映画『オン・ザ・ロック』のあらすじ・ネタバレ・解説・感想・評価から作品情報・概要・キャスト、予告編動画も紹介し、物語のラストまで簡単に解説しています。
映画『オン・ザ・ロック』公式サイトにて作品情報・キャスト・上映館・お時間もご確認ください。
YouTubeで予告映像もご覧ください。
『オン・ザ・ロック』
(97分/G/アメリカ/2020)
原題『On the Rocks』
【監督】
ソフィア・コッポラ
【製作】
ユーリー・ヘンリー ソフィア・コッポラ
【製作総指揮】
フレッド・ルース ミッチ・グレイザー ロマン・コッポラ
【脚本】
ソフィア・コッポラ
【撮影】
フィリップ・ル・スール
【美術】
アン・ロス
【衣装】
ステイシー・バタット
【編集】
サラ・フラック
【音楽】
フェニックス
【出演】
ビル・マーレイ
ラシダ・ジョーンズ
マーロン・ウェイアンズ
【HPサイト】
映画『オン・ザ・ロック』公式サイト
【予告映像】
映画『オン・ザ・ロック』トレーラー
映画『オン・ザ・ロック』のオススメ度は?
星4つです
大人の映画です
「気持ちよく」鑑賞できます
ビル・マーレイのような父親がいたら、、、
映画『オン・ザ・ロック』の作品情報・概要
『オン・ザ・ロック』原題『On the Rocks』2020年に公開されたアメリカ合衆国のドラマ映画。ソフィア・コッポラ監督作品。主演は映画『デッド・ドント・ダイ』のビル・マーレイ。ラシダ・ジョーンズとマーロン・ウェイアンズ共演。AppleがA24と複数年の契約を結んだことも話題となる。2020年10月2日に劇場公開された後、10月23日にApple TV+で配信される。ネットフリックスと同じビジネス戦略をとっている。
映画『オン・ザ・ロック』のあらすじ・ネタバレ
作家のローラ(ラシダ・ジョーンズ) はニューヨークで夫・ディーン(マーロン・ウェイアンズ)と二人の娘と幸せな日々を過ごしていた。夫は新しいビジネスに取り組んでおり、出張が多い。ある日、夫のカバンから女性用のローションを見つけてしまい、浮気を疑う。父のフェリクッス(ビル・マーレイ) に相談すると完全に「黒」と言い切る。心配でたまらないローラを父と一緒にディーンの素行を調査する。まるで探偵のように、、、。次第にディーンの疑わしき行動が明らかになっていく、、、、。
映画『オン・ザ・ロック』の感想・内容
本映画『オン・ザ・ロック』はAppleがA24契約して製作したことでも話題
「大人の映画」です。とてもゆったりと観ることができる映画です。気持ち良い時間を映画館で過ごすには最高の映画だと思います。
物語は派手な起承転結はありません。アクションも絶叫もありませんし、大笑いするような演出もありません。そして涙にくれることもありません。
ただスクリーンを「ボーッと観る」映画です。心地良いのです。
監督は巨匠フランシス・フォード・コッポラの娘のソフィア・コッポラです。もう彼女はアメリカ映画界を牽引する年齢になっています。
でも改めてフィルムグラフィーを見ましたら、本映画『オン・ザ・ロック』で8作目であることに驚きを感んじました。もっと撮っていると思ったのです。
彼女の名作である『ヴァージン・スーサイズ 』と『ロスト・イン・トランスレーション』の2本の印象がとても強いからでしょう。
しかも本映画『オン・ザ・ロック』は、AppleがA24契約して製作したことでも話題となっています。
ソフィア・コッポラ作品は芸術性が高いです。
ヴィム・ヴェンダース監督も芸術性が高いです
家族愛の映画の中の「親娘映画」
本映画『オン・ザ・ロック』ニューヨークに暮らす家族愛の映画と言っても良いです。
ローラ(ラシダ・ジョーンズ) は作家で、夫・ディーン(マーロン・ウェイアンズ)は起業したばかりで張り切っています。二人には小さい娘が二人います。
そしてローラはディーンに浮気の疑心を抱くのです。ここまで書くとよくある夫婦の危機物語とか離婚訴訟物語と思われるでしょうが、実は「親娘映画」なのです。
ローラの父親・フェリクッス(ビル・マーレイ) が娘が大好きで、ずっと一緒にいたいことが伝わってきます。娘が可愛くて可愛くて仕様がないのです。
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ビル・マーレイって本当にすごい役者と再認識させてくれる映画
でも、でもですね、物語の本筋はローラとディーンの夫婦を軸に展開して行くのです。全くズレないのです。ここが良いのです。
途中で父親のフェリックスが目立つとこの映画はダメになります。決して目立たず騒がずを貫き通すのです。
やっぱりビル・マーレイはすごい。
飄々とした演技がそれを可能にしていると思うのです。
例えばこの父親をロバート・デ・ニーロやクリント・イーストウッドがやったとしたらこうはならないと思うのです。彼らは全部持って行くと思うです。
キャラクターが強い云々もありますが、目立つことが大スターであった時代を生きていますから仕方ありません。
もちろんビル・マーレイも大スターですから、全部を持って行くことも可能ですが、自分をわきまえているというか、主張の仕方が絶妙です。
