映画『白い牛のバラッド』ネタバレ・あらすじ「イラン映画万歳!」感想「イスラム教と死刑制度について」結末「赤い口紅の決意」

映画『白い牛のバラッド』ネタバレ・あらすじ「イラン映画万歳!」感想「イスラム教と死刑制度について」結末「赤い口紅の決意 2020年製作
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映画『白い牛のバラッド』のあらすじ・ネタバレ・解説・感想・評価から作品情報・概要・キャスト・予告編動画も紹介し、物語のラストまで簡単に解説しています。

映画『白い牛のバラッド』公式サイト・IMDbサイト・ Rotten Tomatoesサイトにて作品情報・キャスト情報ならびにレビューをご確認ください。

YouTubeで予告映像もご覧ください。

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『白い牛のバラッド』
(2020年製作/105分/G/イラン・フランス合作)
原題:Ghasideyeh gave sefid
配給:ロングライド
【監督】
マリヤム・モガッダム ベタシュ・サナイハ
【脚本】マリヤム・モガッダム ベタシュ・サナイハ【撮影】アミン・ジャファリ
【出演】
マリヤム・モガッダム アリレザ・サニファル プーリア・ラヒミサム

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映画『白い牛のバラッド』外部リンク

HPサイト】
映画『白い牛のバラッド』公式サイト

【予告映像】
映画『白い牛のバラッド』トレーラー

【公式Twitter

映画『白い牛のバラッド』
IMDbサイト】

映画『白い牛のバラッド』

Rotten Tomatoesサイト】

映画『白い牛のバラッド』

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映画『白い牛のバラッド』のオススメ度は?

4.5

4つ半です

「考える」映画です

「死刑とは?」

「イスラム教徒」は真面目

白い牛と赤い口紅

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映画『白い牛のバラッド』の作品情報・概要

『白い牛のバラッド』イラン映画。サスペンス映画。マリヤム・モガッダムとシュ・サナイハの監督作品。アリレザ・サニファル、プーリア・ラヒミサムらが出演。イラン国内では検閲にひっかかり上映禁止となっている。死刑制度があるイランで、夫が死刑となった後、冤罪をわかり妻が謝罪を求める様を描きながら、恋愛要素も含有した物語となっている。

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映画『白い牛のバラッド』の受賞歴

第71回 ベルリン国際映画祭(2021年)

コンペティション部門 出品作品

マリヤム・モガッダム
ベタシュ・サナイハ

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映画『白い牛のバラッド』のあらすじ・ネタバレ

シングルマザーのミナ(マリヤム・モガッダム)は、テヘランの牛乳工場で働いている。娘ビタは聴覚障害者だ。彼女の夫ババクは殺人を犯して死刑となった。ある日、ミナは裁判所から呼び出される。なんと死刑になった夫ババクは無実であったと、、、。とても大きなショックを受けたが、怒りも同様に湧き出してくる。そしてミナは担当判事に謝罪要求を行う。さらに新聞にも謝罪広告をだす。そしてババクの友人と名乗る男レザ(アリレザ・サニファル)が現れ、親身になってくれる。

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映画『白い牛のバラッド』の感想・内容

「とても素晴らしい映画」です。そして「とても挑戦的な映画」 だとも言えます。本映画『白い牛のバラッド』はイラン製作の映画です。

監督は女性のマリヤム・モガッダムと男性のベタシュ・サナイハです。

マリアムは主演も兼ねています。脚本も彼女が書いています。当ブログ映画で紹介した『Ribbon』ものんちゃんが、監督・脚本・主演していましたから、日本とイランの女性の感性の違いを比べて観てみると面白いのかもしれません。

イラン映画と聞くと日本人はあまり馴染みがないかもしれません。

一般的な欧米映画ファンにとっては興味をそそらないかもしれません。でも映画通であればイラン映画を観ないわけにはいかないのです。

イラン映画は欧米映画と違って、アクションやホラー、コメディなど大仰な演技や嘘っぽいセリフ回しはほとんどありません。

若干、笑えるような表現はありますが、わたしたちの笑のツボからは遠いような気がするのです。

その理由は彼らの生活の根底、つまり人生の土台になっているのはイスラム教にあるからです。

彼らはコーランに従って生きているのです。私たち日本人で仏教や神道を生活の全ての中心に置いて生きている人ってあまりいないような気がします。

何かの決断を決めるにしてもすべてを宗教を通しての選択になってくるのがイスラム教徒なのです。

近年の中東での戦争で、イスラム教徒に対してネガティブな考えを持っている人が多いと思いますが、彼らはとても真面目な人たちです。

全員が真面目という言い方をしてもいいほど真面目です。基本的に盗み、殺人、放火などは重罪となりますから、重罪とは死刑を意味します。

死刑になったら地獄へ墜ちます。彼らの思想には天国があります。「天国で幸せになれる」と言う人が多いです。

ですから、地獄へ墜ちたら「死ぬより苦しい世界」が待っていると考えている人が多いです。死刑=苦しみですから、彼らは犯罪を犯さないように暮らしていると言われています。

でも、アラーのための犯罪だったら許されるという教えもあります。(わたしは以前、イスラム教徒の人と話していて、「天国で幸せになるより、いま幸せになりたい」と言って、険悪な雰囲気になったころがあります)

