ペネロペ・クルス主演映画『誰もがそれを知っている』ネタバレ、あらすじ、評価。知らないフリをするのが優しさ。

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映画「誰もがそれを知っている」
隠していたはずの秘密と家族の嘘がほころび始めるーその結末に誰もが息をのむ、極上のヒューマン・サスペンス。監督・脚本:アスガー・ファルハディ 出演:ペネロペ・クルス、ハビエル・バルデム 原題:Everybody Knows
『誰もがそれを知っている』6/1(土)公開/日本版予告

 

映画『誰もがそれを知っている』(133分/西・仏・伊/2018)

原題 『Todos lo saben』

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映画『誰もがそれを知っている』の作品概要

人間社会は誰もが争いを避けながら均衡を保って生きている。

当人たちはまさか秘密が周囲に知られているとは到底思っていない。

そして周りの人たちも知らないフリをしている。それは人間の持つ優しさなのかもしれない。

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映画『誰もがそれを知っている』のあらすじとネタバレ

アルゼンチンへ嫁いだペネロペ・クルス演じるラウラは妹の結婚式のためスペインに帰国する。

結婚式は盛大に催されみんながハッピーだ。

しかしその最中、娘のイレーネが姿を消す。後に誘拐と判明。警察に言うか言わないか迷う。結果、言わない。これが、ネックになってくる。

そして身代金の要求が、、、。

その身代金を用意するのは、かつての恋人であるパコ。なぜ彼が支払うのか。

その理由は村人全ての人が知っている。そして犯人は何の目的で誘拐したのか、、、。

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映画『誰もがそれを知っている』の感想と評価

誰もが秘密を持っている でも誰もが知っている 知らないフリをする優しさ

アスガー・ファルハディ監督は毎回、期待を上回る作品を提供してくれる。

『別離』『ある過去の行方』『セールスマン』などを観てきたから本作も楽しめた。まず人は誰しも秘密を持っている。誰にも知られたくないから黙っている。

本人は周囲の人たちも知らないと勝手に思い込んでいることが多い。でもだ、この映画のテーマは「隠しているつもりでも、みんな知っているんだよ」と言っている。

みんな優しいのかそれともその秘密に触れることで騒動に巻き込まれるのが嫌なのか、知らないふりをしているのだ。当人たちは“知らぬが仏、見ぬが秘事”状態なのだ。

羨望から嫉妬、妬み、ひがみ、嫉み、、、 そして危険なエネルギーへ

人間関係が形成される社会ではこうやって知らないふりをすることで争いごとを避けていることが多い。

それは小さい組織になればなるほど実は擦り切れそうな緊張感を持っていると言える。

ただ秘めていることがネガティブな出来事ではなく、羨望を含むものであったらそれは嫉妬、妬み、ひがみの対象になり、暴力的なエネルギーに繋がる危険性をはらんでいる。

まさに本作はその方向に向かった。

知らないフリは人間が持ちうる素敵な感情だ

この映画はミステリー映画という触れ込みがあったが、私はちょっと首をひねってしまう。

各所のレビューを読むと「ミステリー色が薄い」とか「犯人わかるじゃん」とかあるが、それらレビューは全く監督の意図していることわかっていない。

この映画は犯人探しの映画ではないのだ。謎解きしながら観るのではない。

タイトルの『誰もが知っている』通り映画を観ている我々観客も“誰も”であって“知っている”のだ。

何を知っているかは各々によって違うだろうが、知らないふりをする優しさはとても大事な感情であるということ、人が持ちうる素敵な感情であることだ。

小さな村社会においての噂話は楽しい娯楽だ でも危険性を孕んでいる

nそして、もし秘密を暴露するようなことがあれば、それまで保たれていた平安な生活が一変してしまうのだ。

下世話な例であるが、ワイドショーなどのスクープなど正にそれだ。

暴露されたことでもう元には戻れない。本作の舞台となったスペインの小さな村では噂話が日々の楽しみだ。

その噂を当人に知らせることなく過ごすのが田舎の流儀だ。

人間の業とは何だろう なぜ憎悪に変わるのだろう

人間の業で醜いのは嫉妬、妬み、ひがみ、嫉みがある。

これらの感情は羨望から始まり、先の過程を経てやがて憎悪に変わる。「何であいつだけがいい思いをしている」などと思った瞬間に犯罪へと矛先が向かってしまう愚かな人間もいるのだ。

アスガー・ファルハディ監督の伝えたかったことはこれなのではないだろうか。村社会ではなく世界に広げて考えてみる。

イランが核兵器開発をしているらしいが、本当のことはわからない。各国が知らないふりをしていれば、問題は起きないかもしれない。

もしどこかの国がその秘密を暴こうと越権行為をした瞬間に友好的な関係は崩壊する(もちろん保有していなかったら最悪だ。イラクの二の舞になる)

