『フロントランナー』ネタバレ、感想、評価。このネット社会、SNS投稿にプライバシーの危機を感じた

2019年製作
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実話を映画化!衝撃のストーリーが話題の「フロント・ランナー」
「本当に実話がもとになってるの!?」そんな驚きの声を聞く事も多い話題の映画が「フロント・ランナー」です。アメリカ大統領に一番近いと言われた政治家がたった3週間で全てを失ってしまうというサスペンスドラマとなっています。当サイトでは、フロント・...

『フロントランナー』

原題『The Front Runner』(113分/米/2018)

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ゲイリー・ハートを裏切ったのは誰でもない。「時代が彼を見捨てたのだ」世論の時代に気が付かなかったのだ。

アメリカ国民は清廉、誠実、実直、清潔を求めて始めた。

 ゲイリー・ハートのことは私でも覚えている。もうかれこれ1988年か、30年前になるのか。あっという間の年月を感じる。当時、日本の新聞でも大きく取り上げられた。ケネディー以来、最もハンサムで知性的でカリスマ性を持った人物だと大いに賑わせていた。彼は大統領の最有力候補、正に《フロントランナー》であったのは言うまでもない。あの時までは。彼もまさか女性問題で失脚するとは思いも寄らなかっただろう。

 映画の中でもハートは政治と下半身は関係ないと豪語している。それは最早昔の話で、もう時代は政治家に対して豪快さや、タフさを求めていなかった。清廉、誠実、実直、清潔を求めていたことにハートは気がついていなかったのだ。映画の予告に「誰が彼を裏切ったのか」とやたら謳われているが、誰も彼を裏切っていないと思う。強引にこじつけるなら「時代が彼を見捨てたのだ」となる。世論の時代が来たのだ。

環境の変化に順応出来なければ生き残ることは出来ない

ダーウインの進化論に例えると「生き残る種とは最も強い種でもなく、賢い種でもない。環境の変化に順応できた種だ」これはどの時代にも当てはまる。1988年を思い出すと世界は大きく西側に動き出す転機となっている。前年にソビエトのゴルバチョフ書記長が訪米し、レーガン大統領と対談している。世紀の握手によって、一気に米ソの冷戦が雪解けへと向かい始めたのだ。しかしハートは演説で対ソビエトに強硬な姿勢をとっていたのだ。
そのことを踏まえるとひょっとしたらハートが女性問題で失脚するシナリオがあったのかもしれない。CIAの画策によって(これは単なる推測です)そして翌年に89年はベルリンの壁が崩壊し雪崩の如く東欧諸国が民主化へと舵を切ったのだ。

“もし”ハートが大統領になっていたら歴史は変わっていただろうか

 歴史に“もし”は愚問だが、ハートが大統領になっていたらどうやって乗り切っていたのか考えると面白い。今より良くなっていたのか否かしかない。

 ご存知の通りブッシュ大統領の誕生によって中東で戦争が起こり(起こした)、絶え間ない宗教、民族の争いは永遠に続く自体になっている。世界はますます細分化され、無数に神々が戦いを提唱している。共和党から民主党に変わっても一度起きた戦争は納められなかった。ちなみにハートと同じ民主党出身のクリントンも女性問題を起こしている。遡るとケネディーも奔放だった。

妻のプライド、それとも夫への愛、今でも仲睦まじい

 さて、映画ではこのハートにお人間性についてかなりキツめに描いている。妻子がいるにも関わらず次から次へと女遊びを繰り返す様を、ハートに向かって諌める言葉を放つのが妻である。本来なら離婚を突きつけてもおかしくないが、離婚しない(今でも一緒に暮らしているそうだ)離婚しないのはお互いに理由があるのだろう。ファーストレディーを夢見ていた、あるいはこんなロクデナシの夫を支えることが出来るのは私だけという自負もあったのだろうか。

異性にダラしなければ“色に溺れては身を滅ぼす”

 まあ、兎にも角にも“英雄色を好む”時代は終焉し、どんなに襟を正して聖人君子面しても、異性にダラしなければ“色に溺れては身を滅ぼす”ことになるということだ。

 これは現在でも大いに当てはまるだろう。政治家、芸能人は元より一般人でも肝に銘じておかないと痛い目に遭うということだ。ダーウインの進化論から推測するとこういった時代の世相はまだまだ続くと予想される。何とも厳しい時代だ。

地球監視社会をどう生きるか、ダーウインは答えを知っているはずだ

 話は逸れるが街のあちこちには監視カメラが縦横無尽に設置されている。街ゆく人もスマホでシャッターを押しっぱなしだ。そしてSNSへの投稿が止まらない。こんなにプライバシーがない社会の到来を想像だにしなかった(東西冷戦時代のソビエトのKGB、東ドイツのシュタージのような監視社会より上だ)今回のハートを題材にした映画を観て、これだけ監視、投稿、密告がある社会はいつか何らかの形で爆発、崩壊を招くのではないかと強く危惧する。その時、我々は正常でいられるのか疑問だ。

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映画のことなら映画.comより引用

スタッフ

監督 ジェイソン・ライトマン
製作ジェイソン・ライトマン ヘレン・エスタブルック アーロン・L・ギルバート
製作総指揮マット・バイ ジェイ・カーソン マイケル・ビューグ ジェイソン ブルーメンフェルド ジョージ・ウルフ ジェイソン・クロス クリス・コノバー エドワード・カーペッツィ
原作マット・バイ
脚本マット・バイ ジェイ・カーソン ジェイソン・ライトマン
撮影エリック・スティールバーグ
美術スティーブ・サクラド
衣装ダニー・グリッカー
編集ステファン・グルーブ
音楽ロブ・シモンセン

キャスト
ヒュー・ジャックマン ゲイリー・ハート
ベラ・ファー ミガリー・ハート
J・K・シモンズ ビル・ディクソン
アルフレッド・モリーナ ベン・ブラッドリー
ケイトリン・デバー アンドレア・ハート
モリー・イフラム アイリーン・ケリー
クリス・コイ ケヴィン・スィーニー
アレックス・カルポフスキ マイク・ストラットン
ジョシュ・ブレナー ダグ・ウィルソン
トミー・デューイ ジョン・エマーソン
マムドゥ・アチー A・J・パーカー
アリ・グレイナー アン・デヴロイ
スティーブ・コールター ボブ・カイザー
スペンサー・ギャレット ボブ・ウッドワード
スティーブ・ジシス トム・フィドラー
ビル・バー ピート・マーフィー
ケビン・ポラック ボブ・マーティンデール
マイク・ジャッジ ジム・ダン
サラ・パクストン ドナ・ライス
トビー・ハス ビリー・ブロードハースト

作品データ
原題 The Front Runner
製作年 2018年
製作国 アメリカ
配給 ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
上映時間 113分
映倫区分 G

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