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『ブルーノート・レコード ジャズを超えて』(85分/スイス・アメリカ・イギリス合作/2018)
原題『Blue Note Records: Beyond the Notes』
【監督】
ソフィー・フーバー
【製作】
チエミ・カラサワ ソフィー・フーバー
- 映画『ブルーノート・レコード ジャズを超えて』のオススメ度は?
- 映画『ブルーノート・レコード ジャズを超えて』の作品概要
- 映画『ブルーノート・レコード ジャズを超えて』のあらすじ・ネタバレ
- 映画『ブルーノート・レコード ジャズを超えて』の感想・評価・内容・結末
- まとめ映画『ブルーノート・レコード ジャズを超えて』一言で言うと!
- 『運だぜ!アート』本日の総合アクセスランキング
- 合わせて観たい映画
- 映画『ブルーノート・レコード ジャズを超えて』の作品情報
映画『ブルーノート・レコード ジャズを超えて』のオススメ度は?
星3つです。
音楽ドキュメンタリーとして成立しています。
往年の名プレイヤーが出ています。
ジャズのメロディーに身をゆだねましょう。
恋人、友だち、親と観に行くといいでしょう。
映画『ブルーノート・レコード ジャズを超えて』の作品概要
世界中にジャズを広めたのは間違いなくブルーノートレーベルだと言える。このレーベルが設立される過程は歴史のイタズラであった。もし、ドイツにヒトラーがいなかったら、、、。それは考えないようにしたいが、何れにしても設立者がアメリカへ逃れたことが設立への道のりになったことは言うまでもない。本映画は黒人たちに無償の愛を提供した設立者に敬意を称しながらブルーノートの栄光を紹介している。
映画『ブルーノート・レコード ジャズを超えて』のあらすじ・ネタバレ
トップカットからブルーノートの設立者とアーチストたちのレコーディングの様子を紹介している。全編にわたって飽きない演出になっている。ブルーノート所属アーチストのインタビューもふんだんにある。レコードジャケットを取り込むことで芸術性の高い作品になっています。ハービー・ハンコック、ウェイン・ショーター、ルー・ドナルドソン、ノラ・ジョーンズなどが登場する。
映画『ブルーノート・レコード ジャズを超えて』の感想・評価・内容・結末
音楽ドキュメンタリーを成立させるための条件
音楽ドキュメンタリーを成立させるのは簡単なようで難しいと思います。
先日観た映画『ジョアン・ジルベルトを探して』などはとても成功しているとは言えませんでした。
問題は製作意図(先の作品は監督の自己満足ムービー)にありますが、最後までジルベルトが出てこなかったというのが大きいです。
あれだけ焦らして焦らして「これかよ」となってしまいます。確かに音楽ですから音を聴きに行くのが目的かもしれませんが、やはり映画は大スクリーンで人間を観たいものです。
これだけ大物スターが出ているから成立した映画
本映画は音楽のドキュメンタリーとしては成立していると思います。これだけ多くのアーチストの演奏シーンが観れただけでも垂涎モノでしょう。
わたしはジャズ愛好家にはほど遠いですが、流れてくるメロディーのほとんどが聴いたことがあり「ああ、この人が作ったのかあ」と頷いてしまいました。85分という尺も良いと思います。
二人のユダヤ人の音楽愛がブルーノートを作った
映画は『ブルーノート』レーバルの始まりから現在までをその時々のアーチストとヒット曲、貴重な映像、インタビュー、ナレーションによる説明があり、とてもわかりやすい内容でした。
レーベルを設立したのはドイツ系ユダヤ人のアルフレッド・ライオンとフランシス・ウルフの二人。
彼らがアメリカに移住したのはナチスの迫害から逃れる為です。1939年ですから第二次世界大戦前です。
歴史に“もし”は禁句ですが、彼らの亡命が阻止されていたらブルーノートは生まれなかったのです。戦争とは皮肉なモノです。
偉大なる文化・芸術・学問が生まれる過程にはこういった悲惨は出来事が背景にあることは否めません。
現在、世界を見渡すと多くのテロや紛争があります。その影で何か新しい文化・芸術が生まれているかもしれません。数年後にわかるでしょう。
「ユダヤ人と黒人」共に迫害されていたからこそ心を寄せ合った
さて、本映画にはほとんど黒人アーチストで占められています。
それはジャズのルーツが彼らにあることは間違いないから当然です。
