『僕たちは希望という名の列車に乗った』(111分/独/2018)
原題『Das schweigende Klassenzimmer』
映画『僕たちは希望という名の列車に乗った』のオススメ度は?
星3つ半です。
これは今の若者というより、団塊の世代の方に観てもらいたいです。
その年代の人たちが若い頃は「革命」とか「安保反対」とかで、国家とか巨大組織に果敢に抗議した人たちが多いと聞きます。
それを貫いたかどうかは知りませんが、かつて持っていた熱い闘志っていうんですかね、若き日を思い出してください(ほとんどの人はサラリーマンに落ち着いたそうですが)
ただ、この映画の若者との違いは「彼らはやりきった」です。
以下、作品情報とか感想とか書いてあります。チャラーと読んでください。
映画『僕たちは希望という名の列車に乗った』の作品情報
【原題】
『Das schweigende Klassenzimmer』
【製作年】
2018年
【製作国】
ドイツ
【上映時間】
111分
【日本公開】
2019年
【世界公開】
2018年
【監督】
ラース・クラウメ
【脚本】
ラース・クラウメ
【キャスト】
レオナルド・シャイヒャ
トム・グラメンツ
レナ・クレンク
ヨナス・ダスラー
イザイア・ミカルスキ
ロナルト・ツェアフェル
ブルクハルト・クラウスナー
映画『僕たちは希望という名の列車に乗った』の作品概要
いつの時代も犠牲者は若者だ。また時代を築くのも若者だ。本作は国家という巨大な組織に対して18歳の学生が抵抗し、自らの人生を豊穣にするために希望の列車に乗って西ドイツへ亡命した勇気ある物語である。
映画『僕たちは希望という名の列車に乗った』のあらすじ・ネタバレ
ある日、西ドイツへ遊びに行ったら東ドイツでは報道されていないニュースが流れていた。それは社会主義の敗北的なニュースだ。1956年のハンガリー動乱だ。若者は東ドイツこそ全てを信じていたが、見事に瓦解した。18歳の若者はハンガリーの犠牲者のための黙祷を行う。しかしそれが国家への反逆とみなされる。そこで若者たちは勇気を出して西ドイツ行くの列車に乗り込み亡命を試みる。
映画『僕たちは希望という名の列車に乗った』の感想・評価・内容・結末
今、世界を見渡して革命が起きそうな国ってあるのだろうか
今わたしたちがいる時間は2019年6月10日である。現時点で世界のどこかで革命が起きる可能性はあるかどうかを考えてみた。中国。と言っても香港だ。
今まさに若者を中心に大きなデモが行われている。しかし、中国政府が転覆するほどの抗議活動にはならないだろう。何故ならば今の中国は経済発展し国民が裕福になり、誰もが目先の金儲けに目が眩んでいる状態だ。いや中国政府も国民もとにかく経済が崩壊しないように必死なのだ。
そしてある程度、中国には自由がある。社会主義の中の赤い自由だ。これは国民のストレスを軽減するには有効的な政策だ。
若者たちの悪ふざけが国家を刺激した
さて、わたしが何故、革命の話を書いたかというと本映画『僕たちは希望という名の列車に乗った』の若者たちの悲痛な叫びに共鳴したからである(無論、わたしは革命運動をしたことがない)
この映画は1956年の東ドイツで起きた事件をモチーフにして作られている。若者たちは最初は悪ふざけであったが、時の政府はソビエトの傀儡政権で言論規制も思想統制も抑圧されている時代だ。時代はいつも若者のためにあるという。
だからこそ世界の革命の多くは若者が指揮した。カストロとゲバラ然り。フセインも若かりし頃に革命を起こした。
当時の東ドイツは自由だった 黙祷する自由もあったのだから
物語は1956年のハンガリ動乱のニュースを偶然映画館で観たことから始まった。ドイツは第二次世界大戦後、東西に分断された。東ドイツは完全にソビエトに支配されていた。
