映画『ジュディ 虹の彼方に』のあらすじ・ネタバレ・解説・感想・評価から作品概要・キャスト、予告編動画も紹介し、物語のラストまで簡単に解説しています。
映画『ジュディ 虹の彼方に』公式サイトにて作品情報・キャスト・上映館・お時間もご確認ください。
YouTubeで予告映像もご覧ください。
『ジュディ 虹の彼方に』
(118分/G/イギリス/2019)
原題『Judy』
【監督】
ルパート・グールド
【製作】
デビッド・リビングストーン
【出演】
レニー・ゼルウィガー
ジェシー・バックリー
フィン・ウィットロック
ルーファス・シーウェル
マイケル・ガンボン
第92回(2020年)アカデミー主演女優賞獲得レニー・ゼルウィガー
もう文句なしです。本映画『ジュディ 虹の彼方に』を観てレニー・ゼルウィガー以外ないと再認識しました。当初は『マリッジ・ストーリー』のスカーレット・ヨハンソンを推していましたが、もはやレニー・ゼルウィガーの演技は圧巻でした。本当に素晴らしかったです。レニー・ゼルウィガーの生き様が投影されています。
映画『ジュディ 虹の彼方に』のオススメ度は?
星5つです
素晴らしいです
涙が止まりません
ジュディの人生には同情します
彼女を苦しめた人に怒りを覚えます
そしてレニー・ゼルウィガーの演技には圧倒されます
LGBTの人たちに勇気を与えました
映画『ジュディ 虹の彼方に』の作品情報・概要
『ジュディ 虹の彼方に』原題『Judy』2019年のアメリカ合衆国・イギリス合作のジュディ・ガーランドの伝記映画。ルパート・グールド監督。主演はレネー・ゼルウィガー。本作は2005年に初演されたピーター・キルター脚本の舞台劇『エンド・オブ・ザ・レインボー』を原作としている。ジェシー・バックリー、フィン・ウィットロック、ルーファス・シーウェル、マイケル・ガンボンらが共演。不世出のエンターテナーであるジュディ・ガーランドの悲哀な人生を描いている。
LGBTQにテーマをおいた映画
映画『ジュディ 虹の彼方に』のあらすじ・ネタバレ
子役スターから大スターになったジュディ・ガーランド。今や落ち目で場末の酒場ですら相手にされない。お金もなく宿泊するホテルにも困窮している。愛する二人の子どもとアメリカをドサ回りする日々。仕方なく子どもを元夫に預かる。そんな時ロンドン公演の依頼が舞い込む。我が子と再び暮らすためにはお金と実績が必要。ジョディはロンドンへ旅たちステージに立つ。しかしアルコールとドラッグが彼女を追い詰める。大切なステージで酩酊し悪態を晒すことに、、、。
映画『ジュディ 虹の彼方に』の感想・評価・内容・結末
あまりにも悲しすぎるジュディ・ガーランドの人生
こんなに悲しい女性がいたとは、、、。こんなに孤独な女性がいたとは、、、というのが感想です。あまりにも可哀想すぎます。
ハリウッド映画のスタジオ製作の犠牲者です。ジュディは産まれながら天賦の才能を持っていたことは事実です。
その才能を商売にするのは大いに結構ですが、やはり非合法的なことをやってはいけません。
この映画を観ていると誰もジュディに手を差し伸べる者がいなかったのか、と声をあげたくなります。
今だったら間違いなくパワハラ、セクハラでしょう。繰り返してはいけないと感じました。
あまりにも悲しすぎる人生です。
ジュディの行き着く先は“死”という安住の地しかない
さて、この映画『ジュディ 虹の彼方に』はアメリカで活躍した世紀のエンターテナーであるジュディ・ガーランドの伝記映画です。
近年、アーチストの伝記映画がたくさん作られています。フレディー・マーキュリーの映画『ボヘミアン・ラプソディ』とエルトン・ジョンの映画『ロケットマン』のヒットが記憶に新しいです。
そして本作『ジュディ 虹の彼方に』です。この作品は前2作品とは決定的に異なります。
それはフレディとジョンの映画はその半生全体を描いているのですが、本作はジュディ・ガーランドの死ぬ直前を描いています。
もちろんジュディの過去の映像が出てきますが、それらをスポット的に登場させることでジュディの苦悩をより一層克明にしています。過去はジュディの心と体に重くのしかかります。
死に行く結末を知っているから、なおさら心を打つ映画です。刹那的です。
ジュディは死んでようやく安心できたのであったならそんなに不幸なことはありません。
あの世で幸せになっても意味はありません。この世で幸せになりたいと思うのです。
