映画『ガーンジー島の読書会の秘密』公式サイトとYouTubeを参照ください。
『ガーンジー島の読書会の秘密』(124分/フランス・イギリス合作/2018)
原題『The Guernsey Literary and Potato Peel Pie Society』
監督:マイク・ニューウェル
出演:リリー・ジェームズ
ミキール・ハースマン
製作:ポーラ・メイザー マイケル・カプラン グレアム
映画『ガーンジー島の読書会の秘密』のオススメ度は?
星2つ半です。
物語の根本は良いのですが、盛り上がりがいま一つです。
ミステリーの謎解きが安直すぎましたね。
でもリリー・ジェームズの美しさは絶品です!
恋人、友だちと観に行ってください。
映画『ガーンジー島の読書会の秘密』の作品概要
女性は男性名義で本を出版していましが、第二次世界大戦後は女性名義で出版できる時代になりました。女流作家がサイン会へ読書会へ堂々と行ける良き時代の到来です。本映画は女流作家の視点から本の魅力や読書会の文化、さらに恋愛までをつぶさに描いています。ジュリエット役は『シンデレラ』のリリー・ジェームズ。監督は『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』のマイク・ニューウェルが務めている。
映画『ガーンジー島の読書会の秘密』のあらすじ・ネタバレ
女流作家として本を自由に出版できるようになったジュリエット。彼女の元に一通の手紙が届く。それは数年前に手放した本がガーンジー島にあり、読書会で読まれているとのこと。その手紙をたどってガーンジー島へ取材に行く。そして読書会のメンバーたちが戦時でも本を読むつないだこと、さらにある女性の壮絶な人生に興味を持つ。しかし読書会のメンバーは心を閉ざす理由があった。
映画『ガーンジー島の読書会の秘密』の感想・評価・内容・結末
原題、邦題ともに意味深なタイトル
この映画の邦題がうまく言えないのはわたしだけでしょうか。まずガーンジー島が「ガンジー島」となってしまいます。あれ?と思って言い直すのですが、「ガーアーンジー島」になってしまうのです。
いやいや英語って難しいとため息をついてしまいました。ちなみに原題は『The Guernsey Literary and Potato Peel Pie Society』で無理やり訳すと『ガーンジー島のイモ皮パイ社会』となります。長いし、訳わかりません。
ですから本作を和訳した人の苦労がわかります。
女流作家の時代が訪れたことを告げる物語
さて、この映画はイギリスの女流作家の辛苦も描いていると思います。まず映画の冒頭で語れれるのは第二次世界大戦後はまだ女性が自身の名前で本を出版するのをためらっていた時代であること、それはつまり男尊女卑の象徴で、世界は男が支配していたことを表しています。
今考えるととんでもない時代です。この映画が始まってすぐに『コレット』と『天才作家の妻 40年目の真実』を思い出しました。
良作とも才能ある女性が夫のゴーストライター活躍する話です。本作の知識を持たないまま鑑賞し始めたので同様の作品なのかと思いましたが、主役のジュリエット・アシュトン(リリー・ジェームズ) が意気揚々としていたので安心しました。
女流作家が島を訪問して隠された真実を追いかける
映画は本をめぐる“自分探し”のような物語です。イギリスは第二次世界大戦の時、このガーンジー島だけがドイツに占領されていたそうです。
そこの住民がナチスに隠れて読書会を行なっていたことに驚きを感じた作家のジュリエットが島を取材に訪れます。目的は新聞紙の寄稿することです。
でもそれは読書会のメンバーの反対に遭い叶いません。でもジュリエットは読書会と島の住民が何かを隠していると察知して島に残ります。
そして次々と秘密を明かしていきます。秘密というのは喋らない限り守られます。
でもこの島民たちはいとも簡単に喋ってしまうので、タイトルの秘密がちょっと安直な感じになってしまい、いま一つ入り込めませんでした。
ミステリー映画の分野ですが、もう少し焦らして欲しかったのが本音です。
映画はしっとりとゆっくりと進んで行きます
さてさて、映画は作家ジュリエットが取材した本を読書会だけに寄贈します。出版しません。
映画は何か複雑な展開、例えば読書会のメンバーの中に裏切り者がいたとか、実は死んでいなかったとか、劇的な結末を期待してましたが、普通に進展していきました。
最後は恋愛ハッピーエンドで幕を引きます。予告が刺激的な内容だったのでちょっぴりガクッとしてしまいました。
主演のリリー・ジェームズの美しさを観るのが目的
でも、でもです。主演のリリー・ジェームズがとにかく綺麗なのです。本当に正統派の美人です。
