映画『ジョジョ・ラビット』のあらすじ・ネタバレ・解説・感想・評価から作品概要・キャスト、予告編動画も紹介し、物語のラストまで簡単に解説しています。
映画『ジョジョ・ラビット』公式サイトにて作品情報・キャスト・上映館・お時間もご確認ください。
YouTubeで予告映像もご覧ください。
『ジョジョ・ラビット』(109分/G/アメリカ/2019)
原題『Jojo Rabbit』
【監督】
タイカ・ワイティティ
【製作】
カーシュー・ニール タイカ・ワイティティ チェルシー・ウィンスタンリー
【出演】
ローマン・グリフィン・デイビス
トーマシン・マッケンジー
タイカ・ワイティティ
サム・ロックウェル
スカーレット・ヨハンソン
映画『ジョジョ・ラビット』のオススメ度は?
星4つです
戦争反対
多様性を認めよう
寛容ある世界を築こう
スカーレット・ヨハンソン素晴らしい
トーマシン・マッケンジーが最高に可愛い
映画『ジョジョ・ラビット』の作品概要
『ジョジョ・ラビット』原題『Jojo Rabbi』2019年のアメリカ合衆国のコメディ映画。タイカ・ワイティティ監督。主演はローマン・グリフィン・デイヴィス。共演はトーマシン・マッケンジー、タイカ・ワイティティ、レベル・ウィルソン、スティーブン・マーチャント、アルフィー・アレン、サム・ロックウェル、スカーレット・ヨハンソン。少年の成長を通して戦争のおぞましさを訴求している。
映画『ジョジョ・ラビット』のあらすじ・ネタバレ
第二次世界大戦末期のドイツ。少年たちはナチスに完全に洗脳されていた。10歳になるとナチスユーゲントになる。ジョジョは体も小さく気も弱い。そしていじめられっ子。母親と二人暮しで父親は出兵中。厳しい訓練についていけない。ウサギを殺せと命令されてもできない。付いたあだ名が『ジョジョ・ラビット』になった。ジョジョには空想上の友だちがいるアドルフ・ヒトラー。そしてある日、自宅の屋根裏に潜んでいたユダヤ人少女を見つける。あれだけ毛嫌いしていたユダヤ人、、、。彼女と奇妙な交流が始まる。
映画『ジョジョ・ラビット』の感想・評価・内容・結末
ナチス・ヒトラーをコミカルにする意味がある
とても素晴らしい映画だと思います。ナチス、ヒトラーを題材にした映画って毎年数本は作られてます。
本映画の予告を観た時に「あ、ちょっとコメディっぽいなあ」と感じました。だから割と楽な気持ちで観に行きました。
ましてや出演女優がわたしの好きなスカーレット・ヨハンソンです。
いやが応にも期待が高鳴ります。もちろんヨハンソンも良かったのですが、エルサ演じるトーマシン・マッケンジーがとても良かったですね。
純粋無垢な少年がユダヤ人少女を通して成長していく物語
物語は第二次世界大戦中のドイツが舞台です。ナチスの憧れを持つジョジョ(ローマン・グリフィン・デイビス) が成長していく物語です。
小さい子どもの目を通して戦争のおぞましさと洗脳の恐ろしさを描いていると思います。ジョジョは生粋のドイツ人でヒトラーとナチスに完全に洗脳されています。
小さい時の環境って本当に恐ろしいです。特に子どもはまだ自ら学ぶことができません。
与えられた情報の全てを吸い込みます。スポンジが水を吸収するように受け入れるでしょう。
タイカ・ワイティティ監督がヒトラーを演じている
周りがナチス一色であるのなら自身も同じ色に染まるでしょう。
この映画『ジョジョ・ラビット』でホッとするのはやっぱりアドルフ(タイカ・ワイティティ)演じるキャラクターがコメディーっぽいところです。
最初はヒトラーに対してわたしも先入観で嫌悪していますが、途中から心を寄せていく自分がいました。
