樹木希林遺作映画『命みじかし、恋せよ乙女』はドーリス・デリエ監督の怪談。ネタバレ・あらすじ・感想・評価。入月絢の妖艶度がすごい

2019年製作
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映画『命みじかし、恋せよ乙女』公式サイトとYouTubeを参照ください。

映画『命みじかし、恋せよ乙女』公式サイト
女優・樹木希林世界デビュー作/遺作『命みじかし、恋せよ乙女』8月16日(金)より TOHOシネマズ シャンテ他 全国順次公開

『命みじかし、恋せよ乙女』117分/ドイツ/2019
原題『Kirschbluten & Damonen』

監督:ドーリス・デリエ
主演:ゴロ・オイラー、入月絢、樹木希林

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映画『命みじかし、恋せよ乙女』のオススメ度は?

3.5

3つ半

樹木希林さんの遺作です。

入月絢さんの妖艶さがたまりません。

日本の怪談文化を再認識しました。

恋人、友だちと観に行ってください。

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映画『命みじかし、恋せよ乙女』の作品概要

樹木希林さんの遺作です。遺作にして初めての海外制作作品。ドイツの女性監督が撮っています。主演の入月絢さんの浮遊感のある演技がとても良いです。茅ヶ崎にある老舗旅館は小津安二郎が脚本を書いた宿。樹木希林のゆかりのある旅館とのこと。

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映画『命みじかし、恋せよ乙女』のあらすじ・ネタバレ

酒のせいで仕事も家族も失ってしまったカールは毎日が失意にかられる日々だ。恐ろしい夢も見る。そこへユウという日本人女性が訪れる。日本へ旅行へ行った父親を看取ったという。誰に対しても拒絶感を持っていたカールだがユウには心を開く。そして離れ離れになった兄妹と会う。消えてしまったユウを探しに日本へいく。果たしてユウと会えるのか、そしてカールは再び生きる希望を見いだすのか、、、。

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映画『命みじかし、恋せよ乙女』の感想・評価・内容・結末

ドーリス・デリエ監督の日本愛から生まれた映画

この映画を撮ったのはドイツ人の女性映画監督です。ドーリス・デリエさんは日本が大好きで30年間に30回以上も来日して映画を撮っています。

彼女は日本のアニミズムに深い関心を持っています。今回の映画のオープニングもエンディングにも妖怪が描かれている背景を使用しています映画が始まった時、それが何の意味かわかりませんでした。

トップカットはカール(ゴロ・オイラー) が酒屋で酒を飲むシーンから始まりますので、「アル中の話?」と予想しました。本映画の原題を邦題にすると『桜と悪魔』になります。これを頭に入れて観た方が良いです。

ところどころカットバックでろくろ首などの妖怪が入ってきます。これはアル中の男が厳格、幻聴に苦しめられているのか思いましたが、どうやら違うようです。

アル中のカールとユウとの出会いはどんな因縁があるのか

彼は自身の両親への悔恨の念があるようです。何かが彼から全てを奪い去ったのがわかります。最も大事な存在は娘です。

アル中のため離婚し、娘とも自由に会えない苦しみが彼を追い詰めます。そこに、突然ですが日本人女性が現れます。名前はユウ(入月絢 と言います。

このユウが実に良い味を出しています。掴み所のない雰囲気なんです。不思議ちゃんというか妖艶というか、フワフワしているのがスクリーンに映えるのです。こんな女優さん知りませんでした。

この映画はホラーでもサスペンスでもない“怪談”なのです

顔もエキゾチックで一度見たら忘れられないです。ちなみに彼女は世界的に有名は舞踊家です。このユウがカールの心にそっと入り込んでいきます(あとから気がつきますが、彼女こそ妖怪だったのではないでしょうか。もちろん良い方の妖怪です)

