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『アド・アストラ』(123分/アメリカ/2019)
原題『Ad Astra』
監督
ジェームズ・グレイ
製作
ブラッド・ピット
デデ・ガードナー
ジェレミー・クライナー
出演
ブラッド・ピット
トミー・リー・ジョーンズ
ルース・ネッガ
リブ・タイラー
映画『アド・アストラ』のオススメ度は?
星4つ半です。
こんなブラピ観たことがありません。
ナイーブなブラピです。
抱きしめたくなります。
青い目から涙が美しい。
ブラピ、自分を見つけます。
妻と寄りを戻します(映画内で)
恋人と観に行ってください。
映画『アド・アストラ』の作品概要
製作・主演はブラッド・ピット。長編映画監督デビュー作『リトル・オデッサ』で第51回ヴェネツィア国際映画祭にて銀獅子賞を受賞したジェームズ・グレイ監督が作りあげた人間の内なる心への旅物語。
映画『アド・アストラ』のあらすじ・ネタバレ
宇宙飛行士の父を追いかけて自らも夢を叶えたロイ。飛行士の中ではもっとも優秀だ。地球にサージという電磁波が降り注いでいた。ある日、上層部に呼ばれ海王星へ行けと命じられる。何と海王星には死んだと思っていた父が生きていると聞かされる。父に会いたい気持ちと自分探しの宇宙への旅が始まる。
映画『アド・アストラ』の感想・評価・内容・結末
こんなブラッド・ピット観たことがないほど美しい
本映画はブラピ史上最高演技ではないでしょうか。近作の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』ではどちらかというと根無し草というか、お気楽なスタンマンを演じていました。
もちろんブラピ特有のワイルド感は満載で、あの横顔がとっても素敵でした。でも本作では打って変わっての全く違うブラピを観ることができます。
ナイーブなのです。抱きしめたくなるのです。アップ映像がとても多いのですが、割と正面からのカットで、それも上目使いでこちらを見つめてくるのが何とも切なさを助長します。
そして、ブラピのあの青い目が地球の青さ、そうです、正に“ブルーマーブル”その物なのです。恐らくですが来年のオスカーにノミネートされるのではないでしょうか。
父に憧れて宇宙飛行士になってはみたが、人間的には、、、
まずブラピ演じるロイ・マグブライドは宇宙飛行士だった父に憧れて自身もパイロットになります。
パイロットとして数々の飛行を経験し、もっとも優秀な人材です。宇宙飛行士に求められるのはいつも冷静でいられること。
何事にも動じないメンタルの強さが求められます。常に行う心理検査では一度も心拍数が乱れたことはありません。
プライベートでも精神に影響を与える可能性のある存在は排除します。妻と離婚までします。それだけ宇宙飛行士とは精神の安定を図らなければ務まらない仕事ということなのでしょうか。
リアルになってきた宇宙旅行
ある日、上層部から呼ばれ極秘任務を命じられます。海王星へ行けと。そこには数年前に死んだはずの父がいると告げられます。
何と父が遠く離れた海王星から地球へ向かってサージと呼ばれる電磁波を送りつけている可能性が高いという。
信じられないがロイは父に会いたい気持ちと地球を守る気持ちの双方から海王星へ向かいます。
この場面は今から数十年後、あるいは百年後の地球世界を如実に表しているのだと想像でき、とても共感できました。
宇宙旅行が一般的になっているのです。船内には一般客も多数いて船内販売も行われています。そして月が宇宙旅行のハブ空港となっており、多くの観光客で賑わっています。
こういった演出は従来の宇宙モノ映画では観たことがありません(いや、あったか?ジョルジュ・メリエスの『月世界旅行』で観た)
更に月においても人間は争いを始めています。「われわれは宇宙を消費している」という言葉とても印象深いです。(これもメリエスやっています)
さすがハリウッド、西部劇ならぬ“月面劇”やっちゃいます
月でのカーアクションはとても美しいです。西部劇ならぬ“月面劇”です。白い大地に数台の車が砂煙をあげて走ります。
