映画『草間彌生∞INFINITY』ネタバレ・あらすじ・感想。アーチスト草間彌生さんはビジネスマンでもあった。水玉模様を描く理由とトラウマとの戦い。

映画『草間彌生∞INFINITY』ネタバレ・あらすじ・感想。アーチスト草間彌生さんはビジネスマンでもあった。水玉模様を描く理由とトラウマとの戦い。 2019年製作
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映画『草間彌生∞INFINITY』公式サイトにて作品情報・キャスト・上映館・お時間もご確認ください。

YouTubeで予告映像もご覧ください。

『草間彌生∞INFINITY』公式サイト
日本を代表する前衛芸術家、草間彌生氏の人生と創作に迫ったドキュメンタリー映画。2019年11月22日(金)より渋谷パルコ8F WHITE CINE QUINTOほか全国ロードショー 配給:パルコ

映画『草間彌生∞INFINITY』(76分/G/アメリカ/2018)
原題『Kusama: Infinity』

【監督】
ヘザー・レンズ
【製作】
ヘザー・レンズ カレン・ジョンソン デビッド・コー ダン・ブラウン
【出演】
草間彌生

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映画『草間彌生∞INFINITY』のオススメ度は?

4.0

4つです。

草間彌生さんを知りましょう。

そして応援しましょう。

彼女の世界観は未来を見ています。

不世出のアーチストです。

是非とも観に行ってください。

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映画『草間彌生∞INFINITY』の作品概要

世界的に著名な前衛芸術家・草間彌生の半生を追ったドキュメンタリー映画です。監督はヘザー・レンズ。女性監督です。2004年に企画がスタートして14年の歳月をかけた力作。単なる草間ファンではなく、草間彌生の生い立ち、活動、現在の生き方をちゃんと描いている。

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映画『草間彌生∞INFINITY』のあらすじ・ネタバレ

草間彌生が生まれ育った長野県松本市、そして幼少時代に両親から受けたDVについて赤裸々に描かれています。厳しい両親にあらがうように家を飛び出し、渡米します。キーフへ手紙秘話。渡米後の苦労、成功、挫折。そして失意の帰国と再出発を描いています。そして現在も精力的にアーチスト活動する草間彌生の姿を近距離から描いています。

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映画『草間彌生∞INFINITY』の感想・評価・内容・結末

皆さんは草間彌生というアーチスト知っているでしょうか?日本人アーチストとして世界で一番有名で作品も高額に売買される人です。わたしが彼女を知ったのは新しい方です。2000年くらいだだったと思います。当時、奈良美智さん、村上隆さんの作品が海外で評判になっており、日本の新しいアーチストの時代と言われていました。日本人アーチストで最も高額に売買されるアーチストと彼らは言われていましたが、それを上回る実力と人気を博していたのが草間彌生さんだったのです。

恥ずかしながらわたしは知りませんでした。奈良さん、村上さんは当然ながら草間さんのことは知っていたと思います。草間さんの作品は彼らの作品とは全く違う魅力を持っていました。奈良さんは油絵専攻、村上さんは日本画専攻です。草間さんは日本画専攻ですが、途中でやめます。それからは独自の道を切り開いていきました。元々、彼女のドットや網目へのこだわりは自身の生い立ちにあると言われていますが、本映画『草間彌生∞INFINITY』では赤裸々に語られています。

過去の展覧会やNHKのドキュメンタリーで草間さんが語っていた内容より詳細に描かれているのが良かったです。草間さんは精神を病んでいるのは事実です。現在も精神病院に入院、というより住んでいます。そこから近所に建てたアトリエへ通って絵を描いています。彼女が精神を病んだ理由を映画では紹介しています。草間彌生さんの両親にスポットが当たります。

長野県松本市で草間さんは生まれます。彼女の実家は松本市でも有数の資産家でした。種苗業を営んでいました。母はそこの跡取りとなります。そして父親が婿養子として入ってきます。父は婿という肩身か、それとも当てつけかわかりませんが、女遊びに走ります。草間は母の言いつけで父親の浮気場所を突き止めるように言われます。何度も何人もの女と父親が浮気をしている現場を目撃して母に伝えます。幼い草間にとってはとてもショックだったそうです。しかも草間は母からも父からも虐待をされています。DVです。これらのことが重なって草間のトラウマは形成されることになったのです。

