウッドは絶対にドローンを使っていると思います。
ドローンがサンフランシスコを飛び回る映像って想像するだけでドキドキします。近作『運び屋』では若干ドローン映像がありましたが、『リチャード・ジュエル』では記憶にありません。
『ダーティハリー』シリーズは終結後のクリント・イーストウッドがすごい
さて、これで『ダーティハリー』シリーズは終結してクリント・イーストウッドは最高傑作『許されざる者』に向かって躍進していきます。
同時にソンドラ・ロックとの裁判が始まります。精神的にも肉体的も追い詰められますが、クリント・イーストウッドは映画製作を続けます。
なんともタフなのでしょうか。しかもクリント・イーストウッドの映画人生の本章が始まるといっても良いのです。90年代は名作ばかり発表します。すごい。
以下、参考資料です。時代はスピルバーグなどの冒険・宇宙映画に突入して行きます。これを分析すると『ダーティハリー』シリーズが完結するのが妥当な時代に入ったと思います。
『ダーティハリー』 (71)興行収入 $35,976,000
『ダーティハリー2』(73)興行収入 $39,768,000
『ダーティハリー3』(76)興行収入 $46,236,000
『ダーティハリー4』(84)興行収入 $67,642,693
『ダーティハリー5』(88)興行収入 $37,903,295
クリント・イーストウッド最高傑作はアメリカの行く末を案じていた
映画『ダーティハリー5』のキャストについて
Harry_Callahan(クリント・イーストウッド)
サンフランシスコ市警の刑事。強引な捜査を行い上層部の目の上のたんこぶ。悪党は絶対に許さない。「撃ってきたら撃ち殺す」本作のクリント・イーストウッドは歳をとったなあという印象が拭えないです。拳銃さばきは良いと思います。
Samantha_Walker(パトリシア・クラークソン)
テレビ局のリポーター。弱き人にもカメラを向けて視聴率を取ろうとします。ハリーに密着取材して命を落としそうになります。そしてハリーと一夜を共にします。パトリシア・クラークソンは一見、ソンドラ・ロックか、と思わせるような風貌でした。演技的には普通です。
Peter_Swan(リーアム・ニーソン)
映画監督。犯人の犯行がスワンの作った映画を参考にしているため容疑者として疑われます。リーアム・ニーソン、若いですね。でも優しい顔がとても良いです。
まとめ 映画『ダーティハリー5』一言で言うと!
「やっぱり刑事ってモテるのか」
当時のアメリカ映画の流行とか慣習があったと思いますが、クリント・イーストウッドは相変わらず女性とのラブシーンが好きですね。そりゃあ、命を救ってくれた男性にトキメクのもわかります。しかも『ダーティハリー』シリーズでは恋愛に発展しないのが特徴ですね。ほとんど一夜限りです。自由でいたいのでしょう。
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映画『ダーティハリー2』
正義を守る警察官が悪事を働きます
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映画『ダーティハリー3』
ベトナム帰還兵の憂鬱を描いています
![](https://undazeart.com/wp-content/uploads/2020/04/the-enforcereyecatching-320x180.jpg)
映画『ダーティハリー4』
愛人ソンドラ・ロックを主演に迎えて大ヒット
![](https://undazeart.com/wp-content/uploads/2019/03/Sudden-Impacteyecatching-320x180.jpg)
映画『ダーティハリー5』の作品情報
スタッフ・キャスト
監督
バディ・バン・ホーン
脚色
スティーブ・シャロン
原作
スティーブ・シャロン ダーク・ピアソン サンディ・ショウ
製作
デビッド・バルデス
キャラクター創造
ハリー・ジュリアン・フィンク リタ・M・フィンク
撮影
ジャック・N・グリーン
音楽
ラロ・シフリン
字幕
岡枝慎二
Harry_Callahan(クリント・イーストウッド)
Samantha_Walker(パトリシア・クラークソン)
Peter_Swan(リーアム・ニーソン)
Al_Quan(エバン・C・キム)
Harlan_Rook(デビッド・ハント)
Captain_Donnelly(マイケル・カリー)
Lt._Ackerman(マイケル・グッドウィン)
Patrick_Snow(ダーウィン・ギレット)
Lou_Janero(アンソニー・チャルノータ)
1988年製作/アメリカ
原題:The Dead Pool
配給:ワーナー・ブラザース映画