こんな雰囲気を出す俳優はそうはいません。
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ソフィア・コッポラ映画の魅力って役者全員が際立つところ
映画はローラとフェリクッスの珍道中を中心に進められるのにディーンの存在が引き立ってくるのが魅力だと思います。
不思議なんですよ。もちろんディーン演じるマーロン・ウェイアンズは個性的ではありますが、ローラとフェリックスの会話を聞いているだけでディーンの人となりが伝わってくるのです。
これがソフィア・コッポラ映画の魅力だと改めてわかりました。すごいです。
映画『オン・ザ・ロック』の結末・評価
父・フェリックスは最初からディーンは浮気をしていない知っていた
映画の結末もきっちり決めてくれます。完全なるハッピーエンドです。
父親のフェリックスは最初からディーンは浮気をしていないと知っていました。それは自身が散々浮気をしていたから「どんな男が浮気するかわかる」と思うのです。
でもローラにはわざとディーンが浮気をしていると煽るのは、娘と一緒に探偵ごっこをしたい気持ちと、ローラとディーンの夫婦仲をより一層強固にしたい親心からだったのです。
とてもほっこりします。ローラはディーンが潔白とわかってバツが悪く、父にぶち当たります。でも父はそれがわかっていました。
そしてローラも「父が作った演出」だと気がつきます。口では言いませんが「パパ、ありがとう」という言葉が聞こえてきました。
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何がスランプの根源かと突き止めたいローラの暴走もある
夫婦生活は山あり谷ありです。夫婦生活が破綻する原因はやはり浮気が多いとデータがあります。次に金銭問題です。夫の稼ぎが少ないことにです。
もちろん今は夫が働くというのが常識ではありません。妻が働いて夫が主夫をしても良いのです。本映画『オン・ザ・ロック』では妻のローラは子育てに家事に忙しそうには見えません。
舞台がニューヨークであるからかもしれませんが、やはりセレブ感があることも原因です。
映画概要は一般的な家庭の物語と書いてありますが、どうしても上流階級感が抜けません。
ローラは作家ですが、スランプ状態というのも気になります。スランプの時というのは他のことに意識を向けたがります。
何がスランプの根源かと突き止めたいのです。そしてそれを悪としたいのです。本映画『オン・ザ・ロック』では夫ディーンの浮気が原因でスランプになったと、決めつけたかったのでしょう。
でも父親のフェリクッスがさりげなく「そいうじゃあないよ」と寄り添ってくれていたのです。大きな愛ですね。
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夫婦関係に父親という他者が介在することで丸く収まるというレアなケース
もしローラ一人で暴走していたら間違いなく二人は離婚へまっしぐらだったと思います。「小説が書けない原因はあんたのせいだ!」と言って夫婦ケンカしておしまいです。
今年観た映画『マリッジ・ストーリー』はまさにその典型です。夫の活躍に嫉妬して離婚へと向かう妻です。
あれこれと難癖をつけて離婚します。どちらかというとこちらの方がリアルアメリカです。
と考えると本映画『オン・ザ・ロック』は夫婦関係に父親という他者が介在することで丸く収まるというレアなケースでした。
普通は他者が入るとこじれますから。親娘映画としては良作と言える一本です。気持ちの良い物語でした。
映画『オン・ザ・ロック』のキャストについて
フェリクッス(ビル・マーレイ)
ローラ(ラシダ・ジョーンズ)
ディーン(マーロン・ウェイアンズ)
まとめ 映画『オン・ザ・ロック』一言で言うと!
「ソフィア・コッポラって落ち着く」
ソフィア・コッポラは女優としては全く芽が出なかったけれど、監督になって本当にいい映画を作っているので憧れますね。独特の雰囲気の映画です。なんか「落ち着く」のです。やっぱりコッポラファミリーという映画一家に生まれているので、あまり焦り感がないのでしょう。躍起になって企画を売り込まなくても映画を作れる環境にあるので余裕が感じられるのです。
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映画『オン・ザ・ロック』の作品情報
映画.comより一部引用
スタッフ・キャスト
監督
ソフィア・コッポラ
製作
ユーリー・ヘンリー ソフィア・コッポラ
製作総指揮
フレッド・ルース ミッチ・グレイザー ロマン・コッポラ
脚本
ソフィア・コッポラ
撮影
フィリップ・ル・スール
美術
アン・ロス
衣装
ステイシー・バタット
編集
サラ・フラック
音楽
フェニックス
フェリクッス(ビル・マーレイ)
ローラ(ラシダ・ジョーンズ)
ディーン(マーロン・ウェイアンズ)
2020年製作/97分/G/アメリカ
原題:On the Rocks
配給:東北新社、STAR CHANNEL MOVIES