映画『ジョン・デロリアン』のあらすじ・ネタバレ・解説・感想・評価から作品概要・キャスト、予告編動画も紹介し、物語のラストまで簡単に解説しています。
映画『ジョン・デロリアン』公式サイトにて作品情報・キャスト・上映館・お時間もご確認ください。
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『ジョン・デロリアン』(113分/PG12/アメリカ/2018)
原題『Driven』
【監督】
ニック・ハム
【製作】
ルイージョ・ルイス ピアース・テンペスト ブラッド・ファインスタイン
レネ・ベッソン ウォルター・ジョステン
【出演】
リー・ペイス
ジェイソン・サダイキス
ジュディ・グリア
コリー・ストール
イザベル・アレイザ
映画『ジョン・デロリアン』のオススメ度は?
星4つです
面白いです
人物描写が見事です
ヒリヒリするような展開です
アメリカの光と陰が描かれています
ジョン・デロリアンの悲哀なる人生
人生は儚い
映画『ジョン・デロリアン』の作品概要
『ジョン・デロリアン』原題『Driven』2019年制作のアメリカ合衆国の映画。映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズに登場するスポーツカーがデロリアン(DMC-12)。デロリアンを開発したジョン・デロリアンの生涯を中心に描く。またFBIの捜査方法ならびに保証人プログラムについても言及している。キャッチコピー「この男、詐欺師か天才か」
映画『ジョン・デロリアン』のあらすじ・ネタバレ
パイロットのジム・ホフマン(ジェイソン・サダイキス) はセスナで麻薬を運んでいます。しかしFBIに捕まります。FBI捜査官のベネディクト・ティーサ(コリー・ストール) が情報提供者として協力しろと迫ります。もし従わないと収監される可能性があります。ジムは協力することになります。住居を与えられます。麻薬の大元モーガン・へトリック(マイケル・カドリッツ) を捕まえるためです。ジムの隣にはジョン・デロリアン(リー・ペイス) が住んでいまし。とても有名な人物です。二人は懇意になります。デロリアンは起業していますが資金難です。FBIからの公的な脅迫が続きます。ジムは一計を案じます。モーガン・へトリックとジョン・デロリアンと大量の麻薬ビジネスを画策します。資金難のデロリアンは苦渋の選択で計画に乗ります。果たして、、、。
映画『ジョン・デロリアン』の感想・評価・内容・結末
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の空飛ぶ車
本映画『ジョン・デロリアン』はとても良い映画でした。
公開されたタイミングが悪かったのかそれとも広告・宣伝費が足りなかったのかいまひとつヒットしませんでした。日本人から見て、あまり馴染みがない人物かもしれません。
でもアメリカ人にとってはジョン・デロリアンは自動車産業に与えた影響と犯罪者(無罪になります)として深く記憶に残っている人物になります。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』って映画ご存知の方はイメージできると思います。
マイケル・J・フォックスが運転する車がデロリアン(DMC-12)です。今でも絶大な人気を誇る車です。ジョン・デロリアンこそがこの車の開発者でした。
本映画はジョン・デロリアンの栄光と影をうまく描いています。アメリカン・ドリームの体現と儚さの描き方が絶妙です。
華やかさと落ちぶれ感が擦り切れるように伝わってきます。
運び屋からFBIの情報提供者へ転身
物語はジム・ホフマン(ジェイソン・サダイキス) という麻薬の運び屋がFBIに捕まるところから始まります。
セスナで国境を越えてアメリカにコカイン等を運んでいます。この男がまた犯罪者に見えないのです。
冗談を言って能天気なのです。何百キロの麻薬を運ぶと普通は長期の収容になると思いますが、FBIの情報提供者になることで刑務所行きを逃れます。
