フレデリック・ワイズマン監督作映画『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』“図書館は人である”図書館を愛する人は人に優しい人。ネタバレ・あらすじ・内容・感想

2019年製作
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映画『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』の公式サイトとYouTubeを参照ください。

映画『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』公式サイト
世界で最も有名な図書館のひとつ その舞台裏へ。巨匠フレデリック・ワイズマンの傑作ドキュメンタリー。5/18(土)より岩波ホールほか全国順次ロードショー

『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』205分/アメリカ/2017
原題『Ex Libris: The New York Public Library』

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映画『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』のオススメ度は?

4.0

星4つです。

本好きな人は必見です。

建造物が好きな人も必見です。

ニューヨークから偉人が生まれる理由がわかります。

友だち、恋人と観に行ってください。

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映画『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』の作品概要

世界中の図書館員の憧れの的であるニューヨーク公共図書館の舞台裏を、フレデリック・ワイズマン監督が捉えたドキュメンタリー映画です。図書館の役割は本の貸し出し、、というイメージを凌駕させます。作家の朗読会、就職斡旋、音楽会、ダンスクラブと多岐に渡ってニューヨーク市民のために尽くしています。職員のプライドもやる気も高い。ニューヨークの知の拠点がこの図書館であり、ここから文化、芸術、ビジネスが生まれたと言っても過言ではない。圧倒されます。

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映画『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』のあらすじ・ネタバレ

最初から最後まで一切のナレーションや解説は入りません。ひたすらインタビューが続きます。それも結構難しい話が多いです。黒人への差別、イスラム教徒への偏見など、アメリカに住んでいないと実感できない内容が最後まで続きます。時折、職員の話を挿入しながらこの図書館の全体像を浮き彫りにしていきます。

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映画『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』の感想・評価・内容・結末

わたしが住む場所でとても重要にしていることの一つに図書館の存在があります。町の図書館のことです。わたしは映画館も好きなのですが、図書館も大好きなのです。もちろん本を借りに行きますが、どちらかというと図書館でゆっくり過ごすのが好きです。大人から子どもまで不思議とみんなが図書館の最低のルールである、静かを守っているのが何だか気持ちが良いのです。静かと言っても歩く音、咳払いをする音、席を立つ音、そしてページをめくる音が響いています。みんなが本を読んでいるとわたしも勉強した気分になってきます。

さて、この映画はニューヨークにある公共図書館をテーマにしたドキュメンタリー作品です。図書館のドキュメンタリー映画ってどんな内容だろう?と興味津々で楽しみでした。結果として大満足の映画でした。まずお腹いっぱいになりました。時間にして205分。最近観た映画では最長です。途中、休憩が入ります。ナレーションとか補足の解説とか一切入りません。でも、でもです。全く飽きません。飽きるどころかどんどん引き込んでいきます。出演者の言葉にとても力があるのです。映画を一本観ると本を一冊読んだくらいの知識教養がつくと言いますが、この映画『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』は軽く5冊分の本を読んだ気持ちにさせてくれました。

まずわたしたちが想像する図書館とは随分違います。この図書館は単なる本を貸し借りするだけの存在ではありません。ニューヨーク市民の人生にとても貢献しているのです。まず就職の斡旋、それは履歴書の書き方や面接の練習まで行なっいます。更に自宅でネット環境がない人にルーターの無料貸し出し、更に音楽会からダンス教室までを多岐にわたります。もちろん著者を呼んでの朗読会からサイン会までも行なっています。印象的な言葉があります。「図書館は人なのです」つまり図書館を利用する人は知識教養も身につきます。それは人として成長して行くことなのです。実に素晴らしい言葉です。

さて、本作の監督はフレデリック・ワイズマン。ドキュメンタリー映画の巨匠です。フィルムグラフィーを見ましたが、恥ずかしながらわたしは観た記憶がない作品ばかりでした。近年はアメリカ国内の公共の建造物を撮っています。わたしが本作を観て感じたのは徹底的に凝視する、いやさせる映画だということです。監督自身が撮影していますが、あまりにも凝視しているため、もちろん音も聞き漏らすまいとしているため、いつの間にか観ているわたしが実際に撮影しているかのような錯覚に陥りました。インタビューを聞いていて「もっと聞きたい」とか「わたしはこう考える」などとずっと去来するからあっという間の205分だったのではないでしょうか。

観客を引き込んで、映画制作の当事者にしてしまうほどのエネルギーがあります。ですからこのニューヨーク図書館へ行っている気持ちなのです。視覚、聴覚、触覚はもとより匂いも感じますし、味も伝わってきます(食べてないのに味がします)恐るべき映画です。主に人物のバストアップで占められていますが、たまに図書館の中景から遠景を切り取ります。中でもシンメトリーで撮られたショットがまた美しいのです。ハッとさせられるのです。これも監督の狙いなのでしょうか。人物人物人物人物人物人物、シンメトリーと来ると俄然とこの図書館の大きさとか優美さが際立ってきます。いやあ、上手いです。

そして何より大事なのはこの図書館で働いているスタッフたちの有能さには驚かされます。検索人間「人間google」や「プレゼンの達人」や「面接の名人」など多彩です。もちろん、この公共性を保持するための予算獲得人も登場します。皆が図書館を誇りに思って、一生懸命に働く様に心惹かれます。こんな図書館、いつか日本にも出来ないかなあと思ってしまうほど素晴らしい映画でした。

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映画『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』まとめ 一言で言うと!

図書館は人である。

最近、耳にした最も良い言葉です。図書館は人を育みます。知識をつけた人はまた図書館へ行きます。すると図書館も更に成長します。この連載は建設的な未来を作ります。人が集まらない図書館はダメです。なんでもそうですが、人が集まるには理由があります。そこにがあるからです。

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映画『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』の作品情報

映画.comより一部引用
スタッフ・キャスト
監督
フレデリック・ワイズマン
製作
フレデリック・ワイズマン
製作総指揮
カレン・コニーチェク
撮影
ジョン・デイビー
編集
フレデリック・ワイズマン
ポール・ホルデングレイバー
エルビス・コステロ
パティ・スミス
エドムンド・デ・ワール
ハリール・ジブラーン・ムハンマド
タナハシ・コーツ
ジェシカ・ストランド
リチャード・ドーキンス
ユーセフ・コマンヤーカ
イバン・レスリー
キャロリン・エンガー
マイルズ・ホッジス
キャンディス・ブロッカー・ペン
2017年製作/205分/アメリカ
原題:Ex Libris: The New York Public Library
配給:ミモザフィルムズ、ムヴィオラ

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