映画『シード 生命の糧』作品情報・ネタバレ・あらすじ・感想。種の消滅は地球を破壊する。種の保存は知性教養の象徴である。

2019年製作
スポンサーリンク

映画『シード 生命の糧』公式サイトにて作品情報・上映館・お時間もご確認ください。

YouTubeで予告映像もご覧ください。

映画『シード ~生命の糧~』
種は人類の命そのもの。しかし種子の94%が20世紀に消滅。私たちのすべき選択とは?

映画『シード 生命の糧』(94/アメリカ/2016
原題『Seed: The Untold Story

製作・監督
タガート・シーゲル ジョン・ベッツ

スポンサーリンク

映画『シード 生命の糧』のオススメ度は?

5.0

5つです。

食の安全について学べます。

大手企業と国家の結びつきがわかります。

種の保存について理解できます。

農業をやりたくなります。

子どもを守りたくなります。

友だち、恋人、家族、子供と観に行ってください。

スポンサーリンク

映画『シード 生命の糧』の作品概要

20世紀だけで実に世界の種子の94%が消滅してしまった事実を知っているだろうか。かつて固定種・在来種で育てられた野菜を食べていた人類。しかし今ではF1種が主流になっている。本作は野菜の種子が持つ多様性を探っていくドキュメンタリーとして構成されています。特に大手化学薬品メーカーなどの多国籍企業による世界の種子市場独占の恐ろしさwを描いています。

スポンサーリンク

映画『シード 生命の糧』のあらすじ・ネタバレ

色、形、大きさの異なる様々な種子。もう芸術品としか思えないほどの美しさです。これらの種を保存しようと躍起になっている人たちを追いかけています。アメリカの先住民は先祖から受け継いだトウモロコシへの愛を語ります。また世界中を旅して消滅寸前の種を収集する人も登場します。世界各地で種を保存するシードバンクの活動も紹介されています。

スポンサーリンク

映画『シード 生命の糧』の感想・評価・内容・結末

子どもにもわかりやすい構成となっています

この映画の製作者たちの丁寧な作品作りにまず敬意を評したいと思います。構成がとても素晴らしいのです。とってもわかりやすいのです。

わかりやすい対象はおそらく子どもに向けられていると思います。冒頭から赤、黄色、黒、緑のカラフルで大小の種を芸術的に見せてくれます。

照明が活かされてとにかく種が宝石のように美しいのです。更に種が発芽する様子を可愛いアニメーションで表しているのがとても良かったです。

こういった構成であれば子どもたちにも理解できると思いました。音楽もキレイに付けられています。ドキュメンタリー独特の恐怖心を煽るようなインスル的なメロディーはありません。

固定種・在来種とF1種について考えてみよう

さて、映画はいま地球上に存在している「種の消滅が止められない、なんとかして保存しよう」というモノです。

20世紀で地球上の種の94パーセントが消滅してしまいました。と言われてもわたしたちは何のことかわかりませんよね?

簡単にいうとわたしたちが食べている野菜のほとんどは何らかの科学的処理をされた食品なのです。

従来の固定種・在来種の種で作られた野菜はほとんど市場に出ていませんF1(エフワン)種あるいはハイブリット野菜という作物を食べています。

個性を消されてしまった固定種の悲しき運命

戦前の日本人は固定種・在来種の野菜を食べていましたこれらの野菜は個性があり大きさも形も育つスピードもバラバラです。味もまちまちです。重ねて書きますが個性が豊かなのです。

固定種・在来種の野菜は農家にとっては生産目標が難しいです。そこでF1種の作物を植えます。

大根を例にしますと、一斉に育ちます。形の大きさも味も一定なのです。そして一番重宝したのは運搬です。

形も大きさも統一されてますからダンボールも同じ形にできます。するとトラックに積みやすくなります。

車幅にぴったりと収まりますから運送業者にとっても楽です。そして市場やスーパーでも並べやすいでしし、何と言っても見栄えが良いのです。ですから一気にF1種が日本に広まりました。

国家のシステム自体を変えるのは難しいこと

でも、でもです。この品種改良された野菜は様々な悪害をもたらしていると言われています。不眠、ガン、精神的な病などなど。

だたこれを実証するのは非常に難しいそうです。科学というのは「良いことをにするのは簡単だけど、悪いことを“善にするのは時間がかかる」とのことです。

日本は世界でも有数の添加物天国です。同時に農薬国家です。これだけ健康への意識が高いのに未だに添加物撤廃への動きがありません。

それは日本の政治的、企業的な支配構造もありますが、添加物が悪害だと証明するのに時間がかかる、という企業の“言い訳”に意見が言えない側面もあります。

ある漬物メーカーの人が「添加物が体に悪いって言われますが、まだ証明されてませんよ。色々と言われてますが、日本人長生きしてますよね、大丈夫ですよ」と言って営業しているのを見たことがあります。

