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映画『シード 生命の糧』(94分/アメリカ/2016)
原題『Seed: The Untold Story』
製作・監督
タガート・シーゲル ジョン・ベッツ
映画『シード 生命の糧』のオススメ度は?
星5つです。
食の安全について学べます。
大手企業と国家の結びつきがわかります。
種の保存について理解できます。
農業をやりたくなります。
子どもを守りたくなります。
友だち、恋人、家族、子供と観に行ってください。
映画『シード 生命の糧』の作品概要
20世紀だけで実に世界の種子の94%が消滅してしまった事実を知っているだろうか。かつて固定種・在来種で育てられた野菜を食べていた人類。しかし今ではF1種が主流になっている。本作は野菜の種子が持つ多様性を探っていくドキュメンタリーとして構成されています。特に大手化学薬品メーカーなどの多国籍企業による世界の種子市場独占の恐ろしさwを描いています。
映画『シード 生命の糧』のあらすじ・ネタバレ
色、形、大きさの異なる様々な種子。もう芸術品としか思えないほどの美しさです。これらの種を保存しようと躍起になっている人たちを追いかけています。アメリカの先住民は先祖から受け継いだトウモロコシへの愛を語ります。また世界中を旅して消滅寸前の種を収集する人も登場します。世界各地で種を保存するシードバンクの活動も紹介されています。
映画『シード 生命の糧』の感想・評価・内容・結末
子どもにもわかりやすい構成となっています
この映画の製作者たちの丁寧な作品作りにまず敬意を評したいと思います。構成がとても素晴らしいのです。とってもわかりやすいのです。
わかりやすい対象はおそらく子どもに向けられていると思います。冒頭から赤、黄色、黒、緑のカラフルで大小の種を芸術的に見せてくれます。
照明が活かされてとにかく種が宝石のように美しいのです。更に種が発芽する様子を可愛いアニメーションで表しているのがとても良かったです。
こういった構成であれば子どもたちにも理解できると思いました。音楽もキレイに付けられています。ドキュメンタリー独特の恐怖心を“煽る”ようなインスル的なメロディーはありません。
固定種・在来種とF1種について考えてみよう
さて、映画はいま地球上に存在している「種の消滅が止められない、なんとかして保存しよう」というモノです。
20世紀で地球上の種の94パーセントが消滅してしまいました。と言われてもわたしたちは何のことかわかりませんよね?
簡単にいうとわたしたちが食べている野菜のほとんどは何らかの科学的処理をされた食品なのです。
従来の固定種・在来種の種で作られた野菜はほとんど市場に出ていません。F1(エフワン)種あるいはハイブリット野菜という作物を食べています。
個性を消されてしまった固定種の悲しき運命
戦前の日本人は固定種・在来種の野菜を食べていました。これらの野菜は個性があり大きさも形も育つスピードもバラバラです。味もまちまちです。重ねて書きますが個性が豊かなのです。
固定種・在来種の野菜は農家にとっては生産目標が難しいです。そこでF1種の作物を植えます。
大根を例にしますと、一斉に育ちます。形の大きさも味も一定なのです。そして一番重宝したのは運搬です。
形も大きさも統一されてますからダンボールも同じ形にできます。するとトラックに積みやすくなります。
車幅にぴったりと収まりますから運送業者にとっても楽です。そして市場やスーパーでも並べやすいでしし、何と言っても見栄えが良いのです。ですから一気にF1種が日本に広まりました。
国家のシステム自体を変えるのは難しいこと
でも、でもです。この品種改良された野菜は様々な悪害をもたらしていると言われています。不眠、ガン、精神的な病などなど。
だたこれを実証するのは非常に難しいそうです。科学というのは「良いことを“悪”にするのは簡単だけど、悪いことを“善”にするのは時間がかかる」とのことです。
日本は世界でも有数の添加物天国です。同時に農薬国家です。これだけ健康への意識が高いのに未だに添加物撤廃への動きがありません。
それは日本の政治的、企業的な支配構造もありますが、添加物が悪害だと証明するのに時間がかかる、という企業の“言い訳”に意見が言えない側面もあります。
ある漬物メーカーの人が「添加物が体に悪いって言われますが、まだ証明されてませんよ。色々と言われてますが、日本人長生きしてますよね、大丈夫ですよ」と言って営業しているのを見たことがあります。
農薬、除草剤で育てた野菜を食べて人体実験しているわたしたち
もう1つ。スーパーでトマトやキュウリを買ってきて、中に入っている種を植えても育たなかった経験はないでしょうか?育っても良い実がつかなかったと思います。
それは種苗メーカーが開発したF1だからです。一世代のみに改良されて種です。それってとっても恐ろしいことだと思いませんか?どんな処理をされているのかわかりません。