彼が行う仕事は麻薬組織の大元モーガン・へトリック(マイケル・カドリッツ) を捕まえるための協力です。
ジムに与えられた住居が高級住宅街で、隣に住んでいたのがジョン・デロリアン(リー・ペイス) だったのです。偶然だった思います。少なからず映画ではそのように描かれています。
もちろんジムもデロリアンのことを知っていました。何と言ってもアメリカの自動車産業に多大な影響を与えた人物です。
二人はすぐに打ち解けます。そして夜毎、デロリアンの家で行われるパーティーに顔を出します。
そこでデロリアンの苦悩を見ることになります。GMを辞めて独立したデロリアンには資金が足りません。スポンサーを募って必死になって集めています。資金は焦げ付いています。
しかし、デレロリアンはその苦渋の顔を決して人には見せませんでした。でもジムには見せるのです。
デロリアンはおとり捜査の罠を防げなかったのか
ジムはジムで問題を抱えていました。FBIからの圧力です。
「早く大物をあげたい」と息巻くベネディクト・ティーサ(コリー・ストール)が脅しをかけてきます。FBIがです。
つまり大物の麻薬密売人逮捕に協力しないと「お前を収監するぞ」です。焦るジム。
そこで一計します。資金難に苦しむデロリアンと麻薬組織を引き合わせて資金調達の話をするのです。
デロリアンは乗ります。マフィアも乗ります。銀行もFBIも乗ります。そしてバカを見るのがデロリアンという話です。
あれだけ頭の切れるデロリアンがなぜこんな違法なビジネスに乗ってしまったのかが疑問です。それだけ苦しかったのか、、、。
ジムはデロリアンに心酔していたから「微妙」と、、、。
デロリアンは捕まります。この大物が捕まったことで全米は大騒ぎになります。
アメリカで麻薬関連の犯罪の罪はとても思います。麻薬を買った人より売った人の方が罪は重く、ましてや密輸したわけですから。
連日、裁判が行われます。デロリアン訴追です。しかしここで問題が起きます。
ジムはデロリアンに心酔しており、証言ではデロリアン有利の発言をします。「微妙」と答えるのです。
質問は「デロリアンから麻薬取引をやるという明確な言葉はありましたか?」です。ここでジムが「イエス」と答えればデロリアンは訴追され有罪です。
結果的に無罪放免されます。
アメリカの正義とは何かも考えさせられます
真相はどうなのかわかりませんが、なんだかホッとしました。確かに犯罪者ですが、ジムとデロリアンに心を寄せてしまっている自分がいたのです。
つまりはこの二人の演技が良かったからです。
それともう一つ、やっぱり正義の味方と信じたいFBIが違法な手法を行っていることへの違和感も覚えたからです。
本当にこんなことがあったら恐ろしいです。この映画は実話を元に作られています。
デロリアンのその後の人生はあまり良いものではなかったそうです。
ジムは保証人プログラムにも守られてどこかで今も暮らしているらしい、です。
このプログラムは一生涯に渡って続くそうで、氏名、社会保険番号、生年月日などをすべて刷新されます。住居も生活費もずっと支給されるそうです。
働かなくてもずっと安全に生きていけるそうです。なんとも羨ましいと言えばそうですが、同時にFBIに監視され続けるというプレッシャーもあります。
また組織に復讐されるかもしれないという恐怖もあるでしょう。ジムの今の心境を知りたいですが、無理です。
もう光が当たる世界には出てきません。とても良い映画でした。
*映画で印象に残った言葉で「勤勉を続けるのなら、夢を持て」
映画『ジョン・デロリアン』のキャストについて
ジョン・デロリアン(リー・ペイス)
プロフィールを見ると多彩な役柄を演じています。まだ若いです。シルバーヘアーでデロリアン役を見事に演じています。柔らかい身のこなしで、人々の共感を得たり、また裏の顔では少々影のある表情を出しています。その落差の演技がとても良かったと思います。映画のキャッチコピーの「詐欺師か天才か」を見事に表していたと思います。
ジム・ホフマン(ジェイソン・サダイキス)
