映画『パラレルワールド・ラブストーリー』(108分/日本/2019)
映画『パラレルワールド・ラブストーリー』の作品情報
【原題】
『パラレルワールド・ラブストーリー』
【製作年】
2019年
【製作国】
日本
【上映時間】
108分
【日本公開【原題】
『パラレルワールド・ラブストーリー』
【製作年】
2019年
【製作国】
日本
【上映時間】
108分
【日本公開】
2019年
【原作】
東野圭吾
【監督】
森義隆
【脚本】
一雫ライオン
【キャスト】
玉森裕太
吉岡里帆
染谷将太
筒井道隆
美村里江
清水尋也
水間ロン
石田ニコル
田口トモロヲ
映画『パラレルワールド・ラブストーリー』の作品概要
人間の記憶ほど曖昧なものはない。記憶は強烈な体験によって書き換えられる。しかも現代ではコンピュータを駆使したデジタル技術を用いて記憶を消したり、書き加えたりする研究がすすめれれている。本作は来たる未来において、我々の脳みそは巨大な権力を持った組織が都合のいいように作られてしまう時代への警告も加味している。吉岡里帆(映画『ハケンアニメ!』や映画『ホリック xxxHOLiC』や映画『見えない目撃者』)
映画『パラレルワールド・ラブストーリー』のあらすじとネタバレ
山手線と京浜東北線が接近する時に各々の電車から恋することで始まった物語。会うはずのなかった二人がひょんなことから出会うが、三角関係に発展する。しかも記憶を操作する研究の実験対象となり作られた記憶を生きていくが、、、。やがて二つの世界の謎が解けて、恋人との関係が異常であることに気がつく。
映画『パラレルワールド・ラブストーリー』の感想と評価
吉岡里帆さんには期待しているからこそ
吉岡里帆さんが登場してきた時、とても大きな期待をした。見た目はこれと言って華はない。
どことなくポワーンとした雰囲気で周りを包み込むような“癒し&和み感”を覚えた。でも多分、この子は芯がとても強い子で映画を中心に伸びていくだろうと感じた。
それからテレビ番組で多見するようになってからどんどん魅力がなくなったように見受けられた。
くだらないバラエティーでヨイショされその場の空気を壊さないように努める様は本人の目指すところの女優像から大きく離れていており、葛藤があったのではないだろうか。
映画、舞台での吉岡さんを観たいのだ
本作でもどことなく存在感が危うい。
危ういというのは彼女なりの役作りをしたいのだが、周りのスタッフの指示、あるいは命令によっての役作りを行なったため、後悔の念という雑念がスクリーンに出ていることを指す。
吉岡さん自身、今後女優としてステップアップを図りたいところだが、一度植えつけれれたイメージからの脱却を可能にする作品に出会ってないと言える。
このままだといつまでもポワーンとした雰囲気だけの俳優で終わってしまうだろう。今はまだ若いからオファーはくるが、この世界は雨後の筍のように若手の攻勢が日常的だ。
そうなったら同じようなタイプの若手に淘汰されてしまう。
あとはすでに終末に向かって疾走中の“終コンメディア”であるテレビ番組に出演して好感度を上げることだけを目標にしているおバカなタレントたちと戯れるだけの存在になってしまう。
エンターテイメント作品も良いが芸術系の作品への出演を期待
私は思うに吉岡さんはもっと作品系の映画に出るべきだ(もしくは舞台だ)大きなお世話と叱咤覚悟で書くが、例えば殺人者、風俗嬢、極道の女など。
一見、吉岡さんのイメージとは大きくかけ離れるところのギャップが良いと思う。
一般社会には表向きは会社の事務員であるのに関わらず、夜になるとSMクラブの女王様を演じて自身のアイデンティティーの確認をしている女性もいる。
また、母親が殺人者であり世間から逃げるように暮らすが自身の本性が母親に近づいていく様に狂喜する女性もいる。
優しそうに見えるが、実際は子殺しする女もいる。
意外性、ギャップこそが共感を得るのだ
つまり二面性、三面性を描ける作品に出て欲しい。
本作はそのまんまである。ポワーンとした中身のない愚かな女を演じている、いや演じさせられているのだ。
スクリーンで観る吉岡さんは毎回、「たった今起きました」って顔をしている。それを武器にして活かさないと。素朴さ故の恐ろしさってあると思う。