人生の舞台で色んな感情との戦いで我々は役者を演じているのだ

もっと短な例として自身の夫、もしくは恋人の秘密を知ってしまったら果たして黙っておくのだろうか、それとも告げるだろうか。

ここは本当に難しい。黙っておいたほうが良いこともあるだろうが、もし告げたのなら“修羅場は早く作れ”状態だから覚悟して対処するしかない。

本作を観ていると、つくづく人間はいつまでたっても人生という舞台で色んな役者を演じて苦悩して死を迎えるのだと感慨にふけってしまった。

素晴らしい映画でした。

 

*ペネロペ・クルスの演技が素晴らしい。前半と後半の表情の違いに唖然とさせられる。いや、別人ではないかと思わせるほどの落差だ。あれほどきらめきを放っていたのに、憔悴しきっているのだ。
*やはりイラン人監督の映画にハズレはない。私の好きなアッバス・キアロスタミ監督とは違う。ファルハディ監督は人間の本性というのか、理性との葛藤を描くのがうまい。逆に理性などどうでも良い、と言っているように聞こえる。

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映画『誰もがそれを知っている』まとめ 一言で言うと!

「知らぬが仏、見ぬが秘事」とでも言おうか。

知らぬことは優しさの証明。大切な秘密を知ってもそれを暴露しないことが平和的に暮らす最良の策だ。秘密が弾けてしまうと“覆水盆に帰らず”だ。だから覚悟しておけ、となる。

以下、『誰もがそれを知っている』その②

ペネロペ&ハビエル&アスガー・ファルハディ監督 映画『誰もがそれを知っている』ネタバレ・あらすじ・評価・感想。
ペネロペ・クルスとハビエル・バルデムは実生活では夫婦だ。本作は幼じめであり、元恋人同士を演じている。監督はイランの巨匠アスガー・ファルハディ。スペインの乾いた大地で人間のい深層心理の脆弱性を描いている。誰もがこの映画を観て、自身に置換えてると人間の本質の愚かさに気がつくだろう。ずっと引っ張られているような感覚を覚える作品

 

*以下、スペイン語で撮られたお勧め映画

『ROMA/ローマ』(135分/メキシコ・アメリカ/2018)

アルフォンソ・キュアロン監督の『ROMA/ローマ』は巨匠、フェリーニ、ビスコンティーを彷彿される芸術映画だ。ネタバレ、感想、評価
アルフォンソ・キュアロン監督の『ROMA/ローマ』はネットフレックス製作作品で世界中で映画賞を獲得してきた。白黒の映像美が世界の映画人を虜にした。物語は悲劇性の中に希望を見出す人間が力強く成長していく様を伝えている。この2018年にこのテーマで白黒でそしてネット配信で発表されたことに大きな意味を持つと言える。

 

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映画『誰もがそれを知っている』の作品情報

映画.comより一部引用

スタッフ

監督
アスガー・ファルハディ
『セールスマン』(17)『ある過去の行方』(14)『別離(2011)』(12)『彼女が消えた浜辺』(10


製作
アレクサンドル・マレ=ギィ アルバロ・ロンゴリア
脚本
アスガー・ファルハディ
撮影
ホセ・ルイス・アルカイネ
美術
クララ・ノタリ
衣装
ソニア・グランデ
編集
ハイデー・サフィヤリ
音楽
ハビエル・リモン
キャスト

ペネロペ・クルス
『ハモンハモン』『オール・アバウト・マイ・マザー』『バニラ・スカイ』『ボルベール帰郷』『それでも恋するバルセロナ』

ハビエル・バルデム
『夜になるまえに』『ノーカントリー』『それでも恋するバルセロナ』『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』

リカルド・ダリン
『泥棒と踊り子』『瞳の奥の秘密』『しあわせな人生の選択』

エドゥアルド・フェルナンデス
『スモーク・アンド・ミラーズ 1000の顔を持つスパイ』『BIUTIFUL ビューティフル』『チェ 39歳 別れの手紙』

バルバラ・レニー
『マジカル・ガール』

インマ・クエスタ
『スリーピング・ボイス 沈黙の叫び』『ジュリエッタ』

エルビラ・ミンゲス
『チェ 28歳の革命』『チェ 39歳 別れの手紙』

ラモン・バレア
『マカロニ・ウエスタン 800発の銃弾』

カルラ・カンプラ
『Marsella』『Veronica』

サラ・サラモ
『失われた少女』

ロジェール・カサマジョール

ホセ・アンヘル・エヒド
『ローマ法王になる日まで』

作品データ

原題 Todos lo saben
製作年 2018年
製作国 スペイン・フランス・イタリア合作
配給 ロングライド
上映時間 133分
映倫区分 PG12