映画『ふりむけば愛』のあらすじ・ネタバレ・解説・感想・評価から作品概要・キャスト・予告編動画も紹介し、物語のラストまで簡単に解説しています。
映画『ふりむけば愛』IMDbサイトにて作品情報・キャスト情報をご確認ください。
YouTubeで予告映像もご覧ください。
『ふりむけば愛』
(1978年製作/92分/日本)
【監督】
大林宣彦
【脚本】
ジェームス三木
【原案】
ジェームス三木
【製作】
堀威夫 笹井英男
【制作補】
岩上昭彦 ジャン大森 金沢博
【撮影】
萩原憲治
【出演】
山口百恵
三浦友和
森次晃嗣 玉川伊佐男 奈良岡朋子 黒部幸英 神谷政浩 名倉良
高橋昌也 南田洋子 大内勇 藤木啓士 安西卓人 星野晶子
【HPサイト】
映画『ふりむけば愛』IMDbサイト
【予告映像】
映画『ふりむけば愛』トレーラー
映画『ふりむけば愛』のオススメ度は?
星二つです
コンビ初の海外ロケ
アメリカ・サンフランシスコです
2人は愛を深めました
「結婚の約束」をした作品です
大林宣彦監督「恐るべし!」映画です
映画『ふりむけば愛』の作品情報・概要
『ふりむけば愛』1978年製作の日本映画(東宝)。山口百恵・三浦友和の主演コンビ8作目。大林宣彦監督作品。2人にとって初めての海外ロケとなる(アメリカ・サンフランシスコ)本映画で2人は結婚の意思を確かめあったと言われている。2人には珍しいベッドシーンもある。三浦友和演ずる田丸哲夫 が軽薄すぎるところが気になる。大河内修役の森次晃嗣の好演は見逃せない。
映画『ふりむけば愛』のあらすじ・ネタバレ
調律師・石黒杏子(山口百恵) はアメリカ・サンフランシスコへ旅行へ行った際、田丸哲夫(三浦友和) という日本人に出会う。そしてすぐさまベッドイン。杏子にとって初めての男性となった。すっかり田丸に惚れてしまった杏子の愛は深まるばかり。一方、田丸は杏子を日本へ返すために嘘をつく。「お払い箱したい」のだ。杏子は日本でも再会を信じて帰国するが、会えず仕舞い。手紙を送るが宛先不明で戻ってくる始末。傷心の杏子は交通事故に遭う。運転していた男は大河内修(森次晃嗣) 。とても優しい人柄に惹かれて結婚することに、、、。しかし杏子の心にサンフランシスコの田丸が飛来する。意を決して再びサンフランシスコへ飛ぶが、、、、。
映画『ふりむけば愛』の感想・内容
正直言って「駄作です」というより「恥ずかしい映画」と言ってしまうくらいチープなのです。何がと言いますと、三浦友和さんのキャラクターが酷いのです。「頭悪い、女好き、信念がない」のです。いわゆる軽薄な男です。女と見れば即ナンパしてベッドに誘い込むのです。そして言い訳を作って「ポイ」と捨てるのです。何か謎めいた雰囲気を出しています。後半に明らかになるのですが、お金持ちの医者の息子です。でも日本を飛び出しアメリカ・サンフランシスコでヒッピーのような暮らしをしています。こんなキャラクターの三浦友和さんは観たくないと思ってしまうほどの「クソ男」なのです。
さて本映画『ふりむけば愛』は後に巨匠?と言われる大林宣彦監督の劇場公開映画第三弾作品です。正直、大林監督の映画で印象的な作品は思い出せないのですよ。『転校生』についてもコメントしたくないし、『時をかける少女』はエンディングだけが素晴らしかったという印象です。ですから、本映画『ふりむけば愛』は期待をして観てはいけないと思っての鑑賞となりました。「もうドタバタ」です。「コメディかい!」とツッコミが何度も入ります。でも、でもです。良いところがあるのです。本映画『ふりむけば愛』のサンフランシスコロケによって山口百恵さんと三浦友和さんが愛を深めて「結婚しよう」というきっかけと作ったのです。この事実は周知されていますから作品の出来不具合は抜きにして祝福しましょう。
さてさて本映画『ふりむけば愛』ですが、メッセージ色はほとんどありません。芸術色も全くないと言って良いでしょう。『絶唱』のような絶望感もないし、『炎の舞』のような崇高なる芸術性もありません。ふたりの前作『霧の旗』のような重厚かつミステリアスな物語もありません。本当に「サンフランシスコロケしちゃった」という映画なのです。ですから感想を書くのがとても辛いのです。
まず物語はアメリカ・サンフランシスコを観光する石黒杏子(山口百恵) から始まります。日本ではピアノの調律師をしています。いきなりナンパされます。そのナンパ師からプータローのような生活をしている田丸哲夫(三浦友和) を紹介されます。そしてなんだかんだとサンフランシスコを案内されてベッドインします。その時、田丸は「初めてだったのか?」と言います。強がりを気取りますが、杏子の心はもう田丸に落ちていきます。田丸は内心「面倒臭いなあ」とか「とっとと日本へ帰そう」と思っている様子です。そう思わせる演技をする三浦友和さんはさすがです。
初めての恋で“お花畑状態”の杏子はサンフランシスコに残りたいのですが、田丸が「日本で会おう」という言葉を信じて東京へ戻ります。しかしそんな約束を果たす田丸ではありません。手紙を出すも宛先不明で戻ってきます。結局は嘘だったのです。失望する杏子は車にはねられます。大河内修(森次晃嗣) という実業家にはねられました。この大河内さんがとても良い人なんですよ。事故の保障をしっかりと行います。しかもとても優しいのです。そして大河内は杏子に惚れちゃうんです。杏子も田丸のことを忘れて大河内と結婚することを誓います。