漆黒の闇の向こうに青い地球がチラホラ見えます。重力が地球の6分の1をちゃんと計算された砂ぼこりと車のぶっ飛び方がとても心地よいのです。
映画の進行にちゃんと緩急をつけてるので全く飽きることがありません。さすがジェームズ・グレイ監督。そしてロイは父と再会して地球につれ戻そうとしますが、父は拒否し死を選びます。この宇宙での別れのシーンは涙腺が緩みます。
存在価値を見失った男の葛藤と自分探しの旅
この映画は確かにフランシス・フォード・コッポラの『地獄の黙示録』を思い出させます。ベトナムに君臨しているカーツ大佐です。
ここでは海王星に君臨するロイの父親です。彼の存在が地球にとって悪害そのものになっています。
つまりアメリカ的な発想ではカーツは裏切り者であり新たな王となり邪魔な存在です。本作も然り。でもただ単に処刑するだけの話ではないところが『地獄の黙示録』とは異なります。
ブラピ演じるロイの心の葛藤の話なのです。宇宙空間は孤独です。その孤独の中で自分自身と向き合っていくのです。
ブラピは会見で「存在価値を見失った男の葛藤と自分探しの旅。その深遠な人間のミステリーを象徴するのが宇宙」
「主人公は銀河系の彼方で自身自身と向き合わなければならない。そうした人間の葛藤にスポットを当てられることが映画の魅力。そこに引かれる」と語っています。
地球に帰還して本当の人間らしい心を掴んだ
ロイが地球に帰還した時に成長した証がわかります。「先の事はわからない。でも心配はしない。身近な人に心を委ね、苦労を分かち合う。そして、いたわり合う。私は生き、愛する」
これは今までになかった優しい感情です。そして離婚した妻とも再会する場面で映画は終わります。
最初は重たい話になるのではないかと思いましたが、最後はしっとりとした雰囲気で包んでくれる映画でした。ブラピの涙が本当に美しかったです。
タイトルの「アド・アストラ」とは、ラテン語の「per aspera ad astra」(困難を克服して栄光を掴む)というローマの格言から取られたもの。
映画『アド・アストラ』まとめ 一言で言うと!
「内なる声に耳を澄ませ」
何か不具合がことが起きて混乱状態になった時、人間は焦ってしまい余計に事を荒げて、収拾がつかなくなります。そういう時は一度、立ち止まり、冷静に周囲を観察し、さらに自身の心の声に耳を澄ませば、自ずと解決策が見つかるものです。
『運だぜ!アート』本日の総合アクセスランキング
若い日のブラビに会える
やんちゃなブラピ、ここから始まった
恐ろしい事件が妻が巻き込まれます
全く違う個性の二人を演じています
本物のファイター顔負けの体を作り上げてます
ジェームズ・グレイ監督が影響を受けたであろう映画
いつ観ても新鮮なキューブリックの宇宙観
ロシアにはアンドレイ・タルコフスキー有り
コッポラの狂気的な物語
クリストファー・ノーラン、会心のヒット作
合わせて観たい映画
【宇宙つながり映画】
映画『ハイ・ライフ』
ビノシュの演技が妖艶過ぎて、、、。
映画『ファースト・マン』
静かな映画です。宇宙の神秘に浸れます
映画『アイアン・スカイ 第三帝国の逆襲』
とっても面白い宇宙映画
映画『アド・アストラ』の作品情報
映画.comより一部引用
監督
ジェームズ・グレイ
製作
ブラッド・ピット デデ・ガードナー ジェレミー・クライナー ジェームズ・グレイ アンソニー・カタガス ホドリゴ・テイシェイラ アーノン・ミルチャン
製作総指揮
マーク・バタン ロウレンソ・サンターナ ソフィー・マス ユー・ドン ジェフリー・チャン アンソニー・モサウィ ポール・コンウェイ
脚本
ジェームズ・グレイ イーサン・グロス
撮影
ホイテ・バン・ホイテマ
美術
ケビン・トンプソン
衣装
アルバート・ウォルスキー
編集
ジョン・アクセルラッド リー・ハウゲン
音楽
マックス・リヒター
音楽監修
ランドール・ポスター ジョージ・ドレイコリアス
ロイ・マグブライド(ブラッド・ピット)
トミー・リー・ジョーンズ
ルース・ネッガ
リブ・タイラー
ドナルド・サザーランド
2019年製作/123分/アメリカ
原題:Ad Astra
配給:20世紀フォックス映画