クリント・イーストウッド監督作品『運び屋』は老いがテーマでは無い。「挑戦しろ」だ。ネタバレ、評価、感想。

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クリント・イーストウッド監督・主演最新作『運び屋』公式サイト 大ヒット上映中!
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『運び屋』(116//2018

原題『The Mule

クリント・イーストウッド監督作品

 以下、その①


以下、その②


以下、その③


『運び屋』はアメリカン・ドリームを体現した男の飽くなき挑戦の物語である

 映画『運び屋』は映画史に燦然と残るだろう

クリント・イーストウッドの『運び屋』が公開されたのは3月8日。今日は4月28日。合計4回劇場へ足を運んだ。

おそらく今回で最後になると思う。もうロングランは期待できない。残念であるが、日本ではこの手の映画の大ヒットは見込めないのが現実だ。

もちろん名作中の名作で映画史に燦然と残るだろう。

1回目観た時は何だかこれがクリント・イーストウッドの最後の作品なのではとちょっとセンチな気持ちになったが、ネットに流れるインタビューを見てるとまだまだ現役を続けると語っていたので嬉しくなった。だから2回目、3回目は十二分に楽しめた。

アールは老いについて一切の悩みがない。仕事への復活と情熱を持つ人間だ

この映画のレビューを読むとテーマは老いと書いてある記事が多い。でも私は違うと思う。主人公アールは確かに高齢であるが、まだまだ仕事をしたいという情熱を持っている。

もちろん自分が人生を捧げた園芸の仕事への復活を目指している。老いがテーマの映画の多くは迫り来るに恐怖したり、あるいはどうやって迎えるかを悩む物語が多い。

でもこのアールには一切そう行った感傷的な要素を感じないのだ。但し妻の死の場面に置いて人生について少し語っている。

それともう一つ、エンドクレジットに流れる音楽で「老いを迎え入れるな。生まれた日など忘れた。年齢など関係ない」と歌っている。

失敗することの言い訳を先に考えては前へ進めない

クリント・イーストウッド自身も年齢など只の数字に過ぎないと言っている。

情熱がなくなった瞬間に人間は老いていくのだと思う。

もっと言うなら何歳になっても人生いくらでもやり直せるのだ。人間は失敗したことを引きずり、なかなか次の一歩が出ない。

「また誰かに迷惑をかけるかもしれない」とか「どうせ、上手くいくはずがない」などと最初から言い訳を作ってしまうのだ(はっきり言うと良い訳を作ることで周りの人に良い人アピールしているとも言える)

そしてこのネガティブが感情こそが、まだまだ出る杭を自ら抑え込んでしまっているどころか、蟻地獄に陥れていることさえ気がつかなくなる。

こうなったらなかなか立ち直れない。蟻地獄の砂の壁にしがみ付き、音を立てずに過ごす弱き存在になる。

たかが一般人が何をやっても大した迷惑はかからない

たかが一度の人生だ、生まれた限り何でも挑戦することが大切だと思う。失敗しても大して迷惑などかからないのだ。

重大な犯罪はいけない。殺人、放火、強姦といった凶悪犯罪を犯すのは論外だ。

でもそんな人はあまりいないだろう。

例えば歴史上、偉人だと言われている人たちのことを調べると大概はその当時は『大迷惑』な存在だった言える。

秦の始皇帝も織田信長もナポレオンも、レーニンもとんでもない迷惑をかけている。それは多くの人の命を犠牲にしている場合が多い。

でも今となっては英雄だ。我々はこのような歴史上の偉人にはなれないしならない。彼らの迷惑と比べたら我々がやる迷惑など大したことないと思うのだ。

やりたいことをやるだけだ。それは大して迷惑をかけないし、失敗してもやり直しは効くのだ。

人生は挑戦の繰り返しである。そして人生はまだまだ続くのだ

本作のアールは確かに麻薬を運んだという罪を犯した。

でも彼は老いとは関係なく仕事をしたかったのだ。やりたいことをやったまでだ。

自分の存在価値を今一度確認するために『運び屋』をやったのだ。老いのことなど全く忘れていたはずだ。

あの年齢であの精力的な生き方を見れば一目瞭然である。彼は挑戦したのだ。自分の人生は絶えず挑戦の繰り返しだったのだ。

年齢など関係ないと書いたが、あの風貌でまだ挑戦する姿勢には感服させられる。見習いたい。

クリント・イーストウッドの声が聞こえる「諦めるな、挑戦しろ」

故にこの映画でクリント・イーストウッドの言いたかったのは老いではなく諦めるな、挑戦しろということではないだろうか。

挑戦は英語でチャレンジ、つまりアメリカン・ドリームで育ったイーストウッドらしいメッセージだと言える。

アメリカは確かにタフな国であるが、挑戦する者、努力する者を評価してくれる寛大さがある。

そういう土壌で育ったアールがこの運び屋を請け負った意味を考えるとアメリカの懐の深さが見えてくる映画であった。

 

映画のことなら映画.comより引用

スタッフ

監督クリント・イーストウッド
製作クリント・イーストウッド ティム・ムーア クリスティーナ・リベラ ジェシカ・マイヤー ダン・フリードキン ブラッドリー・トーマス
製作総指揮 アーロン・L・ギルバート
原案サム・ドルニック
脚本ニック・シェンク
撮影イブ・ベランジェ
美術ケビン・イシオカ
衣装デボラ・ホッパー
編集ジョエル・コックス
音楽アルトゥロ・サンドバル

キャスト
クリント・イーストウッド アール・ストーン
ブラッドリー・クーパーコリン・ベイツ捜査官
ローレンス・フィッシュバーン主任特別捜査官
マイケル・ペーニャトレビノ捜査官
ダイアン・ウィーストメアリー
アンディ・ガルシアラトン
イグナシオ・セリッチオフリオ
アリソン・イーストウッドアイリス
タイッサ・ファーミガジェニー
ユージン・コルデロルイス・ロカ
ローレン・ディーンブラウン捜査官
グラント・ロバーツDEA捜査官
ピート・バリスDEA地方担当官
ロバート・ラサードエミリオ
ソウル・ウエソアンドレス
リー・コック突撃銃の男
ノエル・Gボールド・ロブ
クリフトン・コリンズ・Jr.グスタボ
ダニエル・モンカダエドアル
ポール・リンカーン・アラヨサル
作品データ
原題 The Mule
製作年 2018
製作国 アメリカ
配給 ワーナー・ブラザース映画
上映時間 116
映倫区分 G