映画『ふたりのJ・T・リロイ ベストセラー作家の裏の裏』のあらすじ・ネタバレ・解説・感想・評価から作品情報・概要・キャスト、予告編動画も紹介し、物語のラストまで簡単に解説しています。
映画『ふたりのJ・T・リロイ ベストセラー作家の裏の裏』公式サイトにて作品情報・キャスト・上映館・お時間もご確認ください。
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『ふたりのJ・T・リロイ ベストセラー作家の裏の裏』(2018年製作/108分/PG12/アメリカ)
原題『JT LeRoy』
【監督】
ジャスティン・ケリー
【製作】
パトリック・ウォームズリー ジュリー・ヨーン ソー・ブラッドウェル
ゲイリー・パール カシアン・エルウィズ ギリ・サラン マーク・アミン デイブ・ハンセン
【出演】
クリステン・スチュワート
ローラ・ダーン
ジム・スタージェス
ダイアン・クルーガー
- 映画『ふたりのJ・T・リロイ ベストセラー作家の裏の裏』のオススメ度は?
- 映画『ふたりのJ・T・リロイ ベストセラー作家の裏の裏』の作品情報・概要
- 映画『ふたりのJ・T・リロイ ベストセラー作家の裏の裏』のあらすじ・ネタバレ
- 映画『ふたりのJ・T・リロイ ベストセラー作家の裏の裏』の感想・評価・内容・結末
- 映画『ふたりのJ・T・リロイ ベストセラー作家の裏の裏』のキャストについて
- まとめ 映画『ふたりのJ・T・リロイ ベストセラー作家の裏の裏』一言で言うと!
- 『運だぜ!アート』本日の総合アクセスランキング
- 合わせて観たい映画
- 映画『ふたりのJ・T・リロイ ベストセラー作家の裏の裏』の作品情報
映画『ふたりのJ・T・リロイ ベストセラー作家の裏の裏』のオススメ度は?
星4つです
劇場型作家誕生物語と言えるのでは
現代ならSNSを利用して大成功しているのに
J・Tリロイのアバターは誰だったのか
原作者のローラ・アルバートの才能を再評価
面白い
映画『ふたりのJ・T・リロイ ベストセラー作家の裏の裏』の作品情報・概要
『ふたりのJ・T・リロイ ベストセラー作家の裏の裏』原題『JT LeRoy』2018年に公開された米英加合作のドラマ映画。ジャスティン・ケリー監督作品。主演はローラ・ダーンが務めた。製作総指揮のサヴァンナ・クヌープが発表した自叙伝『Girl Boy Girl: How I Became JT Leroy』を原作としている。J・Tを演じるサヴァンナの苦悩が描かれている。
映画『ふたりのJ・T・リロイ ベストセラー作家の裏の裏』のあらすじ・ネタバレ
ローラ(ローラ・ダーン) は夫のジェフ(ジム・スタージェス)と組んだバンドのセールスに躍起だ。しかし如何せん音楽的な才能がない。そこで小説『サラ、いつわりの祈り』を書き、作者がそのバンドの熱狂的なファンだとアピールすることでバンドを売り出そうと考えた。しかしながら発表した小説が予想外のスマッシュヒット。ローラは夫の妹サヴァンナ(クリステン・スチュワート) を作者に仕立て上げメディア展開していく。乗り気でなかったサヴァンナも注目されることに戸惑いながらJ・T・リロイを演じていく。しかしことは上手く運ばない。やがて正体がバレて大バッシングを食らうことになる。果たして、、、。
映画『ふたりのJ・T・リロイ ベストセラー作家の裏の裏』の感想・評価・内容・結末
SNSがなかった時代の炎上ビジネス
とても面白い映画です。このJ・T・リロイを作り出したのはローラ・アルバートという女性作家です。
わたしはまずこのローラという女性の才能を評価したいと思います。彼女のやり方はいわゆる炎上ビジネスです。
今ではSNSでは常套手段です。その先駆けになった人です。ただ時代的に早すぎた手法だったと思います。
もし現在であるならブログ、ツイッター、ファイスブックを大活用してもっと大きな展開になっていたと思います。
しかもSNSでの展開はある程度「虚飾もオッケー」という曖昧なルールが浸透しているので違った形になったのではないでしょうか。
しかしながらローラ・アルバートはこの事件以降、作家としてある程度成功しているわけですからやはり才能があったのはいうまでもありません。
女性作家が生き辛かった時代を描いた映画
ローラ・アルバートは才能豊かな人に変わりない