そしてその音色はまさに叫びなのです。
かつて黒人奴隷の時代がありました。ブルーノートが設立された際も黒人へ差別はたくさんあったそうです。
にも関わらずアルフレッド・ライオンとフランシス・ウルフは無償の援助でレコードを作り続けました。
食事も提供しリハーサル演奏にもギャラを支払い彼らの音楽を記録し続けました。その無償の愛に心を打たれました。
なぜ二人が黒人アーチストを応援したかは、やはり差別という共通の苦しみを持っていたからでしょう。
ユダヤ人と黒人。虐げられる苦悩を知ったもの同士にしかわからない絆が生まれたのでしょう。
そして何よりアルフレッドとフランシスは音楽が好きであったことが大きかったと思います。
音楽も最高、ジャケットデザインも最高、写真も最高
さて、映画を観ていて音楽はもちろんのことわたしはレコードジャケットの素晴らしいデザインに目が奪われてしまいました。
繰り返しますが、わたしそれほどジャズマニアではありません。でも美しいメロディーと共に紹介されるジャケットに心を寄せてしまいました。
赤、青、黄色、そして独特のフォント。さらに写真。
これらはもはや芸術です。実際のジャズファンの中には音楽好きとジャケット好きがいるというのも納得できます。
ジャケット好きの人は指紋がつかないようにラッピングしている人がいるのも頷けるほどの美しさです。
この映画は物語の決定的なゴールはありません。
つまりブルーノートは永遠に世界中の人々から愛されるレーベルだという証明の映画です。
音楽ドキュメンタリーとしては近年、最も納得できる作品でした。これを機会にジャズの勉強をしたいと思ってます。
劇中登場するアーチストの紹介
ウン・ポコ・ロコ (バド・パウエル)
ブルー・トレイン (ジョン・コルトレーン)
サムシン・エルス (キャノンボール・アダレイ&マイルス・デイヴィス)
モーニン、チュニジアの夜 (アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ)
ザ・サイドワインダー (リー・モーガン)
ソング・フォー・マイ・ファーザー (ホレス・シルヴァー)
サコタッシュ、カンタロープ・アイランド (ハービー・ハンコック)
フィー・フイ・フォ・ファム (ウェイン・ショーター)
カンタループ (Us3)
ドント・ノー・ホワイ (ノラ・ジョーンズ)
マスカレロ (ブルーノート・オールスターズ)
まとめ映画『ブルーノート・レコード ジャズを超えて』一言で言うと!
「音楽は言葉だ!」
人間は古来より音を用いてコミュニケーションを行ってきました。言葉から始まり、楽器を作り、歌を唄って、、、。音楽は各民族や人種にとって気持ちを意思疎通するための手段であり、心の叫びでもありました。黒人たちは奴隷としてアメリカに運ばれましたが、魂の叫びは忘れませんでした。それがジャズであり、ロックであり、ラップになったのです。音楽は言葉そのものです。
『運だぜ!アート』本日の総合アクセスランキング
合わせて観たい映画
【音楽ドキュメンタリー色々】
映画『イル・ヴォーロ with プラシド・ドミンゴ 魅惑のライブ 3大テノールに捧ぐ』
イタリアの地で実際の歌声を聴けるなら本望です
映画『ジョアン・ジルベルトを探して』
ボサノバの父は何処に?歌声が聴きたい
『ホイットニー ~オールウエイズ・ラブ・ユー〜』
ホイットニー、なぜ「ヘルプ!」と叫ばなかったのだ
『私は、マリア・カラス』
あなたの一途な生き方が世界に響いてます
『エリック・クラプトン~12小節の人生~』
とにかく死ななくて良かったね
映画『ブルーノート・レコード ジャズを超えて』の作品情報
映画.comより一部引用
スタッフ・キャスト
監督
ソフィー・フーバー
製作
チエミ・カラサワ ソフィー・フーバー
製作総指揮
ジェフ・ケンピン テリー・シャンド
撮影
シェーン・シグラー パトリック・リンデンマイヤー
編集
ラッセル・グリーン
ハービー・ハンコック
ウェイン・ショーター
ルー・ドナルドソン
ノラ・ジョーンズ
ロバート・グラスパー
アンブローズ・アキンムシーレ
ケンドリック・スコット
ドン・ウォズ
アリ・シャヒード・ムハマド
テラス・マーティン
(声の出演)ケンドリック・ラマー
2018年製作/85分/G/スイス・アメリカ・イギリス合作
原題:Blue Note Records: Beyond the Notes
配給:EASTWORLD ENTERTAINMENT