もちろんアドルフはジョジョだけの世界、いわゆる空想上の人物です。この設定にしたタイカ・ワイティティ監督の着想が素晴らしいと思います。
決してナチスを美化している映画ではない
ジョジョが憧れるアドルフはもちろん人類史上最悪な人物です。それを空想上に置いて優しい人物にするのはかなり大胆な設定であると言えます。
実際、反ヒトラーからナチスを美化しているとの批判もあるそうです。でもここは逆説的な表現として考えるととても効果的になるのです。
アドルフが登場するたびに「違うよ、違うよ」とか「そっちへ行ってはダメだよ」ってジョジョに言いながらわたし自身に言っていることに気がつくのです。
ですからアドルフの存在はとても効果的だと思います。
ユダヤ人少女を通して真実が見えてくる
ジョジョの描くユダヤ人は頭にツノがあり、蛇のようなウロコがあり恐ろしい姿だと信じています。
でも初めて出会ったユダヤ人がとても可愛らしい少女に衝撃を受けます。
しかもよりによって家の屋根裏にいるのです。
ナチスに通報すると告げると逆に脅されます「あんたにかくまわれていたと言う。共犯。そうなるとママもあんたも死ぬよ」と。
それから二人の奇妙な交流が始まります。その過程を通して、ジョジョが人間的に成長していくのです。
そのエッセンスにアドルフが抜群に役に立つのです。素晴らしい。そして最後が泣けるのです。
いま現在のわたしたちに近寄る危険がある
さて、この映画『ジョジョ・ラビット』がなぜ今公開されたかについて考えてみます。
ニュースを見ていると世界は極端な保守主義という思想が広がりつつあります。
自国優先主義、民族主義も台頭しています。
宗教対立は永遠に続いています。
人種も分断しています。
この状況はまるで第二次世界大戦が始まる前のようだと言われています。人と人の繋がりも希薄になっています。
本当に信頼、信用できる人が昔より減りました。というか誰かと接する時にもなぜか警戒してしまう自分もいます。
寛容な心が加速度的に失われていく
ここ数年で“寛容”な心が失われてしまった自分もいます。
それは社会に対しての不安、格差、不平等、貧困などが身近に迫ってきたからだと思います。自分はどん底に落ちたくないのです。
自分が一番大事です。次は家族です。
だから自分がどん底に落ちるより、他人が落ちて欲しいと願う自分がいます。これが寛容の心がなくなった証拠だと思います。
人のことを思いやる余裕がありません。そんな自分になってしまいました。
75年前を振り返ると今が見えてくる
この映画『ジョジョ・ラビット』は75年前を振り返りながら今現在の世界の人たちの心を見事に描いていると言えます。
一見、ナチスがユダヤ人迫害の物語色が強いです。
タイカ・ワイティティ監督の母親がユダヤ系ですから、ユダヤ礼賛映画と思われますが違います。
過去の悲惨な戦争を比喩的に描くことで現代を生きる人々に二度と同じ過ちを犯してはいけないと伝えていると思います。
そのためには人種、民族、性別、宗教の壁を取り払って多様性を認める寛容な心を持つことが平和を築くのだと思います。
観終わってズッシリと来る映画でした。
*アンネの日記をモチーフにして作られていますが、悲劇ではなくハッピーエンドなのが良かったです。
*スカーレット・ヨハンソンの演技は良かったです。でも『マリッジ・ストーリー』の母親役の方が格段に良かったです。アカデミー助演女優賞にノミネートされていますが、ちょっと難しいかな。
*サム・ロックウェルは魅せてくれますね。おバカなナチス大尉です。でも、最後に泣かせてくれます。『リチャード・ジュエル』とは全く違う演技で驚きました。
映画『ジョジョ・ラビット』のキャストについて
ジョジョ(ローマン・グリフィン・デイビス)
