映画『タクシー運転手 約束は海を越えて』のあらすじ・ネタバレ・解説・感想・評価から作品概要・キャスト、予告編動画も紹介し、物語のラストまで簡単に解説しています。
映画『タクシー運転手 約束は海を越えて』公式サイトならびにIMDbサイトにて作品情報・キャスト情報をご確認ください。
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『タクシー運転手 約束は海を越えて』
(137分/G/韓国/2017)
原題『A Taxi Driver』
【監督】
チャン・フン
【脚本】
オム・ユナ
【製作】
パク・ウンギョン
【出演】
ソン・ガンホ
トーマス・クレッチマン
ユ・ヘジン
リュ・ジュンヨル
- 映画『タクシー運転手 約束は海を越えて』NHK BSプレミアム放送 2021年5月10日(月)午後1時00分〜3時19分
- 映画『タクシー運転手 約束は海を越えて』のオススメ度は?
- 映画『タクシー運転手 約束は海を越えて』の作品情報・概要
- 映画『タクシー運転手 約束は海を越えて』のあらすじ・ネタバレ
- 映画『タクシー運転手 約束は海を越えて』の感想・内容
映画『タクシー運転手 約束は海を越えて』NHK BSプレミアム放送 2021年5月10日(月)午後1時00分〜3時19分
5月10日(月)午後1時00分〜3時19分
アカデミー賞作品 映画『パラサイト 半地下の家族』主演俳優・ソン・ガンホさんの名演を観よ!
ソウル市から光州市へタクシーをぶっ飛ばします。まさか「光州事件」の最中とは知りませんでした。
ジャーナリスト・ピーター(トーマス・クレッチマン) との熱い友情と「世界で報道する」約束。
民主化への願いを込めてタクシーは駆け抜けます。
映画『タクシー運転手 約束は海を越えて』のオススメ度は?
星3つ半です
ソン・ガンホさんが良い
「光州事件」を扱った秀作
若者の叫びが聞こえます
「友情」が紡いだ「真実」
世界が驚愕しました
映画『タクシー運転手 約束は海を越えて』の作品情報・概要
『タクシー運転手 約束は海を越えて』英題『A Taxi Driver』2017年公開の韓国映画。監督はチャン・フン。ソン・ガンホ主演。トーマス・クレッチマン、ユ・ヘジン、リュ・ジュンヨル共演。1980年の光州事件時の実話をモチーフに描いている。ドイツのジャーナリスト、ユルゲン・ヒンツペーターとタクシー運転手の友情物語も内包。第90回アカデミー賞外国語映画賞韓国代表作品。韓国、日本でも大ヒット、興行収入958億ウォン。
映画『タクシー運転手 約束は海を越えて』のあらすじ・ネタバレ
妻に先立たれ、愛娘と暮らすキム・マンソプ(ソン・ガンホ) の懐はいつも寂しい。お金が全くない。家賃も4ヶ月滞納しており、立ち退き寸前。娘の靴さえも買えない。食堂に集まるタクシー運転手が「外国人が光州まで行ってくれる英語ができるドライバーを探している」を聞きつけ、先んじて乗車させる。しかしまさか光州が大変な事態になっているとは思いも寄らなかった。
映画『タクシー運転手 約束は海を越えて』の感想・内容
とてもいい映画だと思います。韓国の暗黒史である「光州事件」を舞台に自由、希望、尊厳、友情、家族愛、そして民主化への夢を描いた作品です。光州事件とは1980年5月18日から27日にかけて韓国の全羅南道の道庁所在地であった光州市を中心として起きた民衆の蜂起のことです。詳細は省きますが、軍を率いる全斗煥がクーデターを起こし、それに反発した学生たちがデモを起こしました。軍が市民に発砲したことで、市民も学生たちに加わり未曾有の争いに発展しました(市民たちが銃を使える理由は徴兵制で訓練しているから)
韓国映画史上初アカデミー作品賞受賞映画
ソウル市でタクシー運転手をしている、キム・マンソプ(ソン・ガンホ) は光州市がそんな事態だとはまるで知りません。何故ならば政府は情報統制をしているからです。キムは妻に先立たれ愛娘と暮らしています。生活は苦しいです。家賃は4ヶ月滞納。娘の靴さえ買えません。タクシー仲間が「外国人が光州へ行きたいらしい。英語ができるタクシー運転手を探している」との情報を得て、まんまと仕事をとります。往復で10万ウォンです。これで家賃が払えます。お客はユルゲン・ヒンツペーター(ピーター)(トーマス・クレッチマン) です。一見、普通のビジネスマンに見えます。キムは片言の英語しか話せません。ピーターは仕方なく光州へ行ってと頼みます。
伴侶のため生涯にわたって約束を守った男
しかし高速道路は軍に封鎖されてます。一般道も軍が取り締まっていますが、キムの機転でなんとか光州にたどり着きます。光州についてキムは町の異様な雰囲気に驚きます。そしてビジネスマンだったピーターがカメラを回し始めたのを見て、ジャーナリストだと気がつきます。町は学生たちと軍の一触即発状態です。キムはピーターを学生たちに任せて、お金をもらいソウルに帰ろうとします。しかしここでキムの「正義感が弾ける」のです。光州に戻りキムを救出。そして同じタクシー運転手のファン・テスル(ユ・ヘジン) さらに学生のファン・テスル(ユ・ヘジン) と心を同じにします。
是枝監督作品も韓国映画に多大な影響を与えた
映画『タクシー運転手 約束は海を越えて』の評価・結末
映画『タクシー運転手 ~約束は海を越えて~』はソン・ガンホのキャラクターから滲み出るコメディー要素を前半にうまく取り入れながら、後半はとてもシリアスに展開していく作りがいいと思います。うまく対比させています。さらに北のソウル市はまるで平和なに対して光州市での騒乱も、韓国社会を上手に対比させています。