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映画『白い牛のバラッド』の考察・評価

さて、本映画『白い牛のバラッド』本映画は死刑で亡くなった夫は冤罪だったとわかった妻・ミナ(マリヤム・モガッダム)が復讐に執念を燃やす物語です。

復讐といっても、暴力的な行為はしません。

新聞広告を出して、判決を下した判事に対して謝罪を求めるのです。 しかし、判事からの言葉はありません。

ここで、日本では個人が裁判官に対して謝罪要求をするってあまり聞いたことがないので、驚きました。

しかも個人が新聞広告を出すと言うことにも驚きました。「弁護士いないのかな?」と思ったのはわたしだけでしょうか。

同じようにイラン映画『別離』を観た時も判事がひとりで判決を出していくシステムに驚きました。

もちろん、本映画『白い牛のバラッド』のように殺人事件となると複数の判事がいると思いますが、その様子は描かれていませんでした。

さて、謝罪要求を受けた判事レザ(アリレザ・サニファル) は姿を現しません。ここがポイントなのです。

実際は死刑判決を下した判事は、自身の過ちで精神的にかなり参っており、判事を辞めてしまったのです。

殺人者と同じ状況に陥ってしまったのです。レザは法律、イスラムの教えに従っての仕事ですから、公的には責められることはないでしょう。

でも彼は苦悩するのです。妄信的なイスラム教とであれば、悩まないでしょう。「すべてはアッラーのまま」と考えるからです。

言い方は悪いですが、すべての責任はアッラーなのです。

でも、レザは悩み苦しむのです。レザが苦しむは知性教養が高いからだと思われます。

イスラム教以外の思想、哲学、概念などを学んでいるから、思考を対比させたため苦しみもがいていると言えます。

本映画『白い牛のバラッド』はイラン国内では上映禁止となっている理由のひとつにレザの思想がコーランから逸脱しているかの表現も見受けられるからではないでしょうか。

さてさて、映画の展開してこれだけでは何も面白くありません。

未亡人ミナの元にレザが近寄ってきます。当初は怪しい人物なのかと思わせましたが、すぐに判事だとわかります。

ここはもう少し焦らして欲しかったです。ミナはレザが夫に死刑判決を下した人物と知りません。

本映画『白い牛のバラッド』の面白さはここから始まるのです。レザはミナのためにお金や家を貸して手助けをします。

聴覚障害者であるミナの娘ビタ(アリレザ・サニファル)彼に懐きます。3人は交流を深めていきます。

レザはひたすら悩み苦しみます。さらにレザをどん底に叩き落とす出来事が発生します。愛息子が戦死したのです。

失意のレザをミナは献身的に支えます。そして二人は愛し合うようになる、、、、という表現があります。

繰り返しますが、イスラムでは男女のきわどい恋愛描写は禁止されています。でも、イメージ的には二人は結ばれるとおもわせてくれる演出でした。

ミナが口紅を塗って、レザの寝室へ入るのですから。これも検閲に引っかかったと思います。

さて、未亡人ミナの新たな恋は順風満帆なところ、一本の電話ですべてがぶち壊しとなります。

義理の弟から「レザが夫ババクを死刑にした」と言われるのです。ミナの心は激しく動揺します。そして、衝撃の結末へ向かいます。

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映画『白い牛のバラッド』の結末

結末はミナがレザに毒入りの牛乳を飲ませて、毒殺するという展開で幕を閉じます。でも、実際はどうなんでしょうか。

何事もなく夕食をしている様子や、ミナとレザとビタが仲睦まじく暮らしているかのようなショットも挿入されています。

そして最後に白い牛が登場します。この牛のショットは映画のトップカットにもありました。

タイトルの『白い牛のバラッド』に通じます。白い牛は冤罪で殺された夫ババクをイメージさせます。

しかもミナは牛乳工場で働いています。そして殺人の道具として白いミルクを用いました。韻を踏むところがたくさんありました。

とても思想的、哲学的に作られている映画だと思いました。「映画を持ち帰る映画」の代表的な作品だと思います。

映画館を後にしても、頭の中で、「わたしなりの物語」を描いて楽しむことができるからです。

わたし的には、ミナは殺人を犯していません。想像上でレザを殺しただけです。それで満足したと思います。

そして3人で新しい人生を始めるとなります。

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映画『白い牛のバラッド』のキャストについて

マリヤム・モガッダム
アリレザ・サニファル
プーリア・ラヒミサム

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まとめ 映画『白い牛のバラッド』一言で言うと!

「とても思慮深い映画です」

イラン映画って本当に素晴らしいと思います。大仰な演技や嘘っぽいセリフは一切ありません。ですから、とてもリアルなのです。心にさざ波を立ててきます。

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映画『白い牛のバラッド』の作品情報

映画.comより一部引用
スタッフ・キャスト
監督
マリヤム・モガッダム ベタシュ・サナイハ
脚本
マリヤム・モガッダム ベタシュ・サナイハ
撮影
アミン・ジャファリ
マリヤム・モガッダム
アリレザ・サニファル
プーリア・ラヒミサム
2020年製作/105分/G/イラン・フランス合作
原題:Ghasideyeh gave sefid
配給:ロングライド

 

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