農薬、除草剤で育てた野菜を食べて人体実験しているわたしたち

もう1つ。スーパーでトマトやキュウリを買ってきて、中に入っている種を植えても育たなかった経験はないでしょうか?育っても良い実がつかなかったと思います。

それは種苗メーカーが開発したF1だからです。一世代のみに改良されて種です。それってとっても恐ろしいことだと思いませんか?どんな処理をされているのかわかりません。

戦後育ちのわたしたちの多くはこうしたF1種の野菜を食べてきました。ですから将来的に心身にどのような影響があるのか未だにわかりませんし、証明できないというメーカーの言い訳は当たっているのです。

つまりわたしたちは大いなる人体実験という旅路を歩んでいるとしか言いようがありません。

わたしたちの人体実験の結果が活かされるのは孫、ひ孫、玄孫の世代になって「先祖たちはとっても危ない野菜を食べていたんだなあ、感謝しなきゃ」っとなるでしょう。

自然からの贈り物の“種”に特許が付けられている事実

さて、映画の話に戻します。いま種を巡ってモンサントなどの大手の化学薬品メーカーが競って種を買い集めています。

更に種に特許をつけて販売しています。自然からも贈り物の種に特許をつけるというのはとても恐ろしいアイデアです。

例えば固定種・在来種のトウモロコシの遺伝子とニンジンの遺伝子を合わせて新しいタイプのトウモロコシを作ったりしています。

そしてもっと恐ろしいことにその種が知らずしらす風に舞って、固定種栽培の農家の畑に落ちて作物を売ってしまったら、それは特許侵害になって訴えられる事態が急増しています。

大手メーカーに訴えられたら農家はひとたまりもありません。故意ではなくても種は何処から飛んでくるし、ひょっとしたらメーカー関連の人が通りがかりに蒔いた可能性もあります。本当に恐ろしいことです。

知りたいようで知りたくない事実があります

もっと恐ろしいのは農薬・除草剤です。F1の種になるとこの両方は絶対必要不可欠な薬品なのです。

固定種と違って人為的に作られた種ですからまだ耐性がありませんから、虫にも弱く、他の草木にも負けてます。

これを打破するためにラウンドアップという除草剤が開発されました。この除草剤を噴霧すると多くの草は枯れてしまいます。

でもこのメーカーが開発したトウモロコシやトマトはラウンドアップの耐性があり、立派に育つのです。

他の草木が枯れる中でこの耐性野菜だけが育つ恐怖ってあります。どんな科学的処理をしているのか知りたいようで知りたくないです。

各地のオーガニックマーケットは新たな希望

この映画は草の根運動的に上映されています。大規模なシネコンでは絶対に上映されないでしょう。

それは多分ですが、化学薬品メーカー、種苗メーカー、農水省、農協などに忖度しているからでしょう。「知らないことは知らない方がいい」という言葉があります。

田舎で育った子どもが都会の楽しさを知ったら出て行ってしまいます。これと同じで知らない方が幸せなことがあるという発想です。

ただ日本でも少しずつ固定種・在来種を守ろうという運動が起きています。各地でオーガニックマーケットが開催されています。

ただやっぱり高いのが現状です。でも考え方を変えれば安いと言えます。

「いま安全で高い野菜を食べて将来、健康に過ごすか、あるいはいま農薬まみれ遺伝子操作された野菜を食べて、将来、高い病院代と不健康に生きるか」です。

自由に選択できる時代に生きていることに感謝せねば

本映画を観て自身が置かれている社会から世界が見えてきます。あらゆる選択ができる時代にわたしたちは生きています。

昔だったら野菜は八百屋やスーパーなどでしか買えませんでした。でも今はネットを使えば自分で取捨選択できて、自由に入手できる世の中です。大事なのは自分、家族、友人の順番になると思います。それから近所、社会、世界へと続いていきます。

繰り返しますが、選択できる時代に生きていることを感謝することが大切です。自らの身は自分で守る、です。

この映画から自身の未来を見出すことができるかもしれません。

スポンサーリンク

映画『シード 生命の糧』まとめ 一言で言うと!

一寸の“種”にも五分ごぶの魂たましい

これは虫に例えたことわざですが、種にも言えるのではないでしょうか。あのわずか数ミリから芽を出し葉を出し、茎を伸ばし、やがて実を付けます。一体、どんな仕組みになっているのかわかりません。それだけ大きなエネルギーです。種を守ることで人にも優しくなれるような気がします。