戦後育ちのわたしたちの多くはこうしたF1種の野菜を食べてきました。ですから将来的に心身にどのような影響があるのか未だにわかりませんし、証明できないというメーカーの言い訳は当たっているのです。
つまりわたしたちは大いなる人体実験という旅路を歩んでいるとしか言いようがありません。
わたしたちの人体実験の結果が活かされるのは孫、ひ孫、玄孫の世代になって「先祖たちはとっても危ない野菜を食べていたんだなあ、感謝しなきゃ」っとなるでしょう。
自然からの贈り物の“種”に特許が付けられている事実
さて、映画の話に戻します。いま種を巡ってモンサントなどの大手の化学薬品メーカーが競って種を買い集めています。
更に種に特許をつけて販売しています。自然からも贈り物の種に特許をつけるというのはとても恐ろしいアイデアです。
例えば固定種・在来種のトウモロコシの遺伝子とニンジンの遺伝子を合わせて新しいタイプのトウモロコシを作ったりしています。
そしてもっと恐ろしいことにその種が知らずしらす風に舞って、固定種栽培の農家の畑に落ちて作物を売ってしまったら、それは特許侵害になって訴えられる事態が急増しています。
大手メーカーに訴えられたら農家はひとたまりもありません。故意ではなくても種は何処から飛んでくるし、ひょっとしたらメーカー関連の人が通りがかりに蒔いた可能性もあります。本当に恐ろしいことです。
知りたいようで知りたくない事実があります
もっと恐ろしいのは農薬・除草剤です。F1の種になるとこの両方は絶対必要不可欠な薬品なのです。
固定種と違って人為的に作られた種ですからまだ耐性がありませんから、虫にも弱く、他の草木にも負けてます。
これを打破するためにラウンドアップという除草剤が開発されました。この除草剤を噴霧すると多くの草は枯れてしまいます。
でもこのメーカーが開発したトウモロコシやトマトはラウンドアップの耐性があり、立派に育つのです。
他の草木が枯れる中でこの耐性野菜だけが育つ恐怖ってあります。どんな科学的処理をしているのか知りたいようで知りたくないです。
各地のオーガニックマーケットは新たな希望
この映画は草の根運動的に上映されています。大規模なシネコンでは絶対に上映されないでしょう。
それは多分ですが、化学薬品メーカー、種苗メーカー、農水省、農協などに忖度しているからでしょう。「知らないことは知らない方がいい」という言葉があります。
田舎で育った子どもが都会の楽しさを知ったら出て行ってしまいます。これと同じで知らない方が幸せなことがあるという発想です。
ただ日本でも少しずつ固定種・在来種を守ろうという運動が起きています。各地でオーガニックマーケットが開催されています。
ただやっぱり高いのが現状です。でも考え方を変えれば安いと言えます。
「いま安全で高い野菜を食べて将来、健康に過ごすか、あるいはいま農薬まみれ遺伝子操作された野菜を食べて、将来、高い病院代と不健康に生きるか」です。
自由に選択できる時代に生きていることに感謝せねば
本映画を観て自身が置かれている社会から世界が見えてきます。あらゆる選択ができる時代にわたしたちは生きています。
昔だったら野菜は八百屋やスーパーなどでしか買えませんでした。でも今はネットを使えば自分で取捨選択できて、自由に入手できる世の中です。大事なのは自分、家族、友人の順番になると思います。それから近所、社会、世界へと続いていきます。
繰り返しますが、選択できる時代に生きていることを感謝することが大切です。自らの身は自分で守る、です。
この映画から自身の未来を見出すことができるかもしれません。
映画『シード 生命の糧』まとめ 一言で言うと!
一寸の“種”にも五分ごぶの魂たましい
これは虫に例えたことわざですが、種にも言えるのではないでしょうか。あのわずか数ミリから芽を出し葉を出し、茎を伸ばし、やがて実を付けます。一体、どんな仕組みになっているのかわかりません。それだけ大きなエネルギーです。種を守ることで人にも優しくなれるような気がします。
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映画『シード 生命の糧』の作品情報
スタッフ・キャスト
監督
タガート・シーゲル ジョン・ベッツ
製作
タガート・シーゲル ジョン・ベッツ
製作総指揮
フィル・フェアクロフ マーク・タートルトーブ リサ・トメイ
撮影
タガート・シーゲル
編集
タガート・シーゲル ジョン・ベッツ
音楽
ガース・スティーブンソン ベンジー・ワースハイマー
バンダナ・シバ
ジェーン・グドール
ウィノナ・ラデューク
ラージ・パテル
ウィル・ボンソール
イグナシオ・チャペラ
ビル・マクドーマン
マリア・チャム
2016年製作/94分/アメリカ
原題:Seed: The Untold Story
配給:ユナイテッドピープル