映画『スティング』のあらすじ・ネタバレ・解説・感想・評価から作品概要・キャスト・予告編動画も紹介し、物語のラストまで簡単に解説しています。
映画『スティング』IMDbサイトにて作品情報・キャスト情報をご確認ください。
YouTubeで予告映像もご覧ください。
『スティング』
(1973年製作/129分/G/アメリカ)
原題『The Sting』
【監督】
ジョージ・ロイ・ヒル
【製作】
トニー・ビル ジュリア・フィリップス マイケル・S・フィリップス
【脚本】
デビッド・S・ウォード
【美術】
ヘンリー・バムステッド
【編集】
ウィリアム・レイノルズ
【衣装】
エディス・ヘッド
【音楽】
マービン・ハムリッシュ
【出演】
ポール・ニューマン
ロバート・レッドフォード
ロバート・ショウ チャールズ・ダーニング レイ・ウォルストン アイリーン・ブレナン ハロルド・グールド ロバート・アール・ジョーンズ ディミトラ・アーリス
【HPサイト】
映画『スティング』IMDbサイト
【予告映像】
映画『スティング』トレーラー
映画『スティング』のオススメ度は?
星4つです
超オススメです
映画史に燦然と輝きます
映画製作の勉強になります
映画『スティング』の作品情報・概要
『スティング』原題『The Sting』1973年公開のアメリカ映画。監督はジョージ・ロイ・ヒル。アメリカン・ニューシネマの代表作『明日に向って撃て!』で共演したポール・ニューマンと映画『追憶(1973)』や映画『さらば愛しきアウトロー』のロバート・レッドフォードが再びコンビを組んで大ヒット。脚本のデビッド・S・ウォードは当時28歳、音楽のマービン・ハムリッシュは29歳と若き作家の台頭も感じさせる映画。製作会社はユニバーサル・ピクチャーズ。1974年第46回アカデミー賞で作品賞、監督賞、脚本賞、編集賞、美術賞、衣裳デザイン賞、音楽賞の7部門を受賞。詐欺師映画として映画史に残る名作。
映画『スティング』のあらすじ・ネタバレ
舞台は1936年のシカゴ近くの街イリノイ州のジョリエット。アメリカは1929年に起きた世界大恐慌を引きずって不況のままだ。ジョニー・フッカー(ロバート・レッドフォード) は師匠のルーサー・コールマン(ロバート・アール・ジョーンズ)とチンケな詐欺をして生計を立てている。ある日、偽の引ったくりを仕立てて、助けた人からお金を巻き取りる。しかしその人物がギャングの一味であり、恨みを買う。師匠は殺され、命からがらシカゴへ逃げるジョニー。身を寄せたのが伝説の詐欺師ヘンリー・ゴンドーフ(ポール・ニューマン) 。娼館で酔いつぶれて見る影もない姿に幻滅する。ジョニーが大物ギャングであるドイル・ロネガン(ロバート・ショウ) に復讐すると聞いてヘンリーも乗ることに。そして偽の賭博場を作り、ロネガンを誘い込む。酒、タバコ、女もやらないロネガン、ギャンブルはポーカーだけ。ロネガンが賭博に興味を持つように次々と罠を仕掛けていく。
映画『スティング』の感想・内容
『スティング』以前と以後で大きく分けられるほどの影響力ある映画
「名作中の名作映画」です。詐欺映画は古今東西たくさんありますが、本映画『スティング』以前と以後で大きく分けられるほどの影響を世界のフィルムメーカーに与えたと言って過言ではありません。
これほど繊細に計算されて、大胆に紡がれた詐欺映画はありません。
脚本は後に大ヒットとなる映画『めぐり逢えたら』のデビッド・S・ウォードです。しかしながら、彼は本作以外ではヒットメーカーにはなれませんでした。
でも、本映画『スティング』の脚本は本当に素晴らしいと思います。最初から結末まで全く飽きないのです。
若き日に執筆した脚本は無駄な力が入っている場合が多く、俗にいう“見せ場多し”になりがちです。
でもこの時のデビッド・S・ウォードは良い感じに“力が抜けている”構成に仕立ています。映画を観ているとスクリーンに吸引させる力は強いのですが、全編に渡って“釘付け状態”にはさせないのです。
ロバート・レッドフォード引退作品で大泥棒を演じる
若手を起用したジョージ・ロイ・ヒルの先見性も伺い知れる映画
つまり緩急がしっかりとついた映画になっているのです。ハラハラドキドキしたり、ホッとしたり、そしてワクワクさせたりのリズムが秀逸なんです。