でも、でもですね。女心というのでしょうか。初めてを捧げた男に会いに行くのです。サンフランシスコへ。いわゆる決別したいのですね。再度、サンフランシスコを訪れた杏子は田丸のアパートへ行って驚愕します。驚愕というより激怒と絶望です。何と田丸は別の女性(アメリカ女性)とベッドインしているという有様です。その光景を目の当たりにした杏子は即座に帰国し、大河内との結婚へ歩を進めます。そしてそして、なぜか大河内が今度は杏子を追いかけて東京までやってくるのです。ここで笑えるのですが、大河内はお金がなく航空券が買えません。友人から借りたり、ギターを売ったりしてやっと帰国の途につくのです。そして東京で杏子に会って「好きなんだ」と伝える無計画ぶりを発揮するのです。でも杏子に痴漢扱いされて終わり。そして負け犬のごとく、サンフランシスコへ帰ります。
いやいや、これで「めでたし、めでたし」で終わらないのが大林宣彦監督なのです。杏子と大河内は結婚して、新婚旅行へ行きます。その先がなぜかサンフランシスコなのです。「えーっ」ですわ。間違いなくトラブルが起きるとわかっています。
映画『ふりむけば愛』の結末・評価
案の定、もうここからは「グタグタ映画」に成り下がっています。杏子と大河内がディスコへ行くと田丸がギターを持って歌い始めるのです。映画のタイトルの『ふりむけば愛』という曲です。それを聴いて杏子の心が震えるのです。可哀想なのは大河内さんです。歌っている田村に殴りかかるので。この演出をやるとまるで大河内さんが悪者になってしまうのですよ。「逆やん」ってツッコミを入れてしまいます。もうディスコの中で大河内さんと田丸の殴り合いが止まらず、他のお客さんも殴り合いに発展するのです。これってよくあるハリウッドの映画の演出そのまんまです。安いバーで喧嘩が始まるとみんなが殴りあうってヤツです。クリント・イーストウッドの映画『ダーティファイター 燃えよ鉄拳』 』のエンディングに似ています。
いやいや兎にも角にも、結局、大河内さんは日本にいる母親に国際電話をかけて「杏子とは離婚する」と言います。そしてそして、サンフランシスコの名所であるゴールデンゲートブリッジを背景にタコをあげる田丸の元へ杏子が駆け寄りハッピーエンドとなるのです。いやはや本当に「何だったのこの映画?」って感じなんですよ。でも実際の2人が愛を結実したのだからオッケーとしましょう。
さて映画『ふりむけば愛』を観ていて、多くの人が指摘する箇所があります。日本からアメリカ、アメリカから日本へと飛行機が飛びますが、その時のVFX(視覚効果)に驚愕するのです。ある意味画期的です。「監督、これ、オッケーしちゃうの?」って感じです。紙芝居みたいなんです。あるいは飛び出す絵本みたいなんですよ。これはすごいです。大林監督の『時をかける少女』のタイムリープもすごかったのですが、本映画『ふりむけば愛』の飛行映像はもっとすごいです。これは必見です。本映画『ふりむけば愛』は1978年製作です。せっかく海の向こうアメリカへ行ったのですから、もう少しVFXの勉強をして帰ってこいと言いたいくらいです。だって映画『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』 』は1977年製作で、今でも通用するVFX技術なんですよ。当時は日本映画とハリウッド映画はそんなに接点がなかった証拠なのか、それともお金がなかったのかわかりませんが、ある意味衝撃を受けた映画でした。
映画『ふりむけば愛』のキャストについて
石黒杏子(山口百恵)
田丸哲夫(三浦友和)
大河内修(森次晃嗣)
石黒信太郎(玉川伊佐男)
石黒松子(奈良岡朋子)
石黒保(黒部幸英)
石黒誠(神谷政浩)
松下幸平(名倉良)
新井教授(高橋昌也)
大河内トミ(南田洋子)
不動産屋主人(大内勇)
ピアニスト(藤木啓士)
警官(安西卓人)
掃除婦(星野晶子)
まとめ 映画『ふりむけば愛』一言で言うと!
「結果良ければすべてよし!」
いやはや、ふたりが出演した映画の中でワーストになるかもしれません。けれど結婚を決意するきっかけとなったということでオッケーとしましょう。しかしながら大林宣彦監督恐るべし!です。
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映画『炎の舞』
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映画『ホワイト・ラブ』
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山口百恵出演映画全リスト三浦友和との愛の軌跡が見える『伊豆の踊子』から『古都』
映画『ふりむけば愛』の作品情報
映画.comより一部引用
スタッフ・キャスト
監督
大林宣彦
脚本
ジェームス三木
原案
ジェームス三木
製作
堀威夫 笹井英男
制作補
岩上昭彦 ジャン大森 金沢博
撮影
萩原憲治
美術
佐谷晃能
音楽
宮崎尚志
録音
高橋三郎
照明
川島晴雄
編集
鍋島惇
助監督
斉藤信幸
スチール
岩井隆志
石黒杏子(山口百恵)
田丸哲夫(三浦友和)
大河内修(森次晃嗣)
石黒信太郎(玉川伊佐男)
石黒松子(奈良岡朋子)
石黒保(黒部幸英)
石黒誠(神谷政浩)
松下幸平(名倉良)
新井教授(高橋昌也)
大河内トミ(南田洋子)
不動産屋主人(大内勇)
ピアニスト(藤木啓士)
警官(安西卓人)
掃除婦(星野晶子)
1978年製作/92分/日本
配給:東宝