鍵は承認欲求を気にするのをやめて、豹変する選択へと舵を切る勇気だけだ。
女優のキャリアとしてはまだ寝起きかもしれないが、時間はすでにお昼を回っていることに気がつかなければ、、、。
東野圭吾作品の映像化の難しさを痛感した作品
さて、映画の方の感想は無味無臭となる。後術するが、ジワっと来なかったのである。
東野圭吾さんの作品はいくつか観ている。でも良い作品しか覚えていない。
『レイクサイド マーダーケース』だけである。
青山真治監督が撮ったから良いことは間違いない。
その後、東野作品はテレビドラマで多く制作されたような気がする。だから記憶に残っていないのだ(フィルムでこそ記憶に残るのが東野圭吾作品)
ご存知の通り東野圭吾さんの作品を映像化するのはとても困難である。
技術的にというより人間が持つ本能に通じる内面性の心情曲線を我々に同調させなくてはいけないからだ。
それは脚本の吸引力で決定する。
わかりやすく言うと、東野作品は活字で読むととにかく引っ張らていく。吸着力は強く磁石のようだ。
一日中、物語(本)から抜け出せなくなった人も多いだろう。
これは本という情報のなせる技だが、東野さんという素晴らしい作家が作り上げた巧妙かつ粘着質を含有した“心の世界戦略”としか言いようがない。
美男美女を使うのは諸刃の剣だ 遠慮した演出になってないか
演出的にも今ひとつ。
玉森さん演じる敦賀崇史だが、端的に言えば一番の悪人である。
悪人と意味はまず自分の親友の彼女を奪おうと画策すること、嫉妬し親友の仕事内容を盗もうとすること、そして最悪なのは親友の彼女をレイプすることだ。
映画ではこれらの悪行がサラッと描かれている。これではマズイでしょ。いくら顔見知りと言えどレイプはダメでしょ。
おまけに吉岡さんは抵抗虚しく受け入れてしまいますが、あの演出は女性をバカにしている。下手をすれば多くの男性たちは強引に迫れば「できるんだ」と勘違いする人も出てくる可能性がある。
かと言ってこれは映画だから、表現もあるから、そんな悠長なことは気にしていられない。
だったらもっと玉森さんを悪人として描かなくてはいけないのだ。あのハンサムな顔で悪人を描いてこそ、本映画が生きてくるはずだ。
自分の記憶がどうのこうのって悩み、パラレルワールドを行き来することに注力し過ぎで、肝心の人間の持つ本能に通じる内面性が描かれていないのが残念だ(まあ、玉森さんのイメージもあるだろうし、将来への方針もあるだろう)
兎にも角にも、観ている側の心情曲線が平坦を描いた108分であった。
東野圭吾作品を読んだ後、あるいは観終わった後、ジワっとくる嫌〜な感覚が得られなかった。
*勝手な妄想であるが、もし東野圭吾作品を黒沢清監督が撮ったどうなるのだろう、と思ってしまう。あるいは井筒監督とか。
映画『パラレルワールド・ラブストーリー』まとめ 一言で言うと!
パラレルワールドは身近にある。何故ならばDNA自体がパラレル模様を描いてるから。
テレビ、ネット、新聞等の氾濫する情報をそのまま取り入れているといつしかメディアの奴隷となってしまう。信じることと選ぶことは別である。人の囁き、メディアからの情報に記憶は歪んでいく。
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スタッフ
監督
森義隆
原作
東野圭吾
脚本
一雫ライオン
製作代表
大角正
今村司
エグゼクティブプロデューサー
吉田繁暁
伊藤響
プロデューサー
石田聡子
飯沼伸之
橋口一成
浅岡直人
共同プロデューサー
福島聡司
撮影
灰原隆裕
照明
水野研一
録音
田中靖志
美術
安宅紀史
装飾
坂本朗
スタイリスト
勝俣淳子
村上利香
ヘアメイク
竹下フミ
視覚効果
松本肇
編集
今井剛
サウンドエフェクト
北田雅也
音楽プロデューサー
高石真美
音楽
安川午朗
主題歌
宇多田ヒカル
助監督
東條政利
製作担当
根津文紀
キャスト
玉森裕太敦賀崇史
吉岡里帆津野麻由子
染谷将太三輪智彦
筒井道隆小山内
美村里江景子
清水尋也篠崎
水間ロン柳瀬
石田ニコル夏江
田口トモロヲ須藤
作品データ
製作年 2019年
製作国 日本
配給 松竹
上映時間 108分
映倫区分 G