『歎異抄をひらく』(98分/日/2019)
映画『歎異抄をひらく』のオススメ度は?
星3つです。
人生とはなんだ!生きるとはなんだ!と日々考える人にはオススメです。
是非とも鑑賞してください。
鑑賞後、本を買いましょう!
彼氏、彼女と行くのもオッケー。
おじいちゃん、おばあちゃんのお客さんが多かったです。
以下、作品情報とか感想とか書いてあります。チャラーと読んでください。
映画『歎異抄をひらく』の作品概要
浄土真宗の開祖、親鸞聖人に仕えた弟子である唯円が、師の教えをまとめた書をわかりやすくアニメで映画化した作品。「
すべての人間は悪人である」という言葉が突き刺さる。本作には多くのおじいちゃん、おばあちゃんが来観していた。
人間は歳を重ねると人生の意味を考え、死への準備をしておくのだろう。
映画『歎異抄をひらく』のあらすじ・ネタバレ
農家の息子で平治郎という若者が親鸞聖人と出会う。農民の子供として朝から晩まで農作業をしていたが、生きることへの疑問を持ち、次第に仏教へとのめり込んでいく。
もともと、賢い平治郎は京都へ行った親鸞を追いかけて生涯の師として使える。親鸞聖人の元、「人間とは何か」「生きるとは何か」を追求し『歎異抄』を残すまでの過程をアニメでわかりやすく説いている。
映画『歎異抄をひらく』の感想・評価・内容・結末
人間は生れながらに悪人であるとは?
こういった宗教観をテーマにした作品をアニメ映画にした試みはとても評価したい。歎異抄を読んだことのある人でもその意味を明確に説明するのは簡単なようで難しい。
本作はちょっとわかりやすくしようと努めすぎたため、逆にわかりづらくなっている。問いかけが多すぎるのだ。例えば「人間は魚を食べるが魚は人間を食べない」「人間は生まれながらに悪である」「悪人こそ極楽へ行くべきだ」等々。
こういった言葉を聞くたびに映画を観ながらその問いについて考えてしまい、肝心の映画についていけなくなるのだ。
よってその答えを探そうとしているのに見つからないといったストレスの陥ってしまう。
映画を観ている間、ずっと考えてしまうこと
お坊さんなどとお話しすると色んな説法を聞くことができる。でもどれもが「自分で考えよ」的な事柄が多く、結局再びお寺へ足を向けるのが億劫になってくる。
正直、私、いくら考えてもわからないのです。だったら最初から答えを教えて欲しいのです。その方が効率的な気がするのです。
本作を観終わった後はなんだかモヤモヤした感じになった。それが本作の狙いであるのかわからないなが、終始、苦虫を噛んでいるような感じだ。
スッキリしないのだ。つまり私に知性教養が足りなくて理解できなかったのだろうか。一体、この映画は何を伝えようとしていたのかわからずじまいだ。
「お前は悪人だ」と言われているようで、、、
それと、映画が始まってからすぐに「すべての人間は悪人である」というセリフにショックを覚えた。その言葉が劇中、何度も何度も繰り返されたのだ。
「お前こそ、悪人だ」とでも言われ続けた。これ、結構ダメージ受けます。プライベートで誰かに「この極悪人め!」などと言われてようもんなら、私は二、三日立ち上がれません。
もちろん、本心ではないとわかっていても、この映画の歎異抄からの言葉で言われるのはとてもショックでした。
こんな風にショックを受ける私自身が何かやましいことでもあるのかと思われがちですが、それほど悪い行いはしていないと自認しています。
「なぜ生まれたのか、なぜ生きるのか、なぜ死ぬのか」は永遠の宗教勧誘トークでは?