パワハラ、セクハラ、過剰労働から幼児虐待までのハラスメント地獄
17歳で一躍スターになったジュディに休養はありません。当時は合法だった覚せい剤を投与され働かされます。
覚せい剤によって眠れなくなると今度は睡眠薬を投与されます。しかも太るからといってまともに食事もできません。
もう何が何だかんだかわからなくなります。良くぞ生きていた、と言いたいくらい過酷です。でも結局は47歳という短い人生となります。若くして心身を酷使したからでしょう。
子どもとの暮らしを取り戻すために歌うしかない
ジュディはかつて世界を席巻する大スターでした。しかし今や家もなく放浪しています。借金もあります。
社会性も教わらないまま育ったので金銭感覚に乏しいです。幼き子どもだけは手放したくないのですが、それも奪われます。元夫が引き取ります。
そんな時、ロンドン公演の仕事が舞い込みます。子どもと離れることは辛いですが、ロンドン公演が成功した暁には再び子どもと一緒に住めるとこを目標にロンドへ旅たちます。
でもロンドンでも酒浸りの日々です。睡眠薬も手放せません。公演では酩酊状態になりお客と喧嘩します。
めちゃくちゃです。スクリーンに向かって「頑張れ!」などとは言えないくらい悲惨なのです。
ジュディの伝記だけどゼルウィガーの人生も投影されている
こんなにショービジネスに貢献しているのに報われない一人のアーチストがそこにいます。彼女のおかげでどれだけお金を稼いだ人がいるのでしょうか。
その彼女を誰か助けてあげれれないのか、と逆に怒りがこみ上げてきました。とにかく悲惨です。残酷です。悲しいです。
これほど孤独な人っているのでしょうか。そんな思いで観ていました。
でも、でもです。ステージに立つジュディはやっぱりエンターテナーなのです。先ほどまでは単なる酔っ払い女だったのが一気に輝くのです。
もちろん演じているのはレニー・ゼルウィガーですが、レニーの歌もダンスも素晴らしいのです。この映画は普通の伝記映画のようにモノマネ映画ではありません。
レニーはジュディを演じていますが、自身の女優という仕事を全うしていると思います。
かつてレニーもハリウッド映画で一世風靡しました。しかし年齢が上げるにつれ役も減り、自身の精神的な病気で姿を消していました。
バッシングもされました。ジュディほどではありませんが、ショービジネスで生きる辛さを体感しています。
それだけに本映画『ジュディ 虹の彼方に』から伝わってくる熱量はハンパないと感じたのです。
とにかくレニーは圧倒的にスクリーンを支配してます。
ジュディの人生とレニー・ゼルウィガーの人生が重なる
歌も上手いです。ほとんどがレニー・ゼルウィガーが歌っています。歌って踊れる役者はたくさんいますが、何かが足りません。
その何かっていうのが本映画を観るとわかるのです。“渇望”なのではないでしょうか。
「もう一度、輝くぞ」と伝わってくるのです。おそらくジュディ・ガーランドはステージに立っている時だけが本当の自分であったと思います。
歌い踊ることで自身のアイデンティティーの確認をしていたいと思います。そして飽くなき“渇望”があったのではないでしょうか。
人のため、社会のために歌うというシンガーもいますが、ジュディは自分自身のために歌っていたと思うのです。
そして長く低迷したレニー・ゼルウィガーもジュディを演じることで自身を奮い立たせたのではないでしょうか。
女性の人生に心を寄せる映画だからヒットしている
この映画『ジュディ 虹の彼方に』がヒットする理由はやはり強い女性の人生に心寄せることができるからでしょう。
時代はいつも女性を正当に評価してきませんでした。今ようやく女性の権利が見直されています。
METOO運動などはその先端です。さらにLGBTQ問題もです。
ジュディ・ガーランドは早くからLGBTQについて理解が深い人だったそうです。
彼女の歌う『オーバー・ザ・レインボー』はLGBTQの人たちの希望の歌で、レインボーフラッグにも繋がっています。
あまりにも悲しいジュディ・ガーランドの人生ですが、二度と彼女のような犠牲者がショービジネスの世界から生まれないことを祈るばかりです。
*日本ではかつて美空ひばりという大スターがいました。ひばりとジュディは住む場所は違えど境遇はとても似ています。あまりにも酷使されすぎました。
*もし日本で美空ひばりの伝記映画を作るとしたら誰が彼女の役をやるのでしょうか?わたし的に浮かぶ人は誰もいません。まず美空ひばりのような歌唱力がある女優がいないのです。そう考えるとアメリカの俳優たちの懐の深さに驚くばかりです。