そして結末は「やったあ」とガッツポーズをしてしまうほど見事なのです。
もちろん、監督が名匠ジョージ・ロイ・ヒルですから、演出も素晴らしいです。そこに音楽のマービン・ハムリッシュのメロディが入って完璧に作り上げられています。
いまクレジットを見るとデビッド・S・ウォードは1945年生まれ、マービン・ハムリッシュは1944年生まれですから、若い二人を思い切って起用したジョージ・ロイ・ヒルの先見性も伺い知れます。
当時のロバート・レッドフォードに世界の女性たちは釘付けだったのでしょう
アメリカ一番のハンサム俳優と言われていたロバート・レッドフォードとクールガイのポール・ニューマン
そして本映画『スティング』はアメリカ一番のハンサム俳優と言われていたロバート・レッドフォードです。
助演はクールガイをやらせたらナンバーワンのポール・ニューマンです。
映画『明日に向かって撃て!』に続くコンビです。
もうこれだけ役者が揃ったら大ヒット間違いなしでしょう。
監督、撮影、脚本、役者、音楽、編集まですべてがパズルのピースを簡単にはめるように作った気がします。
ポール・ニューマンもロバート・レッドフォードも勢いがあります
最も評価したい俳優は悪役ドイル・ロネガンを演じたロバート・ショウ
ただですね、もちろんすべてが良いのですが、わたしが本映画『スティング』で最も評価している俳優は悪役ドイル・ロネガンを演じたロバート・ショウなんです。
このショウの演技が本当に憎たらしいのです。
シカゴとニューヨークの街を牛耳るギャングなんですが、スクリーン越しで睨まれただけで「こわ」って感じるくらいの眼力なんです。
実際のギャングがこんな風情をしているのかはわかりませんが、1936年当時のアメリカ社会にはいたのでしょう。
しかもこの時のロバート・ショウは足を引きずっています。
これが演技かと思いましたが、実はロケに入る前にスポーツをしていた時に怪我したらしく、それを監督のジョージ・ロイ・ヒルに謝ったら「そのまま活かそう」となったそうです。
表現は適切かどうかわかりませんが、ショウが足を引きずって歩く姿が妙にリアリティがあって、恐怖を助長する効果となっています。
体が不自由なギャングの姿を見て「こんな男に同情すると酷い目に遭う」と後ずさりせざる得ません。
本映画『スティング』はレッドフォード、ニューマン、ショウのキャラクターがそれぞれ最高の形で浮き出ています。素晴らしいです。
ポール・ニューマン念願のアカデミー男優賞を受賞!
本映画『スティング』をひと言でいうと「師匠の仇をとる!」
さてさて本映画『スティング』をひと言でいうと「師匠の仇をとる!」になります。単純なんです。
でもこれだけでは物語になりません。ジョニー・フッカー(ロバート・レッドフォード) はチンケな詐欺師です。
師匠はルーサー・コールマン(ロバート・アール・ジョーンズ)。二人は嘘の引ったくり事件を起こして、助けてくれた人の財布を抜き取ります。
しかしそのお金はギャングのボス・ドイル・ロネガン(ロバート・ショウ) への売上金であったため、怒りを買います。
ロネガンは早速、二人を殺そうと動きますが、殺されたのはルーサーだけで、ジョニーは逃げます。
師匠を殺されたジョニーはロネガンに復讐を誓います。しかし如何せん若いジョニーには知恵がありません。
そこで伝説の詐欺師ヘンリー・ゴンドーフ(ポール・ニューマン) の元を訪れるのです。ヘンリーはFBIから追われている大物です。
ヘンリーは相手がロネガンと知りやる気になります。そしてロネガンから全財産を奪うためには偽の賭博場を作りことを提案します。そしてロネガンを誘い込むのです。
1973年の名作もバディー物語
映画『スティング』の結末・評価
悪党ロネガンのプライドを砕いてから賭博に誘い出すのが見事
本映画『スティング』は悪党ロネガンをどうやって偽の賭博に誘うかも大きな見所です。ロネガンは酒もタバコも女のやりません。
ギャンブルでやるのはポーカーだけです。そしてロネガンはポーカーに絶対的な自信を持っているのです。
そのプライドを砕いてから賭博に誘い出すのです。見事です。そこにはちゃんとした“甘い蜜”が用意されていたのです。
