原題 『Destination Wedding』
若き日の美男子キアヌ・リーヴスと美少女ウィノナ・ライダーの円熟味のある演技が素晴らしい。お互い公私ともに様々な経験を乗り越えてきた姿に思い感ずる作品。
映画出演において脚本を大事にするキアヌとウイノナだからこそ巡り合った作品
この映画はキアヌ・リーヴスとウィノナ・ライダーの美男美女が主役を張っている。二人ともとても良い役者になったと思う。二人の作品を思い出すと私自身感慨深い。キアヌは『マイ・プライベート・アイダホ』(91)と『ハートブルー』(91)が懐かしい。若くて、こんなにハンサムで素晴らしい演技をするから将来が楽しみだと感じた。実際、彼はブレイクした。そしてウィノナはジム・ジャームッシュ監督の『ナイト・オン・ザ・プラネット』(91)とフランシス・フォード・コッポラ監督の『ドラキュラ』(92)が記憶に残っている。なんてキュートな少女なんのだろうと印象を持った。彼女は幾多のトラブルもあったが、最近元気になって活躍しているからこれからも応援したい。二人ともとても才能がある役者だと思う。二人は過去において何本か共演している。本作はウィノナが脚本を読みすぐさまキアヌに脚本を送り、キアヌが即答という形でキャスティングが決まったそうだ。円熟味のある二人が共演する事で多少は話題になったであろう。
アメリカンジョークを交えたラブコメ映画である。それを理解するには知性教養が必要
さて本作の感想を正直に書くとなかなか難しい。私は映画が好きだから出来るだけ好評したいのだ。二人の若い頃の作品が好きだから尚更難しい。大人の恋の映画は古今東西たくさんある。シリアスな物語もあるが、ラブコメディーに走ってしまってるパターンが多い。ラブコメ映画と言ったらウディ・アレンになる。もう巨匠であり、文句のつけようがないほど面白い。予定調和とわかっていても人生においての哲学を考えさせるから彼のい作品は本当に素晴らしい。だから本作も予告の段階から多分、ラブコメディーだろうとわかっていたから期待していたのも事実だ。しかしなんて言っていいのかわからないが、頭を掻きたくなるような映画であった。まず私に知性教養が足りないことを嘆いた。二人が繰り出すジョークに付いていけない。笑わなければいけない皮肉のやりとりに笑えない自分がいたのだ。アメリカ人には痛快なジョークなのだろうが、私にはわからないことが多かった。
こんな男、こんな女いるかもしれない、、、。要は面倒臭い人の恋物語だ。
男はとてもヘンクツで、女はヘリクツな性格なのだが、何となく憐れに見えてしまって、感情移入が出来なかったのだ。なぜだろう?普段の私ならどのような人物でも映画の中のキャラクターの気持ちに寄り添うことができる。でも出来なかったのだ。その理由は映画を観終わってからわかったのだが、私自身、彼らと同年代でありそれなりに人生の辛酸を嘗め、雑多な人間に多く出会って生きてきた。いや生き長らえてきた。だから今はあまり面倒臭い人間とのつながりを避ける傾向にあるからだろう。だからこのように強烈なキャラクターを持つ人間に好感出来なかったと思われる。
話が脱線しました。すみません。さて、本映画では良い年になる男が異母兄弟の結婚式に招かれる。ウィノナの方はかつての恋人の結婚式に招待される(アメリカ人は過去の恋人を自身の結婚式に呼ぶのか一度アンケートしてみたい行きたくはないでしょうか)二人は出会いからお互い絡み合う。嫌味合戦と風刺の効いたアメリカンジョーク。それでいて二人の距離が近すぎる。そのシチュエーションでこの物語の結末が途中で予測できてしまったのが残念だ。日本風に言えばすったもんだがあって落ち着くと言う形だ
恋愛の終着点が結婚であるかどうかはわからない。まわり道することも必要。
結局アメリカでも日本でも、いや世界のどこでも同じだが、ある程度社会の厳しさを経験し、ある程度、恋と失恋を繰り返すと、能動的な恋には動かないような気がする。私も同じだ。傷つきたくない。もっと言うなら振られたくない、カッコ悪いことをしたくないとなる。恋は受動態でいたいと思うようになる。勇気がないのだ。冒頭のセリフで「この世界はナルシストで成り立っている」が正にそれを象徴している。「オレに恋しなくてどうする?」ってなるのかな。でも臆病なのだ。
さて、この映画のロケの場所がとても美しいカルフォルニアにこのような美しいところがあったのかと思うと驚いた。その風景を見るだけでもこの映画を見ても行った。独特の柔らかみがある映像に仕上がっている。『おとなの恋は、まわり道』と邦題だが原題は『Destination Wedding』直訳すると先の結婚式。いわゆる熟年結婚かな。世の中の酸いも髄も知った二人ならではだと思う。結婚が恋愛の終着点かどうかはわからないが、良い形で結ばれることは喜ばしい。
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