人はある程度の年齢に達すると「なぜ生まれたのか、なぜ生きるのか、なぜ死ぬのか」について考えると言います。私も考えました。
でも答えという答えは出ません。
生物学的には遺伝子を伝えるためになると思いますが、私はその役目から外れています。知性を多少持ってしまった人間である私が生きる理由は好きなことやって生きるしかありません。
死ぬのは寿命です。燃料がなくなる、つまり焚き火の火が消えるのと同じです。宗教は否定しません。私自身、仏教徒です。
でも宗教観を複雑に高度にすることで人の好奇心ならびに探究心、そして劣等感をくすぐることで宗教に目を向けることには疑問を感じます。
宗教の説法と受験競争は似ている
人は誰かと比較したがります。人より劣ると恥ずかしいから勉強したり、体を鍛えたりします。
冒頭に挙げた「なぜ?」という問いに対して必死に考えて人より優劣な人間になろうとします。宗教とは非常にうまくできています。受験勉強の競争に似ています。
と言っても私は宗教を否定しません。
極楽より“いま”を生きることが大事な気がする
本映画を観ていて思うのは「極楽浄土へ行くために生きる」というメッセージがありますが、極楽浄土は本当にあるのでしょうか?
実態としてあるかないかは問題ではないと叱咤されそうですが、人間が死んだら心が浮遊して心だけが集まる極楽浄土があることでしょうか。
もちろん想像上では納得できます。でも死んだ後、幸せになるということに意味を感じません。今生きているこの感覚の中で幸せを感じたいのです。
“いま”が何よりも大事なのです。
極楽浄土も良いですが、いまこの生きてる毎日が心穏やかに幸せに過ごすことを欲している人たちが多いことを意識して、この映画を作って欲しかったです。
もっと簡単な表現で歎異抄を理解したかった
何故ならば、2019年現在、私たちは相当なストレスを抱えながら生きています。日本の経済は調子良いと言われていますが、収入も上がりません。
将来的な安定も見えません。治安も悪くなってきました。見聞きするニュースも恐ろしいことばかりです。
宗教的にお金は問題ではないと言われそうですが、やはりお金は安心感を生み出します。
毎日が「なぜ?」ばかりの生活で卑屈になりがちな私にこの映画では答えをはっきりと明示して欲しかったのが本音です。
*まだまだ青い私です。歎異抄、100パーセント支持できません。
*第二弾のアニメ映画でしたが、人物の線に繊細さがなかった気がします。背景が日本なので安心感はありますが、もっと山、川、海、風、花、動物などの自然を用いた演出で歎異抄を語った方がわかりやすかったのでは。
映画『歎異抄をひらく』まとめ 一言で言うと!
人生、好きなことやって生きろ!
使い古された言葉ですが、「挑戦せず後悔するより、挑戦して後悔した方が良い」を支持します。
これは本当に若い頃にやっておくことです。年老いたら本当に後悔するらしいです。
迷惑?ってなに。それは刑事事件になるような犯罪のことを言います。人を殺したり、乱暴を働いたり(特に女性や子供)、放火したり、モノを盗んだり、です。こういうことは絶対にダメです。
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映画『歎異抄をひらく』の作品情報
映画のことなら映画.comより一部引用
監督
大野和寿
『UFO学園の秘密』(15)原作
高森顕徹
『なぜ生きる 蓮如上人と吉崎炎上』(16)脚本
和田清人
『ギャングース』(18)『体操しようよ』(18)『森山中教習所』(16)『なぜ生きる 蓮如上人と吉崎炎上』(16)プロデューサー
追分史朗
浜川久美
アニメーションプロデューサー
鈴森龍
キャラクター原案
追分文乃
演出
安部元宏
鈴森風音
撮影監督
菅原徹
美術監督
中村典史
色彩設計
手嶋明美
編集
新見元希
音響監督
本田保則
音楽ディレクター
吉村洋平
ミキシングエンジニア
宮澤伸之介
選曲
小西善行
ミキサー
伊東晃
音響効果
伊東晃
オープニングCG
GORAKU
林健太郎
アニメーション制作
イーストフィッシュスタジオ
キャスト
(声の出演)
石坂浩二(親鸞聖人)
『相棒 劇場版IV 首都クライシス 人質は50万人!特命係 最後の決断』(17)『図書館戦争 THE LAST MISSION』(15)『棒 劇場版III 巨大密室!特命係 絶海の孤島へ』(14)『図書館戦争』(13)増田俊樹(唯円)
細谷佳正(壮賢)
本泉莉奈(アサ)
市来光弘(権八)
三木眞一郎(慧信)
白井悠介(燈念)
伊藤健太郎(明法)
作品データ
製作年 2019年
製作国 日本
配給 キュー・テック
上映時間 98分