体が小さくひ弱な10歳の子供です。友だちもいません。唯一、想像上の友だちのアドルフがいます。母と暮らしています。父は出兵中。とても可愛らしかったです。映画初主演とのことです。歯列矯正前ですね。純粋な演技だったと思います。つまり場慣れしていないので素直な演技に好感が持てました。
エルサ(トーマシン・マッケンジー)
屋根裏に隠れるユダヤ人少女です。聡明で物静かな少女です。トーマシン・マッケンジーの目が良かったです。こういう役をやるには臆病と大胆な演技が必要です。両立させるのは難しいと思います。怖いのですが、やっぱり舐められてはいけないと思うのです。ですから強い意志を目で表す必要があると思います。見事に演じていたと思います。
アドルフ(タイカ・ワイティティ)
空想上のヒトラーです。実際のヒトラーは悪人ですが、本作ではそれは前面に出ていません。一瞬「えっ」と思いますが、それが映画全体をうまくまとめたのではないでしょうか。タイカ・ワイティティ監督自ら演じています。うまいと思います。ヒトラーですから凶悪なイメージがあり、最初は嫌悪しましたが、途中からコメディーっぽくなっていきました。ジョジョをそそのかすような役回りを逆説的に演じているのが良かったです。
クレンツェンドルフ大尉(サム・ロックウェル)
片目を負傷したナチス大尉です。根っからのヒトラー教徒、、、と思わせながら進展して行きます。さすがサム・ロックウェルです。骨の座った演技でした。最後の最後に本当にう救われる役でした。『リチャード・ジュエル』も『バイス』も素晴らしいですね。
ロージー(スカーレット・ヨハンソン)
ジョジョの母親で出兵した夫を待つ強い女性です。ナチスに反対する地下活動をしています。エルサを匿っています。もうスカーレット・ヨハンソンは言うことがないでしょう。スクリーンを支配する存在感は半端ないです。ぱっと明るくなります。強い女性をやらせてらいま一番ではないでしょうか。逆にか弱き女性を演じて欲しいです。衣装が良かったですね。映画『マリッジ・ストーリー』
まとめ 映画『ジョジョ・ラビット』一言で言うと!
「戦争の犠牲はいつも子どもと女性」
戦争とは本当に悲惨なものです。わたしたちは戦後ずっと平和です。二度と戦争に巻き込まれたくないです。戦争の犠牲者はいつも子どもと女性だと歴史が証明しています。日本人のことを“平和ボケ”と揶揄する人がいますが、平和すぎてボケてしまうなんてとても素晴らしいことだと思います。
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映画『アマンダと僕』
この少女の涙に世界も泣きました
映画『ジョジョ・ラビット』の作品情報
映画.comより一部引用
スタッフ・キャスト
監督
タイカ・ワイティティ
製作
カーシュー・ニール タイカ・ワイティティ チェルシー・ウィンスタンリー
製作総指揮
ケビン・バン・トンプソン
原作
クリスティン・ルーネンズ
脚本
タイカ・ワイティティ
撮影
ミハイ・マライメア・Jr.
美術
ラ・ビンセント
衣装
マイェス・C・ルベオ
編集
トム・イーグルス
音楽
マイケル・ジアッキノ
ジョジョ(ローマン・グリフィン・デイビス)
エルサ(トーマシン・マッケンジー)
アドルフ(タイカ・ワイティティ)
ミス・ラーム(レベル・ウィルソン)
ディエルツ大尉(スティーブン・マーチャント)
フィンケル(アルフィー・アレン)
クレンツェンドルフ大尉(サム・ロックウェル)
ロージー(スカーレット・ヨハンソン)
ヨーキー(アーチー・イェーツ)
ルーク・ブランドン・フィールド
サム・ヘイガース
2019年製作/109分/G/アメリカ
原題:Jojo Rabbit
配給:ディズニー