後年、草間がテレビで語っています。「ずっと死が追いかけてくる。それから逃げているの。死は怖いけど、わたしは死にたい」と。矛盾しているようですが、彼女のアーチストとしての源流には死生観があることは間違いないです。草間の病名は統合失調症とは強迫神経症とか言われていますが、もはやそんな病気に分類されることすら無意味に感じます。草間彌生は草間彌生なのです。

本映画『草間彌生∞INFINITY』を観ていると草間彌生が単なるアーチストではないことがわかります。彼女はビジネスマンです。自身をプロデュースするのが上手かったと言えます。1959年に渡米します。映画ではとても苦労したと語っています。人種差別、女性差別と戦ったそうですが、草間はそれに負けずに猛烈な売り込みを仕掛けています。とにかくニューヨーク中のギャラリーへ作品を持ち込んで売り込む、売り込む、売り込むを積極的に行っています。相手が「うん」と言うまで帰らないほどの強さです。

あの時代にそこまでやるとはすごいと言わざるを得ません。草間はおそらくアメリカという国は自己アピールすることが美徳だということをすぐさま感じ取り行動したと思います。日本では控えめが評価されますが、アメリカは違います。草間にとってはそれが良かったのでしょう。そして草間の売り込みでパトロンも見つけます。草間のアーチスト活動は多岐に渡ります。キャンバスだけの表現に留まりません。

有名なのはハプニング。裸になって平和、性差別をなくそうと戦います。それは後のラブ&ピースの先駆けだと言われています。さらに男性器を立体化したソフト・スカルプチャー、ボディペインティング、その他様々なインスタレーションを発表します。それらはアンディ・ウオホールやドナルド・ジャッドが真似したほどです。

本映画『草間彌生∞INFINITY』で最も印象的だったのは草間彌生がなぜドットを描きつけるのかがわかってきたことです。水玉はいつもキラキラしていて人に元気を与えると言っています。彼女が幼少の頃、両親からの虐待を受けた時も草間は水玉を描いていました。長野の田舎で一人で遊んでいる草間彌生の姿が目に浮かんできます。庭の池に落ちる雨の水玉、水面に映る自分にトンボがちょこんと触って現れる水玉。きっと水玉は傷つた草間の心をいつも明るい気持ちにさせてたいのでしょう。

*草間彌生は60年以上前から性の多様性について言及していました。男女の性別など無意味なことを言っています。ホモセクシャルな人たちの結婚式も行っています。

*戦争反対運動もアートを用いて行なっています。

*小説も書いてますし、映画も撮っています。マルチな才能です。

*映画の中で気になった映像がありました。草間さんの精神が壊れる話の時におそらくでありますが、ケシのお花畑がありました。とても面白い演出でした。

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まとめ 映画『草間彌生∞INFINITY』一言で言うと!

「継続は力なり」
三つ子の魂百までと言いますが、幼少の頃に身につけた能力は一生涯に渡ってついて回るものでしょう。草間さんはとにかく小さな頃からずっと水玉をテーマに絵を描いてきました。ずっとです。それを一度たりとも捨てたことはないのです。人間、一つのことをやり遂げると評価されるという証拠です。

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映画『草間彌生∞INFINITY』の作品情報

映画.comより一部引用
スタッフ・キャスト
監督
ヘザー・レンズ
製作
ヘザー・レンズ カレン・ジョンソン デビッド・コー ダン・ブラウン
製作総指揮
ライアン・ブルックス ブランドン・チェン ジェシカ・レイサム トロイ・クレイグ・プーン スタンリー・バックタール ジョシュ・ブラウン アリス・コー シモーン・ハジャッグ 井上肇
脚本
ヘザー・レンズ イデノケイタ
撮影
ハート・ペリー
編集
竹田信平 サム・カープ ジョン・ノースラップ
音楽
アリソン・ニューマン
草間彌生
2018年製作/76分/G/アメリカ
原題:Kusama: Infinity
配給:パルコ

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