映画『パパは奮闘中』ロマン・デュラスの育メン度が上がる様が良い。ネタバレ、あらすじ、評価

2019年製作
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映画『パパは奮闘中』(99分/ベルギー・フランス/2018)
原題『Nos Batailles』

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映画『パパは奮闘中』の作品情報

【原題】
『Nos Batailles』
【製作年】
2018年
【製作国】
ベルギー・フランス合作
【上映時間】
99分
【日本公開】
2019年
【世界公開】
2018年
【監督】
ギョーム・セネズ
【脚本】
ギョーム・セネズ
ラファエル・デプレシャン

【キャスト】
ロマン・デュリス
『彼は秘密の女ともだち』『ゲティ家の身代金』『ザ・ミスト』

ロール・カラミー
『女っ気なし』『バツイチは恋のはじまり』

レティシア・ドッシュ
『若い女』

ルーシー・ドゥベイ
バジル・グランバーガー
レナ・ジェラルド・ボス
サラ・ル・ピカール
セドリック・ビエラ

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映画『パパは奮闘中』の作品概要

仕事人間で家庭のことも顧みず働く男に一石を投じる作品。

一度、妻の大切さ、ありがたさを再認識してみよう、と呼びかけられる物語。

失って初めてその存在が大きくなることがわかる。

そして今まで以上に愛する気持ちが芽生えてくることも伝えている。

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映画『パパは奮闘中』のあらすじとネタバレ

パリで暮らすオリヴィエとクレールには小学生の男の子と女の子がいる。夫は真面目に働いているが労働組合の活動にも熱心で帰宅するのも遅い。

妻は息子の胸の火傷のことが気がかりで、自分を責めている。

ある日、妻が突然消える。その日からオリヴィエの生活は一変する。それまでやっていなった育児中心の生活になる。

妻の行方を必死で探すが何の手がかりもない。会社の労働問題も重たくのしかかる。家事、育児、仕事と負担がどんどん増えていく。

オリヴィエは、子供たちは、仕事は、そして妻は帰ってくるのか、、、。

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映画『パパは奮闘中』の感想と評価

現代版パリの『クレイマー、クレイマー』か!

この映画を観ながら思い出したのが『クレイマー、クレイマー』だ。

ダスティン・ホフマンとメリル・ストリープが夫婦役で出演していたあの名作だ。さしずめ本作はこのフランス版と言っていい。

『クレイマー、クレイマー』の方はニューヨークで暮らす割と収入の良い夫とその妻と息子一人。ホワイトカラーだ。

しかし本作の方は工場勤務の肉体労働者に設定されている、いわばブルーカラー。子供は男の子と女の子の二人。

夫は仕事ばかりしている。オンライン工場の主任のような感じ。そして労働組合の活動にも熱心だ。

妻の異変に気がつかなった夫、そして妻は消える

家庭のことは後回しという印象もあるが、日本人ほどワーカーホリックではないと感じる。

妻はどことなく病的だ。何かを引きずっているのがわかる。息子の胸の傷のことだろう。視線が浮遊しているのだ。

妻は婦人服ショップの店員だ。印象的な場面で来客の女性が服を買おうとクレジットカードを出すが、通らない。それで客と一緒に泣く。

もの哀しくなって卒倒してしまう。彼女の年齢を推測とおそらく40手前ではないだろうか。

この年齢だとホルモンバランスの崩れから来る精神的な乱れかどうかは判別できない。ただ「私、疲れ切っている」という印象は強く感じた。

妻は前触れなく消えた 感情を全く残していない

そして妻は消える。突然消える。何の前触れもなく。

消え方はメリル・ストリープのそれとは違う。『クレイマー、クレイマー』の方がよりショッキングな演出であった。朝、夫のダスティンを送り出すと、メリルはとても冷淡な顔で部屋を見回し全く微笑まずに去っていく。

今観ても背筋が凍る演技だ。しかし本作では妻が消える様は特に演出として描かれていない。妻の感情が見えないのだ。

妻は消えたが家のあちこちに妻の存在が見える演出

仕事中の夫に学校から電話がかかってくる。それだけだ。

その後、妻であるクレールは一切登場しないのだ。でも姿は見えずとも映画の中では存在している。

それは子供たちが放つ言葉の中やオリヴィエが苦悩する姿に、そして何よりもオリヴィエが悪戦苦闘しながら育児をする様に妻の存在が見え隠れするという秀逸な演出を見せてくれる。

