水谷豊監督映画 最新作品『轢き逃げ 最高の最悪な日』評価、あらすじ。友情とは嫉妬で成り立つ。愛情と憎悪は表裏一体をテーマにしたサイコパス映画だ。

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映画『轢き逃げ 最高の最悪な日』公式サイト 5月10日(金)全国公開
あなたは、この映画の罠に嵌まる。なぜ、愛する娘は死んだのですか? 水谷豊 映画最新作『轢き逃げ 最高の最悪な日』5月10日(金)全国公開

『轢き逃げ 最高の最悪な日』(127分/日本/2019)

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水谷豊さんは名優です。『青春の殺人者』を観れば全てわかる。監督への挑戦は応援したい、だから脚本に注力して欲しい

水谷豊さんと長谷川和彦監督のダッグは邦画史に燦然と輝く

まず映画のタイトル『轢き逃げ 最高の最悪な日』が良い。

最高と最悪の二つが良い。轢き逃げというネガティブなテーマに「最高」を入れる辺りが最高だ。

この名付け方の水谷さんのセンスが光っていると思う。


水谷豊さんは日本を代表する名優に違いない。刑事物のドラマで有名だ。しかし彼の原点はやっぱり映画にあると思う。『青春の殺人者』だ。

この映画の水谷は強烈な光を放っている。いや敢えて“狂烈”と書きたい。狂気が烈しい人だ。演出は長谷川和彦監督。『太陽を盗んだ男』以降、監督をやっていない。

あの時代に良くぞあの様な作品が作れたなあとため息が出る。学生運動が終わり、若者のやり場のエネルギーの行く先を考えると未来は不安しかないのか、と感じてしまうのだ。

それから水谷は数多くの映画にも出たが、軸をテレビに求めた。その理由はわからないが、私としては映画に主軸をおいて欲しかった。

正直、脚本が間延びしてしまっている。

さて、本映画『轢き逃げ 最高の最悪な日』は水谷が監督している。第二弾作品という。恥ずかしながら水谷がもう一本撮っているとは知らなかった。名俳優であるし、数々の修羅場を潜り抜けているからとても楽しみにしていた。

予告も何か意味深ではあるが、轢き逃げ犯を捕まえるために全力を尽くすが、何かの圧力によって有罪にできない、、、という様なストーリーを想像していた。

しかし、全く異なる作品であった。結論から言うと、面白くないのだ。まず脚本が良くないのだ。

ドローン映像が長すぎる 確かにドローン映像は特徴があるが、緊張感がなくなる

冒頭からドローンで撮っているが、それが長い。飽きる。ドローン映像はかつてもGOPROの様にもう飽きがきてると思う。

ここぞという場面に30秒くらいが良いと思う。それから轢き逃げに至るが、犯人の二人の映像でずっと引っ張りすぎた。

遺族を演じる時山夫妻(水谷と壇ふみ)が登場するまで、40分強かかっているのだ。これでは間延びしてしまうし、感情移入の対象が誰になるのか観ている者としてすっとんでしまうのだ。

もっとLGBTの要素の入れて欲しかった 邦画ではあまりないので、、、

演出的にも何だか違和感を覚える。大学時代からの友人で同じ会社に就職したのは良いが、二人の親密さをアピールする場面で、ベッドで話したり、海へ行ったりと、噴水池に座って夕日をバックに思い詰める様な二人とか、、。

独身生活最後を二人で過ごす中で交わされる台詞もなんだか陳腐なのだ。「独身最後はお前といたい」ひょっとして二人はゲイなのか、と思った。それならそれで面白くなる。今は世界的にとても重要なテーマだから。

岸部一徳さんの登場で映画は引き締まった 

それで映画の展開はあっさりと犯人は捕まる。ここからが本番と思いストーリーに入っていこうとしても入りきれないのだ。ベクトルが違うのだ。

轢き逃げ犯が政治的な圧力を使って無罪に持って行くとか、轢き殺された娘の意外な過去があるとかを期待していたが、何もない。

ただ刑事役の岸部一徳さんの登場はとても良かった。この人は映画を全部持って行く。すごい俳優だ。

嫉妬が憎悪を生み出す。憎悪と愛情は表裏一体、つまり両者とも嫉妬の土壌から生まれた感情だ

さて、映画の行方だがこれは嫉妬が作り出した犯罪と向かう。嫉妬は憎悪を生み出す。でも憎悪と愛情は表裏一体なのだ。友人を愛するあまり嫉妬し、憎悪に繋がるのだ。

水谷は轢き逃げという重たいテーマに“サイコパス”な人間を盛り込んだ辺りは先駆的だと言える。とても素晴らしい。だからもったいない。

もっと脚本を練ればサイコパス映画の代表作になった様な気がする。ドン・シーゲル監督の『ダーティハリー』、デビット・フィンチャーの『セブン』とか、更にジョナサン・デミ監督の名作『羊たちの沈黙に引けを取らない作品になっていたかもしれない。

その為に必要なのは緻密な脚本作りと言える。

水谷さんには是非とも名優=名監督になってもらいたい(イエスマンばかりの編成だと難しいと思うが。骨太な映画スタッフでやれば良いのに)

*実際の轢き逃げ事件においてはやはり遺族感情が優先されるのが常だ。「可哀想、可哀想、犯人憎し」という感情を100パーセント引き込み、同情し、その憎しみの矛先にあったのはサイコパスだった、、、という展開で映画はもっと引き締まると思う。

*エンディングカットは神戸の高台のカフェで壇ふみと小林涼子の会話をクレーンを何度も行き来しながら撮っている。最後にふと壇ふみが空に視線を向けたところで終わっているが、あの視線の意味がなんだったのだろうか。

 

映画のことなら映画.comより引用

スタッフ
監督 水谷豊
脚本 水谷豊
製作総指揮 早河洋
製作 亀山慶二 水谷晴夫 村松秀信 木下直哉 間宮登良松 山田裕之
エグゼクティブプロデューサー 西新 長井富夫 須藤泰司
Co.エグゼクティブプロデューサー 佐々木基
チーフプロデューサー 島川博篤
プロデューサー 遠藤英明 菊池淳夫 西平敦郎
アソシエイトプロデューサー 青柳貴之
撮影監督 会田正裕
照明 松村泰裕
録音 舛森強
美術 近藤成之
装飾 前田亮
スタイリスト 高橋正史
編集 只野信也
音楽 佐藤準
音響効果 西村洋一
テーマソング 手嶌葵
スクリプター 本図木綿子
助監督 井川浩哉
製作担当 榊田茂樹 鳥越道昭
ラインプロデューサー 今村勝範
VFXプロデューサー 戸枝誠憲
プロデューサー補 小川泰明 山下佳奈子

キャスト
中山麻聖宗方秀一
石田法嗣森田輝
小林涼子白河早苗
毎熊克哉前田俊
水谷豊時山光央
檀ふみ時山千鶴子
岸部一徳柳公三郎

作品データ
製作年 2019
製作国 日本
配給 東映
上映時間 127
映倫区分 G