『シンデレラ』の時はキュートなイメージだったのですが、本作ではもう完全に大人の女です。色気があります。
それも気品のある色気です。このままイギリス王族に入れそうなくらい高貴な感じなのです。
衣装も良いですね。ガーンジー島の美しい自然にうまく溶け込んでいます。嫌味のないデザインです。
リリーの演技も上品ですね。あのキリッとした瞳と姿勢の良さでスクリーンを支配しています。
そう言った意味でリリー・ジェームズだけを観に行くのも良いかと思います(ただ前半の方のリリーの頬のニキビが気になりました)
グレン・パウエルの振る舞いにイギリス紳士をみた
それとこの映画ではちゃんとイギリス紳士の男らしさを表現しています。
リリーの婚約者のマーク・レイノルズ(グレン・パウエル )がリリーから別れ話を切り出された時、一瞬カッとして立ち去りますが、うつむくリリーの元へ戻り、後ろから抱きしめ「ありがとう」と言って去っていく場面が本当にカッコ良かったです。
あれぞまさにイギリス紳士ですね。もしアメリカ映画だったらきっと怒鳴り合いの大ケンカになるのではないでしょうか。
ミキール・ハースマンは本当に“やさ男”が板についてます
それとドーシー・アダムス(ミキール・ハースマン )の村の素朴な青年の演じ方も様になっていました。でもこんなカッコいい農民は中々いないかも。
彼はあまり大仰に語りません。物静かに謙虚に振舞っています。そして子ども好きの良き父親です。ジュリエットが惚れてしまったのはそんな優しさとやはり本好きだったからでしょう。
映画は本文化の素晴らしさも説いています
この映画は本という文化物の素晴らしさも説いています。日本ではあまり馴染みはありませんが、欧米では頻繁に読書会が催されます。
もちろん著者主催の読書会もあります。日本で芥川賞作家が読書会をやるという話はあまり聞いたことがありません。
なぜ、欧米で読書会が行われるのかは共感を得たいからだそうです。自分が感動したことを読書会を通してみんなに伝えたい、そして共有したいのです。
何となくわかります。これは現代のSNSと同じです。体験したことをみんなに発信するのと。
日本でもこの読書会が静かなブームになっているそうです。読書会にはその他、出会いもありますから若者にも人気が集まりつつあります。
話は映画から逸れてしまいましたが、本映画の読書会の様子を観て本文化は不滅だなあと感じました。
映画『ガーンジー島の読書会の秘密』まとめ 一言で言うと!
顔を作りたければ活字を読め!
これは若き日の高倉健が内田吐夢監督に言われた言葉だそうです。全文は以下「時間があったら活字(本)を読め。活字を読まないと顔が成長しない。顔を見れば、そいつが活字を読んでいるかどうかかがわかる」これを素直に受け入れた高倉健さんがその後大成したことは言うまでもない。活字は本当に人生を輝かせます。
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映画『ガーンジー島の読書会の秘密』
リリー・ジェームズが綺麗すぎます
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『Merry Christmas!〜ロンドンに奇跡を起こした男〜』
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映画『ガーンジー島の読書会の秘密』の作品情報
映画.comより一部引用
スタッフ・キャスト
監督
マイク・ニューウェル
製作
ポーラ・メイザー マイケル・カプラン グレアム・ブロードベント ピート・チャーニン
製作総指揮
ディディエ・ルプファー ロン・ハルパーン ジェニー・ボーガーズ ダーモット・マキヨン
原作
メアリー・アン・シェイファー アニー・バロウズ
脚本
ドン・ルース ケビン・フッド トーマス・ベズーチャ
撮影
ザック・ニコルソン
美術
ジェームズ・メリフィールド
衣装
シャーロット・ウォルター
編集
ポール・トシル
音楽
アレクサドラ・ハーウッド
ジュリエット・アシュトン(リリー・ジェームズ)
ドーシー・アダムス(ミキール・ハースマン )
マーク・レイノルズ(グレン・パウエル )
エリザベス・マッケンナ(ジェシカ・ブラウン・フィンドレイ )
アイソラ・プリビー(キャサリン・パーキンソン )
シドニー・スターク(マシュー・グード )
エベン・ラムジー(トム・コートネイ )
アメリア・モーグリー(ペネロープ・ウィルトン)
2018年製作/124分/G/フランス・イギリス合作
原題:The Guernsey Literary and Potato Peel Pie Society
配給:キノフィルムズ