映画『ジュディ 虹の彼方に』のキャストについて
ジュディ・ガーランド(レニー・ゼルウィガー)
ジュディの最晩年を演じています。もう圧巻の演技でした。歌も歌っています。この役のために1年間の役作りをしたそうですが、本当に素晴らしいです。レニー・ゼルウィガー自身もハリウッドで低迷しており、相当なバッシングにあっていたのでジュディと被ったから頑張れたのではないでしょうか。ジュディ・ガーランドのことは過去のアーカイブ映像でしか観ることができませんが、レニーもそれらを参考にして挑んでいる仕事への姿勢に心寄せます。
ロザリン・ワイルダー(ジェシー・バックリー)
ロンドン公演におけるお世話がかりです。すっぽかし、気まぐれで有名な大スターであるジュディを担当する重責を担っています。ジェシー・バックリーは最初は遠慮がちにジュディに接していますが、やがて公演を成功させるという強い信念でジュディを叱咤します。ファンであると同時にビジネスにしなければいけないという複雑な心情をうまく演技していたと思います。
ミッキー・ディーンズ(フィン・ウィットロック)
ジュディの最後の夫です。一見、軽い男という印象です。世界的に有名なスターに近づくことでお金を稼ごうとする“悪役”を演じています。でも実際はそれほど悪人とは描かれていません。爽やかな笑顔が特徴です。できればもっと悪人の顔を見せて欲しいと感じました。
シド・ラフト(ルーファス・シーウェル)
ジュディの3番目の夫です。シドとの間に二人の子どもいます。かつては夫婦で映画『スタア誕生』を作りヒットさせましたが、アカデミー賞を獲得できなかったことがふたりnい溝を作ったと言われています。シド演じるルーファス・シーウェルは別れてもジュディのことを愛していたと感じられました。しかしながらやはり子どもが大事です。ジュディといたら子どもの将来が心配です。ルーファス・シーウェルはその心境をとてもうまく表現していたと思います。
映画『ジュディ 虹の彼方に』の楽曲について
わたしもジュディ・ガーランドを知らない世代です。でも彼女の歌声は本当に魅力的です。なんといってもその声量が圧巻です。体は小さいです。150センチそこそこです。でもその迫力は世界中に響き渡るほどです。もちろん歌唱表現も素晴らしいです。英語の歌詞ですが、魂に伝わってきます。
バイ・マイ・セルフ(By Myself)
トロリー・ソング(The Trolley Song)
ゲット・ハッピー(Get Happy)
フォー・ワンス・イン・マイ・ライフ(For Once in My life )
サンフランシスコ(Ssn Francisco)
カム・レイン・オア・カム・シャイン(Come Rain Or Come Shine)
虹の彼方に(Over The Rainbow)
まとめ 映画『ジュディ 虹の彼方に』一言で言うと!
「誰か彼女を守ってくれ!」
と叫んでしまいました。本当に辛すぎる人生です。子役時代から散々利用され、捨てられ、拾われ、最後まで働かされました。子どもとも引き裂かれ、彼女にとって幸せな日々は存在したのか疑問です。本当に助けてあげたいです。誰もいなかったのが不幸でした。
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映画『ジュディ 虹の彼方に』の作品情報
映画.comより一部引用
スタッフ・キャスト
監督
ルパート・グールド
製作
デビッド・リビングストーン
製作総指揮
キャメロン・マクラッケン ローズ・ガーネット アンドレア・スカルソ ミッキー・リデル ピート・シレイモン ローレンス・マイヤーズ リー・ディーン アーロン・レベン チャールズ・ダイアモンド エリス・グッドマン ヒラリー・ウィリアムズ
原作
ピーター・キルター
脚本
トム・エッジ
撮影
オーレ・ブラット・バークランド
美術
ケイブ・クイン
衣装
ジャイニー・テマイム
編集
メラニー・アン・オリバー
音楽
ガブリエル・ヤーレ
ジュディ・ガーランド(レニー・ゼルウィガー)
ロザリン・ワイルダー(ジェシー・バックリー)
ミッキー・ディーンズ(フィン・ウィットロック)
シド・ラフト(ルーファス・シーウェル)
バーナード・デルフォント(マイケル・ガンボン)
2019年製作/118分/G/イギリス
原題:Judy
配給:ギャガ