原題 『THE MULE』
クリント・イーストウッドの新作が待ち遠しい。90歳の老人が麻薬の運び屋を請け負う。その理由とは?家族は?それは仕事なのか?
予告で観たイーストウッドには“死臭”を感じた。死臭が運ばれくる気がした。
クリント・イーストウッドの最新作『運び屋』もう予告を観ただけで背筋がゾクッとした。本編を観たら気絶してしまうだろう。今からとにかく待ち遠しい。ストーリーは90歳の老人が麻薬の運び屋をやっている。それだけでワクワクする。一体何の理由で運び屋をやる羽目になったのか、この老人には家族がいるのか?この老人の仕事は?この老人もジャンキー?等々。もちろんイーストウッドが演じている。ハマり役だ。
予告のイーストウッドの表情が恐ろしかった。殺人者と凶悪犯罪者が醸し出す恐ろしさではない。失礼ではあるが“死臭”を持った男、いや死臭を運んでいる男を感じたのだ。何だろう。90歳にもなればもう力みはないというか、好々爺の穏やかさもある。でもイーストウッドが演じると死臭がプンプンするのだ。まだ映画を観ていないからわからないが、あの老人はきっとアメリカ社会そのモノではないだろうか。90年前のアメリカは世界大恐慌に揉まれていた。その最中に生まれ、第二次世界大戦を生き、大量消費大量生産時代を謳歌し、東西冷戦、地獄のベトナム戦争へ向かう。そして不景気から9.11etc。大まかに挙げたが、この老人の姿こそ現在のアメリカそのモノのような気がする。
アメリカという国家を映画にする監督。本作もまたアメリカ社会の映し絵に違いない。
イーストウッドは時代を象徴する映画を撮る。『許されざる者』は湾岸戦争、『ミスティック・リバー』は9.11、『ミリオンダラー・ベイビー』ではイラク戦争へ自国の在り方を痛烈に表現していた。そのように考えると!本作の形が見えてくる。保守主義に走るトランプ政権への反論?いや違う。イーストウッドはハリウッドきってのトランプ支持者だ。相も変わらず、ドラッグビジネスが蔓延するアメリカ社会の負の遺産についてか。わからない。老人は一般的に弱者である。アメリカは弱者か?確かにもう弱者かもしれない。ヘトヘトに疲れているかもしれない。あの皺くちゃの顔に出ている。でも強国の意地があるのだ。果たしてイーストウッドは何を訴えているのだろうか。全貌は3月まで待他なくてはならない。
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