たぶんですが、それまで人とのコミュニケーションを拒否していたカールですら、受け入れてしまうくらい自然でした。のように浸透した感じです。

さて、映画はとても芸術的な要素を含んで展開していきます。恋愛?サスペンス?と思いがちですが、実は怪談だったのです。ホラーではありません。怪談なのです。

こういった日本独特の文化をドイツ人が撮ることに驚きを感じています。日本と西洋の幽霊が入ったりきたりします。カールを苦しめるモノは何なのでしょうか?それは過去の幻影です。

死にたくないのに、酒浸りの日々は矛盾するでしょ

小さい頃の家族とのあり方なのでしょう。三人兄弟ですがみんな仲が悪い。両親の死によって完全に交友がなくなっいる。カールは両親と暮らした日々を回顧します。

死がカールを追いかけてきます。死ぬのは嫌です。でもあれだけ自暴自棄になって酒を飲む生活をしている人間が死を恐れる意味がわかりません。

死んでも良い、いや死にたいから飲むのではないでしょうか、、、。まあ、それはそれとしてユウがカールのところに現れたのはカールの父親に感謝をするためです。

そして突然消えます。そしてカールはユウを探しに日本へ行きます。

樹木希林さん登場でスクリーンが和みますが、集中力がアップします

さて、ここでやっと樹木希林さんが登場します。時間もだいぶ経っているので、希林さんは物語にあまり絡まない程度かと思っていましたが、希林さん、見事に全部持っていきます。

希林さんがやっぱり映画を支配してくれます。雰囲気はあのままです。「上手い」わたしの偏見かもしれませんが、希林さんは意地悪っぽいイメージがあります。

でも本作の希林さんは何だか穏やかに見えるんです。優しい微笑み、歩き方、着付けに温もりを感じます。もう前半のドイツの場面を忘れてしまうくらいの存在です。

日本の妖怪伝説から派生する死生観と西洋のキリスト教的な死生観をうまく融合した

さて、映画は訪れる死との戦いも表しています。人間は確かに死ぬのが怖いと感じる唯一の生き物です。

宗教は死へ世界は現世より幸せだと説くことで安心させ、信者を増やしてきました。言うなれば宗教とは脅迫ビジネスです。

日本の怪談は独特の世界観を持って発展したと思います。ドーリス・デリエ監督は西洋のキリスト教的な死生観と日本の妖怪伝説から派生する死生観をうまく融合させて作り上げています。

 

この映画が何を意味するかは千差万別ですが、最後の海の場面が印象的です。わたしはユウに引き込まれそうになったカールが拒否して現世で生きることを選んだところにカールの人間としての成長があると思いました。

人生に絶望しアル中で生きる意味を見出せなかった男が再び生きる気持ちをまとめた瞬間だからです。これでカールは過去のトラウマからも脱出して胸をはって娘に会えるような気がしました。

『桜と悪魔』わかりましたか?何れにしても中々、幻想的で難しい映画であることは間違いありません。

監督の世界観が強い作品です。

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映画『命みじかし、恋せよ乙女』まとめ 一言で言うと!

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映画『命みじかし、恋せよ乙女』の作品情報

映画.comより一部引用

スタッフ・キャスト
監督
ドーリス・デリエ
製作
アニタ・シュナイダー ビオラ・イェーガー
製作総指揮
マーティン・モスコウィック
脚本
ドーリス・デリエ
撮影
ハンノ・レンツ
衣装
ナターシャ・クルティオス=ノス トニー・クロスビー
編集
フランク・ミュラー
音楽
カルステン・フンダル
カールゴロ・オイラー
ユウ入月絢
クラウスフェリックス・アイトナー
エマフロリアン・ダニエル
カロビルギット・ミニヒマイアー
アニータゾフィー・ロガール
トゥルディハンネローレ・エルスナー
ルディエルマー・ウェッパー
ユウの祖母樹木希林
マキシミリアン・エーレンライヒ
2019年製作/117分/G/ドイツ
原題:Kirschbluten & Damonen
配給:ギャガ

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