映画『ビール・ストリートの恋人たち』は差別が運命を狂わす物語。若い二人の美しさに潜む悲劇に胸が痛む。感想と評価。ネタバレ。

2019年製作
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映画『ビール・ストリートの恋人たち』公式サイト
本年度アカデミー賞®受賞!(助演女優 レジーナ・キング)アカデミー賞®作品賞受賞『ムーンライト』バリー・ジェンキンス監督最新作。2月22日(金)全国ロードショー

『ビール・ストリートの恋人たち』(119//2019

原題 『If Beale Street Could Talk

監督 バリー・ジェンキンス

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この映画を観ながらつくづく思った。「日本とは本当に良い国だ」

 この映画を観ながらつくづく思った。「日本とは本当に良い国だ」第一に平和である。次に安全である、そして差別がない。だから自由なのだ。外国行くと本当にこれらのありがたさを痛感する。夜、近くのグロッサリーに行くにしても怖い。日本は子供でも夜コンビニ行っても安心だ。治安が良い。そして誰しもどのような生まれであっても、頑張ればある程度の職業につける。ヨーロッパには階級社会がある。出自によって決まってしまうことが多々ある。差別と言っていい。そして日本はとにかく自由だ。この自由ほど生き物にとって素晴らしいことはないと思う。

アメリカは努力すれば夢は叶う社会であることは間違いない、差別さえなければ、、、

この映画を見ていると本当にアメリカは不自由な国と感じる。治安も悪く、差別がはびこり、自由も制限されている。ただヨーロッパと違って努力すれば政治家にも会社経営者にもなれる。それは素晴らしい。ただ自己主張を掃討しなければいけない。それが苦手な人は疲れてしまうだろう。

差別されて初めて差別の苦痛を知る

差別と言うのはされた人間でないとわからないと思う。人種、民族、宗教、職業で差別されるのが主だが、肌の色で差別されるのが一番辛いだろう。自らのアイデンティティを否定されるからだ。私も海外を放浪していた時に黄色人種という理由で差別された経験がある。バスに乗れなかったり、ホテルに泊まれず野宿したこともある。とても傷ついた。そして黒人がかつて味わった痛みを少しわかった。

 

登場する黒人俳優全ての振る舞いが美しく、知性教養がほとばしっている。

さてこの映画を見た感想を書きたい。とにかく美しい映画だと思う。何が美しいかと言うと、まずニューヨークの街並みが美しい。街自体はゴミだらけで汚いが、それも何故か綺麗に見えてしまう。そしてこの2人の黒人青年と少女がとにかくおしゃれなのだ。細くしなやかで、更に姿勢が良い。黄色の服が似合う。登場する他の黒人俳優も皆スマートで動きがカッコいい。なんだかお金持ちを想像させてしまうが、貧乏な設定だ。主演女優のキキ・レインが最高にキュートだ。ファッションセンスが良すぎる。

好きで好きでたまらない、若い時の恋とは盲目なのだ

若い2人の恋の物語に胸が締め付けられる。好きで好きでたまらないのに、愛する人が無実の罪で警察に捕まって刑務所に入ってしまう。自分は妊娠している。両親にどうやって打ち明けるか悩む。両親は優しく受け入れてくれたのが救いだ。しかし恋人の母は冷たい。息子が悲惨な目にあったのはお前のせいだと罵る。

若い二人、障害、悲劇的であることがヒットの法則

恋の映画のヒットの法則がある。第一に若い二人であること。障害があること。そして第三は悲劇的であることである。この映画は全ての条件が揃っている。特に3番目の悲劇、これはこの映画ではとても残酷に描いている。愛する人が死ぬとかのありきたりな悲劇ではない。生きながらも永遠に離れていなければならないと言う救いようのない悲劇だ。最早、生き地獄ではなかろうか。毎日が不安だろう。苛立つがどうしようもない。時間は淡々と進んでいく。二人を取り巻く空気感で胸が締め付けられる。

バリー・ジェンキンス監督の感性はウオン・カーワイ由来だったのか

この映画を監督したバリー・ジェンキンスは前作の『ムーンライト』以上に素晴らしい作品を作ったと思う。美しいのだ。そして悲劇なのだ。

黒人監督だけあってやっぱり黒人を描くことに全力を注いでいる。とにかく黒人を美しく描いている。芸術的だ。なんて素晴らしい人たちなのだろうと言う気持ちになる。映画の中では白人に対する苦言を呈している。そうやって人種差別について描いている。アメリカ社会に身を置家内とわからないことだと思う。アメリカと言う国家はこんなに酷いのか、と考えがちだがちゃんと手を貸してくれる人もいる。それは信じたい。

追記 この映画を観ていて思い出すのは『ミッドナイト・エクスプレス』『ある愛の詩』そして話題にもなっているが『恋する惑星』と『花様年華』である。

『グリーンブック』も3月1日に上映される。こちらも人種差別反対を訴えてる作品だ。

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映画のことなら映画.comより引用

スタッフ

監督 バリー・ジェンキンス
製作 アデル・ロマンスキー サラ・マーフィ バリー・ジェンキンス デデ・ガードナー ジェレミー・クレイマー
製作総指揮 ミーガン・エリソ ブラッド・ピット サラ・エスバーグ チェルシー・バーナード ジリアン・ロングネッカー マーク・セリアク キャロライン・ヤーツコー
原作 ジェームズ・ボールドウィン
脚本 バリー・ジェンキンス
撮影 ジェームズ・ラクストン
美術 マーク・フリードバーグ
衣装 キャロライン・エスリン=シェイファー
編集 ジョイ・マクミロン ナット・サンダース
音楽 ニコラス・ブリテル
音楽監修 ゲイブ・ヒルファー

キャスト
キキ・レインティッシュ・リヴァーズ
ステファン・ジェームスファニー(アロンゾ・ハント)
コールマン・ドミンゴジョーゼフ・リヴァーズ
テヨナ・パリスアーネスティン・リヴァーズ
マイケル・ビーチ
デイブ・フランコレヴィー
ディエゴ・ルナペドロシート
ペドロ・パスカルピエトロ・アルバレス
エド・スクレインベル巡査長
ブライアン・タイリー・ヘンリーダニエル・カーティ
レジーナ・キングシャロン・リヴァーズ
フィン・ウィットロック

作品データ
原題 If Beale Street Could Talk
製作年 2018
製作国 アメリカ
配給 ロングライド
上映時間 119
映倫区分 G

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