エルザは約束の地へ行き女王になります
キムがピーターをタクシーに乗せて走ります。「絶対に捕まる」と思わせておいて、ファン・テスル(ユ・ヘジン) らのタクシー仲間が駆けつけて、軍用車とカーチェイスを行い逃す場面には胸が熱くなりました(たぶん、実際にはこういったカーチェイスはなかったと思います。ハリウッド的な演出だと思います)この場面はかなりの力が入った撮影だと思います。キャメラも複数台で捉えています。空撮もあります。追突、大破もありました。
大スターになる約束でしたが、、、
命を削ってソウルについた二人は別れます。名前を聞かれたキムは「キム・サボク」と偽名を書きます。ピーターはフィルムを持って東京へ飛びます。そして世界に真実を報道されました。テレビを見ていたキムの表情に清々しさが感じられます。「大きなことをした」という満足感です。でもキムはそれを誰かに話して自慢などしませんでした。慎ましく愛娘と暮らすのです。
生まれた時から決められていた結婚、、、
そして月日は流れた2003年12月、ピーターが韓国を訪れます(授賞式に出席)その演説で光州事件取材の時に運転手である「キム・サボクを探している」と言います。しかしそれは叶いませんでした。テレビを見ていたキムは相変わらずタクシー運転手をしています。その眼差しは20年前のように学生を厳しく見るものではなく、とても優しいものでした(実際のドライバーは1984年に亡くなっていたそうです)
映画『タクシー運転手 約束は海を越えて』は全部が全部実話とは言いきませんが、韓国の暗黒史である「光州事件」を正面から捉えた勇気が高く評価できると思います。それと、「日本批判がなかった」ことも良かったのではないでしょうか。
規模が違う!全宇宙平和のために戦う女性
映画『タクシー運転手 約束は海を越えて』のキャストについて
キム・マンソプ(ソン・ガンホ)
妻に先立たれひとり娘を溺愛するタクシー運転手。稼ぎが少ない。家賃を滞納している。性格的には穏やか。あまり面倒なことに関わりと持ちたくないタイプだったが、、、。ソン・ガンホさんはもはや韓国を代表する名優です。先の映画『パラサイト 半地下の家族』の好演が記憶に新しいです。お人好しにもハンサムとは言えませんが、存在力があります。そして顔だけで喜怒哀楽を表現できます。素晴らしい俳優です。本作でも前半から中盤、そして終盤にかけても心模様を雲の流れを見ているような変容で魅了してくれました。
ユルゲン・ヒンツペーター(ピーター)(トーマス・クレッチマン)
ドイツ人ジャーナリスト。東京に特派員として赴任していましたが、韓国で民衆蜂起が起こり、宣教師として乗り込みます。もちろん世界に「真実を伝える」が目的ですが、やはりジャーナリストですから“特ダネ”を求めています。ユルゲン・ヒンツペーターは一見、冷たい白人という印象を与えました。それは当時のアジア人に対しての役作りと思われます。韓国語を喋れない役なので、英語での会話が主でしたが、最初はちょっと上から目線でした。しかし最後は心を韓国の人たちに同調させていく演技が良かったです。
ファン・テスル(ユ・ヘジン)
光州市のタクシー運転手。人情に厚い人です。若者のため、韓国のために命がけで戦います。ユ・ヘジンさんはどちらかというとちょっとコメディっぽい雰囲気を纏っていましたが、とても人情に厚いキャラクターが全開しました。最後のカーチェイスの場面は必見です。胸が張り裂けそうな演技でした。
ク・ジェシク(リュ・ジュンヨル)
学生。英語ができる。「歌謡祭に出るために大学に入った」が印象的でした。リュ・ジュンヨルさんの決死の叫びが素晴らしかった。まさに“自己犠牲”でした。何も考えていない長髪の学生と思わせまあすが、圧巻の最後を見せてくれました。
まとめ 映画『タクシー運転手 約束は海を越えて』一言で言うと!
「約束に大小の区別はない」
確か維新の志士の誰かが言った言葉です。「人と交わした約束の一つも守れないような人間にはなりたくない。約束に大も小もない」確かにその通りです。ただ時代の進歩と共に約束も安易なものになったと思います。昔は手紙などで約束を交わしていました。でも今はテクノロジーの進歩で誰でも電話を持っています。ドタキャンなど当たり前になっています。破られた方も慣れているので、気にしなくなりました。ある意味、人間関係が軽薄になったと思います。でも破られた約束はそんなに重要ではない裏返しです。人生や社会や世界を変えるような約束って一生のうちに一度くらいはしたいですね。
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映画『タクシー運転手 約束は海を越えて』の作品情報
映画.comより一部引用
スタッフ・キャスト
監督
チャン・フン
製作
パク・ウンギョン
製作総指揮
ユ・ジョンフン
脚本
オム・ユナ
撮影
コ・ナクソン
美術
チョ・ファソン チャン・イジン
衣装
チョ・サンギョン チェ・ヨンサン
編集
キム・サンボム キム・ジェボム
音楽
チョ・ヨンウク
キム・マンソプ(ソン・ガンホ)
ユルゲン・ヒンツペーター(ピーター)(トーマス・クレッチマン)
ファン・テスル(ユ・ヘジン)
ク・ジェシク(リュ・ジュンヨル)
2017年製作/137分/G/韓国
原題:A Taxi Driver
配給:クロックワークス