さて、映画『ふたりのJ・T・リロイ ベストセラー作家の裏の裏』ですが、ローラ・アルバートが自身の小説を発表したいのですが、女であることや用紙などを揶揄されて出版できませんでした。
そこで考えたのは毒親の元に育ちドラッグをやり、エイズにかかった男娼として生業を立てながらも芸術的才能があるという少年を作り上げたのです。
これが見事に功を奏しました。全米で大ヒットです。
しかもマドンナ、コートニー・ラブ、ウィノナ・ライダーらの著名人からも絶対的な支持を取り付けます。J・Tの生い立ちに同情したという意見もありますが、やはり繊細な文章が評価されたのも事実です。
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思わぬベストセラーでアバターを作り上げた
メディアからの取材攻勢、そして映画化へと猛進して行きます。
その際にローラ(ローラ・ダーン)は 婚約者ジェフ(ジム・スタージェス) の妹サヴァンナ(クリステン・スチュワート)をリロイに仕立て上げるのです。
今さらローラが書いたとは言えません。ちなみにローラの生い立ちも壮絶です。毒親、施設育ち、肥満。それらがコンプレックスとなっていました。
ですから自らのアバターとしてJ・Tリロイを作り上げて、リロイのアバターにサヴァンナを当てたのです。
サヴァンナはローラの命令に赴くまま演じていましたが、やはり無理があります。
作家性の高いローラの世界観についていけなかったこともありますが、自身もメディアで注目され、有名になっていくことに快感を覚えたのも崩壊への始まりといってもいいでしょう。
サヴァンナがもっとうまく演じていれば今もJ・Tリロイは存在していたのかもしれません。
太宰も劇場型の作家だった
メディアの本性が見える映画でもある
さて、この映画『ふたりのJ・T・リロイ ベストセラー作家の裏の裏』から読み取れるのは「メディアは恐ろしい、でもすぐ飽きる」ということです。
確かに全米を巻き込んだスキャンダルってイメージがありますが、エンタメビジネスの世界ではもっと酷い嘘やイメージ操作が行われていることも認識しなければいけません。
俳優でも歌手でもそれほど歌も上手くないのにもてはやされている人っていますよね?「なんであの人が?」って日常茶飯事です。
大手の事務所の戦略にしてもやりすぎではと感じる事例はたくさんあります。例えば世界の美しい顔100人などの企画はたくさんあります。
でもそれって単なるごく一部の人が選んだ基準であって、誰もが認めているわけではありません。でもネットに流れると誰もがすごいと捉えてしまいます。
メディアを逆手にとった面白さがある
もっと言うなら「フランスでは日本アニメがブーム」とかのニュースあるじゃあないですか。来場者が50万人とか。でもたった50万人です。
それを日本のメディアが報道するとわたしたち日本人は活気付き、変な自意識が生まれてます。確かにフランスは親日家が多いですが、そこまでブームになっていないのです。
メディアというのは恐ろしいものです。でもこのJ・T・リロイはそのメディアを逆手にとって展開した劇場型の事件だったのです。
それはそれで面白いのです。ですから騙されたメディアの反撃は凄まじいものだったそうです。
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ローラ・アルバートの才能を再評価したい映画
ただここで改めて評価しなければいけないのは作家ローラ・アルバートの才能です。
メディアを巻き込んだ劇場型物語を完遂させたのは実は自身の作家性を世に問うために手段だったとしたらそれはとてつもない才能だと思うのです。
実際、その後の彼女は小説家としていくつか出版し高評価をえています。一方で主人公を演じたサヴァンナはJ・Tリロイの亡霊に取り憑かれて苦悩した時期があったようです。
しかしながら本映画『ふたりのJ・T・リロイ ベストセラー作家の裏の裏』で製作総指揮・原作も兼ねています。
映画の中では退廃的なイメージを持っていましたが、彼女なりに辛酸を舐めて表舞台に戻ってきました。ですからこの映画自体がJ・Tリロイの終焉であるのかもしれません。
ちなみに中心人物のローラ・アルバートはもうJ・Tリロイに興味はないそうです。いわゆる「過去のもの」なのでしょう。作家とはそうあるべきなのかもしれません。