「絶対に勝つ仕組み」をジョニー・フッカー(ロバート・レッドフォード) がロネガン密通のごとく伝えるのです。
映画を観ていると「あれ、ジョニーはどっちについているの?」という錯覚に陥るほど見事な脚本と演出です。
さらに裏切っているジョニーを見つめるヘンリー・ゴンドーフ(ポール・ニューマン) の疑心の表情でこちらも混乱してきます。
もうひとつ、ジョニーが惚れたロレッタ(ディミトラ・アーリス)の動きも意味深なのです。彼女はロネガンから雇われてジョニー暗殺を目論んでいました。
クリント・イーストウッドも1973年から新しい映画表現へ向かう
何度も何度も“どんでん返し”を繰り返してロネガンを破産に追い込む
本映画『スティング』は詐欺師映画の本流として何度も何度も“どんでん返し”を繰り返して結末へと向かっていきます。
最後は一応、ハッピーエンドです。悪党ロネガンは破産、そして首謀者のヘンリーとジョニーは共倒れで死亡となります。
FBIはロネガンを逃しますが、実はFBIもヘンリーの仲間でした。完全犯罪でお金をゲットです。殺された二人はもうギャングやFBIから追われる事もありません。
そして手伝ってくれた多くの仲間にも大金を渡せます。スカッと爽快に終わる映画です。
クリント・イーストウッドが西部劇を初監督したのも1973年
映画を志す未来のフィルムメーカーたちには絶対にオススメの映画
さてさて本映画『スティング』はこれだけ情報インフラが整備された現代では実現できない詐欺物語でしょう。
でも1936年当時の最先端の情報メディアはラジオと電話だったと思われます。その二つのメディアをうまく利用しています。広いアメリカの時差も利用しています。
また地方の情報をいち早く入手できる電話局の職員の設定もロネガンを騙すのに役に立ったと思います。
「まさか電話局の人間が不正を働くなんて」を逆手に取ったのです。
本映画『スティング』を黒電話やラジオを知らない若者が観ると逆に新鮮と映るのではないでしょうか。
また映画を志す未来のフィルムメーカーたちには絶対にオススメの映画です。ヒットする方程式が詰まった映画です。
映画『スティング』のキャストについて
ヘンリー・ゴンドーフ(ポール・ニューマン)
ジョニー・フッカー(ロバート・レッドフォード)
ドイル・ロネガン(ロバート・ショウ)
スナイダー(チャールズ・ダーニング)
J・J・シングルトン(レイ・ウォルストン)
ビリー(アイリーン・ブレナン)
キッド・ツイスト(ハロルド・グールド)
ルーサー・コールマン(ロバート・アール・ジョーンズ)
ロレッタ(ディミトラ・アーリス)
まとめ 映画『スティング』一言で言うと!
「盗人にも三分の理」
悪事を働いた者にも、それなりの理由はあるものだという意味になります。本映画『スティング』ではギャングのドイル・ロネガン(ロバート・ショウ) がどんな悪党かはそれほど描写されていません。でもショウの眼力だけで十分ですし、ロネガンは一般市民をいじめている雰囲気が伝わってくるのでオッケーでしょう。大金持ちの悪党からお金を奪取するのは世界のどこへ行って拍手喝采となりますから、上記のことわざには説得力があります。
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【】
映画『スティング』の作品情報
映画.comより一部引用
スタッフ・キャスト
監督
ジョージ・ロイ・ヒル
製作
トニー・ビル ジュリア・フィリップス マイケル・S・フィリップス
脚本
デビッド・S・ウォード
美術
ヘンリー・バムステッド
編集
ウィリアム・レイノルズ
衣装
エディス・ヘッド
音楽
マービン・ハムリッシュ
ヘンリー・ゴンドーフ(ポール・ニューマン)
ジョニー・フッカー(ロバート・レッドフォード)
ドイル・ロネガン(ロバート・ショウ)
スナイダー(チャールズ・ダーニング)
J・J・シングルトン(レイ・ウォルストン)
ビリー(アイリーン・ブレナン)
キッド・ツイスト(ハロルド・グールド)
ルーサー・コールマン(ロバート・アール・ジョーンズ)
ロレッタ(ディミトラ・アーリス)
1973年製作/129分/G/アメリカ
原題:The Sting
配給:CIC