スポンサーリンク

『運だぜ!アート』本日の総合アクセスランキング

映画『ばるぼら』ネタバレ・あらすじ「美乳」二階堂ふみ&「美尻」稲垣吾郎の衝撃愛!手塚眞とクリストファー・ドイルが紡ぐ「究極の芸術愛」誕生!感想・結末。
映画『MOTHER マザー』ネタバレ・あらすじ「長澤まさみ新境地の“毒親”に拍手喝采」感想「美女は悪女が似合う」結末「阿部サダヲの“クソ”っぷりに激怒」
映画『第三夫人と髪飾り』ネタバレ・あらすじ「一夫多妻の時代“愛のレッスン”は芸術的“官能美”」感想「新しい才能アッシュ・メイフェア監督登場」結末「現代ベトナム女性は自由?」
映画『楽園』ネタバレ・あらすじ・結末。ムラ社会は日本社会の縮図。長老(独裁者)の「決めつけ」こそ悪害なのだ。綾野剛、佐藤浩市もOKだが村上虹郎が最高だ!
映画『ブリング・ミー・ホーム 尋ね人』ネタバレ・あらすじ・感想・結末。「クソ人間」「児童失踪2万件(年間)」の韓国の闇を暴く!
映画『ミッドナイトスワン』ネタバレ・あらすじ「草なぎくんこそ“母親”だ」感想「LGBTQ」の知識が深まる「未来に伝えたい」映画!結末「アカデミー賞2冠達成!」
映画『さくら』ネタバレ・あらすじ・感想・結末。「兄弟愛は禁断?」北村匠海&吉沢亮&小松菜奈共演の贅沢映画。「さくらの“脱糞”が招く幸せ!」
クリント・イーストウッド全作品リスト一覧表(監督・出演・音楽・製作)
映画『すばらしき世界』ネタバレ・あらすじ「2021年度最高作品決定!」感想「西川美和vs役所広司+仲野太賀with長澤まさみで弱者見殺社会に“喝”」結末
映画『Bittersand』ネタバレ・あらすじ「木下彩音さんは可愛い」感想「青春ミステリー?」結末「7年間一途な男ってキモいよ」

スポンサーリンク

合わせて観たい映画

【地球の危機を憂う映画】

映画『ヒューマン・フロー 大地漂流』

悲しき人類の行く末を案じています

映画『ヒューマン・フロー 大地漂流』中国の現代美術家・社会運動家のアイ・ウェイウェイが世界を漂流する
中国人現代美術家であり人権活動家のアイ・ウェイウェイ(艾未未)が世界の難民施設を撮影する。映像は固定ショットが多く美しい。しかしこう言った映画に美しさは必要かどうかについて疑問を感じる。難民の現状を映し出すがどこか無機質に感じる。傍観者になりそうだ。

映画『たちあがる女』

たった一人、巨大企業の環境破壊に立ち向かいます

アイスランド映画『たちあがる女』ネタバレ、感想、評価。たった一人で地球を守るために戦う女性の物語。過激思想であるが絶対的に共感して応援したくなる女性だ。
ベネディクト・エルリングソン監督曰く「この映画は、我々の世界に差し迫っている脅威をテーマにした英雄物語です」しかもおとぎ話でありながらも、強いメッセージを持った構成になっている。我々は利便性を求めるばかり、失っていく大切なものがあるとこに気がつく必要がある。特に『自然』自然の存在を思考しなければ子どもたちの未来は守ることができない。

映画『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』

地球の危機をいち早く映画にした名作

映画『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』ネタバレ・感想・評価。132分全開で楽しめます
日本映画史上、最高傑作の『ゴジラ』が2019年世界を駆け巡っています。ゴジラたち怪獣は人間にとって良き友なのかそれとも敵なのか。あるいは人間が地球の負の生物なのかについて深く考察しています。ゴジラを巡りモスラ、ラドン、そして最強怪獣キングギドラが登場して大暴れします。人類、いや地球の未来は怪獣たちに託されました。

映画『アイアン・スカイ 第三帝国の逆襲』

核爆発によって破壊された地球へ帰還します

映画『アイアン・スカイ 第三帝国の逆襲』監督ティモ・ブオレンソラは偉大だ。世界情勢がわかる映画。ネタバレ・あらすじ・評価・感想
監督ティモ・ブオレンソラの創造性には驚かされる。前作『アイアン・スカイ』が大ヒットしての第二弾だが、これは紛れもなく未来に起きる物語だと言える。監督はもはや“現代のノストラダムス”だ。地球の歴史上、悪人と称される人物が登場している。彼らを映画にすると確かに悪役が似合う。キャスティングしたセンスは最高だ。

 

スポンサーリンク

映画『シード 生命の糧』の作品情報

映画.comより一部引用


スタッフ・キャスト
監督
タガート・シーゲル ジョン・ベッツ
製作
タガート・シーゲル ジョン・ベッツ
製作総指揮
フィル・フェアクロフ マーク・タートルトーブ リサ・トメイ
撮影
タガート・シーゲル
編集
タガート・シーゲル ジョン・ベッツ
音楽
ガース・スティーブンソン ベンジー・ワースハイマー
バンダナ・シバ
ジェーン・グドール
ウィノナ・ラデューク
ラージ・パテル
ウィル・ボンソール
イグナシオ・チャペラ
ビル・マクドーマン
マリア・チャム
2016年製作/94分/アメリカ
原題:Seed: The Untold Story
配給:ユナイテッドピープル

タイトルとURLをコピーしました