クレールはその場に現れて見える。これはひとえに脚本が良い証拠である。

家庭、育児、仕事、労働問題 様々な要素を織り交ぜて展開していく

また映画は夫婦のあり方や育児の大変さと喜びをうまく織り交ぜながら進展していく。当時にさすがフランスと思わせる設定がある。

労働問題だ。

フランスは労働者にとても寛大な国というイメージがあった。

しかしとてもシビアだ。主人公のオリヴィエはオンライン工場で部下の管理も行なっている。下には労働者、上は人事課があり挟まれている。

上からは人員削減を言われ、下からはクビを切らないでほしいと懇願されている。

夫婦の物語に思えるが、社会全体の抱える物語と言える

一見、これは夫婦の物語、家族の物語に関係ないように思われるが、大きく関係している。

簡単に言ってしまえば仕事を失ったら家族を養えない、つまり死活問題なのだ。オリヴィエも人ごとではない。

何よりも仲間を大事にしたい気持ちは前面に現れている(ホワイトカラーの『クレイマー、クレイマー』はクビになるが、すぐ職を見つける)

フランスは労働者に寛大かと思っていたが、、、

どこの国も同じだ。現場を知らない上層部は簡単に人を切る。人情はない。

様々な理由をつけて切る。印象的だったのは妊娠した女性が切られた場面だ。

これはもうハラスメントと言える。日本でも同じようなことが起きていた。

しかし近年では減っているのが現状だ。先に挙げたようにフランスは世界で最も有名な市民革命が起きた国で、いち早く民主化、そして労働者に寛大な法整備をしたと思っていたが、実際は非常にシビアとわかって驚いている。

オリヴィエは現場から人事課への転属を命じれるがすっぱりと断る。大事な仲間を切る仕事などしたいくないと。

憎しみ合っていない夫婦は再出発できるはずだ

さて、映画は父親と子供、そして会社という要素を抑揚なく進んで、最後に妻が帰ってくるのか、、、という場面で終わる。

それが『クレイマー、クレイマー』との違いだ。そちらのエンディングは敗北、そして父子の別れの朝だ。

再生しようという希望も見え隠れしている(でも絶対にあの夫婦はやり直さないだろう)しかし、本作では妻は帰ってこない。

でも父と子供たちは「いつまでも待ってるよ」という肯定的な場面で終わる。また「僕は変わったよ」というニュアンスも含んでいる。

こちらはクレイマーと違い憎しみ合っていないから再生は可能だろう。

妻が消えた理由などもはやどうでも良いのだ

妻が突然家を去るとはどういう心境なのだろうか。

本作ではなぜ妻が消えたのかについては一切描かれていない。

それが良いのだ。

理由など一つや二つではないのだ、いや確固たる理由などないのかもしれない。ただ都市で生きることはとてもタフな精神がいる。

時には何もかも投げ打ってどこかで眠りたくなるのも確かだ。

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映画『パパは奮闘中』まとめ 一言で言うと!

愛すればこそ、感謝の気持ちを伝えよう!
毎日、「愛してるよ」って、言おう。

灯台下暗しではないが、身近にいる人のありがたみを忘れてはいけない。ついつい軽くあしらってしまうことがある。でも本当に最後まで自分のことを愛してくれるのは家族だけだと思います。だからこそ妻を夫を大事にしましょう。

*原題のNos Batailles』を翻訳すると「私たちの戦い」となる。

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映画のことなら映画.comより引用

スタッフ
監督 ギョーム・セネズ
製作 イザベル・トゥルク ダビド・ティオン フィリップ・マルタン
脚本 ギョーム・セネズ ラファエル・デプレシャン
撮影 エリン・キルシュフィンク
編集 ジュリー・ブレンタ

キャスト
ロマン・デュリスオリヴィエ
ロール・カラミークレール
レティシア・ドッシュベティ
ルーシー・ドゥベイローラ
バジル・グランバーガー
レナ・ジェラルド・ボス
サラ・ル・ピカール
セドリック・ビエラ

作品データ
原題 Nos Batailles
製作年 2018年
製作国 ベルギー・フランス合作
配給 セテラ・インターナショナル
上映時間 99分
映倫区分 G

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