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映画『ふたりのJ・T・リロイ ベストセラー作家の裏の裏』のキャストについて
サヴァンナ(クリステン・スチュワート)
ローラにJ・T・リロイに仕立て上げられる。嘘であるから葛藤するが次第に自己陶酔していく自分に気がつく。クリステン・スチュワートの退廃的というか、けだるい感じの演技がとても良かったです。いかにもデリケートで中性的な若者感という雰囲気を出していました。
ローラ(ローラ・ダーン)
本映画の主人公ローラ・アルバート役です。才能豊かな女性です。もうローラ・ダーン以外は考えられないような演技でした。『マリッジ・ストーリー』のイケ好かない役もぴったりですが、本作のローラも圧巻です。まったく罪悪感もなく、とにかくぶっ飛ばし感が満載でした。最高です。
ジェフ(ジム・スタージェス)
ローラの夫でさえないバンドマン。音楽で世界に打って出ようと目論んでいますが、あまり才能がありません。映画の中では割と善人のように扱われていますが、ローラを煽ったのは事実でしょう。最後にローラを裏切るのは男としてどうか、と感じました。ジム・スタージェスは顔がいいですね。
エヴァ(ダイアン・クルーガー)
J・T・リロイの映画化権を獲得して監督します。リロイの才能に惚れ込んでいますが、実際のリロイに会って何かを知ったようです。ダイアン・クルーガーは美しいですね。意地悪な雰囲気を出すのがとてもうまいですね。
*尚、実際の映画はアーシア・アルジェントが監督している。彼女はハーヴェイ・ワインスタインのレイプを訴えて、#MeToo運動の先駆け的存在である。
まとめ 映画『ふたりのJ・T・リロイ ベストセラー作家の裏の裏』一言で言うと!
「能ある鷹は爪を隠す」
ちょっと意味合いは違うかもしれませんが、ローラは爪を隠したばかりに大炎上してしまいました。本人は表舞台に出ることをせず、陰で君臨したかったと思いますが、世の中は都合よく進みません。爪を隠したことがバレて大炎上したことがローラの望んだ売名成功とは行きませんでした。ですからこのことわざは能力がある人が爪を隠すと後々、大変なことになるかも、です。
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映画『トールキン 旅のはじまり』
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映画『ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー』
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『Merry Christmas!〜ロンドンに奇跡を起こした男〜』
ディケンズの創作スタイルが釘付けになる
映画『ふたりのJ・T・リロイ ベストセラー作家の裏の裏』の作品情報
映画.comより一部引用
スタッフ・キャスト
監督
ジャスティン・ケリー
製作
パトリック・ウォームズリー ジュリー・ヨーン ソー・ブラッドウェル ゲイリー・パール カシアン・エルウィズ ギリ・サラン マーク・アミン デイブ・ハンセン
製作総指揮
ジャスティン・ケリー サバンナ・クヌープ フィリス・レイング デバン・タワーズ アンダース・エアデン サイモン・ウィリアムズ ウェイン・マーク・ゴッドフリー ロバート・ジョーンズ カミ・ウィニコフ タイラー・ボーム ジェド・ルート トレイシー・クリスチャン ナディーン・ドゥ・バロス エリカ・オールド マーゴット・ハンド
原作
サバンナ・クヌープ
脚本
ジャスティン・ケリー サバンナ・クヌープ
撮影
ボビー・ブコウスキー
美術
ジャン=アンドレ・カリエール
衣装
エイバリー・プルーズ
編集
アーロン・I・バトラー
音楽
ティム・クバスノスキー
音楽監修
ジョエル・C・ハイ
サヴァンナ(クリステン・スチュワート)
ローラ(ローラ・ダーン)
ジェフ(ジム・スタージェス)
エヴァ(ダイアン・クルーガー)
サシャ(コートニー・ラブ)
ケルビン・ハリソン・Jr.
ジェームズ・ジャガー
デイブ・ブラウン
2018年製作/108分/PG12/アメリカ
原題:JT LeRoy
配給:ポニーキャニオン