一見、悪事を働くようには見えません。妻子を愛する良き父親です。ひょうきんな性格なのでFBIにもマフィアにも、もちろんデロリアンにも気に入られます。特に自身が危機に陥る時の逃げ方が絶妙です。ジェイソン・サダイキスの青ざめた顔がその心情をうまく表していました。
エレン・ホフマン(ジュディ・グリア)
ジムの妻です。子どもが全てです。夫がFBIの潜入捜査をしていると知った時の顔が最高でした。一見、その方が「安泰なのでは?」と思いますが、なぜか怒り狂います。それはアメリカに住んでいないとわからないことかもしれません。姿勢が良い女優さんだと感じました。
ベネディクト・ティーサ(コリー・ストール)
FBI捜査官です。性格的にサディスティックな感じがします。ジムの弱みに付け込んで追い込みます。コリー・ストールにぴったりの役でした。「嫌な人間」を演じています。彼はウディ・アレンの作品によく出ています。実力があるからでしょう。『ミッドナイト・イン・パリ』(11)『カフェ・ソサイエティ』(16)など。
クリスティーナ・デロリアン(イザベル・アレイザ)
ジョン・デロリアンの妻を演じています。有名人が好きな中身にない女性かと思いましたが、デロリアンが捕まっても信じて待ちます。一番の見せ所は過去において付き合いのあったマフィアとばったり再会した時の顔です。良かったと思います。
モーガン・へトリック(マイケル・カドリッツ)
マフィアの麻薬密売人を演じています。ただ東海岸のマフィア組織の印象は明るいポップな感じがしました。スコセッシ監督らが描く東側のマフィアは影が濃くとても恐ろしいのに対してですが。マイケル・カドリッツは粗野な雰囲気がとても良かったです。
ケイティ・コナーズ(エリン・モリアーティ)
モーガン・へトリックの恋人です。エリン・モリアーティは新人女優ですが、本作では体当たりの演技をしていました。美しい体を惜しげも無くスクリーンで観せてくれました。こういう女優さんは将来伸びます。今後の期待が膨らみます。
まとめ 映画『ジョン・デロリアン』一言で言うと!
「出る杭は打たれる」のか!
なんとも悲哀を感じる映画でした。最初からデロリアンを陥れるための捜査だったのなら恐怖を抱きます。なぜなら彼は間違いなく革新的な「出る杭」だったのです。政府や産業界の誰かに恨まれていたのでしょうか。仕組まれた逮捕であったならアメリカは恐ろしい国です。それともジムが自身と家族を守るために仕組んだ罠だったのでしょうか。それも悲しすぎる罠です。
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老人が麻薬を運びます
映画『ジョン・デロリアン』の作品情報
映画.comより一部引用
スタッフ・キャスト
監督
ニック・ハム
製作
ルイージョ・ルイス ピアース・テンペスト ブラッド・ファインスタイン レネ・ベッソン ウォルター・ジョステン
製作総指揮
ジョセフ・イングラシア シリル・メグレット イムラン・シディック クウェク・マンデラ コリン・ベイトマン ルイス・A・リーフコール アラステア・バーリンガム チャーリー・ドンベク ゲイリー・ラスキン マシュー・ヘルダーマン ダイアナ・プリンシペ ティム・ハスラム ヒューゴ・グランバー
脚本
コリン・ベイトマン
撮影
カール・ウォルター・リンデンローブ
美術
フェルナンド・カリオン
衣装
ジュリア・ミシェル・サンティアゴ
編集
ブレット・リード
音楽
ヘロニモ・メルカード キム・クルーゲ キャスリン・クルーゲ
音楽製作
ローン・バルフェ
ジョン・デロリアン(リー・ペイス)
ジム・ホフマン(ジェイソン・サダイキス)
エレン・ホフマン(ジュディ・グリア)
ベネディクト・ティーサ(コリー・ストール)
クリスティーナ・デロリアン(イザベル・アレイザ)
モーガン・へトリック(マイケル・カドリッツ)
ケイティ・コナーズ(エリン・モリアーティ)
イド・ゴールドバーグ
ジャスティン・バーサ
2018年製作/113分/PG12/アメリカ
原題:Driven
配給:ツイン