でも当時はまだベルリンの壁がなく東ドイツの人間はある程度自由に西ドイツへ行けた。この映画に登場するテオとクルトは西ドイツの映画館でハンガリ動乱のニュースを見て驚愕した。すぐに東に帰りクラスメートに話す。
そして授業が始まる前に2分間の黙祷を行う。クラス全員でだ。入室した先生は怒り狂う。最初は単なる悪ふざけであったが国から睨まれることになる。誰が首謀者かの追求が始まる。
家族にも危害が加わる。そして高校卒業の認定を得ることも難しく、ましてや大学へ行く道も閉ざされる。しかし彼らは正義と自由のために列車に乗って西ドイツへ向かったのだ。何という勇気だろうか。
もしわたしがそこにいたらどうするだろうか。親も兄弟もある。もし国家に逆らったらどうなることやら、、、。恐ろしくて出来ないだろう。
若者には自由が一番似合う
でも彼らはやってのけたのだ。そう考えると若者にはやっぱり自由が似合うのだ。若者から自由を奪ったら国は繁栄しないのだ。
それで話を香港に戻すと、彼らは割と自由を享受しているように見える。仕事も自由に選ぶこともできるし、欲しいものも買える。更に外国へ行き異なる文化と触れ合うことも可能だ。
革命にはある種が閉塞感が必要だと思う。SNSも発達し誰もが情報を発信している。そこに閉塞感はあまりない。かつての天安門事件はどうだったろうか。かつての若者にとって中国が世界の全てであって外国の情報など皆無だったはずだ。そして途轍もない閉塞感が漂っていたと思う。だからあれだけ大きな抗議活動に繋がったのだ。
1956年の東ドイツはそれほど閉塞感に包まれていないようだ。西へ行く自由もあったし、何よりベルリンの壁もなかった。それに秘密警察シュタージも描かれていないから、割と穏やかだったのだろう。その事を鑑みると、学生たちは革命までは考えなかったと言える。でも亡命したのだ。勇気ある亡命だ。
今現在、わたしは日本である程度補償された生活を送っている。国に対する不満という不満は特にない。何故ならばこの国は平和である、治安も良い、差別もない、そして何より自由だ。この中で自分の生きる道を歩んでいけば良いと思っている。
映画『僕たちは希望という名の列車に乗った』まとめ 一言で言うと!
人生を国家に捧げる時代が一番、醜悪だ。自分の人生、自身で創造せよ!
21世紀は混沌としている。ある意味、100年前より生き辛いのかもしれない。
個々が進み自由を手に入れたことによって人間関係は希薄になった。
誰を信じて良いのかさえわからなくなる。
でも、この平和の仮面をかぶっている時代でこそ、自分の人生を創造してみる価値がある。
『運だぜ!アート』本日の総合アクセスランキング
合わせて観たい映画
以下、旧東側諸国を舞台にした映画
映画『スターリンの葬送狂騒曲』
映画『ホワイト・クロウ 伝説のダンサー』
映画『希望の灯り』
映画『COLD WAR あの歌、2つの心』
映画のことなら映画.comより引用
スタッフ
監督
ラース・クラウメ
脚本
ラース・クラウメ
撮影
イェンス・ハラント
衣装
エスター・バルツ
編集
バーバラ・ギス
音楽
クルストフ・カイザー
ユリアン・マース
キャスト
レオナルド・シャイヒャーテオ・レムケ
トム・グラメンツクルト・ヴェヒター
レナ・クレンクレナ
ヨナス・ダスラーエリック・バビンスキー
イザイア・ミカルスキパウル
ロナルト・ツェアフェルトヘルマン・レムケ
ブルクハルト・クラウスナーランゲ国民教育大臣
作品データ
原題 Das schweigende Klassenzimmer
製作年 2018年
製作国 ドイツ
配給 アルバトロス・フィルム、クロックワークス
上映時間 111分
映倫区分 PG12